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今月9日に来季からの鹿島アントラーズ加入が発表された東福岡高(福岡)MF荒木遼太郎主将(3年)が、鹿島入りを決めた理由、挑戦心などを語った。12日は同校で約2時間のトレーニング。台風19号の影響のために翌13日のプレミアリーグWEST・京都U-18戦が延期となった東福岡はこの日、いくつかのバリエーションからのシュート練習やセットプレーの練習を行ったが、荒木は強風の中でも精度の高いプレースキックや右足ボレーでのゴールなど光る動きを見せていた。
憧れの鹿島入りが発表されてから3日。荒木は「高校とプロでは生活の面も、サッカーに懸ける思いなども全然違うと思うので、そういった準備はプロになる前にして、来年からプロのサッカー選手の一員としてサッカーの面でも生活面でもしっかりとしたい」と力を込めた。東福岡でサッカーをするのは最大でもあと3か月ほど。日常からできる限りの準備をして、プロのステージに臨む意気込みだ。
荒木は下級生時から名門・東福岡の主力を務め、昨年はU-16日本代表としてAFC U-16選手権優勝。今年、U-17日本代表にも選出されたゲームメーカーの進路は注目されていたが、「選手層がとても厚いですし、ACLとか世界でも戦えるチームと言ったらアントラーズだし、常勝軍団というチームでプレーしたいというのがあった」。自分が最も成長できる環境として昨年のACL優勝チームで、J年間王者8度の「常勝軍団」加入を決めた。
「より厳しい道の方が成長できる」
これは荒木が選んできた道でもある。ロアッソ熊本ジュニアユースから15年度全国2冠、そして“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで戦う東福岡へ進学。「(監督の)森重(潤也)さんだったり、日本一を経験しているスタッフの方々から日本一の指導を受けることができるし、何人もプロを出しているのでプロへの道に近づけるのかなと思った」。中学時代から技術面などに定評があったMFは東福岡での成長を選んだ。
東福岡では簡単にポジションを掴んだ訳ではない。2年時途中までは「競争を勝ち抜く力が無かった」という。だが、チームのために献身的に守備をすること、コンスタントに自分の力を発揮することなど、部員300人による競争を勝ち抜く力、チャンスをモノにする力を身に着け、公式戦で目立つプレーを続けたことが“トップクラブ”への加入を実現させた。
プレミアリーグに在籍し、選手権予選6連覇中の東福岡では多くの関係者から見られる機会を得た。Jクラブのアカデミーではなく、高体連の強豪校で3年間を過ごしたことが将来の選択肢を増やしたことも確か。そして、日本一を知るスタッフの指導、本人の才能、競争を勝ち抜くための努力もあって希望する進路を勝ち取った。
「赤」のチームとは縁がある。「小学校からずっと赤」と微笑む荒木は小学生時代に所属したFCドミンゴ鹿央、シャルムFC熊本、熊本ジュニアユース、そして“赤い彗星”こと東福岡と「赤」系統のユニフォームを着用。そして、次はディープレッドの鹿島のユニフォームをまとうことになった。
プロ1年目から公式戦に出場するチャンスを目指し、そこで結果を残すこと。東福岡から鹿島入りしたMF本山雅志(現北九州)のような活躍をすること、本山や憧れのMF柴崎岳の背負った「10」にもこだわる。「自分も先輩に負けないくらいの活躍ができるように、(中高と背負った)10番という番号にもこだわりたいなと思います。それをつけて頑張れたら良い」。九州を代表するタレントだが、フィジカル面などまだまだ課題がある。それでも、本山らを育てた東福岡の志波芳則総監督が「素直」と認める荒木は、努力を続けて再び競争を勝ち抜き、目標をクリアする。
まずは東福岡で結果を残す。「インターハイも怪我で出れなくて、(その怪我の影響でU-17ワールドカップに出場するU-17)代表も自分選ばれなくて、今年は悔しい1年になっているので選手権では糧にして、日本一を獲ってやるという気持ちが人一倍強いので、日本一の練習をしていきたい」。昨年度の選手権は同じく鹿島入りするFW染野唯月を擁した尚志高に敗れて2回戦敗退。今冬は染野やFW松村優太(静岡学園高、鹿島内定)、ライバルのFW西川潤(桐光学園高、C大阪内定)を上回る活躍を見せ、「自信はついてきている」という仲間とともに日本一を勝ち取ってから鹿島でのスタートを切る。
(取材・文 吉田太郎)
◆「厳しい道の方が成長できる」。東福岡で競争を勝ち抜く力身につけたMF荒木遼太郎、より成長するために鹿島へ(ゲキサカ)