ナイキ(NIKE) 2019 鹿島アントラーズ 2ND 半袖 レプリカ ユニフォ...
コロンビア戦で交代出場ながら日本代表デビューを飾り、続くボリビア戦には初先発を果たした安西幸輝(鹿島アントラーズ)。いま売り出し中の左サイドバック(SB)は、それから中3日で行なわれたJリーグ、ジュビロ磐田戦でも引き続き、生きのいいプレーを見せた。
磐田に先制を許し、追いついたものの同点止まり。鹿島にとっては不本意な結果ながら、安西はチームの追い上げムードを牽引した。両軍選手のなかでもっとも生きのいいプレーを披露した。左のタッチライン際をタイムアップ寸前まで駆け上がった。
長友佑都(ガラタサライ)とイメージが重なる。安西は172cmで長友は170cm。小柄なSBという点で一致するが、プレースタイルも似ている。特に若い頃の長友は、いま以上に生きがよく、タッチライン際でアップダウンを何度も繰り返した。それと同種のインパクトがいまの安西にはある。
その長友と入れ替わりで安西は森保ジャパンに招集された。今年1月のアジアカップに左SBとして招集されたのは長友佑都と佐々木翔(サンフレッチェ広島)で、続くコロンビア戦、ボリビア戦では長友が外れ、佐々木と安西がそれぞれの試合で先発を飾った。試合終盤は、それぞれお互いの交代選手として出場している。
長友は現在32歳。カタールW杯開催時(2022年11月)には36歳だ。難しい年齢を迎えている。常識的には後任を探すべき段階に入っている。
森保一監督はアジアカップまで、佐々木をその1番手として扱ってきた。今回のコロンビア戦も、その佐々木に先発の機会を与えた。安西の代表デビューはその試合の後半44分。そして続くボリビア戦には、晴れてスタメン出場の機会を得た。採点するならば10段階で5.5となる。
両者のタイプは違う。佐々木は所属の広島では3バックの左サイドでプレーする。ディフェンダー色の強い選手であるのに対し、安西はひと言でいえば長友似だ。攻め上がりが得意のSBだ。日本が長友路線を追求するならば、自ずと安西のプライオリティは上昇する。
ロシアW杯。日本がベスト8入り寸前まで迫ることができた要因は様々だろうが、一番は”小ささ”だった。外国の大きな選手に対し、小柄な日本人選手の巧緻性、俊敏さは、大きな効果を発揮した。相手にとって嫌らしい動きになっていた。
長友はその中心にいた。左ウイングで構えた乾貴士(アラベス)とのコンビネーションは、日本の生命線になっていた。
乾の2ゴールはその産物だった。それまで、ともするとムラッ気が多いプレーが目立った乾が、本番で大活躍した原因は、長友にあった。背後で構える左SBが、乾を孤立させなかったことと大きな関係がある。小柄な2人のコンビネーションプレーこそ、相手の一番の脅威になっていた。
小ささは、それまでどちらかと言えばハンディになると考えられていた。その認識に誤りがあることを示してくれたのがロシアW杯だった。小ささはむしろ武器になる。そうした思考に基づくと、安西が俄然、貴重な選手に見えてくる。長友の後任に推したくなる。
とはいえ、J1でのプレーはこれが2シーズン目だ。出身はいまをときめく東京ヴェルディユースで、鹿島に入団したのは昨季になる。1年前のいまごろ、安西の代表入りを予想した人は何人いただろうか。
鹿島はSBに優れた人材が揃っていて、右は西大伍(現ヴィッセル神戸)と内田篤人、左にもクレバーで堅守を誇る山本脩斗がいた。そこで安西の武器となったのが、持ち前の多機能性だった。
先のコロンビア戦、ボリビア戦には左SBとして出場したが、安西は右SBでもプレー可能で、さらに左右の両サイドハーフもこなすことができる。
これが鹿島で、絶対的なレギュラーでもないのに、1年目から28試合に出場することができた理由に他ならない。出場時間2201分は、クォン・スンテ、鈴木優磨、三竿健斗に次ぐチームで上から4番目の数字になる。
SBで右も左も可能な選手はそう多くいない。ロシアW杯で代表引退を表明した酒井高徳(ハンブルガー)こそ左右両SBをこなし、ポーランド戦では4-2-3-1の3の右として出場したが、安西の方がサイドアタッカーとしての威力は上だ。
特にその走力はJの舞台では断トツで、何と言ってもタフである。エンジンにたとえるなら、排気量が違うという感じだ。忍者のごとく足を地面に擦(す)るように走る長友に対し、安西は太ももをよく引き上げ、元気いっぱい弾むように走る。お互いアスリート系ながら、タイプは若干異なる。
安西が長友に劣る点は、ウイングとのコンビネーションだ。先発したボリビア戦で乾と縦の関係を築いたが、ロシアW杯における長友・乾の関係にはほど遠かった。
サイドアタッカーのタイプは大きく分けて2つ。将棋の香車型と言うべき直線型と、周囲とコンビネーションを図りながら、ジワジワと前進していく連携型になる。長友が年齢を重ねるごとに前者から後者のタイプに変化していったのに対し、安西は直線的だ。現在23歳。32歳の長友と比較して考察するのはナンセンスとはいえ、コンビネーションプレーの追求も、レベルアップには欠かせないテーマになる。
安西の1学年年上で、森保ジャパンで不動の左ウイングになりつつある中島翔哉(アル・ドゥハイル)は、ともにヴェルディユースに所属していた同門の間柄だ。お互い小兵でもある。ロシアW杯で乾、長友が発揮したものよりワンランク上質のコンビネーションを、やがて安西と中島には発揮してほしいものだ。
サッカーはSBで決まる。SBと両ウイングのコンビネーションで決まる――とは、欧州サッカーの常識だが、その日本への浸透と安西の活躍は、密接な関係になる。長友で一歩向上した日本のSBのステイタスを、安西にはもう一段押し上げる役割を果たしてほしいものである。
◆鹿島の安西幸輝がポスト長友になる。 タフさと小柄は日本の武器だ(Sportiva)