日刊鹿島アントラーズニュース

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2014年12月25日木曜日

◆[MOM1250]鹿島ユースGK山田晃平(3年)_PKセーブで自身初の日本一(ゲキサカ)


http://web.gekisaka.jp/news/detail/?154199-154199-fl


[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 Jユースカップ決勝 鹿島ユース 1-1(PK4-3)G大阪ユース ヤンマー]

 勢いは、後半に追い付いたガンバ大阪ユースにあった。鹿島アントラーズユースは次第に防戦一方に追い込まれ、耐えるしかない展開となっていた。試合は延長戦でも決着が付かず、1-1のまま勝敗はPK戦に委ねられた。PK戦は、試合の流れが影響するものだ。追い付いたG大阪の方がプレッシャーは軽い。1本目、先攻のG大阪がキックを成功させた後、鹿島はエースの鈴木優磨がまさかの失敗。右に放ったシュートは、相手GKに弾かれた。鹿島にとっては、この試合で初めて相手にリードを許すことになり、不安が立ち込めた。

 ところが、直後の2本目で鹿島のGK山田晃平が見事にその不安を一蹴した。タイミングをしっかりと合わせた右への横っ跳びで相手のシュートをブロック。右の拳を突き上げて、チームを鼓舞した。さらに互いがキックを成功させて迎えた4本目で、山田が再び魅せた。またも右方向に跳んで両手でボールを弾き出した。相手の蹴る方向は、スカウティングで分かっていたと山田は話したが、どちらも見事なセーブだった。PK戦は、5本目まで進んだが、2本を止めた鹿島が4-3で勝利。1年間追い求めた日本一のタイトルを手にした。殊勲の山田にとっては、自身初の日本一。「絶対に止めてやるという気持ちで臨んでいた。2本を止められて優勝できて嬉しい。自分の人生に、大きい大会での優勝という経験がなかったので、すごく気持ちよかった」と笑顔を見せた。

 山田の功績は、PK戦のストップだけではない。1点リードで迎えた前半の終了間際には、G大阪のFW妹尾直哉との1対1をストップ。後半のPKは止められずに同点とされたが、延長後半にクロスバースレスレの際どいFKを打たれた場面でもしっかりと外にかき出した。山田は「自分一人では何もできない。仲間に声をかけてみんなで守ることを意識している。ボールをずっと支配されていても、一番大事なゴール前はみんなで守れていた。そこまで不安はなかった。前半終了間際のところも、味方が体を寄せてコースを限定してくれていたので、止めることができた。余裕があるとまでは言えないけど、焦りはなかった」と試合を振り返った。

 この1年は、アスリートとしてストイックに生きてきた。熊谷浩二監督が就任し、ピッチ内外で「やるべきことをやる」ことを徹底することを学んだ。特に意識していなかった規定時間外の食事をやめ、ピッチ内でもGKには関係ないだろうとたかをくくって流していた素走りのメニューに真剣に取り組むようになった。「今までは、これぐらいでいいかと自分で限界を作っていたけど、毎回の練習に全力で取り組めるようになった。そうしたら、これだけやったんだから、自分は間違っていないはずだと思えるようになった」と精神的な落ち着きを得たことを明かした。自身初のビッグタイトルは、そうした取り組みの成果だった。卒業後は大学に進む。山田は「所属しているチームに勝利をもたらせる、大きな信頼を持って勝利に導ける選手になりたい」と意気込む。自ら手繰り寄せたタイトルを自信に変えて、さらなる高みを目指していく。

(取材・文 平野貴也)

◆[DAYS×ゲキサカ連動企画vol.38]鹿島アントラーズユースMF千葉健太(2年)(ゲキサカ)


http://web.gekisaka.jp/news/detail/?154200-154200-fl


[12.23 Jユースカップ決勝 鹿島ユース 1-1(PK4-3)G大阪ユース ヤンマー]

 優勝した鹿島アントラーズユースの中盤には、積極的にボールを奪いに行くMF千葉健太の姿があった。守備ブロックに入って来る相手に対し、厳しくプレッシャーをかけた。相手に近寄るだけではない、迷わずに体を当ててボールを奪いに行く激しいコンタクトプレーだ。技術に優るG大阪ユースとの決勝戦では後半に追いつかれた後は防戦を強いられて苦しんだが、PK戦の末に撃破。日本一を決めた直後のインタビューで、千葉は「僕たちがやってきたことは間違っていないと証明できたと思う」と笑顔を見せた。

 鹿島は、アカデミーでも一貫して徹底的に勝負にこだわる。運動量や球際での戦いを最重視する方向性は、技術や戦術理解を重んじる他のJユースとかなり異なる。スタッフも「うちは、高体連だからね」と冗談を言うが、Jユースの中で毛色の違うサッカーをしていることは認識している。ジュニアから、そのコンセプトの中で育って来た千葉は「鹿島には、歴史がある。アントラーズのトップチームには上手いプレーもあるけど、勝つためのプレーができるという長所がある。勝ちに徹する、勝ち方を知っているチーム。それは、勉強になっている。自分も勝つためのプレーができて、チームを勝たせられる選手になりたい。自分はあんまり上手くないので、気持ちの面や声を出すこと、球際の強さではチームメートにも誰にも負けたくない」と特に守備面で体を張ったプレーを見せ続けた。

 決勝では、G大阪の中盤の要であるMF市丸瑞希の動きをケア。試合途中に両足が痙攣を起こしたが、ただ「最後までやりたかった。そういうときこそ気持ちだと自分に言い聞かせていた」と戦い続けた。準決勝の清水ユース戦でも「自分のところでマイボールにしてやろうと思っていた」と中盤でボールを回収。雨で濡れたピッチを利用した超ロングスライディングタックルでボールを弾き、スタンドにざわめきを生む場面もあった。

 持ち味を発揮できた大会だった。しかし、満足はしていない。鹿島は、先発の半数以上が2年生。左腕にキャプテンマークを巻く千葉も2年生だ。「苦しい練習を乗り越えて来て、優勝できた。チームとしての成長を感じる。でも、個人としては、まだまだ。満足はしていない。今は守備を任されているし、自分も上手くないので割り切って(そこだけを)やっている。でも、来年は攻撃でも絡んでいけないといけない。そこも成長したい」と全国優勝の自信を胸に、さらなる躍進を誓った。

(取材・文 平野貴也)

◆“らしく”得たJユース日本一の座…受け継がれる鹿島の戦いで10年ぶり栄冠(サッカーキング)


http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20141224/261728.html


Jユースカップを制した鹿島アントラーズユースと優勝トロフィーを渡す村井Jリーグチェアマン [写真]=森田将義


 弟分たちにもトップチームと同じく王者の血が流れていた。U-18年代のクラブチーム日本一を決める2014 Jユースカップ 第22回Jリーグユース選手権は、12月23日に決勝戦を迎え、1-1(PK4-3)でガンバ大阪ユースを下した鹿島アントラーズユースが10年ぶり3回目の栄冠を手にした。

 序盤からG大阪にボールを持たれる時間が続いたが、サイドで持たせながら中央を粘り強く守り、ピンチを回避。危ない場面では警告すれすれの激しい守備で相手を止めてリズムを切った。カウンターを狙った攻撃では決定機が少なかったものの、42分には左からのFKをDF寺門宥斗が頭で押し込み先制。ここぞの場面を上手く射止める形で前半を終えた。

 後半は「我慢して我慢してという形だった」(DF町田浩樹)との言葉通り、G大阪に押し込まれる形に。特に64分に投入されたFW平尾壮に何度もドリブル突破を許しながらも前半同様に中央を固めて失点を回避していたが、84分にしびれを切らしPKを献上。これを決められ、試合は延長戦に突入した。延長戦でも試合が動かずに迎えたPK戦では事前のスカウティングが奏功し、GK山田晃平が2本のキックを阻止して栄冠を掴んだ。

「トップチームと比べるとまだまだ足りない」と熊谷浩二監督は笑うが、勝負強さは兄貴分を彷彿させるモノがあった。2000年の三冠達成を主力として支えた熊谷監督がコーチから監督へ昇格したのは今年から。「勝負に徹する、流れを見る」という指揮官が思う鹿島らしさ、サッカーの本質を身につけるべく、「当たり前のことを当たり前にやるように常日頃、伝えている。攻守の切り替え、球際の戦う部分、走るということは徹底的にやらせている」。

 Jユース勢にはボールを大事にすることを第一とするチームが多い中、異色とも言えるスタイルには当初、「戸惑いもあった」(千葉)。夏まではプレミアリーグでリードしながらも試合の終盤に失点し、勝ち星が奪えない苦しい時期を過ごしたが、10試合以上もこなしたトップチームとの練習試合が変化を生む。「トップチームとやると、技術的に天狗で入ってきた人間が体力、スピード、フィジカルでまったく通用しない。では、何をすれば良いのかとなると、『飯を食わなきゃいけないんだ』、『早く寝なきゃいけない』、『トレーニングしないといけないんだ』ということに気づかされる」(熊谷監督)と自らの立ち位置やサッカー選手としての姿勢を知る機会となり、全員が口を揃える夏以降の成長に繋がった。今大会でトップチーム同様の勝負どころを逃さない戦いを見せたのは決して偶然ではない。

 他と違うことは百も承知している。熊谷監督は「なぜか世の中の流れは、『今はサッカーがこうだよ』となると、傾いてしまう。高体連とクラブが別物とかそういうのではなくて、思いのある人間や個性のある指導者がたくさんいるはずなのに一つの方向に向いてしまうのは勿体ないし、上手い子が増えている中、それだけで終わるのも勿体ない」と話す。

「うちのサッカーがあって、それを打ち崩すポゼッションが出てくれば素晴らしいことだと思う。様々な色が出てくれば、日本のサッカーがもっと良くなっていくのかなと思う」と続けたように、今回の鹿島ユースが”鹿島らしく”獲った日本一が呼び水となるか注目したい。

文・取材/森田将義

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