サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本代表センターバック(CB)の昌子源選手(25)=鹿島アントラーズ、神戸市北区出身=が存在感を高めている。主力を海外組が占める中、1次リーグの2試合に唯一の国内組として先発。特に初戦のコロンビア戦ではエースを止め、アジア勢初の南米勢撃破に貢献した。「日本のCB像を変えてほしい」と現地観戦するサッカー指導者の父力さん(54)の期待も背に、28日のポーランド戦で決勝トーナメント進出を狙う。
初のW杯だが、格上相手でも落ち着いている。持ち前の足の速さと判断力を生かした守りで先手を奪い、コロンビア戦では世界屈指のFWファルカオ選手をシュート2本に封じた。国際サッカー連盟は公式サイトで「驚きはゲン・ショウジ」と言及。続くセネガル戦でも快足のニャン選手と渡り合い、海外でも評価は急上昇中だ。
開幕前まで立ち位置は不安定だった。昨年8月、アジア最終予選のオーストラリア戦に先発してロシア大会出場に尽くしたが、同11月の海外遠征は帯同しただけ。ブラジル、ベルギーの強豪国を相手に力を試す機会は与えられず、CBでは3番手の選手とみられていた。
昌子選手は納得できず、力さんに愚痴をこぼしたという。だが、日本の指導者で最高位のS級ライセンスを持つ父は「慢心」と一蹴。「2試合に出られなかったのはむしろ良かった。腐っている時間はないよ」と背中を押した。
W杯開幕前のガーナ、スイスとの国際親善試合でも出番はなかったが、続くパラグアイ戦で先発のチャンスが巡ってきた。同点弾の起点となる縦パスを通すなど攻守でアピールし、W杯のピッチにつなげた。
従来の日本人CBとは違う積極的な守備を力さんも買っており、大会前には「これ見てみ」と、タイプが似ているアルゼンチン代表マスケラーノ選手らの映像を送った。昌子選手も「現代サッカーに機動力は欠かせない」と価値観は一致する。ポーランド戦は大エースのレバンドフスキ選手への対策が不可欠。身体能力に優れた強敵にも、決してひるまない。(有島弘記)
昌子躍動、父の誇り 国内組唯一の2戦先発 サッカーW杯