日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年8月29日水曜日

◆「負け試合かと思ったけど…」1か月ぶり先発の内田篤人、安堵の先勝(ゲキサカ)



内田篤人 Atsuto.Uchida


[8.28 ACL準々決勝第1戦 鹿島2-0天津権健 カシマ]

 最低限の結果に胸をなで下ろした。鹿島アントラーズのDF内田篤人は約1か月ぶりの公式戦先発。前半から果敢なオーバーラップを見せるなど、フル出場で攻守に奮闘し、完封での先勝に貢献した。

 前半から一方的に攻め立てる展開ながらゴールが遠く、前半はスコアレス。「点が取れそうで取れない。こういう展開はよく負ける試合。その意味で“負け試合”かなと思ったけど、そこでよく後半に点が取れた。緩めずやり続けた結果がボディブローのように効いていったと思う」。後半15分にMFレオ・シルバのゴールで先制すると、同27分にはFWセルジーニョが来日初ゴールとなる追加点。守ってもGKクォン・スンテが終盤、ビッグセーブを連発し、無失点に抑えた。

「ホーム&アウェーの大会ではホームで絶対に失点しちゃいけない。それができたのは良かった。あわよくば3点目、4点目を取れれば良かった。さんざんホーム&アウェーはやってきたので、そこは分かっているつもり」。そう胸を張った内田にとっては7月28日のJ1G大阪戦以来の先発出場だった。

 8シーズンぶりの古巣復帰を果たした今季は開幕スタメンに名を連ねたが、その後は負傷離脱。それでも4月から5月にかけて5試合連続で先発し、5月2日のJ1長崎戦では復帰後リーグ戦初のフル出場も果たした。しかし、その後再び離脱。7月11日の天皇杯3回戦・町田戦にフル出場するも、再開後のリーグ戦は10試合のうち先発1試合、途中出場2試合にとどまっていた。

 大岩剛監督と話し合い、この一戦に向けて調整してきていたという内田。「練習をやっていく中でコンディションは上がってきていたし、ターンとかジャンプとかある程度できた。一つ前に進めた」。そう自身のプレーに手応えを感じつつ、「サッカー選手は連戦ができないと。こうやってピンポイントで合わせられるのもいいけど、連戦をやるのが次の課題」と表情を引き締めていた。

(取材・文 西山紘平)




◆「負け試合かと思ったけど…」1か月ぶり先発の内田篤人、安堵の先勝(ゲキサカ)




◆1ヶ月ぶり鹿島内田、先発で存在感「前に進めた」(ニッカン)



内田篤人 Atsuto.Uchida


<ACL:鹿島2-0天津権健>◇準々決勝第1戦◇28日◇カシマ

鹿島アントラーズの右サイドバック内田篤人(30)が、7月28日のリーグG大阪戦以来ちょうど1カ月ぶりに先発出場した。

「前半は抑えよう」というプランでキックオフを迎えたが「あれだけ押し込むと前に行きたくなる」と何度もオーバーラップ。「しっかり紅白戦もやって、手応えはあった」と万全に仕上げた体が自然と前に前に進み、前半からいいリズムをチームにもたらした。

相手の元ブラジル代表FWパトにターンでかわされた際に「膝がグニャッといった感じもあったけど、大丈夫だった」。それ以外は抑え込み「スピードがあって、いい選手。最後まで1発を狙っている目はしていた。ただ(シャルケで欧州CL4強を経験しており)ああいう選手はヨーロッパにたくさんいる」と封じ込めた。

試合は2-0で先勝。「散々、シュートを打ったので本当は3点目、4点目を取らないといけない。負け試合」と厳しく評価も「ボディーブローのように、やり続けられた」と徐々に追い詰め、勝ち切った。

ドイツ時代から長く古傷と付き合う右膝の状態は「しっかり監督と話してやれている」と問題ないが、1カ月ぶりの出場では満足できない。「サッカー選手なので連戦できないと。今日みたいにピンポイントで合わせるのもいいけど、できれば連戦したい。どうしてもDFなので相手に合わせた動きになるけど、ダッシュもターンもできたし、着地は怖かったけどジャンプも。1つ前に進めた」と完全復活に自信を深めた。

第2戦は来月18日。「浦和やG大阪はACLのタイトルを持っているけど、鹿島にはない。それを取るために(ドイツから)帰ってきたと思っているし、勝ちたい」と闘志を燃やした。そのために、次戦も結果を出して、まずは初の4強にチームを導く。




◆1ヶ月ぶり鹿島内田、先発で存在感「前に進めた」(ニッカン)




◆ジーコ効果?先制点のレオ・シルバ「このまま長くいてもらって…」(ゲキサカ)



レオ・シルバ Léo Silva


[8.28 ACL準々決勝第1戦 鹿島2-0天津権健 カシマ]

 焦りはなかった。序盤から試合を優勢に進めながら1点が遠かった鹿島アントラーズ。前半をスコアレスで折り返したが、MFレオ・シルバは「実際に何度もチャンスをつくっていたし、悲観することなく、落ち着いてやれば得点できると思っていた」と冷静だった。

 その言葉どおり、後半15分、こぼれ球を拾ったDF山本脩斗のクロスをMF遠藤康が頭で落とすと、これをレオ・シルバが落ち着いて右足ダイレクトで捉え、ゴールネットに突き刺した。「勝つことが目的だった。チームに勢いをもたらす得点ができたのは良かった」。貴重な先制点をマークしたブラジル人MFはそう胸を張った。

 この日もスタンドにはテクニカル・ディレクターに就任したジーコ氏の姿があった。ジーコ氏が今月3日に来日して以降、パフォーマンスがさらに上がっているのではないかと聞かれたレオ・シルバは「たまたま自分がケガ明けで戻ってきたタイミングと(ジーコ氏の)来日のタイミングが重なっただけ」と白い歯を見せ、「尊敬する人物であり、このクラブに与える影響も知っている。偶然の中でそうなっているけど、このまま長くいてもらって、僕のパフォーマンスがさらに上がってくれればいいね」と、ジョークもまじえて取材陣の笑いを誘っていた。

(取材・文 西山紘平)




◆ジーコ効果?先制点のレオ・シルバ「このまま長くいてもらって…」(ゲキサカ)




◆鹿島ブラジル人助っ人2人 神様ジーコ御前で大仕事(ニッカン)






<ACL:鹿島2-0天津権健>◇準々決勝第1戦◇28日◇カシマ

打てども打てども、点が入らない。そんな嫌なムードを振り払ったのが、鹿島アントラーズのブラジル人助っ人2人だった。

後半15分にMFレオ・シルバが、のどのつかえを取る先制のボレーシュートを右足で決めれば、後半27分には新加入のMFセルジーニョが目の覚めるような強烈なミドルシュートで追加点。「持った瞬間、打とうと決めていた。蹴った瞬間に入ると思った。GKから逃げていく形。狙った通りに蹴れた」と来日初ゴールを喜んだ。

ブラジル人2人にとって、スタンドには意識する“目”があった。ジーコ・テクニカルディレクター(TD)の御前試合。セルジーニョは、ジーコTDの声掛けで鹿島への移籍を即決した経緯を持つ。そのまじめな新外国人は「真摯(しんし)に練習に取り組んだ成果が、大事なACLで取れたんじゃないか」と喜んだ。

前半戦は細かなけがもあって調子を崩していたレオ・シルバも、ジーコの来日に合うように調子を上げてきた。「それは偶然」と笑いながらも「長くいてくれたらいいな」。

“神様”の前で、2人の活躍で、初の4強に向けて、鹿島が大きく前進した。




◆鹿島ブラジル人助っ人2人 神様ジーコ御前で大仕事(ニッカン)




◆ジーコ笑顔!鹿島ACL初4強へ先勝ブラジル勢2発(ニッカン)



セルジーニョ Serginho


<ACL:鹿島2-0天津権健>◇準々決勝第1戦◇28日◇カシマ

ホームの鹿島アントラーズが先勝した。

元ブラジル代表FWアレシャンドレ・パト擁する天津権健(中国)と対戦。MFレオ・シルバ、FWセルジーニョの両ブラジル人による2得点で第1戦を制した。ベスト4進出がかかる第2戦は来月18日に相手ホーム天津体育場で行われる。

鹿島が得た最初の大きなチャンスは前半14分、FW鈴木が右クロスを送り、はじかれたところにMF遠藤主将が詰めた。ダイレクトで左足を振ったが、ゴール右にわずかに外れた。前半34分にはDF安西の折り返しを、ACL初先発のFWセルジーニョに届いたが、左足シュートは大きく、ふかしてしまった。

41分には相手シュートを浴びる。天津権健FW楊旭が左クロスに頭を合わせられたが、クロスバーを越えた。このまま前半は0-0で終了。鹿島は先発の右サイドバック内田が再三、好機に絡むも無得点で折り返した。

後半も鹿島が最初に決定機を迎えた。まず12分、MFレオ・シルバのパスを受けたDF安西がペナルティーエリアに持ち込み、DFを左半身で押さえながら中央へラストパス。フリーの遠藤が利き足の左足を合わせた。しかし、ゴール上へ大きく消え、決定機を逸した。

スタジアムが落胆した直後、歓喜に沸く。15分。DF山本の左からのセンタリングを遠藤が頭で左サイドへ戻す。そこにいたMFレオ・シルバが右足のボレーで合わせ、ゴール右に決めた。待望の先制点。3分前にチャンスを逃した遠藤もアシストで貢献した。

さらに攻勢、27分には追加点が生まれた。ゴール正面25メートルからセルジーニョが左足ミドル。前半、好機でミスしていたお返しとばかりに、豪快な一撃をゴール左上に突き刺した。スタンドから見守っていた神様、ジーコ・テクニカルディレクターも笑顔。ぼうぜんとする相手エースのパトとは対照的に、ホームできっちりリードを広げた。

この2点を守り、鹿島が勝利と得失点差プラス2も獲得。火曜ナイターに集まった1万3634人に白星を届け、クラブ初の4強に大きく前進した。




◆ジーコ笑顔!鹿島ACL初4強へ先勝ブラジル勢2発(ニッカン)




◆鹿島セルジーニョ豪快初弾「示せた」ジーコご満悦(ニッカン)






<ACL:鹿島2-0天津権健>◇準々決勝第1戦◇28日◇カシマ

今夏加入の鹿島アントラーズFWセルジーニョ(23)が、ACL初先発で初ゴールをマークした。

1-0の天津権健(中国)戦の後半27分、ゴール正面でDF安西からボールを受けると、25メートルの位置から、思い切って左足でミドルシュート。前半、好機でミスしていたお返しとばかりに、豪快な一撃をゴール左に突き刺した。スタンドから見守っていた「神様」ジーコ・テクニカルディレクターも笑顔。ぼうぜんとする相手エースの元ブラジル代表FWパトとは対照的だった。

このまま2-0で勝利。先勝に貢献したセルジーニョは「非常にうれしく思っています。これだけ、サポーターが後押ししてくれた中、僕だけではなくチームとして、しっかりした戦いを示せたと思います」と納得した。

2点リードで乗り込むアウェーでの第2戦(9月18日、天津体育場)へ「まだ何も決まっていない」と引き締めながら「今日やったパフォーマンスを敵地でも見せて、次のラウンドに進むために全力で頑張りたいと思います」と話した。




◆鹿島セルジーニョ豪快初弾「示せた」ジーコご満悦(ニッカン)




◆「狙ったとおりに蹴れた」鹿島FWセルジーニョ、来日初ゴールを自画自賛(ゲキサカ)



セルジーニョ Serginho


[8.28 ACL準々決勝第1戦 鹿島2-0天津権健 カシマ]

 来日初ゴールが貴重な追加点になった。1-0で迎えた後半27分、鹿島アントラーズはDF犬飼智也の縦パスをMF安西幸輝がワンタッチで落とすと、PA手前でボールを受けたFWセルジーニョが迷わず左足を一閃。アウトにかけた豪快なミドルシュートをゴール左隅に突き刺した。

「ボールを持った瞬間、打とうと決めていた。蹴った瞬間、入ると思ったし、キーパーから逃げていく形で狙ったとおりに蹴れた」。自画自賛のブラジル人FWは今夏に加入し、移籍後公式戦3試合目。「できれば最初の試合で取りたかったけど、残念ながらうまくいかなかった。でも練習に真摯に取り組んだ結果、ACLという大事な試合で点を取ることができたと思う」と胸を張った。

 ホームでの第1戦で2点のアドバンテージを手にしたが、9月18日の第2戦までにはリーグ戦が2試合、ルヴァン杯も2試合ある。次戦は9月1日のリーグ戦。首位の広島とアウェーで対戦する。「今だけ喜んで、明日から切り替えていきたい。週末には首位チームとの大事な試合がある」と表情を引き締める23歳は「この1点にとどまらず、引き続き決められるようにしたい」と意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)




◆「狙ったとおりに蹴れた」鹿島FWセルジーニョ、来日初ゴールを自画自賛(ゲキサカ)


◆鹿島、天津権健にホームで先勝! 敵将「鹿島は質が高く成熟したチーム」/ACL(サンスポ)



レオ・シルバ Léo Silva


 サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は28日、ホームアンドアウェー方式の準々決勝第1戦が行われ、初の4強入りを狙う鹿島はカシマスタジアムで天津権健(中国)に2-0で先勝した。

 日本勢で唯一、勝ち残っている鹿島は0-0で折り返した後半、レオシルバのゴールで先制。セルジーニョが追加点を奪い、突き放した。

 第2戦は9月18日に天津で行われる。

天津権健・ソウザ監督
「鹿島はゲームコントロールも含めて質が高く、成熟したチームだと示した。われわれにも決定機があり、アウェーゴールのチャンスがあった。選手を誇りに思う」

鹿島・大岩監督「第1戦をリードして終えられたのは収穫。チャンスはあったので、もう少し得点できていたら、という希望はある。ただ、アウェーゴールを与えないことも重要で、それは高く評価している」

鹿島・内田(無失点勝利に貢献)「こういう展開で点が取れないと負け試合になるが、焦らなかった。ホームアンドアウェー方式では絶対にホームで失点してはいけない」

鹿島・セルジーニョ(見事なミドルシュート)「受けたときからシュートを打つと決めていた。決まらなかったらブーイングを浴びたかもしれないが、リスクを負わない者は何も得られない」




◆鹿島、天津権健にホームで先勝! 敵将「鹿島は質が高く成熟したチーム」/ACL(サンスポ)


◆鹿島、準々決勝ファーストレグを完封勝利! 初のベスト4に向け一歩前進(サッカーキング)



セルジーニョ Serginho


2018.08.28 19:00
鹿島サッカー・スタジアム
鹿島アントラーズ 2 終了 0 Tianjin Quanjian

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝ファーストレグが28日に行われ、鹿島アントラーズが天津権健(中国)に2-0で勝利した。

 前半からホームの鹿島が攻め立て、1分と14分には遠藤康がチャンスを迎え、20分にはレオ・シルバがミドルシュートを放つなど、天津権健ゴールに近づいた。しかし再三のチャンスを決めきれず、前半はスコアレスで折り返す。

 後半に入っても鹿島がボールを支配し、相手にチャンスを作らせない。三度遠藤がチャンスを作るなど得点の匂いを感じさせると、ついにスコアボードが動いた。60分、左サイドでボールを持った安西幸輝が中央へクロス。待っていた遠藤がペナルティエリア内左に流したボールをレオ・シルバがダイレクトで蹴り込み、先制点を奪った。

 一点奪った鹿島はさらに勢いに乗る。73分、敵ペナルティエリアすぐ外でセルジーニョがフリーでボールを持つと、左サイドにパスを出すと見せかけ、左足を振り抜く。GKの手が届かない場所に強烈なシュートが突き刺さり、天津権健を突き放した。セルジーニョは嬉しい鹿島移籍後初ゴールを、大事な局面で決めた。





 その後、天津権健の数少ないチャンスを体を張って守った鹿島が、初のベスト4に向けて一歩前進した。セカンドレグは9月18日、天津権健のホームで開催される。

【スコア】
鹿島アントラーズ 2-0 天津権健

【得点者】
鹿島アントラーズ:レオ・シルバ(60分)、セルジーニョ(73分)

【スターティングメンバー】
鹿島アントラーズ(4-4-2)
クォン・スンテ;内田篤人、山本脩斗、チョン・スンヒョン、犬飼智也;安西幸輝、レオ・シルバ、セルジーニョ(87分 土居聖真)、三竿健斗、遠藤康(83分 永木亮太);鈴木優磨(79分 金森健志)

天津権健(4-4-2)
ジャン・ルー;リウ・イーミン、ジャン・チョン、クォン・ギョンウォン;ワン・ジエ(70分 ウー・ウェイ)、ジャオ・シュリー(84分 スン・クー)、ジョン・ダールン、ワン・シャオロン;ヤン・シュ、アレシャンドレ・パト、ワン・ヨンポー(84分 スー・ユエンジエ)




◆鹿島、準々決勝ファーストレグを完封勝利! 初のベスト4に向け一歩前進(サッカーキング)




◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第1戦(オフィシャル)






AFCチャンピオンズリーグ 準々決勝 第1戦

前半90分、2-0。レオとセルジーニョの豪快ゴールで、鹿島が天津権健に先勝!

「こえる」ための戦い、第2章。聖地で迎えた“前半90分”で、鹿島が力強く勝利を掴んだ。AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦。カシマスタジアムに中国の天津権健を迎え撃つと、60分にレオ シルバが右足ボレーを決めて先制し、72分にはセルジーニョが強烈なミドルシュートを突き刺してリードを広げる。終盤はパワープレーで押し込まれたが、アウェイゴールを許すことはなかった。2-0。ホームで完封勝利を収め、ベスト4進出へ前進した。

4日前の聖地は失意に覆われていた。磐田との90分、1-0でリード。犬飼がJ1で初めて刻んだスコアで、サックスブルーを打ち破るはずだった。しかし、後半アディショナルタイム。安西のハンドでPKを与え、同点弾を許してしまった。「最後に隙を作ってしまった」と犬飼は険しい表情で振り返る。アクシデントのようなプレーでハンドを取られてしまったが、そこへ至る過程で甘さはなかったか――。悔やんでも、時間は戻ってこない。この悔しさを糧にして、進むしかない。攻守に存在感を示し続けるレオ シルバは「しっかりと切り替えてやっていきたい」と前を向いていた。

背番号12もまた、必死に上を向いていた。スタンドから聞こえてきたのは「選手たちの顔を上げよう」という叫びだった。2ポイントを失った夜から5日後、極めて重要な意味を持つ“前半90分”を控えている。下を向く時間などない。アジアの頂へと続く道を、アントラーズファミリー全員で駆け抜けるために――。ACL準々決勝、聖地で迎える第1戦。5日後の90分に照準を定め、準備を進めていく。

失意から一夜明けたクラブハウス。グラウンドは熱を帯びていた。ベンチ外という苦境が続く小笠原が檄を飛ばす。百戦錬磨の闘将が大声を張り上げる姿は、己とチームを浮上させようと腐心するようだった。磐田戦で施された5名もの先発変更、可能性を示してみせた面々の台頭。切磋琢磨はさらなる高みへ導かれ、試合メンバー入りを懸けた争いが繰り広げられた。遠藤は「いい練習をすることができた」と手応えを明かし、「Jリーグとは違う大会。すごく楽しみ」と、次なる壁を打ち破る戦いを心待ちにしていた。

試合前日、ミーティングルームではジーコTDの情熱が響き渡っていた。「まだ、このクラブにないタイトル。今季、獲りに行くチャンスがある」。チーム合流初日から見据えていた戦いの舞台が、ついに目前に迫っている。アントラーズスピリットの神髄が改めて刻み込んだ勝利への気迫を胸に、聖地での第1戦へと向かう。前日会見に臨んだ大岩監督は「クラブ全体として非常に強い気持ちを持っている」と、ACL制覇への渇望を隠そうとはしなかった。



磐田戦から中4日で臨む“前半90分”へ、指揮官は5名の先発変更を断行。右サイドバックに内田、左には山本を復帰させ、ボランチの一角に三竿健斗、2列目に安西と遠藤を起用した。ゴールマウスはクォン スンテに託し、センターバックはチョン スンヒョンと犬飼のコンビ。健斗ともにレオ シルバがミドルゾーンを制圧し、前線ではセルジーニョと鈴木が鮮やかな連係からゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、西、町田、永木、田中、土居、金森が座る。



真夏の再来を思わせる暑さは和らぎ、大一番を迎える鹿嶋は厚い雲に覆われた。雨が降ったり止んだりという不安定な天気だったが、高揚感と勝利への決意が聖地を包んでいく。背番号12が続々と足を運び、キックオフが迫るにつれてボルテージを高めていった。GK陣、そしてフィールドプレーヤーがウォーミングアップに姿を現す。舞台は整った。19時ちょうど、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。



ホーム側スタンドに向かって攻める鹿島は、立ち上がりからボールポゼッション率で天津権健を圧倒。開始から1分足らず、ペナルティーエリア右奥まで走り込んだ遠藤がフリーでヘディングシュートを放つ。惜しくも枠を逸れたが、いきなり決定機を作り出してみせた。続く4分には内田が攻撃参加し、エリア右側からグラウンダーのクロス。“触れば1点”という絶妙なラストパスだったが、ファーサイドへ流れてしまった。



鹿島の攻勢は続いた。11分にはショートコーナーから遠藤が得意の左足でクロスを上げると、ボールはゴール方向へ。密集での競り合いから相手DFに当たったボールは、わずかに枠を逸れてしまった。直後の左CK、セカンドボールを拾って仕掛けた二次攻撃からペナルティーエリア右手前で前を向いた内田が果敢に放ったミドルシュートも、枠を越えてしまった。





15分、20分を経過しても、鹿島はセカンドボールをことごとく拾い、両サイド深くまで進出した攻撃で天津権健を押し込み続けた。32分には中盤右サイドまでプレスに戻った鈴木の守備からカウンターを仕掛け、遠藤がペナルティーエリア右側からドリブルで中央へ。左足で放った低いクロスはゴール方向へ飛んだが、惜しくも結実しなかった。続く33分には、前半最大の決定機。ペナルティーエリア左奥への浮き球を山本が頭で折り返すと、こぼれ球を拾った背番号16が冷静沈着なラストパスを通す。エリア左側、フリーで待っていたセルジーニョの一撃はしかし、枠を越えてしまった。



得点の予感を漂わせ続けながら、なかなか均衡を破れない鹿島。36分には左サイドからのクロスが相手DFに当たり、コースが変わって右ポストを直撃する。詰めていた遠藤もネットを揺らすには至らず、歓喜の時は訪れなかった。0-0。スコアレスでハーフタイムを迎えることとなった。



アントラーズレッドの情熱を背に攻める後半、立ち上がりは天津権健が攻勢をかけてきた。それでも鹿島は集中力を切らすことなく応戦。次第に主導権を取り戻すと、57分に後半最初の決定機を迎える。敵陣左サイドでレオが対人戦を制して縦へ突破すると、縦パスを受けた安西がペナルティーエリア左側からラストパス。遠藤がフリーで左足を振り抜いたが、シュートは枠を越えてしまった。





それでも3分後、歓喜の時が訪れた。60分、レオ シルバ。「違いを出さなければ」と語っていたスーパーボランチが、値千金のスコアを刻んでみせる。ペナルティーエリア左側でこぼれ球を拾った山本が浮き球を送ると、エリア手前から遠藤が頭で左前方へ。そこへ走り込んでいたのが背番号4だった。迷うことなく右足を振り抜くと、強烈なボレーがゴール右隅へ。1-0。ついに鹿島が均衡を破った。











リードを奪い、鹿島は勢いに乗ってゴールを目指す。65分、67分と遠藤がミドルシュート。次第に広大なスペースが生まれる中で、安西が何度もスピードを上げて敵陣を切り裂き、天津権健を押し込んだ。そして72分、待望のスコアが刻まれた。主役は、背番号18だった。ACL初出場を果たしたセルジーニョが敵陣中央で前を向くと、得意の左足を一閃。強烈なミドルシュートはうなりを上げてゴールへと突き刺さった。2-0。セルジーニョの来日初ゴールで、鹿島がリードを広げた。











ラスト15分、天津権健はアウェイゴールを奪おうとパワープレーを仕掛けてきた。しかし鹿島は動じることなく、激しいボディコンタクトを繰り返して応戦。ピッチへ送り出された金森、永木、土居も勝利のために走り抜き、相手に自由を与えなかった。4分と表示されたアディショナルタイムも、4日前の失態を繰り返すことはなかった。











前半90分終了、2-0。アウェイゴールを与えることなく、複数得点差で勝ち切った意味は極めて重い。だが、まだ半分が終わっただけ。背番号12はタオルマフラーを掲げ、改めて出港する意思を示しながら選手たちを出迎えた。敵地での後半90分は3週間後、9月18日だ。



そして次戦は4日後、9月1日のJ1第25節だ。真夏の連戦を走り抜け、9月は4つの大会を並行しながら8試合を戦う。目前に迫るのは、首位を走る広島とのアウェイゲーム。意地と気迫をみなぎらせ、結果で矜持を示さなければならない。勝利だけを目指して、準備を進めていく。






【この試合のトピックス】
・天津権健とは初対戦で、初勝利を挙げた。
・中国のクラブとACLで対戦するのは通算16試合で、9勝3分4敗となった。
・ACLで中国クラブとホームで対戦するのは通算9試合目で、8勝1分となった。
・セルジーニョが先発出場。ACL初出場を記録し、加入後初得点を記録した。
・レオ シルバが今大会初得点を挙げた。
・チョン スンヒョンが鹿島加入後初のACL出場を記録。今大会は登録の関係で、背番号35を着用する。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


天津権健:パウロ ソウザ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
ホームで第1戦を戦い、(2試合で180分の試合と考えたときの)前半をリードして終えられたことが第一の収穫だ。次のアウェイゲームに向けて、しっかり準備することは当然として、リーグ戦、ルヴァンカップ、その他のゲームにもしっかり切り替えて臨んでいきたい。

Q.試合内容をみると、もう少し点差をつけることができたように感じるが?

A.得点のチャンスをたくさん作れていたので、もう少し得点を取れたらという希望はあった。しかし、アウェイゴールを与えないことも非常に重要なことであり、現時点ではそこに対しての評価をしている。当然、第2戦に向けて相手をしっかり分析して準備していきたい。

Q.ホームで先勝、無失点という展開をどう評価するか?

A.第2戦は相手のホームで戦うことになる。第1戦のリードを最大限に生かしたいと考えているが、ラウンド16で戦った上海上港戦もリードして臨んだ第2戦で厳しい戦いになった。しっかり準備しなくては、アウェイでは難しい試合になる。後半の90分もしっかり準備して、自分たちのペースで運びたいと考えている。


天津権健:パウロ ソウザ
アントラーズの勝利におめでとうと伝えたい。彼らはピッチで高い水準のプレーを見せ、ゲームコントロール、時間の配分も含めて非常に質の高いゲームを見せてくれた。成熟したチームであることを証明していた。と同時に、我々のチームの選手たちにもよくやったと声をかけたい。戦術的にみて限界があるなかでのプレーだったが、そのなかで4回ほどビッグチャンスがあった。終盤になって、より多くの選手を前線に配置してリスク覚悟でゴールを取りに行った。結果的に無得点に終わってしまったが、この試合を相対的にみて、選手たちを誇りに思う。彼らは自分たちの限られた戦術と限界値のなかで、非常に成熟した相手によく戦ってくれた。第2戦は我々のホームでの試合であり、より大きなストーリーを皆さんに伝えられるように頑張っていきたい。最後の最後まであきらめず、夢に向かって走り続けたい。


選手コメント

[試合後]

【レオ シルバ】
勝つことを目的とする中で、チームに勢いをもたらすゴールを決めることができてよかった。ミートするだけだったけど、しっかりと合わせて点を取ることができた。チャンスを作っていながらなかなか決められなかったけど、相手を見て落ち着いてやれば点を取れるだろうと思っていた。

【セルジーニョ】
ボールを持った瞬間に打とうと思っていた。GKから逃げていくボールとなり、打った瞬間に入ったと思った。ゴール前で前を向いてシュートを打つのは自分の特長。第一印象が大事なので、できれば1試合目で取りたかったけど、真摯に取り組み続けたことが結果につながったと思う。

【内田 篤人】
ホームなので失点しないようにと思っていた。相手に点を取れる選手がいたので、仕事をさせないようにと話していた。点を取れそうで取れない時に負けてしまうことはよくあるけど、後半にゴールを決めて勝つことができた。緩めることなく、やり続けた結果だと思う。

【山本 脩斗】
ホームで無失点に抑えることが大事と話していた。チームとしてやりたい試合ができた。次につながる価値のある試合になった。点を取りに行きながらもリスクマネジメントがしっかりとできていた。いい時間に点を取ってくれて、落ち着いてプレーできた。

【三竿 健斗】
アウェイゴールを与えなかったのは大きい。攻めるだけにならず、後ろはしっかりリスク管理をしながら「無失点で」と90分を通して話していた。優勝しか考えていない。1試合1試合、勝っていきたい。

【犬飼 智也】
失点ゼロで終えることができて、自分たちのやりたいことができた試合になった。相手FWの9番に対して、誰がいくかハッキリさせることを意識していた。チーム全体でできていたと思う。




◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第1戦(オフィシャル)






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