Jリーグは5日、3日に開催されたJ2リーグ第8節モンテディオ山形対ファジアーノ岡山において、「勝敗の決定に影響を及ぼす、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミス」があったとして、再試合を行うことを決めたと発表した。先週末のJリーグではもう1件、競技規則の適用が論点となる難しい事象が発生しており、メディアブリーフィングに出席した扇谷健司審判委員長が質問に答えた。
問題となったのは2日に行われたJ1第6節の鹿島アントラーズ対清水エスパルス戦の後半18分。鹿島のMFディエゴ・ピトゥカがFW上田綺世と交代する際、タッチライン外の水入りボトルをメインスタンドに向かって蹴り上げた場面だ。上田はいったんピッチ内に入ったが、第4審の制止を受けて再びピッチ外へ。その後、D・ピトゥカにはレッドカードが提示された。
争点はD・ピトゥカと上田の交代が成立していたかどうか。交代が成立していなければD・ピトゥカは交代前に退場処分を下されていたことになり、上田が出場することは認められないためだ。また上田はこの試合の後半アディショナルタイムに決勝ゴールを決めており、試合結果に大きく関わる交代だったと言える。
競技規則には「交代は、交代要員が競技のフィールドに入ったときに完了し、そのときから退出した競技者は、交代して退いた競技者となる。また、交代要員は、競技者となってプレーの再開に参加できる」と記載。つまり、上田がピッチに入った時点で交代が完了することになる。ところが、当該場面ではD・ピトゥカがボトルを蹴り上げた時点で上田はピッチの外にいた。すなわち競技規則を厳密に適用すると、レッドカード対象の行為があった時点では交代は成立していないことになる。
この事象はDAZNの判定検証番組『Jリーグジャッジリプレイ』にも取り上げられており、5日のメディアブリーフィングに出席した扇谷委員長も「状況は認識している」と説明。一方で質問に対しては「こちらに関しては主審が判断するものなので、当然に裁量は認められるべきものだと思っている。主審が(上田がピッチ上に)入っていることを認めたということであれば、それがピッチ上の判断になる」と主審の判断を尊重し、交代の手続きが完了していたという見解を示した。
(取材・文 竹内達也)
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