日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年1月6日月曜日

◆鹿島内定の宿命 絶対的エースの”自己犠牲”がもたらす静岡学園の飛躍「そこで吹っ切れた」(FOOTBALLZONE)






◆◆ワールドサッカーダイジェスト増刊 / 2020年1月号


静岡学園は23年ぶりの選手権ベスト4進出 いまだ大会無得点のエース松村が貫く信念


 第98回全国高校サッカー選手権大会は5日、徳島市立(徳島)対静岡学園(静岡)の準々決勝を行い、静岡学園が4-0で快勝を収めた。大会屈指の注目株でもある鹿島アントラーズ内定のMF松村優太(3年)はこの日も不発に終わり、いまだ大会無得点の状況が続いているが、試合終了後の表情は晴れやかなものだった。

 5年ぶりの選手権出場となった静岡学園は、「1試合3ゴール」の目標を掲げており、1回戦で岡山学芸館(岡山)を6-0、2回戦で丸岡(福井)を3-0、3回戦で今治東(愛媛)を2-0、そして今回の準々決勝で徳島市立を4-0で撃破し、23年ぶりの準決勝進出を決めた。華麗な攻撃的サッカーで大会に旋風を巻き起こしている。

 一方、鹿島加入の内定を勝ち取り、エースナンバーの背番号「10」を背負う松村は、チームが計15得点を記録しているなかで、いまだ大会無得点。Jリーグ内定選手はメディアでも大々的に取り上げられ、世間からの注目を浴びていることもあり、対戦相手は徹底的な対策を施してくる。松村もその“洗礼”に苦しんでいた。

 右サイドハーフの松村にボールが渡った際は、常に2~3人の相手選手が囲むような守備を見せてきたが、それゆえに逆サイドは比較的スペースの空いている時間帯が多く、左サイドハーフを務めるMF小山尚紀(3年)は4得点とゴールを積み重ねている。

「右サイドで引きつけてくれるんで、逆サイドは前を向くことができて、プレーしやすい。松村が相手守備陣を背負ってくれている分、他の選手たちが結果を出さないといけないというのは、みんなが思っている」

 小山は、松村が相手守備陣の警戒を集めてくれているからこそ、それによって自由を得るアタッカー陣が得点を生み出していく使命感を口にした。また、主将DF阿部健人(3年)も、相手の“松村封じ”を事前に想定していたと語っている。

「マツ(松村)が厳しく来られることはあらかじめ分かっていた。それを、前の選手も共通の意識として持っている。サイドバックからマツにパスが出た時も、2~3人が猛チャージに来ていて、本当にガチガチだなと後ろから見ていても感じる。監督も、そこを逆手に取ろうと言っている」


徹底マークによる“恩恵” 「それこそ、僕が今大会で一番意識しているところ」


 徹底マークによって周りの選手がプレーしやすくなっている現状を、松村本人にも尋ねると、「それこそ、僕が今大会で一番意識しているところ」と言葉を強め、「マークが厳しいのは分かっていたし、得点は他のみんなが取ってくれる。だから、僕はチームが勝つためのプレーに徹する」と強調していた。

「1試合目ではある程度仕掛けて、ゴールを奪いにいったが、これは厳しいなと。そこで吹っ切れた。2試合目以降は相手守備陣を引きつけることを意識している。もちろん得点も奪いたいけど、チームが勝つことが第一なので、味方に託します」

 この日は2-0で迎えた前半40分に右サイドでパスを受けると、爆発的なスピードで相手選手2人を置き去りにするドリブル突破から、鋭いクロスでFW岩本悠輝(3年)のヘディング弾をお膳立てした。徹底マークという“宿命”を背負いながらも、松村はエースとして静岡学園の勝利に貢献し続けている。

(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)


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◆鹿島に加わった“強力エアバトラー” ブラジル・セリエAでのスタッツが凄い(THE WORLD)






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昨年はシャペコエンセでプレイ

鹿島アントラーズは4日、昨年末までシャペコエンセでプレイしていたFWエヴェラウド(28歳)の完全移籍での加入を発表した。

ケレタロFC(メキシコ)からのローン移籍で昨年1月にシャペコエンセに加わったエヴェラウドは、同年のブラジル・セリエAで13ゴールをマーク。この13得点のうち4つがヘディングシュートによるものだが、これは昨年同リーグでプレイした全20クラブのフィールドプレイヤー中、2番目に多い数値だ。

また、同選手は昨年の同リーグで114回の空中戦勝利数を記録。これは同リーグ全20クラブのFW登録の選手中2番目に多い数値だった(本文中のスタッツはデータサイト『Sofa Score』のもの)。 滞空時間の長いヘディングや、強靭な肉体を活かしたポストプレイに定評がある同選手だが、昨シーズン無冠に終わった鹿島アントラーズの新たなエースとして君臨できるだろうか。




◆鹿島に加わった“強力エアバトラー” ブラジル・セリエAでのスタッツが凄い(THE WORLD)





◆小笠原満男がブラジルで見た競争力。 「うまくなる子は少しでも早く来る」(Number)






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「勝たせてあげたかった。個々の能力に差があったけど、やりようによっては勝てたと思うから」

 今夏、ブラジルで開催されたジュニアユース年代の大会、日伯友好カップを終えて、鹿島アントラーズでアカデミーアドバイザーを務める小笠原満男は肩を落とした。どの年代においても、勝つことが飛躍的な成長につながるということを何よりわかっていたからだ。

 ピッチ上において、出場した鹿島ジュニアユースの選手たちとブラジル人たちには様々な違いがあった。特に3つのポジションにおいて、大きな差を感じたという。

「サイドでボールを持てば常に仕掛け切るドリブラー、必ずシュートまで持っていくストライカー、空中戦で必ず勝つべく全力で競りにいくセンターバック。どれも日本とブラジルにおいては差があった。スコアだけを見ればいい試合をしたと取れるかもしれないけれど、1つひとつのプレーを見ると大きな違いがあった」

 その差はどんな日常から生まれているのだろうか。


小笠原が驚いた「競争力」。


 日伯友好カップへの同行を終えると、そのまま現地に残り、フラメンゴ、サンパウロ、バスコ・ダ・ガマ、フルミネンセ、パルメイラスと、5つの強豪クラブを視察した。小笠原の貪欲に学ぶ姿勢は、アテンドしたスタッフが「これまでも多くの視察をアテンドしたけれど、ここまでずっと見続ける人は初めて」と驚くほど。施設見学と合わせ、3日間で様々なカテゴリーの計16チームの練習を視察した。

「いろいろな話を聞いてものすごく勉強になった。一番すごいなと思ったのは、競争力だね。ブラジルのチームは、2カ月に1回とか定期的にセレクションをして、選手を入れ替えている。プロみたいだよね。毎回10人くらいがテスト生として練習に参加して、合格した選手の数だけ、もともといた選手が“明日からもう来なくていい”と告げられる。これこそ競争力を生んでいる環境だと感じた」

 いつクビになるかわからない。テスト生として、ライバルたちがどんどん練習に参加してくる。そうなれば、選手たちが解雇にならないよう必死で練習する状況が生まれ、その競争が選手たちの能力を引き出すことにつながる。

「なかには親が子どものサッカーの成長のために、自分の仕事を辞めて一緒に練習しているという話も聞いた。子どもがサッカー選手になれば、家族を養ってくれる。親が働くことに時間を費やすのではなくて、子どもに養ってもらおうという考え。そこまでやるのもブラジルらしいなと思うよね」


絶対にプロになるという覚悟。


 生き残り競争がとても激しく、トレーニングは誰もが真剣で、インテンシティが高い。技術がないと通用しないため、全体の技術レベルも高まっていく。

「なんとなく日本では、“プロのサッカー選手になれたらいいな”くらいの感じだけど、絶対にプロの選手になるんだという覚悟があった。“努力する”ということに関してはブラジルの方が圧倒的に上。やっぱり練習の回数や時間が多い。日本の子どもたちは、スクールとかを見ていても、練習時間ギリギリに来て、終わってすぐに帰る。家の前でも練習していればいいけれど、やっぱりうまくなる子どもは、少しでも早く来てボールを蹴ったり、ドリブルの練習をしたりしている。やっぱりそういう選手が上にいくと思う」

 小笠原自身、競争によって自らの力がついたと実感している。中学年代から日本代表を経験し、プロ入り後も日本代表やブラジル代表がそろうアントラーズで厳しい競争を強いられた。

「やっぱりアントラーズは優勝しないといけないクラブ。そのために、毎年その年代の日本一の選手が加入してくる。試合に出られるようになっても、また強力なライバルが加入して、イチから競争。その繰り返し」





育成の目的はトップの選手を生むこと。


 ブラジルでは、13歳までは個の技術向上に重点を置いていることを知った。フットサルとサッカーをそれぞれ週2回ずつやりながら、土日は試合をして、空き時間には公園で練習。サッカーに打ち込むのは14歳からが多いという。

「13歳までは戦術どうこうではなく、攻撃はドリブルでかわしたり、ボールを取った、取られた、抜いた、抜かれたにこだわる。守備も入れ替わったらダメではなく、まずは奪いにいかせる」

 育成における目標は、トップで活躍する選手を生み出すこと。チームとしての勝敗も大事にしながら、ブラジルでは本質となる個の技術や能力を高めることに注力する。小笠原自身、引退後は小学生年代からトップチームまで幅広い世代のサッカーを見るようになり、今の日本サッカーに感じることがあった。

「きれいにワンタッチ、ツータッチでパスを回すことが多い。ポジションをどこに取って、というサッカーをやり過ぎているので、ドリブルをする選手も少ないし、守備でボールを奪いにいける選手も少ない」


“個が育っていない”。


 今や世界中のサッカーを見ることができる時代になった。それによって、現場では流行りのサッカースタイルや特定の監督を真似て、ポゼッション練習やビブスを多く使った練習が増えてきた。その方向に小笠原は警鐘を鳴らす。

「個人的には“個が育っていない”と感じている。もっと人にフォーカスをして、技術的なところに力を入れた方がいい」

 ブラジルでは、練習メニューから違った。フェイントやターンの練習を取り入れる。個の技術向上に特化していた。

「試合前も、日本のチームはポゼッションのトレーニングをしていたけど、ブラジルのチームはリフティングゲームやサッカーバレーをしていたり。8月の上海遠征に同行したときは、ウォルバーハンプトン(イングランド)が決勝の試合前にサッカーテニスをやっていた。どこのチームにも共通していたのは、基礎技術のトレーニングをしっかりやっていたこと。日本はそこが圧倒的に少ないと感じた」

 ボールを止めて、蹴る。基本的な技術がなければ、ポゼッションサッカーをやりたくても、パスは回らない。だからこそ、小笠原は個にフォーカスした練習が大事だと説く。

「基本の反復練習って、どうしても地味なもの。やっていてもおもしろくないかもしれない。でも、やっぱりそういうのを日常からコツコツ頑張ることが大事だよ」





 個の能力が突出した選手を育てるために。ポイントは、どれだけ熱を持てるかだと考ている。

「ブラジルではボランチの選手が相手を背負った状態でも前を向くし、1対1で抜きにいく。相手のマークをはがしてチャンスを作る。そういう選手を育てていかないといけない。パスばかりやっていても、結果として変わらないんじゃないかと感じた。練習だろうが、紅白戦だろうが、クラブワールドカップだろうが、ブラジル人は、いつもどこでもみんなが本気で取り組む。どれだけ熱くなれるかだよ」

 ブラジルで感じた競争力を、いかにアントラーズアカデミーに落とし込んでいくか。ブラジルで感じた熱を、いかにアントラーズに伝えるか。頭のなかは、〝勝つためのヒント〟でいっぱいだ。




◆小笠原満男がブラジルで見た競争力。 「うまくなる子は少しでも早く来る」(Number)





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