ゲーム運びがちぐはぐしていた
[J1第30節]神戸 3-1 鹿島/10月21日/国立競技場
Jリーグは10月21日、J1第30節の7試合を各地で開催。国立競技場ではヴィッセル神戸対鹿島アントラーズが行なわれ、3-1で神戸が勝利した。
神戸は16分に佐々木大樹のヘディングシュートで先制すると、45分には井出遥也のヘディング弾で加点。さらに、83分には佐々木がこの日、2点目をゲット。鹿島は90+1分に松村優太のミドルで1点を返したが、反撃もそこまでだった。
▼鹿島のチーム採点「4.5」
丁寧にビルドアップし、ゲームを作ろうとする姿勢は感じたが、神戸戦ではあまり効果的ではなかった。特に、出しどころに困ってバックパスを繰り返した最終ラインのボール回しでは、むしろピンチを招いてしまっていた。
前半の2失点はどちらも同じ形から。右サイドを突破され、ファーサイドを狙ったクロスからゴールを奪われている。
選手たちが元気なさそうに見えたのも、やや気掛かりだ。当初のプランが崩れた際の修正が上手くいかなかった印象で、ゲーム運びがちぐはぐしていた。
交代選手たちが奮闘し、シンプルな形で攻めた終盤にリズムを取り戻せたのが救いか。
この敗戦で優勝の可能性が無くなり、7年連続の無冠が確定してしまった。岩政監督も「完全に力負けだと思ってます」と語る完敗だった。
取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
GK:早川友基|採点5/81分の武藤のシュートをファインセーブ。ビルドアップにも積極的に加わったが、3失点を喫してしまった。
DF:広瀬陸斗(HT OUT)|採点4/攻守で良さを発揮できなかった。前半の失点はともに自身のサイドから上げられたクロスからだった。
DF:植田直通|採点5/対人、空中戦の強さは、さすがだった。一方で、最終ラインでのパスがブレて相手につけ込まれる隙を与えた。
DF:関川郁万(HT OUT)|採点4.5/相手のプレスにハメられて、ビルドアップ時に苦しむ場面が少なくなかった。対人の強さは発揮したが、前半のみで退く。
DF:安西幸輝|採点4.5/CBとの間を狙われていた。クロスボールに対応しきれず、目の前で佐々木と井出に得点を奪われた。
MF:佐野海舟|採点6.5/ボランチでスタートし、後半から右SBへ。守備力はもとより、豊富な運動量を活かした攻め上がりもあり、どのポジションでもきっちりと仕事をこなした。
MF:ディエゴ・ピトゥカ|採点5.5/最後まで守備に奔走した。チームのために働く姿は素晴らしかったが、攻撃の起点にはなれなかった。
MF:樋口雄太(76分OUT)|採点5/右サイドとボランチを務める。ピッチを広くカバーしたが、相手にカウンターを許すミスも散見された。
MF:藤井智也(HT OUT)|採点5/スピードと走力は示した。しかし、それをチャンスにまではつなげられなかった。
FW:荒木遼太郎(68分OUT)|採点5.5/7月以来の先発で、気持ちの入ったプレーを披露した。しかし、周囲と意図が合わず、次第に孤立する場面も出てきた。
FW:鈴木優磨|採点5.5/74分のシュートは決めたかった。1トップでいろんなタスクを任されていたからか、この日は動きが重かった。
DF:昌子源(HT IN)|採点5/最終ラインを統率した。それでも、結果として相手に追加点を許してしまった。
MF:松村優太(HT IN)|採点6.5/期待通りに投入直後から右サイドで存在感を放つ。アディショナルタイムには意地の一撃を突き刺した。
MF:仲間隼斗(HT IN)|採点6/フリーランニングや声掛けなどで前線に活力を与えた。
FW:垣田裕暉(68分IN)|採点5.5/得点は記録できなかったが、2トップに変化させたことで周囲の動きが良くなった。ワイドに開いて仕掛けたり、チャンスをお膳立てした。
MF:柴崎岳(76分IN)|採点なし/終盤の反撃の機会を演出した。長くない出場時間で求められている役割は全うした。
監督:岩政大樹|採点4.5/約3週間の準備期間があっただけに、この結果では厳しい採点に。選手たちがボール保持にこだわり過ぎてしまったようにも映り、「もうちょっとシンプルに戦えた」と本人も悔やんだ。
◆【採点寸評|鹿島】7年連続の無冠。指揮官は「完全に力負け」と完敗認める。交代選手の奮闘が救いか[J1第30節 神戸 3-1 鹿島](サッカーダイジェスト)