2017シーズンの鹿島アントラーズで定位置を確保し、12月のE-1選手権では日本代表入りを果たした三竿健斗。輝かしい1年を過ごしたようにも思えるが、J1では最終節で優勝を逃し、ハリルジャパンデビュー戦は試合の行方が決まった状況からの途中出場と苦い経験もしている。さらなる飛躍が期待される2018シーズン、21歳のボランチはどのような決意を抱いているのか。(取材・文:ショーン・キャロル、翻訳:フットボールチャンネル編集部)
2017年は素晴らしい1年だったように思えるが…
一見したところ、2017年は三竿健斗にとって素晴らしい1年であったように思える。21歳の若さで鹿島アントラーズのファーストチョイスとなり、12月のEAFF E-1選手権では日本代表デビューも飾った。
だがそのデビュー戦は残念ながら、韓国に1-4の大敗を喫した試合に、すでに勝負が決まってしまった後半からの途中出場という形だった。クラブでも、アントラーズは終盤戦に失速し、あと一歩でJ1優勝を逃すという苦い結末を迎えてしまった。
最終節の試合を戦い終えたあと三竿は、その時の気持ちを決して忘れることはないと話していた。現在の彼は、その落胆を新たなシーズンの成功への糧とするべく決意を固めている。
「あの試合のことは、みんなすごく悔いが残っています」と三竿は、川崎フロンターレに昨季のタイトルを譲り渡す結果に繋がったジュビロ磐田との0-0のドローについて述べた。「それでも、今年はやってやろうという強い気持ちがあります。それもプレーに表れてくると思います。チームとして本当に集中できています」
「タイトルを獲れば成長できるというのは確かですけど、勝てずに悔いが残った場合にも同じことが言えると思います。今は僕らにとってステップアップのチャンスです」
年齢以上に落ち着いた選手らしい成熟したアプローチである。鹿島の中盤で定期的な出場機会を手に入れるために要した時間について話す時にも同様の姿勢が表れていた。
「期待していたよりも時間がかかったと思います。1年目からプレーするつもりでここに来たので」
2016シーズン開始前に鹿島に加入した三竿だが、柴崎岳や小笠原満男、永木亮太、現在中盤でコンビを組むレオ・シルバなど質の高い選手たちが先発の座を争う中、我慢が必要になるのも当然だったと言えるだろう。
昨季途中で石井正忠前監督に代わって就任した大岩剛監督は、すぐに三竿を中盤センターに据えた。そのチャンスを手にするため努力が必要だったのは、おそらく良いことだったと彼自身も認めている。
「結果を見れば、良いタイミングだったと思います。ですが、そういうことはあまり考えすぎないようにしています。試合でプレーする時には、本当に大きな責任があると毎回感じています」
当然ながら、日本で最も成功を収めてきたクラブである鹿島では、代役として名乗りを上げようとする選手に事欠くことはない。今年は内田篤人が戻ってきたことで、そういう選手がまたひとり増えることになる。
「サイドの選手たちが加入して、また今までとは違う感覚です」と三竿は語る。「内田さんはずっとドイツでやっていましたし、頼りになる選手だということはみんな知っています」
「パススピードやボールの競り合い、スライディングなど、ドイツで要求される水準の能力を持っていることは見ていてわかります。『これが世界のレベルだ』といったような感じで、必要なことは何でも教えてくれています。
僕もそういうレベルでプレーすることを目指したいと思っていますので、教えてもらえるのは本当にプラスになりますし、モチベーションにも繋がります。色々な話をしていますし、本当に親切にしてもらっています」
サイドバックにはもう一人、三竿の東京ヴェルディでの元チームメートである安西幸輝も加入した。
昨季のJ2プレーオフ進出を果たしたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のチームで素晴らしい活躍を見せた22歳は、ファイナルサードで大きな脅威となれる選手であり、ゴールやアシストを加えることができる。
今季のアントラーズにとって新たなオプションになる選手だと三竿も考えている。
「3年間同じチームでやっていたので、また一緒にやれるのは嬉しいですね」と三竿は安西との再会について語る。「ドリブルが得意で、突破を狙いにいく選手です。本当に成長したと思います」
安西は三竿の兄である雄斗とともに、ファーストチョイスの左サイドバックである山本脩斗のポジションに挑戦することになりそうだ。
昨年湘南ベルマーレから加入した雄斗も、弟と同じく鹿島での1年目は不満の残るものとなった。だが健斗は自身の経験から、チャンスは来るものだと信じ続けている。
「雄斗も良くなってきていますし、チャンスはあると思います。出場できたときに良いプレーができれば、そこから上積みしてくことができるはずです」
もう一人、三竿が今年活躍を期待している選手が鈴木優磨だ。
2017年は鈴木にとってやや厳しいものとなり、リーグ戦26試合に出場して6ゴール止まりだった。だが今季のアントラーズでは、違いを生み出せる可能性を持った選手として期待されている。
「20点くらい決められると思います」と三竿は、自身より10日だけ若いチームメートについて語った。
「ゴールを決められるポテンシャルを一番持った選手だと思います。活躍してたくさんゴールを決めてくれれば、チームもすごく強くなれるはずです」
昨季の鹿島は結局のところ、あと1点の差でタイトルを逃した。今年はその差を埋めたいという決意を三竿が抱いていることは間違いない。
(取材・文:ショーン・キャロル、翻訳:フットボールチャンネル編集部)
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【英国人の視点】鹿島・三竿健斗に期待。日本代表も経験、年齢以上の落ち着き見せる21歳ボランチの姿勢