日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年1月3日火曜日

◆「俺はお前を許さないよ」 鹿島内定の昌平DF津久井、敗戦後も最後まで貫いた主将の姿(THEANSWER)






昌平が前橋育英に1-2と逆転負け、主将・津久井は立ち上がれず


 第101回全国高校サッカー選手権は2日、浦和駒場スタジアムで3回戦が行われ、第1試合では昌平(埼玉)が前橋育英(群馬)に1-2で敗れた。鹿島アントラーズ加入内定の主将DF津久井佳祐(3年)は試合終了のホイッスルが鳴るとなかなか立ち上がれず。その後ロッカールームでは、後輩たちに「俺はお前を許さないよ」とはっきり伝え、来年度の戦いに向けて奮起を促した。

 前半3分にFC東京加入内定のMF荒井悠汰(3年)のゴールで先制した昌平。しかし10分後に同点に追いつかれると、後半10分には2点目を決められてしまう。その後、決定的なシーンを作った昌平だったが1点が遠く、1-2のまま試合終了の笛が鳴ると、津久井はピッチの上に倒れこんだ。相手MF小池直矢(3年)に声をかけられ、やっと立ち上がると最後に列に並んだ。

 試合後、津久井は敗戦が決まった瞬間の場面について「試合が終わるまでは笑顔で楽しもうと思っていたんですけど。終わった時に悔しさとインターハイの怪我が本当に辛くて。周りには『大丈夫、大丈夫』と言っていたんですけど……」と振り返ると、そこで言葉に詰まった。数秒の間が空き、「それが一気にフラッシュバックして、なかなか立てなかったです」と続けたその目には、涙が浮かんでいた。

 またロッカールームで、後輩たちに「今日はお前らのせいだ。自分たちを踏み台にしていいから、もっと上を目指してくれ」と伝えたと明かした津久井。「1、2年生が相手のプレスにビビって本当にイライラしていた。励ますのも良いかもしれないけど、それじゃアイツらの力にはならないと思うので。『俺はお前を許さないよ』と言いました」と、最後まで主将としての姿を貫いた。

 これで津久井の高校サッカーは幕を閉じたが、戦いの舞台をプロへと移し、すぐに新たな挑戦が始まる。「個人として、今日は1回もやられていない。それを自信にして、レベルは格段に違いますけど、頑張りたいです」と、今後のさらなる活躍を誓った。

(THE ANSWER編集部・和田 秀太郎 / Shutaro Wada)





◆「俺はお前を許さないよ」 鹿島内定の昌平DF津久井、敗戦後も最後まで貫いた主将の姿(THEANSWER)





◆「お前らのせいだよ」なぜ昌平・津久井主将は後輩たちに、あえて厳しい言葉を投げかけたのか【選手権】(サッカーダイジェスト)






「周りには“大丈夫、大丈夫”と言っていたのですが…」


[高校選手権3回戦]昌平 1-2 前橋育英/1月2日(月)/浦和駒場スタジアム

 裏抜けを得意とする俊足のFW上野旭陽(3年)のスタメン起用がうまくハマり、開始3分に先制点を奪った昌平。だがそれ以降は、前橋育英が見せた素早い攻守の切り替えに苦戦を余儀なくされる。

 代名詞であるテクニックの高さを活かした攻撃が見せられず、シュートも3本に終わった。「中盤のところで、思いのほか行けなかった。もう少し自信を持って行けられるよう促していたのですが、うまく行かない時間が長かった」と振り返るのは、藤島崇之監督だ。

 いつもの積極的なプレーを出せない攻撃陣たちを後ろから眺めていたDF津久井佳祐(3年)はいら立ちを隠せなかった。「プレスが速いだけいつものプレーができないんだろうと思っていた。逆に自分は今日、いつものプレーができていたので、ビビらなくても良いだろうと思ってイライラしていました」。

 スタメンの半数近くを占め、「アイツらのおかげで、ここまで来られたと思っている」と口にする下級生がのびのびとプレーできるよう、試合中は「リラックスして」と優しい言葉をかけ続けたが、試合を終えてロッカールームに戻ると、こんな言葉をかけたという。「後ろから見ていて1、2年生の出来は、今までで一番ダメなプレーだった。お前らのせいだよ、俺はお前を許さない。自分たちを踏み台にして良いから、もっと上を目ざしてくれ」。

 選手権で負けたチームの3年生が後輩たちに優しい言葉をかけるのは定番かもしれない。あえて突き放すような厳しい言葉をかけたのには、「励ますのも良いけど、それではアイツらの力にならない」との考えがあったからだ。

 後輩を想う気持ちとともに、この大会にかける想いの強さがあったのは確かだ。夏のインターハイは準々決勝で右足首脱臼、靭帯断裂の重傷を負い、津久井不在となったチームは準決勝で敗れた。シーズン中の復帰さえ危ぶまれたが、懸命なリハビリと仲間の支えによって驚異的な回復を見せ、選手権予選の終盤から復帰。高校生活最後の舞台となる選手権は、日本一が目標だった。

 誰よりも熱い気持ちを持っていただけに試合終了を遂げる笛が鳴り響くと、ピッチから立てなくなった。

「試合が終わるまでは、しっかり笑顔で楽しもうと思って楽しんでいたのですが、終わった時に悔しさが出た。インターハイの怪我が本当に辛くて、周りには“大丈夫、大丈夫”と言っていたのですが、自分の中では本当に悔しくて、一気にフラッシュバックした。周りからはありがとうと言われたけど、返す余裕はなかった」

 相手ボールをいとも簡単にマイボールにしてしまう守備能力の高さとともに、想いの強さも印象的だった主将は、卒業後、鹿島アントラーズに進む。

「ラヴィーダではボールの持ち方、昌平ではキャプテンにしてもらって人間性を学べた。中学からの6年間で育てられたと思う。レベルが違うのは分かっているので、プロの世界でこの6年間で得たものを発揮していこうと思います。高みを目ざしてやっていきたい」

 そう口にする彼なら、プロでもやっていけると太鼓判を押せる。そして、彼の姿や想いを学んだ後輩たちもさらに強くなれるはずだ。

取材・文●森田将義




◆「お前らのせいだよ」なぜ昌平・津久井主将は後輩たちに、あえて厳しい言葉を投げかけたのか【選手権】(サッカーダイジェスト)





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