札幌GK菅野がPKを一度止めるも、「やり直し」で鹿島FW鈴木が追加点
J1リーグ第13節・鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌の一戦が5月14日に行われ、鹿島が4-1で快勝を収めた。前半に鹿島が得たペナルティーキック(PK)で、一度は札幌GK菅野孝憲が止めるも蹴り直しになった場面を受けて、SNS上では「PKやり直し」がトレンドに入るなどファンの間で話題を呼んでいる。
注目を集めているのは、鹿島がFW上田綺世の先制点で試合を有利に進めるなかで起こった前半25分からのシーンだ。MFディエゴ・ピトゥカのスルーパスに抜け出したMFアルトゥール・カイキがGK菅野に倒され鹿島がPKを獲得。菅野はこのファウルでイエローカードが提示されている。
PKのキッカーは今季から40番を背負うストライカーFW鈴木優磨。ゴール中央へ蹴り込んだボールだったが、菅野がぎりぎり残した足で弾く。最後は札幌DF福森晃斗がクリアし、鹿島は2点目のビッグチャンスを逃したかに思われた。
しかし、プレーが切れたところで荒木友輔主審がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)と交信。やり取りの後、鹿島のPKがやり直しに。これに札幌の選手たちは荒木主審を囲んで猛抗議するも判定は覆らず。前半30分に再度行われたPKを、今度は鈴木が無事沈めて鹿島が2点目をゲットした。
この判定がファンの間で話題となり、一時はツイッター上で「PKやり直し」がトレンド入り。やり直しの理由、VARの介入条件が分かりにくかったこともあり、賛否を呼んだ。
まず、VAR介入の4つの条件「得点か得点でないか」「PKかPKではないか」「退場」「人間間違い」のうち、「得点か得点でないか」には以下の項目がある。
「ペナルティーキックを行う時のゴールキーパーやキッカーによる反則や、攻撃側または守備側の競技者がペナルティーエリアへ侵入し、ゴールポスト、クロスバー、またはゴールキーパーから跳ね返った後、プレーに直接関与した場合」
当該シーンでまず疑われるのは、キックされる前にGKの菅野がゴールライン上にいたかどうかという点だ。ルール上では、「少なくとも片足の一部をゴールラインに触れさせているか、ゴールライン上に位置させていなければならない」とあるが、鈴木のキックの瞬間、菅野の右足がライン上に残っており、こちらの反則の可能性は極めて少ない。
VAR介入の対象になった可能性があるのは「侵入」
その一方で、「競技者のペナルティーエリアへの侵入」ついて見てみると、菅野がセーブしたボールを“直接”クリアした福森が鈴木のキック以前に侵入しており、こちらがVAR介入の対象になった可能性がある。
また映像では、鈴木がキックする前に福森以外の鹿島と札幌の両選手がペナルティーエリア、ペナルティーアーク内に侵入している。この際、競技規則上では以下のとおりとなっている。
・守備側競技者のみ侵入した時、ゴールが決まった場合はゴールを認め、ノーゴールの場合は再度PK。
・攻撃側競技者のみ侵入した時、ゴールが決まった場合は再度PK、ノーゴールの場合は間接フリーキックで再開。
・守備側と攻撃側の両競技者が侵入した時、ゴール、ノーゴールに限らず再度PK。
これらを総合的に判断すると、福森の関与でVAR介入、競技規則に則って「PKやり直し」となったと考えるのが妥当だ。
今回の「PKやり直し」の事象は、SNS上でもさまざまな意見が交わされ話題となったが、VAR介入の条件も踏まえて、判定の理由が伝わりにくいものだったようだ。
◆【ジャッジ検証】J1鹿島×札幌、「PKやり直し」に賛否 なぜVARが介入? 判定は妥当だったのか?(FOOTBALLZONE)