22年以来、2年ぶりのJリーグ復帰
J1鹿島アントラーズは12月21日、新シーズンからの監督としてランコ・ポポヴィッチ氏が就任することを発表した。セルビア1部FKヴォイヴォディナ・ノヴィサドで指揮を執っていたポポヴィッチ監督のJリーグ復帰は、2020年から2022年まで率いていたFC町田ゼルビア以来、2年ぶりとなる。
日本ではすでに町田以外にも、大分トリニータ、FC東京、セレッソ大阪で指揮を執っており、鹿島はJでは5クラブ目となる。鹿島といえば、Jリーグ最多となる8度の優勝を誇る名門であり「常勝軍団」とも称されるが、2018シーズン以降はタイトルを獲得できていない。
そんなチームを率いることになったポポヴィッチ監督だが、Jリーグではタイトルを獲得したことがない。21日にポポヴィッチ監督の就任に伴い、会見を開いた吉岡宗重フットボールダイレクターにも、この点について質問が飛んだ。
チーム作りとタイトルという結果を出すことのバランスをどう考えているかという問いに対し、吉岡氏は「鹿島アントラーズは、両方を求めないといけないところではあると思っています。当然タイトルは毎シーズン、求められることである。それはポポヴィッチ監督も理解しています」と前置きをしつつ、タイトルを獲得するうえでも適切な人材であることを強調した。
「ただ、結果というのも大事ですが、チームとしてのスタイル。来年は攻撃的に、攻守にアグレッシブにいきたい。かつ今年の点を見ると、個人に頼った点が少し多かったかなと思う。そういった面を改善するために、組織的にどう崩すか。特にアタッキングサードの崩しをどのようにやるのかに長けている監督であると思うので、そこをしっかりできれば。今年、岩政監督が守備の構築をやれていると思っているので、上積みとして攻撃を構築できれば、タイトルを狙えると思っています」
また、昨シーズンまでチームを率いた岩政大樹監督から、ポポヴィッチ監督に代わることで継続できる点も感じているという。「岩政監督も攻撃時にスペースをどのように使うのか。そして、それをどのように活かすのかに関しては、すごく取り組んでくれました。ポポヴィッチ監督も、まずボールを奪った時のポジティブトランジションのところで、どういったアクションを起こすのかが明確にあります。基本的にやることがまったく変わるわけではなく、攻撃的にどのようにやっていくかは、路線として変わることはありません。ただ、より縦に速くというのは出てくると思います」と、スタイルが変わるのではなく、今季の延長線上にあると説明した。
改めて、「求める結果、期待は、タイトル奪還。そこが一番でしょうか」と問われると、「そうですね。このクラブで仕事をするうえで、『すべては勝利のために』という(哲学がある)。その勝利というのは、このクラブにタイトル求められるというのは、みんなが理解していること。その部分はブラしてはいけないし、求め続けたいと思います」と話した。
そして、「できるだけ、長く(鹿島での監督を)やってもらいたいと思いますし、そのためのサポートは惜しまないつもりです。難しいミッションです。タイトルも獲らないといけないし、チームの方向性、チーム作りという部分で早く作らないといけない部分もあります。それをしっかり実行できる監督だと思っています。関係の構築はできていて、お互いに腹を割っていろんな話ができる関係なので、チームをより良い方向にできるだけ早くスタイルや戦術を浸透できるようにサポートしたい」と、ポポヴィッチ監督にとっての初タイトル獲得に向けても全力でバックアップすることを誓った。
(FOOTBALL ZONE編集部)
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