http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2013/06/12/kiji/K20130612005995180.html
W杯アジア最終予選B組 日本1―0イラク (6月11日 ドーハ)
体を張った。前半ロスタイムだ。左サイドを崩されてゴール前にクロスを入れられたが、こぼれ球に反応した相手選手の強烈なシュートを伊野波が胸でブロック。3月22日の親善試合カナダ戦以来の先発で、今野とセンターバックでコンビを組むと、闘志を前面に押し出した激しいプレーでアピールした。
「チャンスがあれば持っている力を全部出したい。しっかりアピールして絶対勝ちたいですね」
1年後のW杯本大会に向けた課題はチームの底上げ。ベンチを温める選手が、どこまで主力を突き上げてチーム内の競争を活性化できるか。「自分ができるというところを見せるチャンス」と意欲を燃やしていた男が、この日の最終ラインを支えた。
突き上げを受ける形の主力も奮闘。左サイドバックで先発した長友は前半12分の攻撃参加で左サイドから鋭いクロスを入れた。ハーフナー・マイクのシュートは相手にブロックされたが、序盤の流れを呼び込む攻撃を見せた。W杯出場決定後に「うれしい気持ちより、自分のレベルの低さに危機感の方が強い」と話していたようにこの日も休まず左サイドを上下動し、後半11分や14分にもクロスで好機を演出した。
W杯優勝を目標に掲げる本田に引っ張られ、選手の意識も変わりつつある。5日のW杯出場決定会見で後輩の本田に「(ビッグクラブに所属する香川や長友らと一緒にプレーすることに)憧れみたいな気持ちでやってもらっては困る」とたしなめられた30歳のベテラン・今野は「憧れるだけじゃなく、必死に追いついて食らいついていかないと」と強調。自ら意識改革に取り組む考えを示し体を張って相手の攻撃の芽を摘んだ。
控え組の伊野波、酒井宏を先発に起用した4バックは最後まで持ちこたえ、右サイドからクロスを上げられた後半32分は今野が反応してクリア。粘り強く守り続け、W杯予選では同じイラクを1―0で破った昨年9月11日(埼玉)以来の零封を記録した。試合中に給水時間が設けられた厳しい暑さの中で無失点と結果を出し、腕試しの場となるコンフェデ杯に挑む。