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7月17日(水) 2013 J1リーグ戦 第17節
鹿島 1 - 1 磐田 (19:04/カシマ/6,681人)
得点者:65' ダヴィ(鹿島)、78' 金園英学(磐田)
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ポゼッションしながら、相手の隙を探り、端緒を見つけたら一気にスピードアップしてゴールに襲いかかる。互いに得点へのアプローチや哲学が同じと感じられる戦いは、見応えのある攻防の連続だった。
序盤、ペースを握ったのは就任後、3試合連続で勝点を得ている関塚隆監督率いる磐田だった。ボランチの1人が最終ラインに落ちてビルドアップを助ける一方、サイドバックは高い位置に押し上げ、前線の4人が流動的に動く。ユニホームの色が違うため、両チームの見分けは簡単についたが、動きだけを見れば鹿島のサッカーと非常に似た哲学を感じさせた。就任からわずかな時間で、ここまで浸透させるとは、関塚監督の手腕の確かさを感じさせた。
しかし、バイタルエリアまで侵入することはできても、そこからあと一歩が及ばない。山田大記や前田遼一が見せ場を作る場面は少なく、むしろ松浦拓弥を狙った宮崎智彦の好クロスを、前田がトラップしてしまい好機を逸するなど、それぞれの長所が融合して、さらに能力を倍加するところまでは至っていなかった。
「20分、25分過ぎからやっと試合のペースやリズム、相手の戦う意識のレベルに合わせられるようになった」
トニーニョ セレーゾ監督の言葉通り、前半途中からようやく鹿島の動きに精彩が戻ってくる。押し込まれていた展開を、五分五分までに戻すのだった。しかし、完全にペースを握るまでには至らない。その理由として、磐田の守備のやり方があげられるだろう。DFラインに山村和也が入るようになってから、ビルドアップに改善が見られ、センターバックのどちらかがボールを前に運ぶことでリズムをつくり出していた。しかし、この日の磐田は前田、松浦を鹿島のセンターバックに当ててきた。そのため、これまでの1トップで守ってくる相手のようにはいかない。
「ボランチとうちらが下がって受けないと。もっと流動的にやれればよかった」と遠藤康が振り返ったとおり、生きたボールが中盤に入らない。パスの出し手である青木剛も「自分たちにもプレッシャーに来ていたし、ボランチも狙っているような感じがした」と警戒しながらパスを探したため、内と外を使い分けるバランスが悪く、どうしてもサイドに展開されるばかりになってしまった。
試合が膠着すれば、それを突き破るのは個人の能力だ。まず魅せたのは鹿島のダヴィ。65分、自陣で自らボールを奪うとパワフルなドリブルで突き進み、大迫勇也とのワンツーでゴール前に侵入。最後はボールを左足に持ち替えて、追ってきたDFと入れ替わり、鋭いシュートを突き刺した。
しかし、磐田も積極的な交代策で鹿島の逃げ切りを許さない。78分、金園英学が、鋭い動きで青木のマークを外すと、そこにペク・ソンドンのクロスがピタリ。難しい体勢でのヘディングシュートだったが、金園の身体能力を存分に生かした同点弾で追い付いてみせるのだった。
そして、試合はそのまま終了。ホイッスルが鳴り響くと、呆然と立ち尽くす青木。金園の周りで結果を喜ぶ磐田の選手たちとは対象的なコントラストが描かれていた。
失点が止まらない鹿島。大事な場面での個の能力が勝敗を分けてしまっている。1-0で勝てないのなら逃げ切り策を考えるか、2-0、3-0にする方法論が欲しいところだ。
J1で唯一、監督交代があっただけに、他チームに追いつくためにも完成度をあげたい一方の磐田は、これで4戦負けなしと着実に勝点を積み重ねている。とはいえ、攻めあぐねた時間が長かったのもまた事実。ボランチから効果的なパスが出るようになれば、もっと多彩な攻撃が仕掛けられるだろう。それぞれに、個の能力を高めて再開に臨みたいところだ。
以上
2013.07.18 Reported by 田中滋