J1初年度にして傑出したパフォーマンスを見せていた22歳が、待望の日本代表初招集を果たした。北中米ワールドカップアジア2次予選に向けた合宿初日の13日、追加招集で合流したMF佐野海舟(鹿島)は「こういう大会に選んでいただいたので、国を背負うことをしっかり意識して、なるべく早くチームに馴染んで勝利に貢献したい」と意気込みを語った。
2000年生まれの佐野は今季、4シーズンを過ごしたFC町田ゼルビアから鹿島アントラーズに加入。J1開幕節から見事にボランチの定位置を掴み、春先には左膝内側側副靭帯損傷による戦線離脱もあったが、これまで25試合に出場してきた。持ち味は豊富な運動量を活かしたプレーエリアの広さと、予測力に裏打ちされたボール奪取と回収。最近ではサイドバックのオプション起用もこなし、プレーの幅を広げている。
シーズン序盤からA代表入りを期待する声が上がっていたが、ボランチのMF伊藤敦樹(浦和)、MF川辺駿(スタンダール・リエージュ)ら負傷者が続発したことでようやく初招集。「びっくりはしたけど、すごく楽しみな気持ちでいっぱい。より高いレベルでいろんなことを吸収して、自分も成長していけると思う。しっかりと吸収したい」。願ってもないチャンスを活かす構えだ。
鹿島の岩政大樹監督からもかねがねA代表入りを期待する声をかけられてきたが、心の準備は「あまりしていなかった」という佐野。それでも「鹿島で自分ができることを日々やってきたので、その延長線上でこういうふうに選ばれたと思う。いつも通りの自分を出せるようにやっていきたい」と冷静な姿勢は頼もしく映る。
自身のプレースタイルについては「どちらかというと守備的な選手なので、まずはボールを奪うこと、そこから攻撃につなげるプレーを意識してやってきた。その上で中盤ではがすドリブルも意識してきた」と自己分析。だが、初日の練習では左右の足から非凡なシュートセンスも披露していた。
「当たり前の基準が高い中で、自分もその基準に合わせていけるようにやっていきたい」と意気込みつつ、代表活動を通じての成長にも期待がかかる。
その先に見据えるのはA代表デビューだ。11日にJ1リーグ戦を終えた佐野はこの日、すでにボールを使ったメニューに着手した一方、ボランチのMF遠藤航(リバプール)、MF守田英正(スポルティング)、MF田中碧(デュッセルドルフ)はいずれも未合流。コンディション面で大きく優位に立っており、練習でのアピールに成功すれば、16日のW杯予選ミャンマー戦でいきなりのデビューも夢ではない。
今回の招集メンバーはほとんどが初対面だが、「選抜とかに選ばれたことがほとんどないので、初めての経験だけど、しっかり吸収してやっていきたい。コミュニケーションを取るのはあまり得意なほうではないけど頑張ってやっていきたい」と周囲との交流にも意欲。「チャンスはそう多くないし、自分で掴み取らないといけない。自分の特徴をしっかり出してやることが必要になる」。果敢なメンタリティーでアピールしていくつもりだ。
(取材・文 竹内達也)
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