2019年04月20日(土) 15:03キックオフ 県立カシマサッカースタジアム
【入場者数】16,844人 【天候】曇のち晴、弱風、 気温13.7度、 湿度46.0% 【ピッチ】全面良芝、乾燥
【主審】今村 義朗 【副審】大塚 晴弘 【副審】田尻 智計 【第4の審判員】井上 知大
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J1第8節 vs仙台
7試合ぶりの完封勝利!逆境乗り越えた犬飼が決勝点!
アントラーズは、明治安田生命J1リーグ第8節でホームにベガルタ仙台を迎えた。スコアレスで迎えた後半66分、コーナーキックから犬飼智也が頭で合わせて、決勝ゴールを奪取。その後、仙台の猛攻に遭うも、チーム一丸となって凌ぎ切り、7試合ぶりの完封勝利を掴み取った。
開幕節から公式戦8試合負けなしと好調を維持していたアントラーズ。しかし、前節FC東京戦では思わぬ惨敗を喫してしまった。前半立ち上がりからトップギアで入ったFC東京に押し込まれると、5分、16分、29分と立て続けに3失点を献上。後半はアントラーズが反撃に転じ、55分にレオ シルバが追撃のゴールを奪ったが、FC東京の堅い守備ブロックを前に、最後まで追いつくことは出来ず。1-3で敗北した。
屈辱的な敗戦から1日オフを挟んだチームは、気持ちを新たに中5日で迎える仙台戦へ準備を進めた。悔しさを力に変える、その決意から自然と練習は激しさを増した。木曜日には非公開練習を実施し、サイドからの攻撃とセットプレーを確認。勝利だけを目指し、細部の徹底を図った。指揮官は「FC東京戦の反省をしっかりしたうえで、自分たちの守備のやり方や相手のウィークポイントをついていくという、いつもの作業を両方並行してやってきたし、昨日の非公開練習でも、そこの部分の共有ができた」とトレーニングに手応えを掴んでいる。
準備は万全だ。「自分たちの良さをもう一度思い出していくところと、仙台のやり方に対して自分たちがどのようにポジションを取っていくのか、どのように攻撃のための守備をしていくのか、そこの部分を選手たちに話し、仙台戦の重要性を色々な角度から選手に伝えた」と、「自信を取り戻す戦い」と位置付けて仙台戦に臨んだ。
そして、迎えた4月20日。キックオフ2時間前に先発メンバーが発表された。ゴールマウスはACL慶南戦の負傷から復帰したクォン スンテが守る。最終ラインは、右から小田、犬飼、町田、安西が入った。ボランチはリーグ戦全試合先発中の永木とレオシルバが組み、サイドハーフは右に安部、左にはアントラーズ加入後初先発となる白崎がデビューを飾った。最前線には土居聖真と伊藤が入った。そして、ベンチには曽ケ端、関川、レアンドロ、セルジーニョ、三竿、遠藤、金森が座る。
晴天に恵まれたカシマスタジアム。試合前には、リーグ戦ホーム通算入場者数800万人越えを記念した特別イベント「Thank You 8 Million~ありがとう!800万人のアントラーズファミリー~」が開催された。改めてアントラーズファミリーに感謝を伝えるべく、勝利のみを目指した戦いに挑む。
15時03分。ついに、仙台のキックオフで試合がスタートした。前半立ち上がりは、両チームとも慎重な立ち上がりとなったが、徐々にアントラーズがペースを掴んでいく。攻撃陣はスペースでボールを引き出して、危なげなくボールを前進。移籍後初出場となる白崎も積極的にボールを引き出し、攻撃にテンポを生み出していった。
新戦力の白崎が生み出した攻撃のリズムが、アントラーズに最初のビックチャンスをもたらす。12分、中盤で永木が見事なボール奪取を見せると、その流れから安西がゴール前に鋭いクロスを入れる。惜しくも中央の選手には合わなかったが、得点の可能性を感じさせるプレーが左サイドから生まれた。
だが、チャンスのあとにはピンチが訪れる。16分、仙台がカウンターを発動。左サイドからクロスを入れられると、最後はペナルティエリア内からハモン ロペスに決定的なシュートを放たれてしまう。しかし、これは怪我から復帰した守護神クォン スンテが身体を目いっぱい広げて好セーブ。こぼれ球には町田が素早くカバーに入り、得点を許さなかった。試合前に無失点を誓った守備陣の決意溢れる身体を張ってゴールを死守した。
試合開始から20分経過すると、アントラーズが圧倒的にボールを支配する展開となる。5バックと4人の中盤でブロックを組む仙台に対して、ファイナルサードで攻め切れない場面も目立ったが、カウンターに対しては、リスクマネジメントを徹底し、素早くボールを回収することで波状攻撃を仕掛けていく。33分には、安西、土居、安部がトライアングルをつくって左サイドを深くまで突破。クロスのこぼれ球にレオ シルバがシュートを放つ。34分には、土居のパスを受けた白崎がニアゾーンに進入。マイナスのクロスに安部がボレーで合わせた。どちらも決定的な場面だったが、枠は捉えられなかった。
前半はこのままスコアレスで終了。アントラーズはチャンスをつくりながらも、シュートが枠に飛ばず、得点には至らなかった。指揮官はハーフタイムに「攻守の切り替えを絶対に忘れないこと。セカンドボールを常に予測して拾いに行くこと。後半の立ち上がりに集中して試合に入ること」と、リスクマネジメントの徹底を強調して伝えた。
先制点を目指して、選手たちが再びピッチに現れた。アントラーズレッドに染まったスタンドの背番号12からの大きな声援を受け、勝利のみを目指した後半が幕を上げた。
後半開始早々、アントラーズは攻撃の圧力を強めていく。53分には、レオ シルバの楔から伊藤が見事なコントロールで前を向いてシュート。直後のコーナーキックでは、犬飼がヘディングで合わせ、仙台のゴールを脅かす。確実にゴールに近づいている。そんな感覚がスタジアム内に漂った。
チャンスを迎えた後も、アントラーズが終始ボールを支配。奪われてもボランチの永木が徹底したリスクマネジメントでピンチの芽を摘んでいく。最終ラインでは、2試合連続で屈辱的な失点を味わい、誰よりも強い想いでこの一戦に臨んだ犬飼が、相手攻撃陣を完全にシャットアウトした。
スコアレスで迎えた63分、指揮官が動いた。小田に代わってボランチの三竿を投入し、レオ シルバをより高い位置へと押し上げる。ボルテージの上がるアントラーズファミリーの熱に呼応して、さらに攻勢を強めていく。
ついに、待望の瞬間が訪れた。66分、永木が蹴ったコーナーキックに合わせたのは、ここ数試合苦境に立たされていた犬飼だった。ニアサイドで空高くジャンプすると、高い打点でヘディング。叩かれたボールは、見事ゴールネットに突き刺さった。その刹那、カシマスタジアムが沸騰した。難局に真正面から挑む男に満面の笑みがこぼれ、周囲に歓喜の輪が生まれた。
先制に成功したアントラーズは、選手全員が走りつづけ、チーム一丸となって勝利へ突き進む。終盤は仙台の猛攻に遭ったが、犬飼、町田が最後方から声を枯らしてチームメイトへ檄を飛ばし、難局を凌いでいく。残り5分を切って投入されたセルジーニョも金森も前線で身体を張り、着実に任務を遂行した。
そして、ついに待ち望んだホイッスルが鳴った。1-0。センターバックの犬飼がセットプレーから決勝点を奪い、苦しい試合をものにした。否が応でも常勝鹿島の記憶が蘇る。新たなメンバーで、新たな歴史が刻まれていく。未来の栄光が垣間見えた試合だった。
ここから中3日で厳しい連戦が続く。次戦は4日後、ACLグループステージ第4節慶南戦だ。前節の屈辱で失った自信を、7試合ぶりの完封勝利で再び取り戻した。この自信を確固たるものにするためには、勝ち続けなければいけない。どんな苦しい戦いも我々なら乗り越えられる。そう固く信じて、次戦に向けて最善の準備を進めていく。
【この試合のトピックス】
・白崎が移籍後初出場、初先発
・犬飼が今季初ゴール
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・攻守の切り替えを絶対に忘れないこと。
・セカンドボールを常に予測して拾いにいこう。
・後半の立ち上がり、特に集中して試合に入っていこう。
ベガルタ仙台:渡邉 晋
・味方を押し出して、もう少しラインを上げよう。
・相手の出方を見ること。
・粘り強くゲームを進めよう。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前節から今節に向けて、非常にいい準備ができたなかでのゲームだった。特に中盤の選手にはいろいろな要望を出したが、前向きにやってくれたことがゲームに出ていた。1-0というスコアだったが、もっともっと攻守において質を上げていけると感じたゲームだった。すぐにACLの試合があるので、しっかり切り替えて臨みたい。
Q. 中盤の選手に要望したことで、具体的にピッチで表現できたことは?
A. ボールを受ける位置、前とのかかわり、攻守の切り替えといったところが非常によくできていた。ただ、得点チャンスを何回か作ったなかで、しっかり決め切ること、ゲームをコントロールすることが必要。自分たちのレベルを上げるためには、もっと質を上げていく必要がある。
Q. 無失点で抑えた守備陣の評価は?
A. クリーンシートで終えたことは非常に評価できる。本人たちも、非常に充実した90分だったと思う。しかし、これは最終ラインだけのことではない。全体がしっかり連動していたからの結果であり、そういうところが評価できるところだと思う。
Q. 白崎選手が移籍後初出場となったが、今後期待するところは?
A. ポテンシャルは非常に高いものを持っていた。しかし、ケガがあって本人ももどかしい時間を過ごしていた。今日の試合を見れば、当然、本人も自信を持っただろうし、今後はチームメートからの信頼も得ていくと思う。チーム力をレベルアップさせていくためには、当然、彼の力が必要。ポジション争いがあるなかで、質の高いチームができていくと思う。引き続き高いパフォーマンスを求めていきたい。
ベガルタ仙台:渡邉 晋
選手コメント
[試合後]
【犬飼 智也】
前節悔しい思いをしたので、やってやろうと思っていた。本当に(失点が)ゼロで終わることができたのはよかった。これからも(失点を)ゼロで終わる試合を増やしていきたい。ゴールを決めることができたのも嬉しいが、何よりも(失点を)ゼロで終われたことがよかった。
【安西 幸輝】
1-0になった瞬間から守備に切り替えて、非常いい勝ち方ができたと思う。(白崎選手との連係面で)少し苦戦すると思っていたが、思っていた以上にうまく崩すことができて、お互いの意図やイメージが共有できたので、次はもっと良くなっていくと思う。湘南戦しか無失点試合がなく、前日にDFの4人で『無失点で抑えよう』と話していたので、それが達成できてよかった。
【小田 逸稀】
前節より長い時間試合に出ることができたので、良かったと思う。今日の試合は、試合慣れのところで、疲れもあり、そこからプレーの質がだんだん下がってきた。試合に慣れていけば、疲れることもなくなってくる。どんどんいろんな経験をしていけば、最後まで行けると思う。
【町田 浩樹】
今シーズン完封した試合が湘南戦しかなかったので、完封できた部分は素直に嬉しい。みんなで常に声を掛け合ってやっていたし、みんな集中してできていた。今日の一試合にとどまらず、これからも続けていかなければいけない。
【白崎 凌兵】
久しぶりの出場だったので、めちゃくちゃ緊張した。自分の良さは半分も出せなかった。周りに助けられたし、チームメイトの頼もしさを感じた。同期の犬飼が決めて勝ててよかった。今後につながるシーンもあったので、イメージを共有して、もっと回数を増やしていきたい。
【伊藤 翔】
ここ数試合、亮太もいいボールを蹴っていたので、なんとか中の選手が決めようと話していた。チームの地力を感じる試合だった。もう1点取れればもう少し楽になったが、0−0で終わりがちな試合のなか、セットプレーで取って勝ててよかった。優勝を目指すなら、どの試合も勝ち点3の価値は高い。
◆2019明治安田生命J1リーグ 第8節(オフィシャル)