日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年6月4日金曜日

◆内田篤人、サッカーの現場への思い「何となく行く場所じゃないという心構えは必要」(マイナビニュース)







昨年8月に現役を引退したサッカー元日本代表の内田篤人氏。引退後は、日本サッカー協会が新設したロールモデルコーチに就任し、U-19日本代表のコーチを担当、指導者の道を歩み始めた。また、昨年10月にスポーツチャンネル「DAZN」でスタートした初の冠番組『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』では、世界で活躍する日本人選手のプレーを独自の視点で解説。今春よりテレビ朝日系『報道ステーション』でスポーツキャスターも務めるなど、活躍の幅を広げている。

セカンドキャリアが注目されている中、内田氏自身はどのような将来を思い描いているのか、本人にインタビュー。指導者への思いを聞くとともに、スポーツキャスター挑戦や冠番組で得たもの、さらに、「一番楽しい」という子供との時間について語ってもらった。

――昨年8月の現役引退会見で指導者として鹿島アントラーズに復帰する可能性を問われた時に、興味があるした上で「やりたいと言ってできる仕事でもない。チームから『どうですか』と話があって、初めて動けるものなので」と語っていました。日本サッカー協会が発行する指導者ライセンスはどのレベルまで取得されているのでしょうか。

まだC級しか取得していません。この先も取りにいきたいと思っていますけど、タイミングや取得可能時期などいろいろあるので。ただ、ロールモデルコーチとしてU-20やU-18の年代別代表の選手たちを見させてもらう中で、練習のメニューを組んだりする仕事は非常に面白いので、ライセンスを取得していくこと自体も面白いだろうなと感じています。

――C級からB級、A級ジェネラルをへて最上位のS級ライセンスを取得し、いずれは監督として采配を振るう内田さんの姿を見られるのでしょうか。ただ、今シーズン途中にコーチからアントラーズの監督に就任した相馬直樹さんも、就任会見で「いつかは終わりが来るもの」と監督だけが胸中に秘める覚悟を語っていました。

本当にそうだと思います。監督というのは結果に対して責任を負わなきゃいけないし、いつかはそのチームから去らなければいけないポジションなので。契約書にサインをした時点で、そのチームとはもうお別れへのカウントダウンに入っている感じですよね。甘くはないと思っていますが、それでも魅力のある仕事だなとは思っています。

――セカンドキャリアの選択肢に指導者が入っている意味でも、日本サッカー協会内で新設された、指導者ライセンスを持たなくても指導できるロールモデルコーチ第1号に任命され、先ほども言及したように年代別代表を指導した経験は大きいのでしょうか。

もちろんですね。やはり現場を見られるのはすごく楽しいし、楽しいけど仕事量や責任という意味ですごくきつい。なので、「何となく行く場所じゃない」という心構えは必要だと痛感しました。この先、自分がどのような道を歩むのか、指導者になるのか、サッカーにどう携わるかは現時点でわからないですけど、指導の現場を見られた経験によって、指導者の道に向かう場合には覚悟と準備が必要だと改めて思いました。





――今春からはテレビ朝日系『報道ステーション』で、毎週水曜日にスポーツキャスターを務めています。他競技のアスリートを取材して新たに得たものは。

他競技の考え方であるとか、時には練習も取材させてもらえるので、すごくありがたいと思っています。他競技の組織の成り立ちなども含めて、仕事として見させてもらえるのはめちゃくちゃ勉強になります。生放送という緊張感の中で、引退した立場として自分だけの意見を言うだけでなく、相手の意見や思いも引き出す仕事を経験していることで、自分の中で考え方の幅が広がっている、すごくいいと感じています。

――競泳の池江璃花子選手とのやり取りは、見ていてすごく新鮮でした。

池江さんのような一流のアスリートとは、そういう機会がないとお話しすることもないですからね。スキル的な要素はもちろん競技によって違いますけど、やはり一流と呼ばれるアスリートは自分の意志を持っている、しっかりしていると感じました。精神的な部分で一本の芯が通っていて、ちょっとずば抜けていないとダメなのだと。

――聞かれる側から聞く側になって、新たに発見したものはありますか。

僕自身、あまりしゃべらないようにしていた時期もあったので、聞く側になるとこんなにも大変なんだなと思っています。たくさんしゃべってくれる選手はいいですけど、こんな言葉を返してほしいんだな、と相手に伝わるような質問をするとちょっと難しくなりますよね。僕がそうだったように、あえて何もしゃべらない時もあるので。なので、取材相手をしっかりとリスペクトした上で、何かを引き出せたらなと思っています。

――内田さんはしっかりとコメントしてくれるので、例えば日本代表戦の取材時などは、僕たちメディアにとって非常に大きな存在でしたけど。

若い時はけっこう無愛想な感じで、多くは話さなかったですけどね(苦笑)。何を書いてもらっても、周りで自分の思っているような反応がなかったりとか、伝えるのが難しいという理由で。ただ、話すことも仕事だなと考えるようになってからは、大事だと思うようになりました。こうして質問してもらって記事になると自分の気持ちの整理にもなるし、その後も残しておいてくれるので、これはいいように活用したいなと。

――幻冬舎が発行する月刊誌『ゲーテ』では、内田さんがアントラーズへ加入した2006年に入れ替わるように引退した、レジェンドの中田英寿さんとも対談していますよね。

今でこそ「ヒデさん」と言っていますけど、中田さんに会ったのはその対談が初めてでした。小学校や中学校の時に中田さんの本を買って読んだ記憶もあるし、ものすごく緊張しましたけど、実際に話してみると本当に優しいお兄さんというか。ただ、一流の方に共通するように、自分の考えをしっかりと持っている方で、やはりすごいなと思いました。

――バラエティ番組などにも出演されています。

バラエティ番組などへの出演はご褒美だと思って、楽しく参加させてもらっています。いろいろなジャンルのプロの方々とお会いできるので新鮮で楽しいですね。すごく勉強させてもらってます。





――引退会見で真っ先にやりたいことを問われ、間髪入れずに「子供の幼稚園の送り迎えです」と答えた姿が印象的でした。

今も午前中は仕事を入れていませんからね。番組収録は週1回で入っていますけど、子供を幼稚園へ送った後なので。ほぼ毎日のように幼稚園へ送って、お迎えには行けないけど、家に帰って来た時には僕もいる、という感じです。いつまでも手をつないではくれないと思うので、今のうちに(笑)。子供が通っている幼稚園は車での送り迎えがダメで、電車でないと行けないんです。電車で片道20分ぐらいですかね。(他の乗客には)気づかれますけど、別に気にしていないです(笑)。

――子供と触れ合う時間は、仕事へのモチベーションにもなっていますか?

今はとにかく子供と遊んでいる時が一番楽しいし、本当に子どもが好きなんですよね。「じゃあ仕事に行ってくるよ」と言って、泣いてくれるのも今のうちだと思いますし。下の子も1歳ちょっとなので、もう歩いていますし、少しずつしゃべり始めました。まだ何を言っているのかはわからないですけど、意思疎通は何となくできるかな。本当に可愛いですよ。

――将来的に内田さんが進んでいく道をいろいろな方が注目している中で、あらためて自分の名前を冠した番組(『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』があることの意義をどのように感じていますか。

やはりこの番組があると、自分がサッカーという居場所に戻って来られる感覚がありますよね。ロールモデルコーチの現場は毎週あるわけではないので、毎週サッカーの仕事ができるという、ちょっとした安心感があるというか、本当に助かっています。

――冠番組を通して得たものが、今後のキャリアにも反映されていく、と。

現役の時は基本的に海外サッカーを見て来なかったので、選手たちの特徴やチームの戦術、あるいは歴史を学べるのは自分のためになると思っています。今後は選手エージェントや移籍の話など、あまり突っ込んで来なかったテーマも取り上げたいし、もっと細かいデータを違う角度から検証するのも面白いと思っています。コロナが終息したらグラウンドに出て実技編もやりたいとお願いしているし、その時にはこれまで何度かゲストに呼んだ、競技歴が会ってリフティングを特技とする眞嶋(優)ちゃんも一緒にいてくれたら面白い。いろいろと企画を組んでもらっているし、やりたいことが本当にいっぱいありますね。


■内田篤人
1988年3月27日生まれ、静岡県出身。2006年、清水東高校から鹿島アントラーズへ加入。2007年~2009年のJリーグ3連覇に大きく貢献。2010年にブンデスリーガ(ドイツ)の強豪シャルケ04へ移籍し、1年目からドイツカップ優勝を制覇。2010年と2014年には日本代表としてワールドカップメンバーに選出される。2018年1月2日、鹿島アントラーズへの移籍が発表され、7年ぶりにJリーグへ復帰した後、2020年8月に現役を引退した。翌9月に日本サッカー協会が新設したロールモデルコーチに就任。また、10月よりスポーツチャンネル「DAZN」で初冠番組『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』がスタート。2021年3月31日よりテレビ朝日『報道ステーション』でスポーツキャスターも務めている。

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