◆明治安田生命J1リーグ▽第27節 鹿島1―0C大阪(16日・カシマスタジアム)
鹿島が10人で勝利をもぎ取り、首位神戸との勝ち点差6に詰め、3位に浮上した。前半13分、FW鈴木優磨が相手ボールを奪い、GKと1対1を冷静に決めて先制。だが、前半20分過ぎ、中盤でルーズになったボールを巡り、鹿島のMFディエゴピトゥカが、勢い余ってC大阪MF喜田陽の左足を踏みつけた。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の指摘を受け、岡部拓人主審がオンフィールドレビューを行い、ピトゥカにレッドカードを提示。さらに判定に抗議した鹿島の岩政大樹監督にイエローカード、通訳にレッドカードが出された。
気温27・9度、湿度73%。消耗が予想される中で残り65分間、数的不利で戦わなければいけない。当然押し込まれたが、植田直通を中心にクロスをはね返し、全員でスペースをカバーする動きが光った。岩政大樹監督は「相手の右、うちの左サイドには深く、コンビネーションで入り込んでくる。ニアゾーンを気をつけよう。あとはクロスは粘ろう。そして、守り切るだけでは持たないと思う。カウンターからセットプレーが取れれば、休めるよねと選手に話した。後半はよくやってくれた」とたたえた。
2007年の33節、アウェーの浦和戦で前半に退場者を出し、最終的には2人少ない状況で1―0で勝利した。当時選手として出場していた岩政監督は、目の前で粘り強く戦うチームを見て、この試合を思い出したという。「このクラブが、いくつかの試合で乗り越えてきた試合、経験というのがある。また乗り越えることができた。ある経験を思い出した。これを乗り越えて、成長を見せ始めているなということを実感した」。
チームをけん引した植田直通は「こういう展開の試合は(シーズンで)必ずある。そこでどう勝ちきるかが大切になる。自分たちのペースに、相手をもってこられるか。うまく試合を運べた」と振り返り、手にした勝利を「本当に大きなものがある」とうなずいた。何度もピンチに立ちはだかったGK早川友基は数的不利となって以降は「リスク管理。集中を切らさない。まずは失点しないプレーを心がけた」と言い、C大阪が持ち味とするサイド攻撃に対し「対応も明確にできた」と胸を張った。
7試合を残し、首位との差は6に縮まった。横浜M、神戸と上位との直接対決を残す。「必ず勝たせる」と先発ピッチに向かった松村優太の目には「(首位との差が)現実的、手の届く位置まで来ている」と映る。試合後、選手に「優勝するまで、ロッカーで叫ぶ(喜ぶ)のはやめよう」と伝えた岩政監督は「優勝を意識して、進んでいく」とはっきり口にした。
07年は浦和に勝利し、最終節で逆転優勝を飾った。この試合を含めて、多くの我慢と悔しさを味わってきたチームが、7シーズンぶりの優勝を射程圏にとらえた。
◆10人の鹿島が執念の勝利 首位と勝ち点差6の3位に浮上 岩政大樹監督「優勝を意識して進んでいく」(報知)