「今は3、4人が絡めるようになってきている」
東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めてきた。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1の鹿島アントラーズを取り上げる。
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鹿島はリーグ再開初戦で、どのような戦いを見せるのか――。中断期間は攻撃面の連係向上を図っており、選手たちは自信ものぞかせる。今節の敵地での湘南ベルマーレ戦は、その成果が試される一戦になりそうだ。
鹿島はこれまで22試合を消化し、10勝5分7敗、勝点35で6位。今季は第9節終了時点で15位に低迷していたが、その後、相馬直樹新監督が就任し、着実に順位を上げてきた。
ただ、第15節のサガン鳥栖戦で相馬体制初黒星を喫して以降、リーグ戦8試合で3勝2分3敗と、やや失速気味だ。第18節のベガルタ仙台戦、第19節の大分トリニータ戦、第22節の柏レイソル戦で守勢に回る下位チームを攻めあぐねるなど、8試合で複数得点は1試合のみとなっている。
中断期間直前の柏戦は、堅守速攻を狙う相手に焦れて攻守のバランスが崩壊。1-2で敗れたあと、犬飼智也は悔しそうに話した。「自分たちは早く奪って早く攻めるスタイルがあるが、引かれた相手に対して苦戦している。勢い任せでサッカーをしすぎているのかなと。それで勝ってきている試合もあるが、(引いた相手を崩すことも)両方できるチームにならないと厳しい」。
そうした課題を克服すべく迎えた中断期間だったが、チーム内でさまざまな動きがあった。熊谷浩二コーチとギリェルメ・フィジカルコーチが退任し、奥野僚右コーチと里内猛フィジカルコーチが就任。また、広瀬陸斗が負傷離脱し、選手1人とスタッフ1人が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。
急きょ練習が中止になることもあったなかでも、攻撃面の連係を高めてきたという。その手応えは大きいようで、三竿健斗主将は「チームとして(相手守備を)どう攻略していくのか、イメージの共有が今はできている。以前はボールを持っている人と受け手の関係性しかなかったのが、今は3、4人が絡めるようになってきている」とうなずく。そのうえで「あとは試合でやっていく。どんどん良くしていく」と実戦で試行錯誤を重ねる意欲だ。
湘南は豊富な運動量と激しい球際の戦いで、カウンター攻撃を仕掛けてくる。さらに相手はリーグ戦3連敗中であり、ホームで必死に勝点を掴みにくるだろう。鹿島の課題は改善に向かっているのか。約2週間ぶりの公式戦は、攻撃面の成長度合が問われる90分間になりそうだ。
取材・文●藤谷俊介(茨城新聞社)
◆【中断明けの青写真|鹿島】攻撃面の連係に確かな手応え。実戦で試行錯誤を重ねてさらなる良化を目指す(サッカーダイジェスト)