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明治安田生命JリーグCS決勝第2戦 鹿島2―1浦和 (12月3日 埼玉)
激動の一年を自らの活躍で締めくくった。FW金崎夢生(27)が0―1の前半40分にダイビングヘッドで同点ゴール。さらに後半34分にはPKを決めて試合を決めた。今季は8月20日の湘南戦で、途中交代の指示に激高。クラブから厳重注意を受けるなど波乱のシーズンを送ったが、年間王者を決める大一番で2ゴールを挙げ、その存在感を存分にアピールした。
これが金崎だ。エースの自我、強烈なプライドだ。1―1で迎えた後半34分、途中出場のFW鈴木がペナルティーエリア内で倒され、値千金のPKを獲得すると迷わずボールを奪いに行った。大観衆が見守るピッチ上、なかなかボールを譲ろうとしない鈴木と押し問答を続けること約1分。最後は強引に押し切った。
金崎は言う。「(鈴木)優磨には悪いけどもらいました。決められて最高っすね」。一方、試合後の鈴木は「自分が取ったPKは自分で蹴ると決めたので…。結構な“攻防”でしたよ。なかなか引かないので最後は、まあ、いいかと」。苦笑いするしかなかった。
決めれば優勝が近づき、負ければ遠のく。重圧のPK。金崎は「最初から決めていた」と言った。右足一閃(せん)。日本代表GK西川が跳びつくも及ばず、ゴール左に突き刺さった。川崎FとのCS準決勝に続く決勝弾。敵地まで駆けつけたサポーターの元に全力で走り、喜びを爆発させた。
0―1で敗れた第1戦の後半ロスタイムに左足首を捻挫。翌日も痛みが引かず、リカバーにも参加しなかった。それでもエースの意地が肉体を突き動かした。「2点取ることしか、考えてなかった」。逆襲のきっかけをつかんだのも金崎だ。0―1の前半40分、MF遠藤の右クロスに頭から飛び込んだ。「(遠藤)ヤスからいいボールが来た。合わせるだけだった」。まさに下克上へのダイブとなった。
順風満帆ではなかった。8月20日の湘南戦、途中交代に激高して石井監督との握手を拒否。和を乱し、指揮官が一時休養する事態に発展した。ハリルホジッチ監督には日本代表から追放処分まで科された。批判を受けながらエースは黙々とピッチに集中してきた。今季のJ1を締めくくる一戦では攻守に圧倒的な献身性で優勝に導いた。
「いろいろありましたけど最後、優勝という形で終われてめちゃめちゃうれしい」。気が付けばマン・オブ・ザ・マッチ、そしてチャンピオンシップのMVPも受賞。勝ち気なエースは会心の笑みを浮かべていた。