劣勢かと思われた試合で勝点3
[J1第17節]鹿島 1-0 湘南/6月11日/県立カシマサッカースタジアム
Jリーグは6月11日、J1第17節の6試合を各地で開催。県立カシマサッカースタジアムでは鹿島アントラーズ対湘南ベルマーレが行なわれ、1-0で鹿島が勝利した。
25分、湘南の町野修斗が好位置でのFKで直接狙うが、惜しくもバーに阻まれる。逆に43分、鹿島の樋口雄太が放ったFKはバーを叩いてゴールイン。鹿島が先制に成功する。
鹿島の1点リードで迎えた後半、81分に鹿島はディエゴ・ピトゥカのシュートが相手のハンドを誘い、PKを獲得する。
鈴木優磨がキッカーを務め、ソン・ボムグンがストップも、VARオンリーレビューの結果、湘南の選手がPKの前にエリア内に侵入したとして、やり直しに。ただ、鈴木の2本目もソン・ボムグンがしっかりと反応して止めてみせる。
追加点のチャンスを逃した鹿島だったが、樋口の1点を最後まで守り抜き、完封勝利。4試合ぶりの白星を挙げ、敗れた湘南は10戦未勝利とトンネルを抜け出せなかった。
▼鹿島のチーム採点「6.5」
湘南の出足の良さに後手に回った。ホームの鹿島は完全に試合のペースを握られた。前半のシュートは43分の1本のみ。我慢の時間が続いていたことを物語る。
だが、その1本が勝敗を分けてしまうのだから、かくもサッカーは不思議なスポーツだ。
ゴールスコアラーはプレースキックの名手、樋口。右足から放たれたボールはクロスバーの下を叩き、ゴールのなかで弾んだ。「(鹿島に移籍してきて2年目で)初めてカシマスタジアムで、直接FKを決められて嬉しかった」と、会心の一発を喜んだ。
ボールが動き始めた後半はPKを含め、相手ゴールに迫る回数が格段に増えたが、“ウノ・ゼロ”のままで終了。劣勢かと思われた試合も終わってみれば、きっちりものにする。鹿島の伝統芸とも言える勝ちっぷりを見せつけた。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
GK:早川友基|採点6/安定感あるゴールキーピングで、またひとつクリーンシートに貢献。ディフェンスラインの背後への飛び出しもしっかり予測し、決定機を作らせなかった。
DF:広瀬陸斗(66分OUT)|採点6/後方から湧き出てくるアウトサイドの対応に苦慮。かたや攻撃面では絶妙クロスを送った。
DF:植田直通|採点6.5/強さだけではなく、上手さも加わり、どっしり感が増している。相手のシュートに対し、顔を背けずに額に当ててクリアするシーンも。
DF:関川郁万|採点7/気迫にあふれるボール奪取からドリブルで一気に攻め上がり、ファウルを誘発。それが樋口の直接FKゴールにつながった。決勝弾を導いた陰の功労者だ。
DF:安西幸輝(HT OUT)|採点6/相手の勢いに押され気味のなか、持ち前の仕掛けで状況打開を試みた。前半だけで退いたが、決してマイナス評価がつくようなパフォーマンスではなかった。
MF:佐野海舟|採点6.5/前半は守備の的が絞りきれない印象だったが、後半はきっちり立て直した。相手をかわしながら長い距離をドリブルで運ぶなど、攻撃面での良さも垣間見せた。
MF:ディエゴ・ピトゥカ|採点7/最後まで走り、戦い、ひるまず、際立つタフさに脱帽。苦しい試合展開になればなるほど、頼りになるボランチであることを証明した。
FW:名古新太郎(HT OUT)|採点6/ドリブルで左サイドを抜け出し、クロスを上げるなど、攻撃面で奮闘も戦術的な変更に伴い、前半でベンチに下がった。
FW:樋口雄太|採点7.5/名キッカーの面目躍如。ゴールに向って左約20メートルの直接FKを鮮やかに叩き込み、チームを勝利に導いた。
FW:垣田裕暉(23分OUT)|採点6/いつものごとく、開始早々から献身的なプレーを続けていたが、アクシデント発生。ボールの奪い合いのさなか、倒れ込んだ味方と交錯し、足を痛めたことで、無念の交代を余儀なくされた。
FW:鈴木優磨|採点6/湘南のハードな潰しにてこずった。二度のPK失敗に頭を抱えたが、それを補ってあまりあるほどの闘志も見せた。試合終了間際、疲労困憊にもかかわらず、猛然とダッシュ。ボールを奪いきったプレーにうならされた。
FW:染野唯月(23分IN、70分OUT)|採点5.5/今季、リーグ戦で最も長くピッチに立った。何としてでもアピールしたかったが、まさかの途中イン・アウト。悔しさが募った。
DF:常本佳吾(HT IN)|採点6/左サイドからの侵入を抑え、守備を安定させるべく、後半から登場。ボールを奪いにいくだけではなく、右足インサイドで身体の後ろを通すような心憎いテクニックで、味方にボールをつないだ。
MF:藤井智也(HT IN)|採点6/左サイドハーフに入り、自慢の快足を飛ばした。カットインから思いきり良くシュートを放つなど、積極性が光った。
DF:昌子源(66分IN)|採点6/3バックの中央に入り、周りに声をかけ続け、最終ラインを統率。クロス対応時に相手に身体を寄せて自由を与えず、ヘディングシュートの精度を低下させた。
MF:荒木遼太郎(70分IN)|採点6/試合終了間際に右サイドでの崩しに加わり、チャンス到来。果敢に狙ったボレーシュートは惜しくもバーの上を通過した。
監督:岩政大樹|採点6.5/全体的に後ろに重くなっていた前半の戦いぶりを踏まえ、メンバー交代と立ち位置によって修正。後半途中から3バックに変更するなど、ミラーゲーム化させることで、戦い方をより明確にした。
◆【採点寸評|鹿島】伝統芸とも言える勝ちっぷり。樋口は会心の一発を喜ぶ[J1第17節 鹿島 1-0 湘南](サッカーダイジェスト)