日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年1月30日木曜日

◆J史上初の屈辱からスタート…ザーゴ新体制の鹿島に待つのは「希望」か「不安」か(サッカーダイジェスト)






 いきなり躓いてしまった。

 ここ3シーズン、国内タイトルを獲れずにいた鹿島は、新監督にアントニオ・カルロス・ザーゴを迎え、生まれ変わろうとしている。その初陣が1月28日のACLプレーオフだった。

 相手はメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)。ACLに絡んだ公式戦では初めて戦うチームだ。鹿島のスタメンには6名の新加入選手が並び、チーム作りが新たなサイクルに入っていることを強く印象づけていた。

 なかでも最終ラインの顔ぶれの変化は顕著で、右の広瀬陸斗、左の永戸勝也、CBの奈良竜樹は新加入組。先の宮崎キャンプでのプレシーズンマッチでは、ここにプロ2年目のCB関川郁万が入り、4バックを構成していたが、メルボルン・V戦では主力である犬飼智也が先発した。

 勝たなければ次につながらない。兎にも角にも「結果ファースト」。しかしながら望みは叶えられなかった。

 スコアは0-1と、まさに痛恨の極みである。

 降り続いていた雨の影響があったかもしれない。自陣でのちょっとしたミスも重なり、54分、かつて浦和に在籍していたナバウトにこの日唯一のゴールを許してしまった。味方選手が伸ばした足にシュートが当たり、ボールの軌道が変わるという不運な1点だった。

 鹿島はまず同点に追いつこうとギアを上げて、メルボルン・Vを攻め立てたが、1点さえも奪えなかった。選手たちの地団駄が聞こえてくるようだった。

 公式記録によると、鹿島のシュート数17本に対し、メルボルン・Vのそれは6本。「どちらが優勢だったか、数字がすべてを物語っている」というザーゴ監督の言葉は負け惜しみではない。

 試合の主導権を握っていたのは明らかに鹿島だった。ザーゴ監督が思い描くサッカーの基盤である「ボールを握ること」はできていたし、「ボールを奪われたあとの守備への切り替え」も素早かった。ペナルティエリアの両角に攻撃の起点を作り、そこからの崩しの工夫も見られた。

 決定機は少なく見積もっても5回。レオ・シルバが、和泉竜司が、ファン・アラーノが、エヴェラウドが、土居聖真が果敢にシュートをねらい、メルボルン・Vの守備陣を慌てさせた。相手GKの好セーブやDFの体を張ったブロックに阻まれたとはいえ、「なぜ、これが決まらない?」と思わずのけぞってしまうようなシーンもあった。




 有り体にいえば、鹿島の日ではなかった、ということか。

「この2週間、我々が取り組んできたパスワークやサイドチェンジ、縦への意識など、選手たちは一生懸命に表現しようとしていた。そこは評価したい。フィットネスの部分であったり、冷静さであったり、頭と体が一致せず、残念ながらチャンスを生かしきれなかった。自分が求めているものとは、まだまだほど遠い。結果には失望しているが、(Jリーグやルヴァンカップに向けて)引き続きチーム作りを進めていきたい」

 ザーゴ監督は手ごたえを感じつつも時間の必要性に言及していた。

 新チームの始動は1月8日だった。年明け早々の元日に行われた天皇杯決勝を戦った主力組はその1週間後に合流。さらに、U-23アジア選手権に出場していた3選手(上田綺世、町田浩樹、杉岡大暉)は宮崎キャンプ後にチームに加わった。

 今季の登録32選手が勢ぞろいしたのはACLプレーオフの、ほんの1週間前。チームを作っていくうえで、準備期間は十分とはいえない。ただ、そこを誰ひとり言い訳にすることはなかった。

 母国ブラジルで監督のキャリアをスタートさせたザーゴはローマ(イタリア)やシャフタール・ドネツク(ウクライナ)でアシスタントコーチを務めるなど、ヨーロッパでの指導経験も重ねてきた。

 そんな研究熱心な指揮官が鹿島に導入しようとしているのは現代サッカーの戦術的トレンドといわれるポジショナルプレーだ。攻守両面で、いかに優位性を保ち、試合をコントロールするのか。ポジショニング、ビルドアップ、ハーフスペースの利活用、攻守の切り替えなど、一つひとつプレーを緻密に積み上げようとしている。

 良い内容の先にこそ、望む結果がある。目指すは偶発的な勝利ではなく、論理的な勝利。つまり、勝つべくして勝つサッカーなのだ。

 ACL本戦出場の切符を逃し、一様にショックの色は隠せない。今季からキャプテンに就任したボランチの三竿健斗は「この苦しい状況から逃げちゃいいけない。前に向かって進むしかない」と、唇をかんだ。

 ACLのプレーオフで史上初めて敗れたJクラブとの汚名を返上すべく、鹿島はここからはい上がっていく。

取材・文●小室功(オフィスプリマベーラ)


◆J史上初の屈辱からスタート…ザーゴ新体制の鹿島に待つのは「希望」か「不安」か(サッカーダイジェスト)



◆【鹿島】右の広瀬陸斗、左の永戸勝也。新たな〝両翼〞への期待感(サッカーダイジェスト)







左から右へ。局面を一気に変える効果的なサイドチェンジも


[ACLプレーオフ]鹿島0-1メルボルン・V/1月28日/カシマ

 痛恨の敗戦だった。ACL本戦出場をかけたプレーオフで、鹿島アントラーズはオーストラリアのメルボルン・ヴィクトリーに0-1で敗れた。ACLのプレーオフで日本勢が敗れるのは初。今季初の公式戦で、いきなり躓いてしまった。

 不甲斐ない結果に終わったが、ポジティブな側面がなかったわけではない。両SBで先発フル出場した今季の新戦力、右の広瀬陸斗、左の永戸勝也がまずまずのパフォーマンスを見せたことだ。

 ザーゴ新体制下の鹿島では、ダブルボランチのひとりが4バックの中央、2CBの間に落ちてビルドアップをスタートさせるのが戦術のベースとしてある。CBがワイドに開き、両SBは前に押し出されるような形になる。広瀬も永戸も、サイドで高い位置を取り、パスが入れば果敢に仕掛けて質の高いクロスを供給するなど、攻撃の起点となる場面は多かった。

「ビルドアップの時に高い位置を取って、テンポ良く動かして、相手に隙ができたら中にボールを通して、そこから攻撃につなげていく。相手のプレッシャーも回避できていたところがあったので、前半からやれていたと思う」

 そう振り返る永戸は、少なからず手応えを掴んだに違いない。もっとも、自身の活躍も勝利につながらなかっただけに、「満足はできない。本当に、悔しい結果。次につなげないといけない」と表情を引き締める。

 広瀬も敗戦には納得できていない様子だ。「手応えですか? あんまりないですかね。勝たなければ意味がない」と唇を噛む。永戸と同じようにサイドから好配給を見せていたが、「そこで得点してもらって、目に見える数字を出せればいいけど。自分はそういう結果を求めに来たので。そこはもっと精度を良くしていきたい」と自らを律する。

 ただ、〝らしさ〞を示す場面もあった。前所属の横浜F・マリノスでは、中央に絞って組み立てに参加する〝偽SB〞として経験を積んだが、この試合でもサイドに張るだけでなく、「(同サイドの2列目のファン・)アラーノが開いて、自分がインナーラップしてクロスを上げられた」ワンプレーは、チームの新たな攻撃パターンになるはずだ。

 左の永戸が右の広瀬に正確なロングパスを通すなど、局面を一気に変える効果的なサイドチェンジもあった。新加入ながら小さくない存在感を放っていた〝両翼〞のさらなる活躍に注目だ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

◆【鹿島】右の広瀬陸斗、左の永戸勝也。新たな〝両翼〞への期待感(サッカーダイジェスト)




◆鹿島・三竿 敗戦から一夜 チームまとめる決意「いい影響与えていけたら」(スポニチ)






 6代目主将に就任した鹿島MF三竿は28日のACLプレーオフ(対メルボルンV)の敗戦から一夜明けたこの日、クラブハウス内で体を動かし「クラブの象徴としてふさわしいプレーや姿勢で、チームメートにいい影響を与えていけたら」とチームをまとめる決意を語った。

 前夜の敗戦後は「最後に大きく成長した姿を見せられるように、逃げずにやっていきたい」と雪辱を期した新主将に前任の内田も「まだ若いし、やりたいようにチームを引っ張ってもらえたら。俺たちがサポートする」とバックアップを約束。23歳の若き主将に導かれ、チームは改革の道を行く。


◆鹿島・三竿 敗戦から一夜 チームまとめる決意「いい影響与えていけたら」(スポニチ)

◆【ACL採点&寸評】鹿島0-1メルボルン・V|痛恨のプレーオフ敗退。注目の新助っ人は期待に応えられず…(サッカーダイジェスト)







失点に絡んだ奈良は厳しく採点


[ACLプレーオフ]鹿島0-1メルボルン・V/1月28日/カシマ
 
【チーム採点・寸評】
鹿島 5
試合の入りは良かったが、攻撃に手詰まり感もあり、前半は0-0で折り返す。後半には、一瞬の隙を突かれて失点。その後は猛攻を仕掛け、いくつかの決定機を築いたものの、相手の粘り強い守備を崩し切れずに0-1のままタイムアップ。ACL本戦への出場権を逃した。
 
【鹿島|採点・寸評】
GK
1 クォン・スンテ 5.5
失意の1失点。ただ、それ以外ではハイボールの処理は安定感があり、接触を恐れないアグレッシブなプレーなどでゴールを守った。
 
DF
3 奈良竜樹 5
寄せても取り切れなかったり、あっさりと抜かれるシーンも。失点の場面では身体を投げ出したが止められなかった。
 
14 永戸勝也 5.5
質の高いクロスを供給。持ち味は随所に見せた一方、それを得点に結びつけられず。15分の直接FKはバーの上。

22 広瀬陸斗 5.5
素早いポジショニングでビルドアップに広がりをもたらす働きぶり。右サイドから好配給も、勝利には導けずに本人は不満足な様子。
 
39 犬飼智也 5.5
激しいチャージでボール奪取を試み、空中戦でもまずまずの強さ。致命的なミスはなかったが、組み立ての部分でもうひと押しが欲しかったか。
 
MF
4 レオ・シルバ 5.5(77分OUT)
豊富な運動量でピッチを走り回り、球際も激しく戦う。しかし、後半は雑なプレーが散見。途中交代を余儀なくされた。
 
20 三竿健斗 5.5
深い位置に降りて、後ろから丁寧にボールを動かす。中盤での守備の強度も高かったが、やや判断が遅れることも。


土居は攻撃の中心として奮闘したが…




MF
7 ファン・アラーノ 5
崩しの局面でのダイレクトパスはセンスを感じさせた。もっとも、周囲との連係不足は明らか。守備のタスクはしっかりとこなした。
 
11 和泉竜司 5.5(72分OUT)
17分、67分に際どい一撃を放つも決め切れず。キレのあるプレーを見せたとはいえ、決定的な仕事はできなかった。
 
FW
8 土居聖真 5.5
攻撃の中心として奮闘。上手くパスを引き出し、味方も活かす巧みな動き出しはいつもどおりだったが……。終了間際の決定機は相手GKの好守に阻まれた。
 
9 エヴェラウド 5
31分、63分、74分と決定的なチャンスに恵まれたが、いずれもゴールネットを揺らせず。持ちすぎてチャンスを逸する時も。

途中出場
MF
41 白崎凌兵 5.5(72分IN)
和泉との交代で左MFに入る。要所でプレーに絡み、攻撃に勢いをもたらしたが、求められる仕事は果たせなかった。
 
FW
15 伊藤 翔 ―(77分IN)
L・シルバとの交代で投入され、トップに入る。すぐに絶好機を迎えるが、合わせられなかった。出場時間が15分未満のため採点なし。
 
監督
ザーゴ 5.5
ボールを前に運ぶ戦術は落とし込めていたが、敵陣に入ってからの崩しはまだ不十分な印象。なによりも欲しかった結果を得られなかったのは痛恨だった。
 
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)


◆【ACL採点&寸評】鹿島0-1メルボルン・V|痛恨のプレーオフ敗退。注目の新助っ人は期待に応えられず…(サッカーダイジェスト)





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