http://web.gekisaka.jp/news/detail/?144219-144219-fl
夏の高校日本一を争う平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技は1日、山梨県韮崎市内で開会式を行い、出場55校の代表選手たちが出席した。大会はあす2日に1回戦を実施。8日の決勝まで熱戦を繰り広げる。
先輩越え、そして頂点への思いを新たにした。翌日に行われる1回戦を控えて代表者4名のみが参加するチームが多い中、2年ぶりの出場となる大阪桐蔭高(大阪1)は開会式出席の4選手以外の登録選手たちも開会式会場を訪れ、全国総体の雰囲気を味わった。7月17日に鹿島アントラーズと仮契約を結んだ注目の司令塔、MF久保田和音(3年)は「戦うモードになりました」と静かに闘志を口にしていた。
J1優勝7回を誇る名門クラブへの加入が決まり、周囲も盛り上がった。今回の全国総体を代表する注目選手となってメディアから取り上げられている久保田和だが、本人は冷静そのもの。「自分の中ではあまり気にしないようにしています。(周囲からは鹿島入りする選手と)自分もそう見られているので、しっかりしていかなければいけないと思うんですけど、まずは自分のプレーをしっかりとするだけを考えています。プレッシャーは感じるんですけど、プレッシャーも力に変えられるようにしていきたい」と語った。
大阪桐蔭は2年前の全国高校総体で4強進出。プリンスリーグ関西では優勝した昨年に続き、今年も首位を走る。全国総体予選開幕直前に行われた阪南大高とのプリンスリーグ関西首位決戦を0-2で落としたが、ここで崩れることなく、総体予選では阪南大高に見事2-0で雪辱。久保田和も「インターハイで阪南に勝って、そこからチームの士気も上がってきた。(全国大会まで)チームとしても上手くやってきた」と振り返るように大阪府予選を制し、その後のプリンスリーグ関西も5連勝と上向きのまま全国総体に臨もうとしている。
「このまま行けたらいいです」と久保田和もチームの躍進に期待。久保田和だけでなく、MF神田瑛士郎やMF久保田貴大、FW奥田陽太ら実力者を擁し、1タッチのパスを多用したポゼッションなど連動性の高い攻守を見せる大阪桐蔭には十分に頂点に立つチャンスがある。久保田自身、周囲の注目が高まる中、「上手くいかない時もあったんですけど、思い通りのプレーができなかったり、上手くボールに絡めなかったり、自分の中で苦しんだ。ちょこちょこあるんです」と明かすが、「積極的にミスを怖れずにプレーすること」で悪い波も乗り越えてきた。今回の総体でも積極的にプレーすることで厳しいマークを打ち破る。そして2年前、先輩たちが流通経済大柏高(千葉)を破るなど初の4強まで駆け上がるシーンを現地で見ていたMFは「ボクたちも歴史変えていきたいという目標はある。まずは先輩たちを越えられるように頑張ります」と誓った。
初戦の対戦相手は16回目の出場となる仙台育英高(宮城)。ヴァンフォーレ甲府への練習参加をしている190cmCB熊谷駿を擁する相手との1回戦は屈指の好カードだ。久保田和は注目される中でプレッシャーを力に変えて、ひとつでも多くの白星を掴むことができるか。年代別日本代表初招集も有力視されている司令塔が、仲間とともに山梨で歴史を変える。
(取材・文 吉田太郎)