日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年5月12日木曜日

◆故郷・熊本に届け!植田がガーナを流血完封、手倉森Jリオへ手応え(サンスポ)


http://www.sanspo.com/soccer/news/20160512/jpn16051205050001-n1.html

テーピング姿で競り合う植田。被災した故郷・熊本に向けて不屈の精神力を見せつけた(撮影・森田達也)

 MS&ADカップ(11日、U-23日本3-0ガーナ、ベアス)リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表とガーナ代表による熊本地震の慈善試合を兼ねて行われ、熊本出身のDF植田直通(21)=鹿島=がキャプテンマークを巻いて先発出場した。チームとして初めて対戦するアフリカ勢を相手に持ち前の高さを生かして攻守に奮闘。被災地を勇気づける3-0の勝利に貢献した。

相手と接触し、右目付近から流血した植田。仮想ナイジェリア戦で気迫のプレーを披露した(撮影・甘利慈)

 ガーナの攻撃を体を張った守備ではじき返した。故郷・熊本を勇気づける完封勝利。試合後、DF植田は仲間と場内を一周。スタンドから送られる「植田コール」に頭を下げて応えた。

 「チャリティーマッチという位置づけ。熊本のみなさんも見ていてくれたと思う。県民を代表してお礼を言いたい」

 疲労を考慮して招集されなかったMF遠藤(浦和)に代わってキャプテンマークを左腕に巻いてプレー。「熊本のために」と手倉森監督が提案し、選手全員が賛同した。五輪初戦の相手、ナイジェリアを想定した試合では、屈強なガーナ選手を相手に互角以上のプレーで対応。後半35分にはFWアダムスの左肘が右目付近にガツン! 9針ほど縫う裂傷で流血したが、応急処置をしてプレーを続行。その後も味方を鼓舞し、3-0の完封勝利に貢献した。

 普段は寡黙だが、情に厚く責任感は人一倍だ。「(メンバーの中で)熊本出身は僕だけ。戦う姿勢を見せなきゃいけないと思っていた」。熊本から家族を招待し、母・俊子さん(52)もスタンドで観戦。息子のけがを目の当たりにしたが、「けがは慣れてますから」。テーピング姿に注がれた拍手&喝采には「ありがたい。みなさんの気持ちがうれしかった」と目頭を熱くした。

イレブンはTシャツ

 今回の震災で市役所が半壊するなど大きな被害を受けた熊本・宇土市出身。母校・大津高も被災した。現在は両親ともに家に戻ったが、実家は有明海沿いにあり、4月16日未明の地震では、家族は高台に避難。車の中で一晩を過ごしたという。17日に鹿島での練習を終えるとクラブに直談判をし、熊本で支援活動を行った。空路で福岡に入り、水や肉などの食料品やトイレットペーパーを買い込んで被災地に運んだ。

 ガーナ戦前日には監督、スタッフ、チームメートと試合会場で募金活動を実施。会場では「頑張ってください」とファンの声援を受けた。「(みんなのためにも)結果を出せてよかった」。ファンの思いに応える勝利に安堵(あんど)の表情をみせた。

 手倉森ジャパン発足時からメンバー入りする守りの要で、14年12月14日のタイ戦から続く20戦無敗にも貢献。右腕に喪章を巻き、気迫あふれるプレーで愛する故郷を励まし続けた。 (一色伸裕)

植田 直通(うえだ・なおみち)
 1994(平成6)年10月24日生まれ、21歳。熊本・宇土市出身。小3でサッカーを始める。大津高から2013年に鹿島入団。14年3月1日の甲府戦でJ1初出場、昨年4月16日の柏戦で同初得点。11年U-17W杯では過去最高に並ぶ8強入り。昨年1月のアジア杯で日本代表に初選出も不出場。今年1月、U-23日本代表としてリオ五輪最終予選優勝に貢献。J1今季11試合0得点、同通算42試合1得点。1メートル86、77キロ。

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