【送料無料】シュライヒ スマーフ サッカー・スマーフ審判 フィギュア 20809
日刊鹿島アントラーズニュース
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2020年8月31日月曜日
◆大荒れの柏対鹿島。プロスポーツとしてのエンターテイメントになっていたのか?(サッカーダイジェスト)
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確かに選手の心情も察することはできるが…
Jリーグオフィシャルスタッツの「J STATS」によると、ファウル数は両チーム合わせて30。柏対鹿島は大荒れだった。少し落ち着いた後半と比べると特に前半はより酷く、45分間で18回も試合が止まり、イエローカードは前半だけで合計4枚も出ている。
立ち上がりは両チームとも球際を激しく戦い、見応えのあるゲームだった。気迫のこもったプレーは大事だし、そのなかでファウルは起こり得る。だが次第に試合が荒れていくと、アフターチャージが増え、なかにはボールに関わっていないところで手や足が出ている選手もいた。そして、その都度、選手がピッチに倒れたり、抗議が長くなり、ゲームが止まる。
確かに選手の心情も察することはできる。不可解なジャッジも多々あったし、加えてファウルの基準も曖昧だった。フラストレーションを溜めるのは無理もない。審判のエクスキューズを探すなら、「人がやることだからミスもある」「コロナ禍でVARを活用できないのだから」などと見る向きもあるかもしれないが、選手にプロフェッショナルを求めるのであれば、それは審判も同様。なので試合をコントロールできなかった柏対鹿島の審判団を擁護はできない。
だからと言って、すべての責任を審判に押し付ければ、なんでも許されるのかという疑問が残った。個人的な見解で言えば、ずる賢いプレーや自チームに有利なジャッジになるように審判と駆け引きすることも、ゲームを形づくるひとつの要素として納得はできる。筆者も学生時代から愛好してきた海外サッカーなどでも日常茶飯事で、それをエンターテイメントのひとつとして楽しんでもいた。だが、柏対鹿島のファウルの応酬を「サッカーはこういうものだ」と受け入れるのは難しい。
理由となる違いは理性である。感情的にあるいは意図的にファウルを犯す選手が増えて試合が荒れるとともに、プレーの質が落ちて、ゲームの魅力が低下していた。だから、ファウルが「激しい攻防のなかで起こり得る仕方がないものなのか」、抗議が「マリーシア(ずる賢さ)や駆け引きに該当するものなのか」という疑念が拭いきれなかった。特に前半、そうして何度も試合が止まる大荒れの展開で、プロスポーツとしてのエンターテイメントになっていたのだろうか。
「見ている側の方々にとっても気持ち良いサッカーを見せるようにしなければいけない」
オンライン取材に登壇した選手に率直なクエスチョンを投げかけた。「特に前半、ファウルで試合が止まる回数が多かったですが、激しい球際のなかで起こり得るものだったのか、選手としてピッチ上でどう感じましたか?」と。困らせてしまい申し訳ない質問に答えてくれたのは古賀太陽である。
「えーと、そうですね……。もちろん、ボールホルダーに対して強くいくことだったり、潰さないといけないところで潰し切らないといけないシーンもあるとは思いますけど、今日は止まる時間がすごく長かったなというのは、やっていてもすごく感じた部分はありました。レフェリーを囲んでしまうシーンもすごく多かったと思います。
やっぱり、そういうシーンはプレーしている側でも、あんまり多くあってほしくないと思う。過剰に熱くなり過ぎていたんじゃないかなと、個人的には思いますね。僕もそういうのを抑えられるように、なるべくチームに発信していかなければなと思いますし、もう少し見ている側の方々にとっても気持ち良いサッカーを見せるようにしなければいけないと思います」
原因を誰かひとりに集中させるのは違うのかもしれない。徐々にストレスが広がってエスカレートし、前半の試合は半ば壊れてしまった。もちろん古賀のように冷静な選手もいたが、本人が反省したように、ファウルの応酬や時間のかかる抗議を抑えられる人は審判も含めて誰もいなかった。
もっとも、少しの荒さは残りつつも、前半に比べれば落ち着いた後半は計5ゴールが生まれた白熱の展開だった。連戦続きで疲れもあるのは分かるが、正常であれば、プレーで十分に魅了できる選手たちなのだから、お金を払って観ているファン・サポーターたちを90分通して楽しませてほしい。もちろん、審判も選手と同様に疲れがあるのかもしれないが、次はフェアでエキサイティングなゲームになるよう、しっかり試合をコントロールしてもらいたいと願っている。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
◆【J1採点&寸評】柏2-3鹿島|土壇場2ゴールの土居がMOM! 同じく最高評価の「7.5」は…(サッカーダイジェスト)
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[J1リーグ13節]柏 2-3 鹿島/8月29日/三協F柏
鹿島――三竿が見事なミドルシュートを決める
【チーム採点・寸評】
鹿島 6.5
数的優位のなかで2失点は反省材料だが、1ゴール・1アシストの三竿、2得点の土居の活躍で逆転。個の力が光り、またチームとしても土壇場での意地が垣間見えた会心の勝利だ。
【鹿島|採点・寸評】
GK
31 沖 悠哉 5.5
確かにオルンガのシュートも素晴らしかったが、同じ角度から同じコースに2点も決められたのは悔やまれる。
DF
37 小泉 慶 6(61分OUT)
古巣対戦で、球際の激しい気迫のこもったプレーが際立っていた。
39 犬飼智也 5.5
57分、三原へのチャージが永戸と被り、そこから失点。CBらしく指示も必要だったか。
33 関川郁万 5.5
57分にはオルンガに競り負け、セカンドボールへの反応も遅れて失点した。
14 永戸勝也 6
自身のサイドから2失点も、71分にはクロスで同点弾の起点に。89分にも土居のゴールをアシストした。
MF
4 レオ・シルバ 6(61分 OUT)
セカンドボールを精力的に拾い、正確なフィードを織り交ぜた攻撃の組み立ても光った。
20 三竿健斗 7.5
71分、ペナルティエリア手前でクリアボールを拾い、ゴール左に見事なミドルシュートを突き刺す。パスで崩しきれないなか、貴重な同点弾だった。後半アディショナルタイムには、正確なクロスで土居の逆転弾をアシスト。MOMの土居と同等レベルの活躍だったと言える勝利の立役者だ。
鹿島――途中出場の土居がチームを救う2得点
MF
7 ファン・アラーノ 5.5(54分OUT)
29分にはペナルティエリア手前でトラップミスしてチャンスをフイに。その他の時間帯でも、相手の激しいプレッシングに苦しんでいた印象だった。
11 和泉竜司 6(79分OUT)
29分には鋭いボール奪取からチャンスメイク。後半途中から右SBでプレーしてユーティリティ性を発揮した。
FW
19 染野唯月 6(54分OUT)
技術が高く、身体の使い方も上手い。前線でよくボールを収めていた。
9 エヴェラウド 5.5
味方との連係から何度かゴールに迫ったものの、最後はシュートブロックされるケースが目立った。
交代出場
MF
26 荒木遼太郎 6(54分IN)
得点やアシストはできなかったが、守備に奔走しつつ、随所に高度なテクニックを魅せた。
MAN OF THE MATCH
MF
8 土居聖真 7.5(54分IN)
89分には、左サイドからのクロスを天才的なアウトサイドタッチで合わせて同点弾を決める。そして後半アディショナルタイムには、今度は右サイドからのクロスを頭で合わせて逆転ゴール!! 途中出場から、短い出場時間でチームを救う2得点を奪ったため、MOMに選んだ。
FW
36 上田綺世 6(61分IN)
巧みな動き出しからロングボールを収める。ゴールにはならずも、鋭い反転シュートも見せた。
MF
25 遠藤 康 5.5(61分IN)
アイデアあるスルーパスも狙ったものの、チャンスにはつながらなかった。
MF
6 永木亮太 ―(79分IN)
正確なクロスを数回入れたが、決定機にはならなかった。
監督
ザーゴ 6.5
途中出場の土居が2ゴールを決め、見事に交代策が的中。積極的な采配が功を奏した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
◆【J1採点&寸評】柏2-3鹿島|土壇場2ゴールの土居がMOM! 同じく最高評価の「7.5」は…(サッカーダイジェスト)
2020年8月30日日曜日
◆鹿島MF土居「内田さんにささげる」劇的逆転2発(ニッカン)
日経ウーマン 2020年8月号【雑誌】【1000円以上送料無料】
<明治安田生命J1:柏2-3鹿島>◇第13節◇29日◇三協F柏
内田篤人さんの引退を力に変えた鹿島アントラーズMF土居聖真(28)が2分で2点を決めて、中2日での3連戦ラストを劇的な逆転勝利に導いた。
後半9分にピッチに立つと、1-2の同44分にDF永戸の左クロスを右足で合わせ、2分後の同ロスタイム1分にはMF三竿の右クロスを頭で決めた。
内田さんのラストマッチとなった23日のガンバ大阪戦前日は、練習後一緒に風呂に入って隣で涙を流した。24日の引退会見にも立ち会い、その場で内田さんから「これからいろいろ背負ってもらわないといけない部分もたくさんある。ピッチ外での仕事も年齢的にはやってもらいたい。これからきっと、もっともっと活躍してくれる」と今後の鹿島を託された。
そんな土居は「『内田さんのために勝とう』と口にしなくても思っている選手もたくさんいると思う」とあらためて内田さんという存在の大きさを強調し、「内田さんにささげるゴール、勝利を与えられてすごくうれしい。それが原動力にもなっている」と話した。試合後はすぐに「俺にささげるゴールありがとう」と連絡が来たことも明かした。
鹿島が中2日だったのに対して、柏は中5日。チームは試合前から「相手のプレッシャーや強度を上回る入りを見せよう」と話していたといい、有言実行のパフォーマンスで勝利をたぐり寄せた。
この試合含めて、鹿島は8月のリーグ戦7試合中4試合で後半ロスタイムに得点した。さらに途中出場の選手の得点は今月、ルヴァン杯を含めて19点中8点と、ザーゴ監督の采配も的中している。7月はわずか1勝だったが、8月はリーグ戦4勝2分け1敗、うち3試合は逆転勝ちと勝負強さが出てきた。【杉山理紗】
◆鹿島MF土居「内田さんにささげる」劇的逆転2発(ニッカン)
◆鹿島MF土居「あきらめずに」劇的2分間で2発(ニッカン)
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<明治安田生命J1:柏2-3鹿島>◇第13節◇29日◇三協F柏
鹿島アントラーズはMF土居が2分で2得点し、柏に3-2で逆転勝ちした。
前半ロスタイムに相手DFの退場で数的優位に立つもなかなか決定機をつくれず、後半12分にはFWオルンガに先制点を許した。土居は後半9分からピッチへ。その後、両チーム1点ずつ決めてなおリードを許す苦しい展開だったが、後半44分に左サイドバック永戸のクロスをニアサイドで右足で合わせると、ロスタイム1分にはMF三竿の右クロスに頭で合わせ、「あきらめずにゴールを目指してよかった」とすがすがしい表情をみせた。
7月までは開幕4連敗でわずか1勝と苦戦したが、8月はリーグ戦4勝2分け1敗と調子を上げた。ザーゴ監督の求めるサッカーが浸透してきたことに加えて、形にとらわれすぎず、選手各自がある程度自由にプレーできるようになった。2連勝でいずれも逆転勝ち。内田篤人さんの引退会見に立ち会った生え抜きのプロ10年目が、チームを救った。
◆鹿島MF土居「あきらめずに」劇的2分間で2発(ニッカン)
◆死闘・電撃・大逆転! 鹿島が1人少ない柏を最後に振り切る◎J1第13節(サッカーマガジン)
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8月29日の明治安田生命J1リーグ第13節では、柏レイソルと鹿島アントラーズが激突。前半から激しい肉弾戦が繰り広げられる展開は柏が2度のリードを奪うのだが、鹿島が終了直前に電撃的に2点を奪って勝ちきった。
■2020年8月29日 J1リーグ第13節(@三協F柏:観衆2,728人)
柏 2-3 鹿島
得点:(柏)オルンガ2
(鹿)三竿健斗、土居聖真2
勝って称賛、負けて敬意
夏の終わりの死闘だった。
柏レイソルが2-1でリードして迎えた89分、鹿島アントラーズの土居聖真が左からの永戸勝也のクロスをニアで流し込むと、その2分後のアディショナルタイム1分に今度は右からの三竿健斗のクロスをまたも土居がヘッドでゴール。1人少ない柏を攻めあぐねながらも、最終盤の電撃的な連続ゴールで鹿島が振り切った。
序盤はセカンドボールを柏が次々に回収していく展開。激しく、というよりは、いるべきところに選手がいて自然に収めていった。拾ったボールはボランチの大谷秀和、サイドバックの三丸拡、サイドハーフのマテウス・サヴィオで運んで、左サイドの攻撃が機能していく。
ところが徐々に、ピッチでは不穏な空気が濃くなっていく。30分前後から激しいチャージの応酬が続いて試合が途切れがちに。すると、前半アディショナルタイム5分に柏の高橋峻希が2度目の警告を受けて退場。柏は11分に高橋祐治が、39分にマテウス・サヴィオが負傷で交代を余儀なくされていて、前半のうちに「三重苦」を受けることになった。どちらも複数の選手が関わって作ったビッグチャンスがあっただけに、それを打ち消すようなラフプレーが水を差す展開になった。
ただ、最初のゴールが1人少ない柏の方に生まれたから、一気に活性化していく。57分にGK中村航輔のロングキックから右サイドでオルンガが競り合い、中央にこぼれたところを拾った三原雅俊が再び右のオルンガへ。これを狙い済まして左足でゴール左隅に流し込んだのだ。
そうなると、ここからは鹿島の大逆襲のターン。荒木遼太郎、土居聖真、上田綺世、遠藤康を次々に投入、攻撃の圧力を強めていく。これが実ったのが72分で、左サイドの永戸のクロスがこぼれたところを、中央から三竿健斗が左足で蹴り込んで同点とした。
さらに鹿島が攻勢に出るが、それをあざ笑うかのように決めたのがオルンガだった。84分に左右にボールを振って揺さぶると、最後はオルンガが左足で強烈にゴールを撃ち抜いて、またもリードを奪った。
だが、さすがに1人少ない時間が長い柏の選手の足が止まって、最後の最後で逆転を許してしまう。土居の連続ゴールも、空いたサイドのスペースを使われてクロスを止めきれなかったことが要因だった。
鹿島のザーゴ監督は現役時代を過ごしたスタジアムでの勝利に「全員で勝った」と笑顔。「相手は週中に試合がなかったので、こちらは普段以上に全員で戦わなければならないと強調していた」とリードされても落ち着いてプレーした選手全員を称えた。敗れた柏のネルシーニョ監督も同じように「選手に感謝を伝えた」と話した。「前半の時点で2人がケガ、1人が退場となり、不利な状況が続いた。結果は出なかったが、敗戦から勝ち得たものは大きかった」と戦い抜いた選手に敬意を評した。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
◆オルンガが2発も、途中出場の土居聖真が土壇場2ゴールで逆転!! 鹿島が3-2で柏を撃破(サッカーダイジェスト)
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前半だけでイエローカードは計4枚と荒れ模様の試合に
J1リーグの柏レイソル対鹿島アントラーズが8月29日、三協フロンテア柏スタジアムで行なわれ、アウェーの鹿島が3―2で勝利した。
立ち上がりは鹿島が激しいプレッシングと素早い攻撃を仕掛け、攻守で気迫のこもったプレーを見せた。何度か柏にパスでかいくぐられるシーンはあったものの、それでもプレスの強度は緩めない。
球際を戦っていたとはいえ、両軍ともにラフプレーが徐々に多くなってファールでゲームがよく止まり、しばらく落ち着きのない展開が続いた。加えて、柏は11分に高橋祐治が、39分にマテウス・サヴィオが相手と接触してピッチに倒れ込み、プレーを続行できずに交代した。
両チーム合わせて、前半だけでイエローカードは計4枚で、前半アディショナルタイムには2度目の警告で高橋峻希が退場。目立ったチャンスよりも、“荒れた”印象が強く残ったままハーフタイムを迎えた。
後半に入ると、柏はイエローカードをもらっているヒシャルジソンを下げ、三原雅俊を投入。そして数的不利に陥った影響もあり、自陣に引き込まざる得なくなった。こうして大荒れのゲームはようやく、ポゼッションで敵陣に押し込む鹿島に対し、柏がカウンターで応戦する構図で落ち着いた。
すると57分、柏が均衡を破った。ペナルティエリア右の手前でルーズボールを拾った三原がオルンガへボールを預ける。パスを受けたオルンガはすかさず左足を振り抜き、左サイドネットに正確なシュートを決めた。
リードを許した鹿島は攻勢を強め、ゴール前まで攻め込むも、水際で身体を張ってシュートブロックする柏の守備を崩せなかった。だが72分、パスで崩せなくても、クリアボールを拾った三竿健斗が見事なミドルシュートを決め、同点に追いついた。
しかし数的不利の柏が突き放す。84分、右サイドで江坂任のシュートはブロックされたが、こぼれ球を拾ったオルンガがすぐに左足を振り抜く。低弾道のショットは1点目と同じコースに突き刺さり、勝ち越しに成功した。
終盤に入るとオープンな展開となり、鹿島が土壇場で意地を見せる。89分に左サイドからのクロスを途中出場の土居聖真が巧みに合わせて同点に追いつき、後半アディショナルタイムには再び土居が今度は右サイドからのクロスを頭で決めた。
終了間際にゲームが大きく動き、鹿島が3-2で勝利。アウェーチームが貴重な勝点3をもぎ取った。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
2020年8月29日土曜日
◆J2町田MF平戸“ウッチー魂”継承の誓い…鹿島時代に助言もらった「自分も頑張らないと」(スポニチ)
鹿島アントラーズ三連覇[本/雑誌] (単行本・ムック) / 茨城新聞社
J2町田のMF平戸太貴(23)が、“ウッチー魂”の継承を誓った。チームは28日、次節30日のホーム岡山戦に向けて非公開調整。前節22日の山口戦に続く2戦連発がかかる一戦を前に「今、自分たちがやっていることを続けること。最後の最後に決めきることができれば、チームの状態も上がってくる」と力を込めた。
今月20日に現役引退を発表した鹿島のDF内田とは、昨季途中までともにプレー。引退発表の報には「まだやれるんじゃないかという思いと、ケガで苦しんでいたのを近くで見ていたので。寂しい気持ちはあるけど、より一層、自分も頑張らないといけない」。驚きながらも、平戸は気持ちを引き締め直した。
鹿島時代は内田と同じ右サイドバックを任され、昨年3月のACL1次リーグ初戦(対ジョホール・ダルル・タクジム)では、初出場にして鹿島での初得点を挙げた。「よく、試合中や試合後にアドバイスをくれた。ポジショニングだったり、1対1の対応だったり」と振り返る。偉大な先輩から受け継いだ礎は今も生きている。
内田の引退発表を受け、平戸はすぐに感謝の連絡をした。返信には「しっかりと頑張れ。しっかりと稼げよ」とあったという。「個人としてもチームとしても、結果を出せるように頑張りたい」と平戸は言った。昨季途中に“Uターン”で戻ってきた町田で、一花を咲かせる。それが、内田への恩返しとなる。
◆J2町田MF平戸“ウッチー魂”継承の誓い…鹿島時代に助言もらった「自分も頑張らないと」(スポニチ)
◆【柏vs鹿島プレビュー】仕切り直しのゲームに臨む柏…復調傾向の鹿島はアウェイ戦2連勝なるか(サッカーキング)
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■柏レイソル チームにとってもエースにとっても再スタートの一戦に
【プラス材料】
前節の大分トリニータ戦はスコアレスドローに終わったが、神戸、大分という遠方のアウェイ2連戦で勝ち点4を獲得したことは悪い結果ではない。相次ぐセンターバックの負傷離脱で懸念された守備面も、大分戦では4試合ぶりの無失点に抑えた。
一時は心配された負傷者の続出も、第11節のヴィッセル神戸戦からMFマテウス・サヴィオが復帰。しかも途中出場でゲームの流れを変えるプレーを見せた。前節はセンターバックのDF鎌田次郎がベンチ入り。さらにネルシーニョ監督によれば、7月のリーグ戦再開以降、欠場が続くFWクリスティアーノが「復帰に向け、調整の最終段階に入っている」という。クリスティアーノの実戦復帰はまだ未定だとしても、ケガ人が次々と戦列に戻ってきているのは何よりの朗報だ。
【マイナス材料】
これまで9試合続いてきたチームの連続得点が途絶え、それと同時にFWオルンガの連続得点記録も「7」でストップした。前節は大分のコンパクトな守備ブロックの攻略に手を焼いたことに加え、真夏の連戦で、しかも遠方のアウェイ2連戦だったことが影響したのか、全体的に精彩を欠き、オルンガも決定的な場面でシュートをふかすなど、これまでと比較すると体の重さが感じられた。
その動きの重さは守備面でも見られ、相手のパス回しに対してプレッシングがかからず、逆に走らされるケースが目立つ。前節、水際で耐えて無失点に抑えたことは評価できるが、夏場の消耗の激しさを考えれば、自分たちがボールを保持して試合をコントロールする時間を増やしたいところだろう。
文:鈴木潤
■鹿島アントラーズ 臨戦態勢は整った。先手を取られなければ勝機は十分にある
【プラス材料】
2-1で逆転勝ちを収めたミッドウィークの第26節・FC東京戦は、今季で最も充実した試合内容だった。アウェイで勝ち点3をもぎ取れたことと同じくらい価値があったのは、センターバックで先発したDF関川郁万のプレー。強弱をつけた守備は一皮むけた印象をもたらした。
また、MFファン・アラーノに遅ればせながら、加入後初得点が生まれたことも大きい。チームとしては、ディフェンスラインの背後を利用してスルーパスとクロスで2ゴール。3人目の動きやダイレクトプレーが増え、チャンスの質を上げることができている。
ここまで鹿島アントラーズにしては悪い結果となっているが、選手同士の相互理解、アントニオ・カルロス・ザーゴ監督のサッカーが浸透。いよいよ勝ちにいける態勢が整ったと言えるだろう。
【マイナス材料】
今季、右サイドバックの主戦を担ってきたDF広瀬陸斗が第12節・ガンバ大阪戦で負傷して戦線を離脱した。内田篤人氏の引退もあり、過密日程を戦う向こう1カ月は手薄なポジションとなってしまった。移籍登録ウインドーが閉まるタイミングが間近に迫っていたため、他のクラブから獲得も間に合わず、現有戦力で戦うしかない。MF小泉慶とDF伊東幸敏の2人を中心に起用していくことになるが、連戦による蓄積疲労やケガのリスクが懸念される。
試合内容に目を移せば、先制点を与えることが多いため、パワーを使う試合が続いている。G大阪戦で同点に追いつき、FC東京戦では逆転に成功しているここ2試合の背景に、それだけ多くの体力を消耗したことを心にとどめておきたい。
文:totoONE編集部
◆【鹿島】「見返したい」小泉慶が“古巣”柏戦へ闘志を燃やす!内田篤人との意外な類似点は…(サッカーダイジェスト)
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◆【鹿島】「見返したい」小泉慶が“古巣”柏戦へ闘志を燃やす!内田篤人との意外な類似点は…(サッカーダイジェスト)
「篤人さんとは今年始まってからずっと、一緒に練習する機会が多かった」
鹿島アントラーズは8月28日、試合前日の練習後にオンライン上で会見を行なった。
翌日に対戦するのは柏レイソル。ザーゴ監督が現役時代にプレーしたチームで「特別な想いがある」と語る相手だが、監督以外にもそんな“特別”な想いを抱えているのが、ボランチやSBを務める小泉慶だ。
「僕はレイソルで成功してここに来たわけではありません。当時はベンチ外や紅白戦にも出れないこともあった。今はアントラーズの選手なので、レイソルについてどうこう言うことはありませんが、負けたくない、見返してやりたいじゃないですけど、そんな想いは持っています」
2014年にアルビレックス新潟でプロキャリアをスタートさせた小泉は、18年に柏へ移籍。初年度はリーグ戦27試合に出場するが、翌年は1試合の出場に留まった。そんな昨季の途中に柏から鹿島へ完全移籍。7試合に出場し、攻守にタフに戦える姿勢をアピールしていた。今季はリーグ戦3試合、カップ戦2試合の出場となっている。
そんな小泉が転機を迎えたのはメンバー外だった23日のガンバ大阪戦だ。これまでリーグ戦10試合に出場していた右SBの一番手、広瀬陸斗が前半のうちに負傷退場(後日、全治2か月の診断を受ける)。交代出場の内田篤人はこの試合で引退し、しのぎを削っていた2人が揃って抜ける事態となった。
直後に行なわれた26日のFC東京戦でザーゴ監督がそのポジションを託したのが、本職の伊東幸敏、右SBでの起用も多い永木亮太ではなく小泉だった。
「SBでの出場だったので、対人の部分でやられてしまうと戦術どうこうでは無くなってしまうので、対人プレーで絶対に負けない。ボールを持った時には力み過ぎず、自然体でプレー出来れば良いところが見えてくると思ったので、自然体のプレーを心掛けました」と奇しくも引退した内田と同じようなプレービジョンを語った。
「篤人さんとは今年始まってからずっと、一緒に練習する機会が多かった。なかなかお互いにベンチに入れないことも多かったので。そういう時にはよく声もかけてもらいました」
引退したクラブレジェンドを今季最も間近で見てきた小泉が、ピッチ上でその不在を感じさせないプレーを披露できるか。「負けたくない」と語る古巣戦に闘志を燃やしている。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
◆【鹿島】オルンガの供給源を断つ! ザーゴ監督「勝って1ケタ順位に上げる」(サッカーマガジン)
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鹿島アントラーズのザーゴ監督は27日、柏レイソル戦を前に取材に応じ、意気込みを語った。前節は中2日で臨んだ試合ながらアウェーでFC東京に勝利を収め、柏戦も中2日で迎える厳しい日程ながら現役試合にプレーした古巣との対戦で勝利を誓った。
結果が伴い、自信も深まってきた
前節、敵地でFC東京に逆転勝ちし、中2日で柏レイソル戦を迎える。選手の疲労度は考慮しつつも、ザーゴ監督はこれまで通りのスタンスで試合に臨むつもりだ。攻撃面は継続が基本。それはチームの成熟を実感するからであり、選手が自信を持ち始めて好循環に入ったことを強調した。
「神戸戦もG大阪戦もビハインドを背負ったところからやるべきことをやり続けて同点に追いつき、FC東京戦では同点、逆転までいけました。当然、(今季の立ち上げから)これだけ時間が経っているので選手たちもチームとして何をまずやるべきなのかを理解していますし、それを実行に移すことができるようになってきました。
結果が悪ければ、自信を持てないものですが、ここ最近は結果が伴ってきているので自信も深まってきた。選手それぞれが自信を取り戻したことで、個の力も表現できるようになってきました。もちろん、まだまだ精度や質を上げていかなければいけない部分はあるんですが、パス1本、クロス1本、フィード1本を取っても自信を持ってやれるようになっている。コーチング一つとってもそうです。声がけが自分にとっても味方にとってもいいものになっている。それはチームとして変わってきているところではないかなと思います」
勝ち点をしっかり積んでいることでポジティブな変化も起き始めているという。変化と言えば、守備時のセットプレーもその一つだろう。前回のFC東京戦(7月26日)ではCKから2失点を喫したが、一昨日のFC東京戦は常に相手よりも先にボールに触り、鉄壁を築いた。失点もオウンゴールによる1点のみ。
「すべては選手自身の変化じゃないかなと思います。(セットプレー時の守備は)5枚がゾーンで4枚がマンツーマンというミックスした守り方はやっているんですが、やり方が変わったというよりも、選手たち個人の意識の変化が大きい。セットプレーでは絶対に失点しないんだという気持ちからスタートすべきで、そこからゾーンの選手とマンマークの選手で、どういう駆け引きが必要なのかとかを意識すべき。ポジティブな結果が出ることによって、自信も深まってきました。だからここ数試合はセットプレーから危ない場面が減ったと思います。
以前はCKなどセットプレーになるとみんなが慌ててしまい、自信なそうに構えることもあった。それについては選手たちにも話しましたし、一人ひとりが改善しようと意識して取り組んだ成果が、いまピッチで表現されていると思います」
攻撃の構築がスムーズになり、不安定だったセットプレー時の守備も改善。ザーゴ監督が指摘するように、チームは着実な成長を見せ始めている。柏戦でもその力を示すことを誓う。
「レイソルの攻撃の多くはオルンガで終わることになるので、彼にボールを供給させないようにすることが重要になる。中央からでもサイドからでも、クロスやロングボールを、オルンガが合わせやすい球質で蹴ってくる。それを許さないように出どころを抑える必要があります。その点は全員で意識して取り組まないといけない」
警戒ポイントは整理済み。オルンガへの供給源を断つ。FC東京戦同様にアグレッシブにプレーし、球際バトルで優位に立てればおのずと勝利が見えてくる。
次節の対戦相手である柏は、指揮官が現役時代にプレーした唯一のJクラブでもあるが、「クラブにも柏市民にも友人がいて、当然ながら特別な思いはあります。ただ、チームとして勝ち点が必要であって、1ケタ順位に上げるためにはこの試合に勝たなければならない」ときっぱり。柏戦に勝って、上位進出の足がかりとできるか、注目される。
◆【鹿島】オルンガの供給源を断つ! ザーゴ監督「勝って1ケタ順位に上げる」(サッカーマガジン)
◆鹿島アントラーズ「最下位からの復権へ」(サッカー批評)
世界のサッカー応援スタイル [ 『サッカー批評』編集部 ]
過密日程の今年のJ1だが、8月26日のJ1・3試合はその極みだった。ACL出場チームが試合をこなすために設けられた日程で、8月23日から中2日でのリーグ戦。FC東京は2戦連続ホームと地の利に恵まれたが、鹿島アントラーズは、内田篤人のラストマッチの涙も乾かないうちのアウェー戦となった。
FC東京は先発メンバーを前節から6人を入れ替えた。特に、前線の3人はまったく違うメンバーである。
一方の鹿島は、4人を入れ替え。中でも注目は、ついに初先発をつかみとったMF荒木遼太郎だ。東福岡高校出身の高卒ルーキーは、2月16日のルヴァンカップ第1戦の名古屋戦でプロデビューを早々に果たすと、リーグ戦でも途中出場の機会を積み重ね、第10節・神戸戦(8月16日)でついに初得点を決めた若武者だ。その荒木が左に、ファン・アラーノが右という2列目の構成だった。
ピッチでホイッスルが鳴った瞬間のカメラマンの数は、鹿島のベンチ裏にいた人数のほうがFC東京裏よりも多かった。すなわち、FC東京有利、という風が強かった。しかし、ボールを握ろうとしたのは鹿島だった。
最初の得点機を創出したのは、鹿島。11分。右サイドからペナルティエリア内に侵入したFW土居聖真が、ゴール前に短いクロスを送ると、これを東京GK林彰洋がなんとかかき出そうとする。ゴール前のこぼれ球を、待ち構えていた荒木が右足で蹴りこもうとしたが、林が再度伸ばした手に阻まれ、スコアを動かすことはできなかった。
26分には、DF永戸勝也が左サイドからフリーで柔らかいクロスを送り込むと、FWエヴェラウドが強烈ヘッド。今度こそゴールかと思われたが、またしても東京の守護神がそれを阻む。
その後、FC東京のカウンターを食らいながらもチャンスを作り続けた鹿島だったが、前半終了間際のアディッショナルタイムに、ついにオウンゴールを喫してしまった。
それまで、絶好のチャンスを生かせなかったエヴェラウドがリベンジを果たしたのは48分。J・アラーノからのクロスを豪快にヘディングシュート。林に一度はセーブされるものの、今度はそれを押し込んだのだ。
さらに57分、荒木のパスを受けたJ・アラーノがワントラップしてから左足シュート。ゴールネットは大仰に揺れた。
逆転されたFC東京は、直後に、FWディエゴ・オリヴェイラ、FW永井謙佑、MF安部柊斗の3枚替えを敢行するなど必死に手を打ったが、逆転されたスコアを覆すことはできなかった。
鹿島にとっては、1ケタ順位をうかがえる10位に浮上。開幕4連敗で断トツの最下位だった悪夢から、やっと解放されそうなところまで持ってくることができた。
4連敗以降の9戦の成績は、4勝3分2敗。勝ち点奪取率こそ55.5%とやや物足りなさもあるが、勝ち越している事実は大きい。今年の鹿島のスタートの苦しさを考えれば、“カシマ復権”とは言えなくとも、かなり上向きの状態と言えるはずだ。
今年のリーグ開幕戦メンバーを見ると、5人が新加入選手。特にディフェンスラインは初々しく、両サイドバックが新加入選手であるだけでなく、センターバックの2人は昨年の鹿島で出場試合が「0」と「22」と、決して中核と呼べる選手ではなかった。
選手だけでなく、監督もザーゴが新しく就任し、新たな戦術を植え付けようとした。新監督が新しいやり方を導入するのは当然なのだが、新メンバーで新戦術を入れようとすれば浸透するまで時間がかかる。その浸透までの“不具合”に、チーム全体で耐えた。
FC東京戦も、鹿島とすれば内容面で決して完璧だったわけではない。ただ、いい時の鹿島にあった“内容が悪くても勝ちに持っていく”を彷彿とさせ、非常にプラスに評価できる。
ザックリとイメージされる“いいときの鹿島”と、“ザーゴ鹿島”では何が違っていて、何が同じなのか、という点で、FC東京戦を見たい。
“強い鹿島”というと、どんな姿を想像するだろうか。
4-4-2をベースに、スピードで迫るわけでもなく、完全に遅攻でもない。なおかつ、プレスも強いわけでもなく、だからといって弱いわけでもない。攻め手に大きなストロングポイントがあるわけでもない。どちらかというと、相手の出方を探りながら、弱点やスキを突く。スキを突くため、カウンターを用いることが多かった。
その選手構成としては、サイドハーフには必ずしも縦に強い選手が配置されず、どちらかと言えば中に絞って攻撃する。サイド攻撃は、サイドバックがメインを担うことが多い。CBは屈強な選手、2トップは万能型の選手が起用されやすい。
このような姿ではないだろうか。もちろん、年代によって監督や選手によって多少変わるが、「4-4-2の王道サッカー」に近いかもしれない。
ザーゴ監督が目指すサッカーを、監督自身これまで「華麗なサッカー」「攻撃的なサッカー」「理想はつなぐサッカー」「昔のアントラーズが持っていたパスワークやしたたかさを取り戻す」と語っている。
ここまで鹿島がやっているサッカーと合わせれば、「ボール非保持時にはプレスを前からしっかりかける」で、かつ、「ボールを保持したら後ろからしっかりとつないで前に持っていく」というところだろう。その際、ボールを受けやすい位置、ボールを預ける位置を全員で共有することで、パスワークを構築していくという狙いがあるはずだ。
カウンターを用いるサッカーから、ポジショナルプレーをしつつ、ポゼッションしていく。
初めてのポジショナルプレーということで、それを理解するまでに時間がかかることは、チーム全体として共有していたはずだ。だから、結果が出ない時期でも、安易に結果を求めるサッカーに転じなかった。積極的に練習試合をセッティングしたのも、ポジショナルプレーを実戦の中で吸収するためだった。
FC東京は、そんな鹿島を攻め崩すためにいくつかの狙いを持っていた。まずは、前線でプレスを強めにかけること。これは、ポジショナルプレーを完全には共有できていない状態の鹿島のパスワークを寸断させるためだ。
FC東京が前線の選手を前節から変えたのは、一つには自分たちの縦に早い攻撃をするうえでフレッシュさが必要だったこともあるが、鹿島にプレスをかけ続けることも理由だったかもしれない。
そしてもう一つは、左サイドバックの永戸勝也を封じる、もしくは、その裏を狙うことだった。
鹿島の選手にあって、ある意味、永戸は異質な存在だ。昨季まで所属していたベガルタ仙台では、渡邊晋監督の下でポジショナルプレーに取り組んでいた。やり方は違えど、ポジショナルへのアレルギーは少なかったと思われる選手である。また、昨年は仙台で10アシストを記録してJ1アシスト王に輝くほどのキックの質を持つ。
逆に右サイドバックの小泉慶は本来は中央の選手で、内田篤人の引退、レギュラーを掴んでいた広瀬陸のケガによって右サイドバックのスタメンが回ってきた。特徴を出すまでに時間がかかる中、積極的に攻撃に転じて、“裏を空けてくれる”か読めない部分もあった。
この永戸を封じるために、FC東京は中村拓海、三田啓貴、原大智の3人を右サイドで近い位置でプレーさせた。さらに、GK林彰洋はゴールキックをここに蹴り、身長191㌢の原に競らせた。
現在の鹿島はサイドハーフが中に絞り、その分、サイドバックがサイドに大きく張る。そのため、永戸の裏を狙って、FC東京は選手を斜めに走らせた。永戸に“背後のケア”を意識させ、攻め上がりをけん制しつつ、攻撃としてもそこを突きたいというわけだ。
16分の荒木へのクロス、26分のエヴェラウドのシュートを導いたクロスなど、永戸は攻撃的な特徴を出した一方で、FC東京はこの周辺に集めた人数によってオウンゴールを誘発するなど、鹿島の左サイドは、試合のカギを握るエリアとなったのだ。
鹿島の得点は、左サイドで人が集中した場面から生まれている。左サイドから、中央寄りにいたファン・アラーノに展開。アラーノが、チームの約束事通りに右の大外にいた小泉慶に出した。この瞬間、FC東京は守備陣形を右にスライド。視線も重心も鹿島の右に向かった瞬間、アラーノは中央でフリーになっていた。
アラーノの技術があれば、中央からでも巻いたボールをゴール前に送り出せる。FC東京のキャプテンであるDF渡辺剛の裏から斜めに走りこんだエヴェラウドは、これを決めるだけ。渡辺が裏をケアできなかったのも、鹿島がチーム全体で左から右に揺さぶったからだった。FC東京の若いディフェンスリーダーも、視線はボールに誘われた。
荒木が絶妙なスルーパスを見せた2点目も、左でボールをつないだ場面から始まる。永戸がボールを拾うと、ボランチの三竿健斗に一度預ける。三竿は、同じラインにいた荒木に出す。この時点で、三竿の近くに三田、永戸の近くに原、荒木の近くに中村がいた。前半と同じ構図だ。ただ、永戸に戻されて縦に行かれたときを想定してか、ボールを受けに行く荒木に、中村はついていかなかった。あるいは、エヴェラウドが左に流れていたため、そのケアもあったかもしれない。
いずれにせよ、荒木はフリーで持てると分かるやここから反転、ペナルティエリアの前のスペースに向けてボールを持ち出した。FC東京の高萩洋次郎はそれ以上の進撃を食い止めるために彼に寄せにいく。土居聖真とJ・アラーノが裏に抜け出す姿勢を見せて、FC東京のディフェンスラインを食い止める。しかし、荒木は速めのボールを一番遠くにいたJ・アラーノに送った。並の選手であれば、あそこで冷静にボールを扱えない可能性もあるが、J・アラーノは別格。ワントラップをして、ゴールに叩き込んだのだ。
FC東京の攻撃と比べると、鹿島の得点場面は手間がかかっている。しかし、これこそ“ザーゴ鹿島”を感じさせるものだった。ボールを動かしている間に、他のエリアでチャンスを作る体制を整える。ボールを動かすために、選手のポジションを共有する。そして、相手を動かして、得点を生み出す。
ボール保持のためのポジショニングのため、ボール非保持になった瞬間は、一気にピンチとなるリスクもはらむ。その調整は、試合を積み重ねていくうえでやるしかない。
実際、鹿島の攻撃や守備は、序盤よりも確実に良くなっている。結果も、伴い始めている。
このゲームの試合前練習よりも前に、ザーゴ監督はなぜかピッチで立っていた。スタッフらしき人物とずっとしゃべりながら、ピッチを眺めていた。
監督がこの時間帯に選手やロッカールームを離れることはあまりない。「自分がいなくても、ルールは繰り返し伝えてきた」「直前になって変えることは何もない」と言わんばかりの、指揮官の自信。決して、気のせいではないはずだ。
◆鹿島アントラーズ「最下位からの復権へ」(2)ポジショナルへの挑戦「主戦場は左サイド」(サッカー批評)
◆鹿島アントラーズ「最下位からの復権へ」(3)“手間をかけた得点”がザーゴの鹿島(サッカー批評)
2020年8月28日金曜日
◆その日、内田は7回「鹿島」と言った。 最も印象に残ったCLの試合の後で。(Number)
なぜ日本人サイドバックが欧州で重宝されるのか (宝島社新書) [ 北健一郎 ]
この2年半、内田篤人に関する原稿は書かないできた。それは鹿島アントラーズに戻ってからの彼を取材していないからだ。
この5年間でカシマスタジアムでのホームゲームを取材した回数、1回。鹿島の練習場を訪れた回数の方がまだ多い。「今」を書く資格のない筆者にも、「過去」を記録することなら許されるだろうか。
「こっちに来て思ったこととかを毎日ノートに書いているわけでもないんだよね。書けばいいんだろうけど、俺はそういうタイプじゃない。(中略)その記事を書いてくれて、ネットで見られるようにしてくれる。最高じゃないですか! だから、あのときの俺はこう思っていたんだなと、振り返れるんですね」
CLで日本人初のベスト4に進出した戦いを振り返るNumber779号のインタビューで、内田はそう語っていた。
ならばドイツでのフットボーラーとしての生き様を記録するのは意味があることかもしれない。未来のサッカー界のために――。
ラウールを救った内田のファール。
「オレは、つなぎたい派だから」
これはもちろん手ではなくて、パスのこと。自陣の深い位置で奪ったボールを簡単に蹴ることはなく、信頼するチームメイトに送る。そんな風に語った内田は、確かに「つなぐ」人だった。
2010年、10月20日。CLのグループステージ第3節、ハポエル・テルアビブ戦。内田にとってCLの2試合目、初めてフル出場した試合でもある。
内田が衝撃を受けた外国人選手として引退会見で名前を挙げた、ラウール、フンテラール、ファルファンが関与し、鹿島での経験とつながるシーンがあった。
前半17分、右サイドの高い位置にいた内田は、ペナルティーエリアにさしかかるところにいるラウールの足下へパスを出した。ラウールはこれを受けるフリをして、スルーした。よりゴールに近いところに入っていたフンテラールがボールを受ければチャンスになると判断したからだ。
しかし、マークについていた相手CBのダ・シルバはラウールの意図をよみきり、パスをカット。右MFのファルファンは内田よりもさらに高い位置に立っていた。シャルケの右サイドはがら空きだ。
だから、ダ・シルバはそのままドリブルで持ち出し、カウンターを繰り出そうとした。すると、内田は抱きかかえるようにダ・シルバの身体を両腕でつかんだ。当然、ファールだ。抱きかかえたのは、そのファールの目的が相手を痛めつけることではなく、相手カウンターのチャンスの芽を摘むためだったからだ。
ドイツでは、この種のファールは「戦術的ファール」と呼ばれる。実行できて、当たり前。適切に犯さなければ、試合後のミーティングで映像を示されながら、雷を落とされる。
その内田の戦術的ファールは、ラウールの些細な判断ミスを帳消しにするプレーでもあった。
ラウールは内田を信頼していた。
内田がシャルケに移籍した2010年からの10年間で、ドイツの国営放送ARDが選ぶ年間最優秀ゴールを複数回受賞したのはラウールただ1人。それ以前に、彼がレアル・マドリー時代に残した功績はここで語るまでもない。
2011年11月24日にシャルケにとって最も大切なダービーをひかえた練習を終えたあとにも、ラウールが内田と肩を組んで熱心にアドバイスを送っていたのを覚えている。
「『ウッシーはたまにディフェンスのときに裏をとられちゃうから、常にボールとマークする相手を見ていたほうがいいよ』と言っていた。『たまに集中力がないときがあるから、それがなくなればもっと良くなるんじゃないかな』みたいなことも言ってたなぁ(笑)。いつもはクロスとかパス出すタイミングとかだけど、ディフェンスのことに関しても、たまに指摘してくれるかな」
期待しない者にアドバイスするほどレジェンドは暇ではない。信頼関係があるからこその苦言だった。
鹿島で「言われてきましたから」。
話を戻すと、3-1で快勝した件のCLハポエル戦の試合後。脱力気味に、少しけだるそうにも見える様子で内田は記者からの質問に答えていた。
しかし、前半17分の戦術的なファールのシーン直後の、スタンドのリアクションについてたずねると、風向きが変わった。
――あの場面、スタンドから拍手が起きていましたよ。気づきましたか?
「あぁ、そうなんですか! それがわかるというのは、『みんな、サッカーを知っているな』と。汚いプレーと言われたらアレだけど、ああいうところで自分が上がって、ボールを取られて、カウンターを食らうのはツライので。日本ではなかなか気づかれない部分で。そういうところ、目が肥えている……。良い環境でやれていますねぇ」
――カウンターの芽を摘んでおこうと?
「カウンターがというよりは、自分たちの失い方が悪いと、やっぱりめんどくさい。もどらないといけないので。イエローをもららない程度に。あまり公共の場では言えないですけど(笑)」
――あれは「戦術的ファール」と言われ、ドイツでも高く評価されるわけですから、それができたというのは……
「まぁ、そうですけど、それは日本にいたときにも言われてきましたから」
CLという世界最高峰の戦いで、たった1つのファールの価値をわかってくれるシャルケファンに感動を覚えた。ドイツでやる喜びを見出したと言い換えることもできる。
では、なぜ、そんなプレーができるのかと言えば、Jリーグの名門鹿島アントラーズで鍛えられたからと胸を張った。
海外へ行く前に日本でできることがある。
CLという世界最高峰とJリーグを内田は「つないで」見せたのだ。
だから、引退会見でこう話したのもうなずける。
「海外に行きたいのはわかりますが、チームで何かやってから行けばいいのになと思います。それができないなら移籍金とか置いていけばいいのになって思います。間違ってますか? よく『海外に行きたいです!』って俺のところに話をしに来る選手もいますが、そんなに甘くないよっていう。行きたきゃ行きゃいいけど今すぐ。どうせすぐに帰ってくるんだろうなって思います」
海外の魅力はもちろんある。内田は誰よりもそれを知っている1人だ。
でも、日本で学べること、学ぶべきことはある。そして、やるべきことがある。
置かれた場所で花を咲かせられないものは、海外に場所を移したところで、大輪の花を咲かせることはできない。
そんな教訓を彼なりの表現で表わしていた。
人生で最も重要な試合の後にも。
思えば、現役時代で最も印象に残った試合として挙げた2010-11シーズンのCLのラウンド16、バレンシアとのセカンドレグ。あの試合の後にも、CLについて話していたはずが気がつけば鹿島について語っていた。
15分あまりの取材時間で、内田の口から「鹿島」というキーワードが出たのは7回。例えば、こんな感じで。
「『鹿島』なんかでも、1-0で勝つ試合が多いですけど、最後は守ります。でも、ある程度の時間はずっと攻めている。守りに入ったら、きついから。攻めて、攻めて、ジャブジャブで。相手が出てきたら、最後みたいにカウンター。うまくはまれば。今日ははまったんじゃないですか」
「『鹿島』のときなんかは、みんな(小笠原)満男さんとか監督がバランスをとってやってくれて、ゲームなんかでもやってくれますけど。こっちも個人個人、サッカーを知っている人が多いので。みんなで助け合いながらですから」
「頭が上がりません、ラウールさんには。『鹿島』のマルキ(マルキーニョス)とかは特にそうだったんですが、前の選手があれだけ走ってくれると、俺らも脚が動くというか。それがましてや、ラウールですから。まぁ人に刺激を受けながら、助けてもらいながら。またひとつ、ベスト8まで来れたので。またみんなで助け合いながら。もう1つ、2つ……」
「『鹿島』がなかったら、今の俺は考えられないし。現場の人だけじゃなくて、フロントだったり、そういうところが大事だなと。この前も大宮(アルディージャ)に引き分けたりしていたので、良い報告がみんなに届けば。『鹿島』のみなさんに、よろしくお伝えください!」
「本当にね、僕は恵まれていますよ。一緒に戦う集団……『鹿島』のときからそうですけど。その運は、僕、持ってますね。人を引き寄せる運は、かなり」
内田はいつも、自分の受けた恩をかみしめていた。
内田篤人はいつでもごく自然に人を助ける。
「受賞すると関係者たちに恩を売られたりする」
Number1007号のインタビューで、小説家の村上春樹氏はノーベル賞について聞かれそう答えていた。
あいつは俺が育てた。
苦しいときに私が助けてあげました。
彼とは本当に仲良しで……。
どの世界にも、恩を売ろうとする者は多い。成功者にどうにかしてかかわりを持ちたいからだろう。
でも、内田の場合は正反対だ。
現在は浦和レッズ所属で、かつてケルンでプレーしていた長澤和輝は内田の引退に合わせてこんなツイートをした。
「ドイツに渡って言葉も分からず友達もいない、そんな精神的にキツイ中で初めての練習試合がシャルケだった。
無名の大卒選手である僕に試合後に連絡先を渡して、困ったらいつでも連絡して! と。嬉しかったし、どれだけ心強かったか
ありがとうございました。#内田篤人」
長澤本人が明かしているが、内田は試合終了後に長澤に話しかけられなかったことを悔いてか、筆者にこう頼み事をしてきた。
「試合が終わった直後、長澤クンとほとんど話せなくてさ。悪かったなぁ……。オレの連絡先を渡してきてもらえる? いつでも連絡してね、と伝えて」
相手が有名か無名かは関係ない。
他にも、渡独直後で初対面にもかかわらず内田が食事に誘った選手は複数いる。ドルトムントU-23に所属していた丸岡満などもそうだ。取材に応じるハードルがきわめて高い選手が、内田の引退に際してはきっちりコメントを発したりもしている。
長澤が「無名の大卒選手」だったかどうかはともかく、相手が有名か無名かにかぎらず、いつでも自然に人のために行動するのが内田だった。
高校時代の後輩の結婚式のために、シャルケの本拠地フェルティンス・アレーナが背景に映るところにまで行って、ビデオメッセージを撮影したこともある。
内田さんにお世話になりました。
内田さんに良くしてもらいました。
内田さんに希望をもらいました。
引退の発表をしてから、そんな声が鳴り止まない。
内田には貯まりに貯まったものがある。
内田がシャルケのユニフォームを来て最後にプレーしたのは2016年12月8日だった。それは約1年9カ月ぶりの復帰戦であり、ELのザルツブルク戦でもあった。ヨーロッパの舞台で内田と同じピッチに立った最後の日本人になった南野拓実はその夜、シャルケファンが内田に向けた感情を目の当たりにして、こう誓っていた。
「(内田に)シュートをブロックされたのは悔しいですけど、日本を代表するような選手が復帰したことは、とても嬉しいですし、少しでもマッチアップ出来て良かったというか……。逆に、僕も刺激をもらいましたね。僕も、『ファンから歓迎されるような選手になっていきたいな』と」
引退会見で、信頼するスポーツ報知の内田知宏記者の質問に、内田篤人はこう答えていた。
「自分の貯金をいくら持っているかも分かっていない状態なので、奥さんはそこら辺の心配は多少していましたけど、まぁ、なんとかなるでしょう」
とんでもない、「なんとなかなる」ではすまない。内田にはプロサッカー選手として、貯まりに貯まったものがある。
一生かかっても使い切れないほどの「信頼貯金」である。
内田がつないだ信頼は、この先、必ず返ってくる。チームメイトに丁寧に「つないだ」パスが、自分の足下に返ってくるように。
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