日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年10月23日月曜日

◆神戸戦完敗で今季無冠…柴崎岳は現状をどう見ているか「小さな努力」「地道な作業」で鹿島伝統の勝負強さを取り戻したい(サッカーダイジェスト)



柴崎岳


「今シーズンの鍵となるような試合を勝ち切れなかった」


[J1第30節]神戸 3-1 鹿島/10月21日/国立競技場

 まさに完敗だった。

 首位神戸との大一番で、鹿島は前半に2失点、83分には勝負を決定づけるゴールを許してしまう。アディショナルタイムに松村優太が意地の一撃を突き刺すが、1-3で敗れた。

 今季は鹿島の伝統とも言うべき勝負強さが影を潜めている。

 2位と3位の直接対決となった28節の横浜戦も落とし、首位神戸に敗れて今季のリーグ優勝の可能性が消滅した。

 2016年のリーグ制覇を知る柴崎岳は、現状をどう見ているのか。

「コメントするのは難しい立場です。今シーズンすべての試合を戦ってるわけじゃないので」と示しつつ、見解を述べる。

「今シーズンの鍵となるような試合を勝ち切れなかった。ポイントとなる試合はいくつかあって、それをことごとく落としてきてしまった。そんな流れを払拭できないまま、今日の試合に立ってしまった」

 その状況を変えるのは、日常のトレーニングからだという。

「何かチームとして大きく掲げたから劇的に変わるものでもなくて、地道な作業になるのかなと。メディアやファンの皆さんが見えないところで、自分たちの小さな努力だったり、積み重ねがこういう試合に現われると思う。(神戸戦の敗戦は)まだまだ何か足りなかった。そのことを真摯に受け止めて、自分たちは日々向上していく気構えを保ち続けていかないといけない」

 今季に味わった悔しさを糧に、まずは残り4節でひとつでも上を目ざし、戦う姿を見せるしかない。その先にこそ、鹿島伝統の勝負強さが身に付くはずだ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)




◆神戸戦完敗で今季無冠…柴崎岳は現状をどう見ているか「小さな努力」「地道な作業」で鹿島伝統の勝負強さを取り戻したい(サッカーダイジェスト)





◆【鹿島】「ポステコグルーの2年を1年で」岩政監督の功罪、神戸とは本当に力負けだったのか? 次節は浦和レッズ戦(サカノワ)



岩政大樹


「難しく、時間のかかる作業」と強調。むしろアンジェは明快でシンプルだった。


[J1 30節] 神戸 3–1 鹿島/2023年10月21日14:00/国立競技場

 J1リーグ30節、鹿島アントラーズは1-3で首位のヴィッセル神戸に敗れ、勝点14差に開き、優勝の可能性が潰えた。これで今季の無冠が決定した。

 鹿島の岩政大樹監督は試合後の記者会見で、「完全に力負け。神戸のほうが逞しかったですし、強かったですし、局面ごとに上回られました」と完敗を認めた。

「そこをいかに上回るか準備してきたつもりでした。対神戸もありますが、自分たちの戦いの幅として、シーズン当初から言っているように、(ボールと人を)動かすことをどのようにつなげていくか。これまで少し足りなかった『動かすこと』の準備をしてきました。その配分は試合のなかで選手たちが感じ、相手の嫌がることをやらなければいけない。選手たちが神戸に対し、より有効であるとぶつけられるようにしたかったです」

『競争と成長、そしてタイトル獲得』をテーマに掲げて、キャンプから指揮官として開幕を迎えた初のシーズン。一時は3位まで浮上したが、優勝争いにぐっと食い込むことはできなかった。天皇杯では2年連続J2のヴァンフォーレ甲府に敗れる失態も演じた。

 岩政監督は「力負け」を強調した。

「明確に神戸との2試合(第1戦は1-5)は、力負けだと感じました。当然上回るための半年間を過ごしたつもりで、前回対戦からは後半盛り返しチャンスも作り、プラスアルファを作れました。とはいえ、力の差はあったと思います。自分たちが足りなかったし、彼らが上だった。そこに到達するために、届かなったのは僕たちの問題です」

 本当に両者の力の差はあったのか。そこは意見の分かれるところだろう。選手からも、そうは感じないという声もあった。

 実際、岩政監督がスタートで選択した4-2-3-1は機能せず。4-4-2以外をチョイスすると、どうしてもシステムありきの戦いになってしまい、そこに高度な連係が生まれない。これは今季何度も見られた光景だった。

「神戸に勝つために戦っているわけではなく、ゲームの状況に応じていろいろ違うことが起こるなか、それに対応して次の策、次の策と有効策を持って行けるチームにはなり切れなかったと認識しています」

 岩政監督はそのように「手」の少なさを課題に挙げる。

「それは難しいし、時間のかかる作業だと思っています。それをできるだけ早くやりたいと選手たちには伝えてやっていますけれど、自分の力不足で1年では足りなかった。シーズン当初、選手たちにはポステコグルーが2年でやれたことを1年でやろうと宣言してやりましたけれど、僕の力不足だと思っています」

 そのように横浜F・マリノスを頂点に引き上げたアンジェ・ポステコグルー監督(現 トッテナム・ホットスパーFC)を、岩政監督は例に挙げていた。

 とはいえ、ポステコグルー監督は5レーンを活用し、ハーフスペースを戦略的に突く明確なスタイルを打ち出していた。サイドバックが状況に応じて中盤や前線でもプレーする形に、横浜FMの選手たちも当初戸惑ったと明かしていたが、その攻撃性の高いサッカーは指揮官の就任時から観る者(記者を含め)を興奮させた。

 一方、岩政監督は「私たちは理解している」という言い方を続けた。つまり、選手や現場では新しいスタイルの概念を理解し合っているということだった。

 スペースに顔を出した選手を活用する、という狙いは伝わってきた。とはいえ、それは川崎フロンターレも、横浜FMも、浦和レッズもベースにしているところ。見ただけで明確に分かる岩政監督のこだわりは、攻撃面ではこれまで分からなかった。

 むしろ、オーソドックスな4-4-2で、それこそ岩政監督のもと約束ごとが整理され、守備陣が迷いなくゾーンに入った時、公式戦12試合無敗とまさに無双の強さを見せつけた(その期間にも4-2-3-1はあったと言われそうだが、ベースは築けていた)。

 ただ、その4-4-2だけでは勝てないという近年の結果への挑戦のため、今シーズンは複数システムが採用されてきた。とはいえいろいろなトライをするたびに途端にチーム力は減退。むしろ今回のように選手たちがプレスのかけ方を確認し合うなど、迷いながらプレーするシチュエーションも目立った。

 残念ながらそこに、就任時から「ピッチに立ったら、攻め続けようぜ」と明確だったアンジェの哲学やこだわり(セルティックFCでも、トッテナムでも貫かれている)は感じられなかった(もちろん、決してアンジェスタイルを導入したかったという意図での発言ではなかったと理解しているが……)。

 特に“現状否定”から入った岩政体制の2シーズンの迷走について、結局、その否定の先の「答え」がいまだ誰にも見えずにいるのは気になる。結果的に伝統的な4-4-2がハマった時に凄まじい強さを発揮したのは、一体何を示唆するのか。

 現体制化では、具体的に目指しているスタイルはあるのか? そもそも変化させるべきところが間違っていないか? 本当に現状への完全否定が必要なのか? そのフワッとしてきている課題を、クラブは精査しなければならないだろう。

 10月28日の次節、浦和レッズとの一戦をホームで迎える。




◆【鹿島】「ポステコグルーの2年を1年で」岩政監督の功罪、神戸とは本当に力負けだったのか? 次節は浦和レッズ戦(サカノワ)





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