新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、外国人の新規入国制限がかかっていた日本。Jリーグでも多くの選手や監督が入国できず、大きな誤算が生まれたチームが数多くある。
しかし、その制限もついに緩和。3月末から各クラブの新外国人選手が順次入国。さらに、Jリーグが一括して管理する「Jリーグバブル」を考案。入国後に14日間の隔離生活を行わせ、選手個々がトレーニングできる環境を提供。その後、感染が確認されなければクラブに合流することとなる。
鹿島アントラーズに加入したMFディエゴ・ピトゥカもその1人。2日に来日すると、そのままJリーグバブルへと入り、およそ1週間が経過した。
ピトゥカは、ブラジリスやグアスアーノ、マトネンセ、ウニオン・サンジョアン、ボタフォゴSPを経て、2017年7月にサントスへ加入。2018シーズンからファーストチームへ昇格すると、2020シーズンはカンピオナート・ブラジレイロ・セリエAで20試合、コパ・リベルタドーレスで6試合に出場。クラブの公式戦42試合中41試合で先発するなど、主軸としてプレーしていた。
そのピトゥカが9日、オンラインでメディアの取材に応対。現在のJリーグバブルでの生活については「まだ、今は時差ボケ中なので、そこの調整をしている。ただ、外に出て練習できる。でも、それ以外はずっと部屋で待機している。その中でうまく活動するようにしている」とコメント。コンディションに関しては調整中としながらも、しっかりとトレーニングが積めている事を明かした。
鹿島加入が決定してから、多くのファンやサポーターからSNSを通じてメッセージを受け取っていたピトゥカ。その点については「サポーターの温かいメッセージに感謝したいし、デビューもしていないのに、ユニフォームを買ってくれていることを聞いている。温かいサポーターに感謝したい」と、すでに自身を応援してくれているファン・サポーターへ感謝を伝えた。
また、見せたいプレーについては「ピトゥカといえば視野の広さとパスの正確さだと思うし、そこでチームを助けたいと思う」と語り、正確なパスなどを注目してもらいたいと語った。
◆「2カ月ウズウズしていた」
なかなか日本にやってこれなかったピトゥカ。ブラジルでの過ごし方については「自宅や個人でトレーニングするのとクラブでトレーニングするのは大きな違いがあるが、悪くない状態」とコメント。それでも最後にピッチに立ったのが1月30日であり2カ月以上前となっている。その点については「コパ・リベルタドーレスの決勝が最後の試合だったので、フィジカルというよりは試合勘が一番ネックになってくると思う」とコメント。「解決する方法は、試合をやりながら取り戻していくしか方法はないかなと思う」と語り、ピッチの上で試合勘を取り戻したいと語った。
また、その間の心境については「予定ではずっと前に来日する予定だったし、コパ・リベルタドーレス決勝の翌週に来日する予定が立てられていたが、残念ながらパンデミックが起きて日本への入国制限がかかってしまった」と語り、2カ月前に来日する予定だったと明かした。「2カ月ウズウズして、いつなのか、いつなのかという状況でいた」と語ったが「やっと(日本に)来れたので早くチームメイトの手助けをしたいという強い気持ちでいる。その気持ちが今は勝っていて、活躍したいと思っている」と語り、ピッチで戦う気持ちで溢れている事を明かした。
なかなかストレスも溜まる環境での生活を送っているピトゥカ。ピッチでのトレーニング以外は部屋で過ごすことになっているが「バブルの中では、部屋の中で缶詰になることは認識していた。ただ、陰性結果が毎回あるので、そういった結果の中でグラウンドに出る時間もある」とコメント。「部屋に戻った時は部屋に器具を用意してもらっているので、そこで練習している」とし、グラウンドと部屋でトレーニングを行なっているとのこと。またストレス解消については「娘は10カ月なので、時差の関係もあるが、よく話し掛けている。自分を支えてくれていると思う」と語り、ブラジルにいる愛娘との会話が心の支えになっている事を明かした。
そのピトゥカがサントスから鹿島への移籍を決断した理由については「最大はジーコです」と、ブラジルの英雄であり、鹿島のテクニカルディレクターを務めるジーコ氏の名前を挙げた。
「色々なオファーが来たが、決め手はジーコ。そして、色々なチームメイトや選手に聞いたら、常に日本の文化や習慣は良い話しか出ていない。その2つの要因から自分が新たに体験したい経験したいと思った」とコメント。「自分は第一候補でずっと話を進めてほしいと話していた」と語り、日本への好印象を持っているとともに、ジーコがプレーし、今も在籍しているという事で鹿島に移籍したいと考えていた事を語った。
移籍の決め手にもなるジーコの存在については「ジーコのことを知らないブラジル人はブラジル人ではない。彼が残した選手としての功績は、クラブやブラジル代表での活躍を見れば全てであり、改めて言う必要はない」とし、ジーコの偉大さを改めて語った。
また、「直接面識がないので、早く会いたくて、早く会いたくて。自分のユニフォームにサインが欲しい気持ちでいっぱいだよ」とコメント。チームに合流したらジーコに会いたいと語った。
実際に会うことについては「多分バリバリ緊張すると思う」と母国の英雄を相手には緊張するとコメント。それでも「サッカーの話だったり、鹿島の話だったり、彼はサッカーの師匠だったので、彼から学べることを吸収したい」と語り、「彼が着たユニフォームに袖を通せるという誇りは変えがたいもの。そこに忠実に活躍できればと思う」とし、鹿島のために活躍したいと語った。
今シーズンの鹿島は開幕からここまで7試合を戦い2勝1分け4敗と結果を残せていない状況だ。その鹿島のイメージについては「優秀な選手が多いチームだと思う。そして、みんなこの結果を予想しなかったと思う」と語り、想像していた成績ではないとコメント。それでも「僕自身は優秀な監督と優秀な選手がいることで、この状況を打破できると思う」と語り、「自分自身もサポーターの温かいメッセージ、気持ちに対してピッチで恩返ししたい。1日でも早く上位に近づけるようにみんなで努力していければと思う」と、ここからの巻き返しに意気込むとともに、自身もその力になりたいと語った。
一方で、古巣サントスのサポーターについては「サントスのサポーターにも僕は感謝しないといけないし、彼らが支えてくれて活躍できたと思う」と語り、「僕は大の負けず嫌いなので、対戦相手がどこであろうと、勝つためにやるべきことをやる。それがモットーなので、みんなに伝達して勝つ方向に向かわせたいと思う」とし、勝利を目指す鹿島のスタイルにはピッタリであることも明かした。
また、ブラジル時代には何度も対戦したことがあるアントニオ・カルロス・ザーゴ監督については「何度も対戦しているし、サントスのチームメイトも彼の元でやった選手がいて色々と聞いた」とコメント。「僕は常に前に向かってプレーすることを意識していて、ザーゴ監督のサッカーも前にプレーをしていく。自分と合致していると思う」とチームにフィットできると自信を見せた。
具体的には「ライン間のパスや相手の背後へのパス、その相手の守備ブロックを崩すためのパスを供給すること、それを彼も意識していると思う」とし、「尊敬できる監督なので、そこで優秀な監督と優秀な選手たちで良い成績を残せると思っている」とし、自身のプレースタイルもチームにフィットさせ、上位に浮上したいと誓った。
◆2カ月遅れで来日した鹿島MFピトゥカ「この状況を打破できる」、移籍の最大の決め手は「ジーコ」(超WORLDサッカー!)