日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年12月14日木曜日

◆3年越しデビューから一夜…植田は早くも日韓戦へ闘志「激しい試合は大好き」(ゲキサカ)




 初招集から3年越しでA代表デビューを果たした中国戦(2-1)から一夜明けた13日、日本代表DF植田直通(鹿島)があらためてデビュー戦を振り返った。

「最後に失点して、反省すべき点が残った。自分のプレーには納得していない。まだまだ上げるところがある。初めてのポジションというのはあるけど、まだまだレベルを上げないといけない」

 まさかの右サイドバックでのデビュー戦。それでも守備では対人の強さを見せ、思い切りの良い攻撃参加からクロスを上げる場面もつくった。「高さでやられないようにしようと思ったし、後半はドリブラーが(対面に)来たけど、そこまで右サイドでやられることがなかったのは良かったと思う」。不慣れなポジションで奮闘。これまでの鬱憤を晴らすように、待ちに待った代表戦のピッチを駆けた。

「試合に出られるのが一番。でも、僕はセンターバックの選手だし、今までもずっとセンターバックをやってきた。センターバックでやりたい気持ちは忘れていないけど、サイドバックで出たとしてもチームのために戦うのは当たり前」

 中3日で迎える16日の韓国戦(味スタ)でもチャンスは来るか。韓国のセンターフォワードには196cmの長身FWキム・シンウクが控えているだけに、植田のセンターバック起用も考えられる。「今大会の韓国の試合も見たけど、前線に身長の高い選手がいて、そこがキーになる。長いボールからその選手がキープして、いろんなボールが出てくる。ファーストコンタクトが大事だし、そこをしっかりやらないといけない」。すでに自分がセンターバックで出場したときのイメージもできているようで、優勝を懸けた日韓戦という舞台も、その闘志をかき立てている。

「日本人が韓国に対して思っているように、韓国も日本に負けたくないという気持ちを持っている。それは試合をやっていても感じるし、目の色を変えてくるのが試合の中で分かる」。これまで年代別代表で何度も対戦してきた韓国のイメージを語る植田は「激しさがあるけど、そういう試合は大好き。真剣勝負を楽しみたい」と、はやる気持ちを抑えるように言った。

(取材・文 西山紘平)

3年越しデビューから一夜…植田は早くも日韓戦へ闘志「激しい試合は大好き」

◆韓国戦の鍵は長身FWとの空中戦…植田直通「そこで弾ければ相手は攻撃パターンを失う」(サッカーキング)




 EAFF E-1サッカー選手権2017 決勝大会・中国代表戦から一夜明け、日本代表は13日に都内でトレーニングを実施した。

 DF植田直通(鹿島アントラーズ)は12日に行われた中国戦で、慣れない右サイドバックでフル出場。初招集から3年、ついに代表初キャップを刻んだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「私が見たいものを見せてくれた」と称賛した若きディフェンダーは、優勝がかかる韓国戦をどう捉えているのだろうか。

 植田は「前線に身長の高い選手がいて、そこが効いてくる。その選手がキープしてからいろいろなことが始まる」と韓国を分析。「そこのファーストコンタクトがすごく大事だと思います」と勝負のポイントを指摘した。

 空中戦は植田にとっても得意とするところだろう。植田は「ロングボールであれば簡単に競らせないことはもちろんですし、そこで弾ければ相手は攻撃パターンを失うことになる。有利に試合が運べると思う」と語る。ハリルホジッチ監督が「今大会ベストのチーム」と警戒する韓国との対戦へ、まずはディフェンスから試合の流れを引き寄せる構えだ。

韓国戦の鍵は長身FWとの空中戦…植田直通「そこで弾ければ相手は攻撃パターンを失う」

◆山本、32歳194日の代表デビュー「何とも言えない気持ちになった」(報知)




 ◆サッカー 東アジアE―1選手権(男子)▽第2戦 日本2―1中国(12日・味の素スタジアム)

 DF山本(鹿島)は手応えを得たデビュー戦だった。

 後半ロスタイムにエリア内のファウルでPKを献上したが、それ以外のプレーでは「相手の高さには負けられなかった。みんなでしっかり戦えたと思う」と振り返った。32歳194日の代表デビューは歴代5位となる年長記録。ピッチで国歌を耳にすると「何とも言えない気持ちになった。初めてなので響くものがあった」と感慨深そうに明かした。


山本、32歳194日の代表デビュー「何とも言えない気持ちになった」

◆「鹿島でもそうなんですけど」。土居聖真が実践する仲間との連係構築術(フットボールチャンネル)




 EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会・中国代表戦から一夜空けた13日、日本代表は練習を行った。

 追加招集から代表でビューを果たした土居聖真は、質の高いプレーを披露した。

「北朝鮮戦よりいい試合をしようっていうのは監督も選手も言っていた。より人もボールも動いていたと思うし、ラストのフィニッシュの精度をもうちょっとってところはあったたけど、メンバーもまた変わった中でやったので難しさもありながらも、最低限の結果は残せたんじゃないかと思う」

 鹿島アントラーズでは2トップの一角でプレーすることが多いが、左サイドでも違和感なくプレーできたという。さらに「鹿島でもそうなんですけど、ちょっと似たタイプの選手をつかまえて、一緒にプレーするようにしている」と話した。

「(大島)僚太がケガしてしまったのは残念だったんですけど、(倉田)秋くんだったり、(小林)悠くんといい関係でやれたので、そんなにダメだったなっていう感じではなかった。秋くんも悠くんも練習ではやってなかったんで、一緒の組ではなかったですし。それでもある程度やれたってところはやっぱりうまい選手とやると波長は合うのかなと」

 国内組で挑んでいる今大会は、Jリーグトップクラスの選手でチームを構成している。各々が高いレベルにあるため、互いの特徴を理解し、活かし活かされる関係を構築するのがスムーズなのかもしれない。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】


「鹿島でもそうなんですけど」。土居聖真が実践する仲間との連係構築術

◆FW土居、6日合流から代表デビュー「楽しかった」(報知)




 ◆サッカー 東アジアE―1選手権(男子)▽第2戦 日本2―1中国(12日・味の素スタジアム)

 FW土居(鹿島)は代表デビュー戦。左FWで持ち味を発揮した。

 MF清武(C大阪)の脳震とうによる離脱を受け、6日に滞在先の北海道から追加招集で合流したばかりだが、相手DFと入れ替わるプレーでチャンスメイクした。「楽しもうと思っていた。終わってみて純粋に楽しかった」。代表定着への欲を問われると「口で言っているだけじゃね。実行に移さないと」と話した。


FW土居、6日合流から代表デビュー「楽しかった」

◆びっくり千金初ゴール!ハリルJ、昌子の40MロングシュートでV王手(サンスポ)


びっくり千金初ゴール!ハリルJ、昌子の40MロングシュートでV王手(1)

 東アジアE-1選手権第4日(12日、日本2-1中国、味スタ)初弾でV王手! 国際連盟(FIFA)ランキング55位の日本は同60位の中国を2-1で下し、2連勝で勝ち点6として首位を守った。日本は後半にFW小林悠(30)=川崎=に続きDF昌子源(25)=鹿島=が代表初ゴールとなるロングシュート。試合を決める一発を放った。2013年以来2大会ぶり2度目の優勝を目指し、16日に1勝1分けの韓国と対戦する。

 誰もが半信半疑で行方を追ったボールは、ネットに突き刺さった。DF昌子の代表初ゴールは、40メートル超の衝撃ロングシュート。中国を撃破し、東アジアの完全制覇に王手をかけた。

 「入ると思っていなかったですよ。最悪、ゴールキックでもいいかなと思って打ちました。ハリルさんにも『クリアが入ったんだろ』といわれたけど『狙い通りです』って返しておきました」

 1-0の後半43分、相手のクリアボールをセンターサークル付近でトラップ。思いきり右足を振り抜いた。ぶれるようにスライスしたボールは、GKの頭上を越えてゴール右上にズドン! 「監督から『遠くからでも狙っていけ』といわれていた」。主将マークを巻いた男が、見事に応えた。

 初戦から先発7人を入れ替え、4バックは昌子以外が全員初キャップ。国内組の寄せ集め集団をピッチ内外でまとめたのが、昌子だった。自ら定位置奪回を目指す主将は「優勝しなければ、評価はない」と急造チームを鼓舞し続けた。

 前日11日が25歳の誕生日。昨年はクラブW杯準々決勝マメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)戦で前歯を負傷し、好物のケーキが食べられなかった。しかし、今年も10月の代表合宿で指揮官から体脂肪率オーバーを注意されたばかり。昨年10月に結婚した愛妻の協力を得て食事面を調整しているところで「怒られるからケーキはNG」と我慢した。そのかわりに? グラウンドで自ら祝砲を打ち上げた。

 ハリルホジッチ監督も「偶然でも、すばらしいゴールが決まりました」とジョークを交えてご機嫌。「選手には20~30メートルからでもシュートを目指せと言っていた。それをやってくれた」とたたえたと思いきや「しかし、昌子にはそういう指示は出していません」とズッコケさせた。主将についてもMF今野(G大阪)に依頼したが、固辞されたことを明かし、昌子のキャプテンシーにはノーコメントで終わった。

 「最後に失点してしまった。終わらせるところに課題を感じた」

 守備陣のリーダーとして、完封を逃したことに満足感はなし。次は優勝をかけた日韓戦で、大会初の全勝優勝がかかる。W杯へのサバイバルレースを、Vの称号とともに抜け出してみせる。 (大石豊佳)

リッピ男子中国代表監督
「日本はかなり苦しんだと思う。負ける気はしない試合運びだった。チームは成長段階で今ではなく、来年以降に強くなることを目指す」

東アジアE-1選手権
 東アジア連盟(EAFF)が主催。東アジアの交流を深め、サッカーの発展と平和への貢献を目的とする。2003年に東アジア選手権として第1回大会を日本で開き、以後2年ごとに日本、韓国、中国の持ち回りで開催している。05年の第2回大会から女子が参加。13年の第5回大会から東アジア杯に名称が変更され、今大会から現名称。前回大会の優勝は男子が韓国、女子は北朝鮮。男子の最多優勝は韓国の3度。女子は日本、北朝鮮の2度。

昌子 源(しょうじ・げん)
 DF。1992(平成4)年12月11日生まれ、25歳。神戸市出身。G大阪ジュニアユース、鳥取・米子北高を経て、2011年にJ1鹿島に入団。12年3月24日の広島戦でJ1初出場。リーグ戦は今季34試合に出場して1得点で、通算141試合で7得点。A代表デビューは15年3月31日のウズベキスタン戦で、通算9試合1得点。1メートル82、74キロ。

びっくり千金初ゴール!ハリルJ、昌子の40MロングシュートでV王手

◆昌子40m無回転弾にハリル監督「クリアが入った」(ニッカン)




<東アジアE-1選手権:日本2-1中国>◇12日◇味スタ

 DF昌子源(25=鹿島アントラーズ)が約40メートルのロングシュートを決め、中国を突き放した。

 先制点を挙げた直後の後半43分、中央でボールを拾うと、ゴールまで距離のある位置ながらそのまま右足を一振り。「勝ってたので、ゴールキックになってもいいやって気持ちで蹴った」。無回転で飛んだボールは鋭く落ちながらゴールへと吸い込まれた。代表初ゴールにハリルホジッチ監督からも頭をたたいて祝福され「『クリアボールが入ったんだろ』って言われました」と笑った。

 初戦に続いてキャプテンマークを巻き、MF今野、FW小林とともに、2試合連続フル出場した。守備では、センターバックでDF三浦と初の「ゲン」コンビを組んだ。「どういう守り方をするかはすごく話してたし、お互いよく声を出す方なので。危ないところもあったけど、チームとして守れたかな」と、攻守にわたる活躍を満足そうに振り返った。【松尾幸之介】

 ▼長距離ゴール DF昌子のゴール距離は40メートル。日本代表の国際Aマッチの最長ゴール記録は、MF小笠原満男が06年2月18日の親善試合フィンランド戦で決めた57メートル。後半12分にハーフウエーライン手前の自陣から右足で超ロングシュートを決めた。最近では15年3月31日の親善試合ウズベキスタン戦でのMF柴崎岳の42メートルがある。


昌子40m無回転弾にハリル監督「クリアが入った」

◆昌子、鹿島の先輩・小笠原の06年超ロング弾と比較し「あれよりいいゴールでしょ(笑)」(フットボールチャンネル)


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【日本 2-1 中国 E-1選手権】

 日本代表は12日、EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会で中国代表と対戦し、2-1で勝利した。

 試合終了間際の88分、昌子源が意表を突くロングシュートを突き刺し2点目を奪った。鹿島アントラーズの先輩・小笠原満男も日本代表時代の2006年、ハーフウェイライン付近から超ロングシュートを決めている。それについて聞かれた昌子は「ありましたね。見た見た見た。あれよりかはいいゴールでしょ(笑)」と、冗談めかして答えた。

 昌子は自身の一発を「狙ってない。ゴールキックになってくれればいいなと思って」打ったものだという。「満男さんのゴールに関しては、あれはホントすごいですよね。GKの位置見て、あの距離を正確にゴールに入れるっていうのは、すごい技術の持ち主だと思う」と、所属クラブの先輩に敬意を表した。

 この日は2点リードした後に1点を返された。それでも昌子の言うように「好守両方の内容も北朝鮮戦に比べて良くなっていた」のは間違いない。そして「ここまで来たら勝って優勝したい」と意気込んだ。

(取材:元川悦子、文・構成:編集部)

【了】


昌子、鹿島の先輩・小笠原の06年超ロング弾と比較し「あれよりいいゴールでしょ(笑)」

◆中国戦右SBで先発の植田「センターバックで出たいというのは心の中にある」(サンスポ)




 サッカーの東アジアE-1選手権で中国との第2戦に2-1で勝った男子の日本代表は、試合から一夜明けた13日、2大会ぶりの優勝が懸かる韓国との最終戦(16日、味の素スタジアム)に向けて東京都内で調整した。代表初ゴールを決めた小林(川崎)や初出場した植田(鹿島)ら先発メンバーは軽めに体を動かし、川又(磐田)らはミニゲームなどをこなした。

 中国戦に「試合でやったことがない」という右サイドバックで先発し、代表デビューを果たした植田はランニングなどで疲労回復に努めた。本職はセンターバックながら、186センチの上背を生かして相手を封じ、機を見た攻撃参加も。それでも「まだまだレベルを上げないと」と貪欲だ。

 体格の大きい相手に対しては、植田の高さや体の強さは魅力となる。「センターバックで出たいというのは心の中にあるが、違うポジションでも準備していきたい」と言葉に力を込めた。


中国戦右SBで先発の植田「センターバックで出たいというのは心の中にある」

◆サッカーE-1選手権 初出場植田、仕事きっちり(茨城新聞)


日本-中国 後半4分、右サイドを攻め上がる植田=味の素スタジアム、村田知宏撮影

サッカーの東アジアE-1選手権第4日は12日、東京・味の素スタジアムで男子の第2戦2試合が行われ、日本は中国を2-1で下し、2連勝の勝ち点6で首位を守った。2大会ぶりの優勝を懸け、16日の最終戦で勝ち点4の2位韓国と対戦する。

23歳の植田が先発出場し、念願の代表初出場を果たした。キックオフ前、記念撮影を終えると186センチの大きな体を丸めて前転し、起き上がると軽くジャンプ。鹿島で試合前に臨むときと同じ動作で集中を高め、ポジションについた。

鹿島ではセンターバックが本職だが、この試合は右サイドバックで出場。持ち場はいつもと違ってもやることは変わらなかった。長身選手がそろう中国攻撃陣に空中戦で何度も競り勝ち、ボールを跳ね返し続けた。「攻撃も好き」と、前半22分には攻撃参加から前線の小林へ右クロス。小林のヘディングはゴール上にそれたが、キック精度の高さも披露した。

初招集を受けた2015年1月のアジア・カップからもうすぐ3年。継続して招集されながら17試合出場はなし。ベンチ外の屈辱も3度味わい、「(代表に)来るだけじゃ意味がない」と口にすることもあった。

それでも腐らなかった。「悔しい思いをしてきた分、出たら持ってる物を全て出したい」。来るべき時に備え、準備は怠らなかった。

今季、鹿島ではリーグ連覇を最終節で逃すなど、「代表でもチームでもすごく悔しい思いをしたシーズン」だった。待ち続けた男が最後の最後、切望した代表デビューを勝利で飾り、来季につながる結果を残した。 (藤崎徹)

サッカーE-1選手権 初出場植田、仕事きっちり

◆【コラム】3年間待ち続けた植田直通…指揮官を納得させ、W杯への一歩を踏み出す(サッカーキング)




「植田直通(鹿島アントラーズ)は長い間、我々と行動してきた。彼は若くて能力がある。今回は中国との対戦ということでFKの戦いをどうすべきかを考えた。植田とはディスカッションを重ねて『(右サイドで)行けます』と即答してくれた。彼はしっかりしたプレーを見せてくれた。オフェンス面でも何回かいい突破はあった。最初は難しいかなと思ったが、私が見たいものを見せてくれた」

 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が満足そうにこう語った通り、12日の2017年東アジアカップ(E-1選手権)中国戦(東京・味の素)で右サイドバックにサプライズ起用した長身DF・植田が90分通してチームに貢献。A代表初招集から丸3年がかりで初キャップを踏んだ23歳の男は、本職でないポジションでも国際舞台で十分戦えるところを堂々と見せてくれた。

 熊本・大津高校2年だった2011年のU-17ワールドカップ(メキシコ)でベスト8入りの原動力になった頃から「近未来の日本代表を担うDF」と言われてきた植田。同校体育科入学時のスポーツテストで前人未到の最高得点を叩き出すほどの非凡な身体能力を武器に頭角を現し、ハビエル・アギーレ前監督時代の2015年アジアカップ(オーストラリア)で初めてA代表入りを果たした。

 鹿島の先輩・DF内田篤人(ウニオン・ベルリン)の負傷離脱によって得たチャンス。役割は奇しくも今回と同じ右サイドバックだったが、「物怖じせずに僕はガンガン行くしかない。相手がA代表になっても空中戦では負けるつもりはないんで、どんどんやっていきたい」と本人も躍起になっていた。しかしこの大会では酒井高徳(ハンブルガーSV)の牙城を崩せず、全4試合とも出番なし。チームもまさかの8強止まりに終わったが、当時20歳のDFは「近い将来に出場機会が巡ってくるだろう」とポジティブに考えていたはずだ。

 代表指揮官にハリルホジッチ監督に代わってからも断続的に呼ばれたが、ピッチに立てないまま淡々と時間が過ぎていく。「もう呼ばれるだけというのはいい。試合に出ないと意味がない」と本人も繰り返し発言し続けたものの、守備陣を固定したがるボスニア人指揮官はなかなかリスクを冒さない。2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選が終わり、今年10月に行われたニュージーランド(豊田)・ハイチ(横浜)の2連戦では満を持しての代表デビューが予想されたが、それも見送られた。翌11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)との連戦はまさかの招集外。さすがの植田自身もロシア本大会行きは難しいと考えたのではないだろうか。

植田

 けれども、長く長く耐え続けてきた男をハリルホジッチ監督は見放さなかった。今回の中国にはユ・ダーバオ(北京国安)とシャオ・ジー(広州富力)という2人の大型FWがいる。彼らを完封するために、186センチの長身DFの存在が必要不可欠だと考えたから、指揮官は最終ラインの一角に組み入れたのだろう。前半はそのユ・ダーバオが対面に位置していたから、植田にしてみれば競り合いの強さを見せつける絶好の機会。意気揚々とマッチアップに挑み、相手に仕事らしい仕事をさせなかった。

 前半22分に小林悠(川崎フロンターレ)に供給したクロスに象徴されるように、攻撃面でも効果的なプレーを何度か出した。本人は「まだまだでしたけど、上がって思い切りやってやろうという気持ちでいた」といい意味で割り切っていた。そういう冷静さを持てたのも、3年間のベンチ生活があったから。そこは本人も強調する点だ。

「早く試合に出たいって気持ちはあったけど、ベンチに座って目の前で全てのポジションを見てきたから、今回サイドバックもできたと思う。ホントにムダなことは1つもないし、全部プラスになってると思うから、今日にも少しは生きたんじゃないかと思います」と植田自身も前向きに言う。鹿島の先輩・昌子源も「センターバックはピッチに立つまでに時間がかかるポジション。ナオもそれは分かっていたと思う」と繰り返し語っていたが、その時間とうまく向き合えたからこそ、大きな一歩を踏み出せたのだ。

植田

 ロシアW杯で同組に入ったセネガルには190センチ台の選手が4、5人おり、ポーランドもロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)を筆頭に185センチ超のタレントがひしめくなど、高さの問題はどうしてもクリアしていかなければならない問題である。植田が戦力として使えるメドが立てば、日本代表にとってこれ以上心強いことはない。

 そのレベルに到達するためにも、16日の最終戦・韓国戦でもピッチに立ち、相手エースのキム・シンウク(全北現代)を完封すること。しかも今度は本職のセンターバックとして戦えるところを示すこと。それが次なる命題だと言っていい。

「最初に代表に呼ばれた時もサイドバックだったし、代表デビューもサイドバックっていうのは何か縁があると思いますけど、僕はセンターバックの選手。やっぱりセンターバックで出たいって気持ちは忘れてない。そこで出ても大丈夫なように準備したいです。

 W杯に出たいと思うなら、もっともっと自分のレベルを上げていかないと。この相手はW杯にはいないし、今のレベルじゃ太刀打ちできないと思うんで。まだまだじゃないかと思います」

 神妙な面持ちで語る植田の目にはかつてないほどの闘志が感じられた。かつてU-17日本代表で指導した菊原志郎コーチ(横浜ジュニアユース監督)が「植田は下手だったけど、目が澄んでいて、ひたむきにサッカーに取り組んでいるのがよく分かった」と話したが、彼のような純粋で貪欲なプレーヤーは最終的に大きく成長する。ロシアまでの半年間で植田がどの領域まで到達するのか。大津の先輩・巻誠一郎(ロアッソ熊本)が06年ドイツ大会で見せたような代表滑り込みを果たせるのか。ここからの巻き返しが非常に楽しみだ。

【コラム】3年間待ち続けた植田直通…指揮官を納得させ、W杯への一歩を踏み出す

◆なぜ植田は不慣れな右SBで代表デビューしたのか? 本人が明かすハリル采配の意図(FOOTBALL ZONE)




中国戦で4選手が代表デビュー、鹿島DF植田は唯一慣れないポジションで出場

 日本代表は12日のE-1選手権第2戦で中国に2-1と勝利し、第1戦の北朝鮮戦(1-0)に続いて連勝した。中国戦で4人が代表デビューを飾ったが、不慣れな右サイドバック(SB)で起用されたのがDF植田直通(鹿島アントラーズ)だ。「思い切りやるだけだった」と言う23歳は、バヒド・ハリルホジッチ監督の起用意図を明かしている。
 
 試合は終盤まで0-0のまま時計の針が進むなか、後半39分にFW小林悠(川崎フロンターレ)が華麗な反転シュート、同43分にDF昌子源(鹿島)が40メートル弾と、いずれも代表初ゴールを叩き込む。後半アディショナルタイムにPK献上で失点したものの、日本は2-1で勝利を収めた。
 
 この中国戦で代表デビューを飾ったのが、DF三浦弦太(ガンバ大阪)、DF山本脩斗(鹿島)、MF土居聖真(鹿島)、そして植田だ。三浦、山本、土居の3人はいずれも主戦場で起用されたが、唯一慣れないポジションで起用されたのが植田だった。
 
 所属する鹿島では昌子とともにCBコンビを組んでいる植田だが、待望の代表初出場は右SB。本人は「チャンスが来たと思って、思い切りやるだけだった」と振り返るが、本職ではないSB起用だっただけに、「まだまだというか、自分で納得していない」と反省の言葉を残している。
 
 では、なぜ植田は右SBで起用されたのか。本人がハリル監督の意図を明かしている。

かつて武の道を歩いた求道者としての一面も

「22番(FWユー・ダー・パオ)は真ん中にいて僕はあんまり競ったりすることはなかったけど、監督の起用の意味はそういうものに対処するため」
 
 中国は前線に186センチのFWシャオー・ジーや183センチのFWユー・ダー・パオらを起用し、高さを前面に押し出すスタイルで打開を図るなか、日本も対応策の一つとして右SBに植田を配置。試合後、ハリルホジッチ監督は「後ろの選手は中国の選手にパワーで対抗してほしいので、体格の良い選手を選びました」と語っている。結果的に植田は1対1では一定の強さを発揮し、守備で確かな感触をつかんだようだ。
 
「自分のところにきたものは絶対弾いてやろうという気持ちでいた。チーム全体で弾けたのは良かったと思う」
 
 もっとも本人は「まだまだ。パスミスもあったし、クロス精度を上げれば得点につながるチャンスもあった」と、代表デビューを飾ってもどこか浮かない表情。小学校時代にテコンドーで日本一に輝くなど、かつて武の道も歩んでいた男は、ストイックに高みを目指す“求道者”の一面も覗かせている。
 
【了】
 
大木 勇●文 text by Isamu Oki(Football ZONE web編集部)
 
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

なぜ植田は不慣れな右SBで代表デビューしたのか? 本人が明かすハリル采配の意図

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