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AFCチャンピオンズリーグ2015 グループステージ 第4節 vs広州恒大
高崎がラストプレーで決勝弾! 鹿島が広州恒大を撃破、グループステージ自力突破へ!
鹿島が、アジアの舞台に踏みとどまった。グループステージ3連敗で迎えた背水の一戦、ホームに広州恒大を迎え撃つと、前半に遠藤のPKで先制。後半に追いつかれたものの、アディショナルタイムに高崎が劇的な決勝弾を挙げ、2-1で競り勝った。
4日前の鳥栖戦で今季初勝利を収め、重圧から解放された選手たちは、自信と勢いをもって、中3日でのホームゲームに臨んだ。グループ首位の広州恒大を相手に今節で敗れれば、他会場の結果次第で敗退が決まる可能性がある。まさに背水の陣だ。この試合を「アジアにおける1つのダービーだ」と表現し、勝利への熱い思いを語っていたトニーニョ セレーゾ監督は、金崎を1トップに据え、2列目にカイオと土居、そして今日が27回目のバースデーとなる遠藤を並べた。ボランチから下は鳥栖戦と同じメンバーで、ボランチに柴崎と梅鉢が入り、最終ラインは右から西、ファン ソッコ、昌子、山本が並ぶ。そしてゴールマウスには、曽ヶ端が立ちはだかる。
広州恒大サポーターが大挙して詰めかけ、両ゴール裏が真っ赤に染まった。冬のような寒さに見舞われたカシマスタジアムで、19時に試合開始のホイッスルが鳴った。鹿島は立ち上がり、広州恒大の攻勢を受ける。セカンドボールを拾えず、押し込まれる時間が続いたが、身体を張った守備で応戦し、決定機を作らせなかった。開始15分間を無失点でしのぎ、少しずつ押し戻していった。
そして、鹿島は先制に成功する。18分、梅鉢が敵陣に少し入った位置でボールを奪うと、ショートカウンターを発動。金崎を経由してボールを持った遠藤がクロスを上げると、ペナルティーエリア内でブロックを試みた相手DFのハンドを誘い、PKを獲得した。ペナルティースポットへ向かったのは、背番号25。遠藤は正確なシュートをゴール左隅に沈め、自らの誕生日を祝うゴールで、鹿島に先制点をもたらした。
リードを奪った鹿島は、セカンドボールを拾えるようになり、主導権を握る。24分には、柴崎の正確なフィードからカイオがシュートを打つ場面を作り、30分にもペナルティーエリアに入ったカイオが縦への突破でチャンスを演出した。
前半のラスト15分は、広州恒大が再び圧力を強めた。ゴール前へ強引に突破される場面もあったが、曽ヶ端がペナルティーエリア外への飛び出しも辞さない、勇気と安定感にあふれたプレーでチームを支えた。34分には、ゴール正面からのFKをエウケソンに狙われたが、曽ヶ端が指先で触り、シュートは右ポストを直撃。「うまく足を運んで、触ることができた」と、守護神がファインセーブを見せ、前半最大のピンチをしのいだ。鹿島は1-0とリードして、ハーフタイムを迎えた。
1点リードの後半、鹿島は立ち上がりに追加点のチャンスを迎える。48分、カイオが左サイドを縦へ突破し、ゴールライン際から中央へ折り返すと、最後は柴崎が右足で狙ったものの、相手GKに阻止される。51分には、梅鉢がペナルティーエリア手前から思い切りよく左足を一閃。強烈なシュートがゴールを襲い、相手GKが弾いたところを土居が詰めてゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定で2点目は認められなかった。
追加点を奪えずにいると、再び広州恒大にボールポゼッションを許す時間を迎える。それでも選手たちは、集中力を切らすことなく身体を張り続け、球際で戦い続けた。両チームの選手にイエローカードが連発される激しい試合となったが、鹿島はリードを保ったまま、試合は終盤へと突入した。
しかし、一瞬の隙を突かれて、鹿島は同点弾を許してしまった。75分、右サイド深くで起点を作られ、クロスを上げられると、ファーサイドへ走り込んでいたエウケソンに決められた。残り15分の時点で、スコアは1-1となった。
グループステージ突破のために是が非でも勝ち点3を奪いたい鹿島。選手たちが下を向くことはなかった。セレーゾ監督は、77分に高崎、82分には青木と中村を投入し、勝ち越しゴールへの願いを託す。それでもゴールは生まれず、90分を経過。アディショナルタイムは3分と表示され、その大半を終えようとしていた。
悲鳴にも似た声援がゴール裏から飛ぶ中、ラストプレーに、劇的な結末が待っていた。敵陣右サイドで得たFKを柴崎がゴール前へ蹴り込むと、中央で飛び込んだ高崎がヘディングシュート。サポーターの祈りを乗せたボールが、ゴールへと吸い込まれた。その直後に、試合終了、そして鹿島の勝利を告げるホイッスルが鳴った。
スコアは、2-1。高崎の決勝弾で、鹿島が広州恒大を破り、大会初勝利を収めた。依然としてグループHの最下位ではあるが、この試合に先駆けて行われたウェスタン・シドニー・ワンダラーズとFCソウルの一戦が引き分けに終わったことにより、鹿島は自力でグループステージ突破を決める資格を手に入れた。残り2試合、2連勝で終えることができれば、決勝トーナメントへの道が拓ける。そして次戦は、5日後のJ1 1st第5節で、ホームに新潟を迎える。苦しい時間を経て、会心の勝利が続く4月。鹿島が、連勝街道を突き進む。
【この試合のトピックス】
・今大会初勝利を挙げた。AFCチャンピオンズリーグでの勝利は、2011年5月10日のグループステージ第2節シドニーFC戦以来、1429日ぶり。前回は、東日本大震災の影響で日程と開催地が変更となり、シドニーFC戦は国立競技場で開催された。この試合はグループステージの最終戦として行われ、野沢と大迫の得点で2-1と勝利を収めた。
・広州恒大を相手に、初勝利を収めた。
・決勝点の高崎は、グループステージ第3節に続き、広州恒大戦2試合連続ゴールを記録した。
・J1 1st 第3節の名古屋戦以来、2試合ぶりの先発出場を果たした遠藤が、J1 1st 第4節の鳥栖戦から2試合連続のゴールを決めた。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
広州恒大:ファビオ カンナバーロ
[試合後]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
アントラーズというチームが、最後まで諦めずに自分たちの望みを信じて、勝ちを手にした。僕は数年ここで仕事をしているが、最後まで諦めずにやり続けるということはこのクラブが昔から持っている伝統で、それができた。
セットプレーから勝ち越し点を取ることができ、アウェイでセットプレーから2失点してしまった教訓や苦い味を相手に示すことができた部分は良かったと思う。
まだ何が起きるかわからない状況の中で、一人一人が信じて取り組んだ成果というものが、こうして試合の結果に結びついた。それがこのクラブの伝統であって、それを達成することができた。また、広州恒大の選手の能力と質が、我々の価値やこの努力を高めてくれたと思う。両チームの選手が非常に高いレベルのサッカーの内容を示していたので、見ている人にはいろんなサッカーのおもしろさがあった試合だったと思う。
前回の対戦をした時に、4失点中2失点がセットプレーからだった。先日のリーグ戦でもセットプレーから失点をしている。ここまでの失点を自分たちで分析していく中で、セットプレーからの失点が非常に多い。そこはもっと集中力や声掛けなど、そういったところから改善していかなければならない。当然ながらその他の流れからの失点もあり、ポジショニングミスや判断ミス、ボールロストの仕方など、細かいところはあるが、それをひとつずつピッチレベルでも喋りながら改善していかなければならない。少しは改善できているが、その後もセットプレーから失点をしているので、まだ改善していかなければならない。それでも少しずつだが、選手たちが意欲を示している。その変えようとしている姿勢が、改善への唯一の方法である。それがしっかりできたと思うし、今日はセットプレーから勝ち越しゴールが生まれたことも非常に良かった。大きな勝利を手にしたが、何かが決まったけではない。次の試合の前にはまずはリーグ戦がある。リーグ戦も我々が目指している順位ではない。まずはそのリーグ戦をしっかりと戦っていく。その後にシドニーに移動して、また厳しい戦いを強いられると思う。まずは自分たちがやるべきことをひとつひとつ取り組まなければいけないし、先走ってもしょうがない。望みをつなげたことは非常に良かった。ただまだグループステージを進めたということではないので、しっかりと結果が出せるように選手たちがまたしっかり取り組んでいかなければならない。一番いいことは選手たちが何かを成し遂げたいという気持ちを根本的な芯の部分に持っているということ。それが一番重要だと思う。それを持っているからこそ、いろんな努力だったり、献身的な部分を持って取り組むことができる。そういった姿勢を続けて行く限り、良い成績を再び出せるようになっていくと思う。選手たちは一瞬たりとも下を向いていないと思う。気持ちと意識の持続力が、新たな進化のためにやらなければならないことになっていくと思う。
広州恒大:ファビオ カンナバーロ
後半に6番の選手を交代させた理由は、膝を故障していたから。攻撃力のある選手なので交代させるのを迷ったが、下げることにした。
ここのところ2敗1分けと結果が思わしくないが、チーム状態は努力を重ねれば良くなっていく。今日の結果も運ではなく努力の結果。前半にPKを決められてしまったが、チームは日々進歩している。最終的には幸運を掴めると信じている。
ディフェンスについては特に気にしていないが、勝ちに慣れてくるとディフェンスに弱点が出てくる。いい準備をして試合を迎えることが大事。そうすればディフェンスの弱点はなくなってくる。
選手コメント
[試合後]
【曽ヶ端 準】
苦しい試合だった。先制して、1-0の時間が長かったけれど、追いつかれてしまって厳しい状況だった。でも、最後まで力を出し切っていたし、ホームでできたことも大きかった。劇的で、良い勝利だったと思う。
【梅鉢 貴秀】
気持ちいいですね。次につながったし、勝ち方も劇的だった。勢いがつく勝利だったと思う。特に前半は良く守れていたと思う。チーム全体が、アウェイではできなかった組織的な守備を90分間することができた。それが勝利につながったと思う。
【昌子 源】
試合には勝ったから良かったが、自分自身としては課題が見つかった試合。失点の場面は自分の責任だと思う。ただ、あの失点は悔しかったけど、その後に追加点を許さなかったのは1つの収穫。みんなに感謝したい。もう1試合が引き分けてくれたことでチャンスも広がったので、今日のような姿勢を崩さず、諦めずに続けていきたい。
遠藤選手、高崎選手のコメントは、アントラーズモバイルをご覧ください。