
日刊鹿島アントラーズニュース
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2018年6月28日木曜日
◆今日ポーランド戦。守備のキーマン昌子源を支えるリバウンドメンタリティー(THE PAGE)

試合前に配られるスタートリスト。日本の先発メンバーの所属クラブの欄には、ヨーロッパのクラブ名がずらりと並ぶ。ドルトムント、ガラタサライ、マルセイユ、フランクフルト、サウサンプトンといったネームバリューは、コロンビアやセネガルのそれに見劣りすることはない。
そういう時代になったのか、と感慨深い一方で、だからこそ、その中でたったひとつの「(JPN)」の文字が燦然と輝く。
海外組が実に10人も占める日本のスタメンのなかで、ただひとり、国内でプレーしているのが、鹿島アントラーズのセンターバック、昌子源である。
ロシア・ワールドカップ初戦のコロンビア戦での落ち着いたプレーがFIFAの公式サイトで紹介され、海外のサッカーファンからの注目、賞賛も集まっている。
日本国内で唯一プレーする、あの素晴らしい選手はいったい何者なのか――、と。
だが、昌子自身はそうした取り上げ方について、一笑に付す。
「センターバックは麻也くんと他の誰が出ても国内組になるし、僕は国内組を代表しているつもりもない。自分にできることをしっかりやっているだけ。でも、もちろんJリーガーも見てくれていると思うので、昌子でもやれるなら俺もできると、プラスに思ってくれたら嬉しいですね」
コロンビア戦、続くセネガル戦における昌子のプレーが実に安定していて頼もしく、安心して見ていられたのは間違いない。
コロンビア戦ではクリアを香川に繋げ、先制点となるPK獲得の起点となったプレーを始め、インターセプト、カバーリングと、あらゆる局面で「正解」のプレーを披露した。むろん、コロンビア戦は数的優位の中でのプレーだったが、圧巻だったのは、続くセネガル戦だ。
昌子が唯一の国内組だから、なのかどうかは定かではないが、セネガルの攻撃陣は明らかに昌子を狙っていた。攻撃においても、守備においても。
センターフォワードのエムバイ・ニアン(公式記録では184センチだが、明らかに190センチ以上だろう)は常に昌子の近くにポジションを取り、ロングボールやゴールキックを昌子と競り合った。189センチの身長を誇り、プレミアリーグでプレーする吉田麻也と競り合うより、182センチの無名のセンターバックと競り合った方が勝てると踏んだのがあからさまだった。
日本が攻撃をビルドアップする際にも、吉田や長谷部誠には厳しくプレスを掛けず、昌子の方へパスを出させるように誘導し、ボールが昌子に渡った瞬間、プレスを掛けて奪おうとした。
だが、25歳のセンターバックは落ち着いていた。
「自分でもすぐに気づいた。19番(ニアン)は俺の方にいたのでヘディングする機会が多かったし、ここで俺が起点を作らせたら、相手の思うツボかなって。自分のできることを精一杯やった。(ビルドアップでも)ハセさんや麻也くんがボールを持った時に、俺のほうにどうぞ、みたいにやっていた。そこで冷静に、ああ、俺かって受け止められたのがよかった。そこで消極的なパスをするといけないなと思って、強気に縦に入れていこうと思っていた」
次第に昌子が制空権を握るようになると、イライラを募らせたニアンは後半、長谷部や昌子に対して肘打ちや手のひらで顔面を殴打して警告を受け、ポジショニング自体も吉田のほうへと逃げていく。ニアンとの勝負は、昌子の完勝に終わったのだ。
ワールドカップ初出場とは思えないほど落ち着いたプレーを見せている昌子だが、これまで日本代表で確固たる地位を築いていたわけではない。
2014年11月に初めて招集されたが、代表デビューは2015年3月まで待たなければならず、その後もコンスタントに招集されたわけではなかった。
アジア最終予選の途中で、不調の森重真人に代わって吉田のパートナーに抜擢されたが、予選が終わると槙野智章にポジションを奪われた。今年4月に西野朗監督が就任しても、当初は立ち位置に変わりはなく、5月30日のガーナ戦、6月8日のスイス戦ではベンチスタート。だが、本大会前最後のテストマッチとなった12日のパラグアイ戦でのプレーが評価され、コロンビア戦でのスタメンの座を射止めるのだ。
オーストリア・ゼーフェルト合宿が始まったばかりの頃、昌子が自身の代表キャリア、選手キャリアについて、こんな風に言っていた。
「僕のサッカー人生はいつも悔しい思いをしていて、一気に二段上がったことはないですし、一気に二段落ちることもあった。でも、そういう経験が間違いなく僕を強くしてくれている。そういう経験があったから今、23人に選ばれてここにいるのかなって」
ガンバ大阪のジュニアユースからユースに昇格できず、鹿島に加入してからも3年間はレギュラーポジションを掴めず、年代別代表で国際大会を戦ったこともない。リバウンドメンタリティー、反骨心、雑草魂……。昌子にとっていつだって、理想の自分とのギャップに対する悔しさが、成長の肥やしとなってきたのだろう。
もとより大舞台に強い一面もある。Jリーグチャンピオンシップを制した鹿島の一員として出場した2016年のクラブ・ワールドカップではアトレティコ・ナシオナル、レアル・マドリー相手にインターセプトを連発したかと思えば、カバーリングにシュートブロック、ボール奪取後のフィードと、獅子奮迅の働きを見せた。
ワールドカップデビューとなったコロンビア戦でも自らメンタルをコントロールして臨んでいる。
「いろんなところから見られていると思ったので、自分で『俺、落ち着いてますよ』という雰囲気を出そうと。『アイツ、緊張してるわ』って思われて、それがチームメイトに伝染したら嫌だったから。最初のトラップがいきなり浮いてしまったりとか、そういうのを心配されたら、それだけでチームにとってマイナスだから。そういうことがないように、『大丈夫ですよ、俺は』という雰囲気でやっていました。それは上手いこといったんじゃないかなと」
鹿島でコンビを組む2歳年下の植田直通はコロンビア戦での昌子のプレーについて「個人的にはいつもどおりの源だと思いました」と語った。裏を返せば、ワールドカップでも「いつも通り」のプレーを出せたというわけだ。
セネガル戦ではセットプレーの際にニアンに肩を何度もぶつけられるとやり返し、まくしたてて挑発されると、同じように言い返した。
「言い返したり、やり返したり。いい意味で楽しんでいたかな」
能力の高さは鹿島でのプレーからも明らかだが、それが世界の舞台でも通用することが証明された。自身も言うように、昌子のプレーに勇気づけられたJリーガーも多いだろう。国際舞台での経験と自信は、悔しさと同じくらい栄養剤となり得るものだ。世界の舞台で自信を膨らませた昌子の今後が、さらに楽しみだ。
(文責・飯尾篤史/スポーツライター)

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