フロンターレは中盤の陣容に不安が…
Jリーグの移籍市場が例年よりも活発なようだね。選手の移動がいつもより多い印象だ。ただし、それが本当に戦力を獲得するための動きばかりではない気もするよ。
というのも、やはりコロナ禍の煽りを受けて、人件費予算が削られるチームが多いからだ。予算的に厳しくて中堅以上の選手を放出せざるを得ない事情もあるだろう。そのなかで工夫してなんとかやり繰りしながら、選手を動かしているように見えるんだ。
それに補強と言っても、放出した選手の穴埋めをするようなものばかりで、本当の意味での“補強”、足し算の補強になっていないクラブも多い。例えばフロンターレは中盤で、ベストイレブンを獲得した守田のほかに、齋藤が移籍で退団して、憲剛が引退。一方でジョアン・シミッチのほかに小塚や塚川といった中堅どころの選手と大卒新人をひとり獲ったけど、助っ人以外は未知数な部分が多くて戦力が維持できたとも言い難い。これでACLも両立できるかと言ったら少し不安になるね。
グランパスは各チームの主力クラスを5人獲得したね。柿谷や齋藤といったスタンドを魅了できるタレントも獲得して期待も高まっているかもしれない。ただ水を差すようだけど、柿谷や齋藤は前所属でレギュラーを奪えなかった選手たち。どちらも昨シーズンは1点しか取れていなかったんだから過剰な期待はできないね。
ガンバもレアンドロ・ペレイラと一美が加入したけど、アデミウソンが契約解除になり、渡邉も横浜FCへ移籍し、決して大きな戦力アップにはなっていない。一方で、放出を抑えた中盤には韓国代表のチュ・セジョンやJで実績のあるチアゴ・アウベスを補強して厚みは増したね。ただ、去年は川崎とだいぶ差があるところを見せつけられたから、果たしてこの程度の補強で“埋まった”のかは疑問だけどね。
そんな中で僕が新シーズンに面白そうだなと思うのがアントラーズだよ。昨シーズン終盤に上田がブレイクして、ほとんど痛手となる放出のなかったFW・MF陣にブラジルの名門からふたりの選手を補強した。不安と言えば、奈良が抜けたセンターバックだけど、今季はACLに参加しないという点を含めても、去年独走したフロンターレの脅威になるんじゃないかな。今回のストーブリーグでは、最も期待させる“足し算”の補強になっていると思うね。
下位チームは“降格の恐怖”から大量補強? 昨季の上位陣で心配なのは…
昨季の下位チームは、上位チーム以上に補強活動が活発だ。獲得する選手も多い代わりに放出する選手も多い。エスパルスやベガルタ、ベルマーレ、横浜FC……。どこも13人前後の入れ替えがあるようだね。
やはり昨シーズンはなかった降格があるだけに、何がなんでも残留したいという、まさに“降格の恐怖”が活発な動きに走らせているようにも見えるよ。しかも例年とは違って、2021年は一気に4チームもJ2に落ちるわけだから、プレシーズンから新しい選手で競争を煽って開幕当初から選手の尻に火をつけたいのかもしれないね。
同じように上位陣で大量の選手の入れ替えをしているのがセレッソだ。ただ、このチームはACLもあるなかで、去年のFW、MF、DFの主軸となった外国人選手を放出した上に、柿谷、木本を同じくACLを戦う名古屋に渡してしまった。一方で加入する選手は、実力未知数な助っ人だったり、質を量で補っている印象も強い。本当にリーグとACLの両方をしっかり戦えるのか。去年は清武の調子も良くて、若い選手の台頭もあったけど、2021年はちょっと心配なチームのひとつだね。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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