日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年9月16日日曜日

◆J1史上2度目の珍記録!川崎七色弾、1人1ゴールで札幌砕いた(サンスポ)


先制点を決め、川崎・小林悠に祝福される川崎・家長昭博=等々力陸上競技場(撮影・中井誠)


 明治安田J1第26節第2日(15日、川崎市等々力陸上競技場ほか)2位川崎はホームで4位札幌に7-0で爆勝し、勝ち点49。日本代表FW小林悠(30)の1得点1アシストなど、7人が得点する史上2度目の珍事でチーム最多に並ぶ7点勝利を演出した。首位広島は鳥栖に0-1で敗れ、同55のまま。G大阪は神戸に逆転勝ちし、清水は柏を下した。

 怒涛(どとう)のゴールラッシュだ。1、2、3、4、5、6、7、ダ~ッ!! 川崎の夜空に7ゴールがこだました。

 「今までで一番楽しい時間だった。でも、ここがスタートライン。どんどん出られるようにしたい」

 後半46分に7点目を決めたのは、下部組織育ちでJ1初出場のMF田中。20歳のJ1初得点でクラブ最多に並ぶ7-0勝利につなげた。

 前半28分のMF家長のゴールが号砲だった。北海道地震の影響で、十分な調整ができなかった札幌を相手に川崎は走りまくった。後半13分には日本代表FW小林が、DFがボールコントロールを誤ると一瞬でボールを奪取。「みんなが点を取ったから、自分も取りたいと思っていた。ラッキーだけど入ってよかった」。GKとの1対1を冷静に左足で決め、5点目をたたき出した。

 試合前には、札幌と被災地のために共同で募金活動を行った。だが、プロとして、温情をピッチに持ち込むことはない。後半12分にはMF下田が湘南から加入後、J1初出場でゴール。「ずっと悔しい思いをしてきた。ゴールという結果が出て、自信につながる」。川崎の選手にも募る思いはあった。


 7ゴール以上の試合で全てを違う選手が挙げたのは、2012年5月の鹿島-札幌(7-0、カシマ)で鹿島が記録して以来、史上2度目の珍事だ。首位広島が16位鳥栖にまさかの黒星。勝ち点差は川崎が1試合少ない状況で再び6に接近した。

 「正直、(この勝利は)大きい。自分たちは勝ち点を一つでも積み上げることを意識して戦っていきたい」と小林。“七人の侍”が、川崎に実りの秋をもたらす。 (一色伸裕)

データBOX

 ◎…川崎が7人で7得点。J1で1試合に同一チームの7人が得点するのは、2012年5月19日の鹿島(7-0札幌=カシマ)以来2度目。岩政大樹、大迫勇也、山村和也、興梠慎三、本山雅志、ジュニーニョ、遠藤康が各1得点した。
 ◎…川崎のJ1での1試合7得点はチーム最多タイ。過去に7得点は3度で、06年3月11日の京都戦(西京極)の7-2、07年10月28日のFC東京戦(味スタ)の7-0、09年10月25日の広島戦(等々力)の7-0。
 ◎…J1での1試合最多得点チームは1998年4月15日の磐田(C大阪戦=長居)で9得点(1失点)。最多得失点差試合は8点差で、前記の試合と2003年7月26日の大分8-0神戸(神戸ウ)。




◆J1史上2度目の珍記録!川崎七色弾、1人1ゴールで札幌砕いた(サンスポ)

◆安部裕葵は断言。「環境や先輩が 僕をサッカーに夢中にさせてくれる」(Sportiva)



安部裕葵 Hiroki.Abe


遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(28)
安部裕葵 後編


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「このゲーム、難しいのは相手のほうなんだから。俺らは普通にやればいい」

 9月9日ルヴァンカップ準々決勝セカンドレグの対川崎フロンターレ戦。試合開始直前。円陣を組んだとき、内田篤人はそう話した。5日に行われたファーストレグでは1-1と引き分けた。しかし、その内容に満足している選手はいなかった。

「チームとしてもやっぱり、前節の敗因というか、負けてはいないけれど、内容が良くなかったというのは、みんなわかっていたし、ミーティングでもそういう話になった。だから、今日(セカンドレグ)は、しっかり複数点をとって、しっかり勝とうと。やっぱりこの前の試合(ファーストレグ)のフワッとした入りに対しての反省もあって、今日は立ち上がりから、しっかり入れた」と語った山本修斗が28分、37分と2ゴールを決め、試合は鹿島有利な展開に持ち込めた。

 「どうしても失点をするとドタバタしてしまうという現象があったので、レオを通じて、『3点目をとったら試合が終わるんだから、そのタイミングをみんなで見計らって狙っていこう。落ち着いてやってほしい』と伝えてもらった」

 後半へ向かう直前、セルジーニョはレオシルバに依頼する。

 51分、PKを決められて、失点してしまう。失点直後、DF陣を集めて内田篤人は繰り返す。「2-2でも俺らが勝てる。普通にやろう」と。

「多少(ボールを)回させても、鹿島のセンターバックは、真ん中2枚がどっしり構えている。そういう雰囲気があるけれど、第1戦の試合ではそれがなかった。ワンちゃん(犬飼智也)やマチ(町田浩樹)は、昔の(大岩)剛さんや岩政(大樹)さんみたいに数多くの経験があるわけじゃないけれど、鹿島のセンターバックって、Jリーグのほかのチームとは違うと思うんだよね、俺は。それを助けたい。DFラインをしっかり締めること、雰囲気」と内田は言い切った。若いセンターバックが醸し出すべき”雰囲気”を作ろうと考えたのだろう。それは彼が鹿島でなすべきひとつの任務でもあった。

「自分が見てきた、上の人たちのプレーをそのままやっているだけです。アントラーズの伝統というか、そういうのはやっぱり、伝えたり、表せなければ、もったいない。下に伝えるというのは、自分がやらなくちゃいけない仕事だと思っている」

 球際で激しく戦い、タッチを割ったボールが相手ボールとなれば悔しがった。小さなディテールにこだわり、闘志を表現した。

 試合の行方を決定づける3点目は、後半27分にセルジーニョが決めた。

「自分というよりは、チームとしてその3点目をとれれば楽になるので、それを考え、みんなでプレーしていた。たまたま自分のところにこぼれてきたので、それを決めることができた。こういうプラスの結果を全員が求めていたので、それができて良かったと思います」

 エゴよりも忠誠心や献身性を大切にするセルジーニョの姿勢が表れるコメントだった。

「内容や結果に波がある。俺たちには地力がまだない」

 内田はそうクラブの現状を口にする。同時にこうも言った。

「今日みたいな試合を続けていくと、気づいたときには勝ってきたな、タイトル獲ってきたなって、なるチームだから」

 9月18日、いよいよACL準々決勝セカンドレグの対天津権健戦が行われる。異例の直前の会場変更でマカオでの開催となり、ピッチを含めて、スタジアムなどの環境面での不安も少なくはない。それでも、2-0と快勝した第1戦を繋ぐ試合にしてほしい。

2018年6月、ワールドカップロシア大会を戦っていた日本代表の宿舎では、U-19日本代表も合宿を行っていた。第1戦のコロンビア戦翌日、その試合に出場しなかった代表選手とU-19は紅白戦を行っている。そのとき、安部裕葵は、U-19チームではなく、代表チームの一員としてプレーした。

「周りの選手が代表選手で、自分より巧い先輩たちのなかで、プレーする楽しさや幸福感は今でも覚えています。でも、自分がなにをプレーすべきかということしか考えてなかったです」

 19歳の安部は淡々とそう振り返った。動じない強いメンタルが伝わってくる。






――テクニカル・ディレクターに就任したジーコさんのことをどんな風に感じていますか?

「最初は非日常的な感覚がありましたね。『ジーコさん、いるんだ』みたいな。それは、アントラーズに来た当初、クラブワールドカップで準優勝した姿をテレビで見ていた選手たちを実際に間近で見て、驚いたのに、少し似ているかもしれません」

――ジーコTD(テクニカルディレクター)からのメッセージをどう受け止めていますか?

「普段、練習や試合で、先輩やコーチングスタッフからかけてもらう言葉と根底が同じなので、改めてこのクラブが大事にしているものを再確認しています。同じ言葉であってもジーコさんが、違う角度から言ってくれるので、そのメッセージの重要性を改めて理解できます。目に見えるものだけが大事なわけじゃなくて、目には見えない力というのも当然大事だし、ジーコさんの存在が雰囲気を作るだろうし、自然と意識が高くなりました」





――勝利へのこだわりというのが、アントラーズには強く受け継がれていると言われています。

「勝ち方というのも重要です。でも、アントラーズの選手は、勝つことにすごくこだわりを持っていて、その姿勢が内容に出ているだけで、僕らは内容にこだわろうとしているわけではない。勝つことにこだわっているから、勝つための内容になるんだと思います」

――そのためには、自分のゴールよりも、チームメイトのゴールを優先することもある。

「もちろんあります。だけど、自分で行くべきところもあります。チームのためが自分のためになることもあれば、自分のためにすることがチームのためになることもあります」

――競争という意味では、自身の特長をどう考えていますか?

「僕の特長というのはその試合その試合で変わっていくものだと思っています。そのうえで、まだ僕にないものを身に付けなくちゃいけないですし、あるものはもっと伸ばさないといけない。1年後、5年後、10年後まったく違うプレースタイルになっているかもしれないですし。それはわからない。何がいいのかもわからない。そこは柔軟にやっていこうと思っています」

――プロになって1年半が経ちましたが。

「小さいころから憧れていた職業に就いたわけですが、本当に幸せな仕事に就いたなと、プロになって改めて感じています。自分が頑張って、なにかをすることで、喜んでくれる人がいるというのは幸せですね。学生時代は家族や友だちだけだったけれど、今ではたくさんの人に影響を与えられる。その責任やプレッシャーはもちろんありますが、それはどんな仕事でも同じだと思います。だから特別だとは思わないけれど……」

――それでも、子どもたちに夢を与えられる。

「(そういう)仕事だと思います。小さい子が僕らに会うだけで、目をキラキラさせている。僕自身、子どものころに憧れの選手がいなかったので、そういう経験がない。だから、プロになって初めて『そういう仕事なんだ』と思いました。こういう立場にいることを感謝して、やっていかなくちゃいけない」


――ワールドカップロシア大会を現地で観戦し、地元チームとの親善試合もあったロシア遠征で、ワールドカップが現実味を帯びましたか?

「スタジアムに足を運び、その雰囲気を体感して、『ああ、ここでやりたい』と鳥肌が立ちました。そんなふうに見たモノに憧れを抱いた経験は、僕の人生では初めてのことでした」

――今後、U-20ワールドカップ、東京オリンピックと、世界の舞台に立つチャンスがありますね。

「そういう舞台を経験すれば、また想いは強くなるんだと思います」

――5年後のビジョンはどんなふうに描いていますか?

「まだ、なんとなくですけど、海外でプレーしたいというのはあります。常に新しい環境にチャンレンジするのが好きなので。それは、アントラーズを出たいというわけじゃなくて、ここでプレーし続けたいという気持ちも当然強いです。でも、挑戦できる立場なのだから、挑戦したい。今の僕は、なんでもできる立場だし、可能性がある。チャレンジできるタイミングがあれば、チャレンジしなくちゃいけない。世界中で多くの人が目指している職業になれたというのは、運がいいことですし、だからこそ、サッカー選手になったことを無駄にはしたくない」

――10月にはAFC U-19選手権(2019年U-20ワールドカップアジア予選)が開催されます。

「どんなメンバーになるかもわからないですし、僕が選ばれるかもわからない。だから、僕がやることは、アントラーズでいい準備をして、代表に呼ばれたときに、いかに力になれるかだと思っています。U-19代表のために鹿島アントラーズで練習するわけじゃなく、自分のレベルアップのためにやっていければ。日本のためにも鹿島アントラーズのためになると思っています」

――忙しくなりますね。

「この仕事をしていて、忙しいというのは、充実しているということだから、もっと忙しくなるように頑張りたい。でも、浮かれず、足元を見ながらやっていきたいです。1日1日しっかりやり抜くというのは、一番単純だけど、一番難しいことなのかなと。でもだからこそ、それを大事にしたいです」

――アントラーズというクラブの環境は、ご自身にどんな影響をもたらしていますか?

「プラスであることは間違いないです。でも、本当にそれが良いものだったのかどうかは、今はわかりません。この先、僕が日本を代表する選手になったとき、ここへ来たことが正しかったと言えるんだと思います。ただひとつ言えるのは、今僕はサッカーに夢中だということ。周りの環境や先輩の存在が、僕をサッカーに夢中にさせてくれている。だから毎日疲れも感じないです。サッカーのことだけしか考えていないので」


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◆苦しくとも、勝利をつかむ。鹿島FW土居聖真、勝利に笑顔も「上に進むことだけ考えて戦う」(GOAL)



土居聖真 Shoma.Doi


金曜日に行われた鹿島アントラーズと湘南ベルマーレの一戦は、後半に大きく試合が動いた。先制弾の土居聖真が激戦を振り返った。

県立カシマサッカースタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ第26節は、ホームの鹿島アントラーズが湘南ベルマーレに2-1で競り勝ち、公式戦2連勝をマーク。18日にマカオで行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦へ弾みをつけた。


■気合いの先制ヘッドで今季5点目

JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦・川崎フロンターレ戦の激闘からクラブ悲願の優勝へひた走るACLとの狭間で開催されることとなった、フライデーナイトJリーグの湘南戦。大岩剛監督は「ここで良い試合をしなければ、意味がない」と勝利を重ねることの意味を強調していた。しかし、2トップの一角で先発フル出場した土居聖真は「入りは良かったけど、前半の途中から相手ペースになった」と振り返るように、チーム全体のエンジンがかかるのは遅かった。

停滞感の漂う前半を経て臨んだ後半、鹿島は一段ギアを上げる。西大伍の仕掛けから得たFKを遠藤康が蹴ると、そのこぼれ球がゴールエリア右側の西へ戻る。ボールを確保した背番号22が選んだ選択肢は、湘南の守備陣を越える緩やかなクロスだった。そしてファーサイドで飛び込んだのは、土居だった。「気合いでした」と振り返る”らしくない”ヘディング弾で49分、鹿島を待望のリードへ導いた。


「押し込んだだけですよ。大伍くんの仕掛けが良かっただけ」

今季J1での5ゴール目でチームをリードに導いた背番号8は試合後、謙遜しながらそう語った。「僕よりも(鈴木)優磨に話を聞いた方がいいですよ。アイツ、持ってる(笑)」と後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを決めた後輩を称える姿には、チームを支える自覚と真摯な姿勢がうかがえた。





■上に進むことだけ考えて戦う


しかし、その後も鹿島は試合の主導権を完全に掌握することはできなかった。選手交代から攻勢をかける湘南に押し込まれ、66分、その交代でピッチに立った梅崎司に同点弾を叩き込まれた。試合は残りあと25分、鹿島にとって真価が問われる戦いとなった。

「相手の時間帯で、我慢強く戦うということをみんなで共有できた。今まで足りなかったことを、みんなで意思統一して戦うことができました」

試合後、土居が安堵の表情を浮かべながらそう分析した姿が、この夜の鹿島のすべてだった。ひたむきに逆転を狙ってくる湘南をチーム全体で抑え込みながら、ゴールを狙う。その姿勢を崩さなかった鹿島に後半アディショナルタイム、最大の歓喜が訪れた。

中盤左サイドのスローインから土居が右サイドへ展開。走り込んだ西がピンポイントのクロスを上げると、相手DFの頭上を越えたボールに鈴木優磨が飛び込む。強烈なヘディングシュートを、相手GKは見送ることしかできなかった。鈴木優磨の劇的ヘッドが決勝点となり、鹿島が土壇場で勝ち点3を獲得。スタジアムは大歓喜に包まれた。

「良い雰囲気で、中国へ行ける。台風がすごく心配ですが、上に進むことだけ考えて戦います」

劇的なホームでの勝利から一夜明け、土居はともに戦うチームメートとともに次の決戦の地・マカオへ向けて旅立った。苦しくとも、勝利をつかむ。鹿島の本来の姿がいよいよ戻りつつある。




◆苦しくとも、勝利をつかむ。鹿島FW土居聖真、勝利に笑顔も「上に進むことだけ考えて戦う」(GOAL)

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