日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年4月28日金曜日

◆植田直通が「ネガティブになっていない」訳 常勝の「強い鹿島」に戻るためのプランは?(FOOTBALLZONE)



植田直通


【識者コラム】若手選手を食事に連れて行き、チームの団結を高める魂の男


 鹿島アントラーズは4月25日、オフ明けの全体練習が約70分で終わると、その後は個別練習になった。植田直通は若手選手たちとしばらく身体を動かすと、17時15分過ぎにはクラブハウスに戻っていった。

 2023年、フランスから植田は古巣に戻ってきた。鹿島は2022年、総合順位こそ4位ながら、失点数は10位タイと半分以下の出来。守備力の強化のためには、2018年からヨーロッパに活躍の場を移していた植田の力を借りるのが最適解の1つだったと言えるだろう。

 補強の順調さから、鹿島には2016年以来のリーグチャンピオンの期待が懸かった。ところが蓋を開けてみるとなかなか失点は減らない。リーグ12位タイの得点とともに、リーグ9位と失点数も苦しんでいる。

 18時10分過ぎ、やっとクラブハウスから出てきた植田は苦しい胸の内を語った。鹿島に帰ってくる話が出た時、いろいろな人から「もう昔の鹿島とは違うよ」と言われていたそうだ。

「入ってみても、そこまで悪いとは思わなかった」。ところが「蓋を開けてみれば、というか、試合をやってみれば、なかなか上手くいかない状況もありました」と言う。

 何が悪くて低迷しているのか。

「それが分かれば僕たちも上がっている」と植田は苦しい表情を浮かべた。

 失点の多さについては、「それは全部自分と、僕は自分に言い聞かせています。自分の出来次第で勝敗は決まると思うし、チームを勝たせられなかった部分では僕も反省していて、また勝たせていかないといけないと自分に言い聞かせて、まだまだこれからもやりたい」とゆっくりと言葉にした。

 だが、そこから顔を上げると「まだまだこれからやり直せるチャンスはあると思うし、それだけの力を今のチームは持っている。だから僕はネガティブになっていないです」と続ける。

「昔から上手くいかない状況はたくさんあったし、だから僕は別にそんなに悪く思っていない。それを自分たちで話し合いながら乗り越えてきたからこそ、強い鹿島を手に入れていったと思います。今、それをやる段階だと思うので、僕は練習中も気になったことがあれば話すし、そういったものを増やしていければいいと思うんです」

 2018年7月、渡欧直前の植田に話を聞いた時はまだ言葉数が少なかった。だが今はほかの選手たちに声をかけ、チームを牽引しようとする姿がある。クラブスタッフによると、若手選手を一番食事に連れて行くのが植田なのだそうだ。

 この日も植田がクラブハウスから出てきた時、たくさんの若手選手も一緒に現れた。きっと練習後、植田はほかの選手たちと話し込んでいたのだろう。植田は車に乗り込むと「今から決起集会なんですよ」と、チームの団結を高めるために走り去っていった。

(森雅史 / Masafumi Mori)





◆植田直通が「ネガティブになっていない」訳 常勝の「強い鹿島」に戻るためのプランは?(FOOTBALLZONE)

◆【鹿島】今季初先発で連敗ストップ。仲間隼斗が“苦労話”を封印「順風満帆なサッカー選手はほとんどいない。これが普通」(サカノワ)



仲間隼斗


「試合に出られないから苦しい、とは思っていない。与えられた役割、時間をいかにいいものにするかを考えて練習に取り組んでいる」


[J1 10節] 鹿島 – G大阪/2023年4月29日19:00/カシマサッカースタジアム

 鹿島アントラーズの仲間隼斗(NAKAMA Hayato)が4月27日にオンラインによる取材に応じて、29日のホームでのガンバ大阪戦に向けて抱負を語った。

 今季リーグ4試合目、掴み取った初先発のチャンス。アルビレックス新潟に2-0の勝利を収め、チームの連敗を4で止めた。ただ仲間自身は変わらず自身にできる最大限のことに取り組んできた結果が、まず、この勝利につながったと受け止めている。

「目の前のことにいかに100パーセントで取り組めるかを意識してきました。自分としては、この間の勝利を特には気にせずやっているつもりです。チームの雰囲気は、この1勝で少しは良くなったと思っています。でもシーズンはまだまだ続きます。雰囲気が勝ったからいい、負けたら悪いという波は作りたくありません。この勝ちを継続できればと思います」

 この1勝でガラリと何かが変わった――。そういう表現に、仲間は少し違和感を覚えているようだった。

「(新潟戦はゴールへ向かう迫力が感じられたが?)新潟戦のみならず、ゴールに向かう意識は今までも取り組んできました。新潟戦で結果に現れましたが、今までやってきたことがつながりました。この試合が特別だったとは思っていません。(2得点が生まれて)チームとしての攻撃の絵が、あの試合では揃ったのかなと思います」

 そしてホームでのG大阪戦に向けて仲間は、「新しい監督のもと攻撃に重きを置いたスタイルになっていると感じます。後方からのビルドアップのストロングポイントを潰せれば、自分たちのゲームになると思っています」と“ガンバ攻略法”の糸口を語った。

 また、なかなか出場機会を得られずにいたことについて。仲間は全てを受け止め、それでもただ与えられた状況下で100パーセントを出し続けるだけだと強調していた。

「試合に出られないから苦しい、とは思っていなくて、自分に与えられた役割、与えられた時間をいかにいいものにするかを考えて練習に取り組んでいます。これを続けるだけです」

「順風満帆なサッカー選手はほとんどいなくて、8割がたは苦労してきていて、これが普通だと思っています。(チャンスが来た時に掴むためには?)その自信をつけるため、毎回の練習で自分と真摯に向き合い、100パーセントを出し切ることを心掛けてきました。試合に出たらやれるということは常に示し、いつでも出せる自信は持っています」

 次は仲間が、久々のホームでの勝利をもたらす!





◆【鹿島】今季初先発で連敗ストップ。仲間隼斗が“苦労話”を封印「順風満帆なサッカー選手はほとんどいない。これが普通」(サカノワ)




◆岩政監督が練習で見せた「完成形の夢」 鹿島が背負う“常勝軍団”でなければいけない宿命(FOOTBALLZONE)



鹿島アントラーズの選手たち


【識者コラム】20冠を達成している鹿島は復活できるのか


 鹿島アントラーズは4月23日、J1リーグ第9節アルビレックス新潟戦で6試合ぶりに勝利を収めた。まだ13位とは低迷しているものの、2012年を除けば年間順位で2桁を経験したことはなく、これまで20冠を達成している王者の復活はあるのか。

 監督の仕事は多岐にわたる。戦略・戦術を考えるのはもちろん、チームマネジメントとしての戦力確保、選手のコンディション調整、選手やスタッフのメンタル面の把握、環境の整備など、目に見えない部分でも多くの仕事をこなさなければならない。

 それだけ多くの要素が絡み合う監督業であるが故に、理論派のサッカー解説者として評価されていた岩政大樹監督であっても、どこか1つの歯車が狂うと苦戦を強いられてもおかしくはない。だが、そもそも岩政監督はどういうサッカーを見せようとしているのか。

 それを知るには練習を見るのが一番だ。トレーニングが上手くいっているのか、トレーニングが試合に反映されているのか、反映されても勝てないのなら方向性が間違っているのか、あるいは選手が実現できないのか。どこに問題があるのかヒントを得るには練習場に行くことが大事になる。

 久しぶりの勝利を収めた新潟戦の次の練習は、試合日の翌々日になった。急きょ練習開始が午後に変更になったものの、トレーニング場には約100人のファンが詰めかけ、チームの一挙手一投足を見守る。

 練習開始から30分ほどは室内でミーティングが行われていた。GKコーチに続いてピッチに飛び出してきたのは岩政監督。選手が来るまでピッチ状態を確かめるように自分でボールを蹴ってみる。

 多くのチームで、試合の次のトレーニングは「リブート」のフィジカル中心のメニューが組まれる。2007年から3連覇を果たした時のオズワルド・オリヴェイラ監督は「試合後24時間はボールを蹴らせない」という方針の下、時に選手は15分ほどピッチに現れただけで室内に消えていくこともあった。


自動降格が1チームだけの今季は挑戦するにはいい状況


 だが、この日の鹿島はまるで違った。試合の前々日の練習でもおかしくないような内容だったのだ。

 岩政監督がピッチに現れた5分後から選手も登場し始め、10分後にトレーニングがスタートした。5分ほどのステップワークのあと、すぐにダミー人形やポールを使ったボールの動かし方のトレーニングに移る。複雑な動きだが、選手がすぐに対応したのは事前にしっかりと説明されていたからだろう。

 20分のウォーミングアップが終わると、いよいよ岩政監督の出番となった。ピッチの上にダミー人形を立て、「シャドープレー」と呼ばれる、選手の動き方を確認する練習が行われる。

 監督が「ビデオで説明したことを思い出せ」と言っており、トレーニング前に選手の動きが非常に細かく指示されていたことが分かった。守備ラインからどうボールを動かすのか、選手の動きはどうなるのか、たくさんのポジションが一度に絡み、攻撃の形を作り出していく。もっとも次の対戦相手を強く意識した動きと言うよりも、自分たちが目指したい方向性を植え付けるための内容に見えた。

 その練習から「タブ付きダブルボックス」という、ペナルティエリア(ボックス)を2つ、やや間を開けて並べ、GK含めた6人対6人の強度の高い練習を行って、全体練習は1時間で終了。そこから個人やグループでのトレーニングに移行して三々五々終わりを迎えた。

 この日の練習だけでも、岩政監督は新しいチャレンジをいくつも行っているのが見て取れた。

「リブート」の1日をこの日のトレーニングのような内容で置き換えることができれば、戦術練習の時間を増やすことができる。ピッチの上でのウォーミングアップの短さも特徴的だった。全体が緻密に連動した動きは、スムーズにできるまでは難しいかもしれないが、でき上がってしまえば攻守において主導権を握ることができる。そしてそんな完成形の夢を来ていたファンの人たちにちゃんと提示していた。

 多くの要素がこれまでの「常識」とは違っている。鹿島のようにレベルの高い選手でないと理解が難しいだろう。そして監督という職業が「短期で成績を出す」ことだけにフォーカスされるならば、このやり方はあまり適していないはずだ。

 しかし、「もしも成功したら」という夢はある。幸いにも今年は降格が1チームだけ。ある程度の失敗をしても最悪の事態は免れられる可能性は例年よりも高い。となると挑戦するのにはいい状況だ。

 それでも今、岩政監督に求められるのは「ジャンプする前のしゃがむ時間」をどれだけ短くできるかということだ。「常勝アントラーズ」でなければいけないという宿命と、「未来を作る」というビジョンとの狭間にチームはいるのかもしれない。




◆岩政監督が練習で見せた「完成形の夢」 鹿島が背負う“常勝軍団”でなければいけない宿命(FOOTBALLZONE)





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