日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2015年11月2日月曜日

◆サッカー:Jリーグ・ナビスコ杯 やっぱり強いぞ、鹿島 3年ぶり6回目V /茨城(毎日新聞)


http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20151101ddlk08050012000c.html

アントラーズの先制点を喜ぶサッカーファンら=鹿嶋市宮中の大型ショッピングセンター・ジーコ広場で

「久しぶりに強い鹿島アントラーズが戻ってきた」。埼玉スタジアムで31日行われたサッカーJリーグのヤマザキナビスコ杯決勝戦。アントラーズが大会2連覇を狙うガンバ大阪を3−0で降し、3年ぶり6回目のタイトルを手にした。アントラーズは大会最多優勝記録を更新した。

 アントラーズが勝利を決めた瞬間、鹿嶋市宮中の大型ショッピングセンターのジーコ広場では、テレビを見ながら応援していたファンから大きな拍手がわき起こった。

 前半はアントラーズが優位に試合を進めたが、両チームともに無得点。後半15分、MF小笠原満男選手の左コーナーキックをDFファン・ソッコ選手が頭で合わせ、アントラーズが先制。39分と41分にも追加点を挙げると、広場の盛り上がりは最高潮に達した。鹿嶋市宮下の無職、板垣国男さん(71)は「久しぶりの優勝だ。世代交代してきた若い選手に期待できる」と優勝を喜んだ。

 橋本昌知事は「チーム一丸となって優勝を成し遂げられたことは、努力のたまものであり、県民にとっても大きな喜び」とする談話を出した。アントラーズが本拠地を置く同市の錦織孝一市長は「地域を代表するアントラーズが栄光をまた一つ増やした。17冠を達成したクラブの存在をうれしく思います」とコメントを寄せた。【岩本直紀、中里顕】

◆鹿島石井監督で3年ぶりタイトル「理想の形」(ニッカン)


http://www.nikkansports.com/soccer/news/1560262.html

鹿島石井監督で3年ぶりタイトル「理想の形」

<ナビスコ杯:鹿島3-0G大阪>◇決勝◇10月31日◇埼玉

 就任3カ月の新米指揮官が6度、宙に舞った。鹿島の石井正忠監督(48)が通算優勝と同じ数だけ胴上げされた。24年の鹿島人生。選手で3回、コーチで8回タイトルを味わったが、監督は格別。終了の笛が鳴った時は両手を突き上げ「うれしかったのが正直な気持ち。理想の形」と喜んだ。

 公式戦4連敗中だった昨季の3冠王者に完勝した。0-0の後半15分、小笠原の左CKにファン・ソッコが頭で合わせて先制。39分には再び小笠原の左CKから追加点。途中出場の鈴木優が金崎の2点目をアシストし、3点目も後半投入したカイオが奪った。采配がさえて守備陣も完封。11年ぶりの5万超の観衆の前で盤石の6度目Vを遂げた。

 鹿島の初代主将が、クラブ初の日本人OB監督になり、3年ぶりのタイトルをもたらした。7月21日にコーチから昇格。16年ぶりの途中交代に「逃げ出したい気持ちも少し」ありながら初ミーティングを行った。選手に示した映像は一般的分析ではなく、球際で果敢に競り合う選手のプレー集。「自分が求めるのは、この姿勢。変えるんじゃなく、元に戻したい」。けが防止のため前体制では禁止されていた激しいタックルも解禁。決勝も、球際でことごとく競り勝った。

 誰もが「温和」と口をそろえるが、熱く涙もろい。監督就任後、怒ったこと2回、泣いたこと3回。サブ組を本気でしかり、セレーゾ氏との別れやサポーターの声援には涙。決勝前のロッカールームでは西が「石井さんを泣かそうぜ」と言って盛り上げた。11年に順大の後輩だった元清水GK真田雅則さんが亡くなった時も、懸命に情報を集めたのが石井監督。男にしようと、イレブンは結束した。

 昨年のナビスコ杯は9年ぶりの1次リーグ敗退。柴崎が「かつての鹿島からすれば信じられない弱さ」と嘆いた名門を復活させた。もしコーチのままだったら今季限りで退団する契約だった。「鹿島を出て修行しようと」。運命的昇格で17冠目に名を刻んだ。過去16冠はすべてブラジル人監督が獲得。日本人の初タイトルだ。王者のDNAを受け継ぐ石井アントラーズが新たな黄金時代に突入する。【木下淳】

 ◆鹿島アントラーズ 1947年(昭22)に大阪で発足した住友金属蹴球同好会が母体で、75年に茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に移転した。91年に鹿島アントラーズと改称してJリーグの正会員に。「アントラーズ」は地元の鹿島神宮名物のシカにちなみ、枝角を意味する英語「アントラー」が由来。

◆勝利呼んだ小笠原の執念。“試合前”からMVP級の活躍、受け継がれる常勝のDNA(フットボールチャンネル)


http://www.footballchannel.jp/2015/11/01/post117444/

勝利呼んだ小笠原の執念。“試合前”からMVP級の活躍、受け継がれる常勝のDNA

【鹿島アントラーズ 3-0 ガンバ大阪 ヤマザキナビスコカップ決勝】

「まだまだ僕らも負けていられない」。ナビスコカップ決勝でチームを牽引し、MVPを受賞した鹿島アントラーズの小笠原満男は台頭する若手にすんなり道を譲る気はみじんもないことを明言した。

 長くチームの中心にいる小笠原も今年36歳になった。チームメートだった中田浩二らをはじめ同期が次々と引退しているが、運動量豊富に走り回り、切れ味鋭いパスを何本も出す姿は年齢を感じさせないものだった。

 何よりすさまじかったのは勝利への執念だ。90分間味方を鼓舞し続け、ガンバに隙を与えないばかりか、勝利がほぼ確定した時間帯でもピッチ内で指示を出し圧倒した。

「36歳には36歳なりの良さがある。こういう舞台で、勝ってきたことばかりがフォーカスされるが、決勝で負けたことも何回もある。そういう中でどうしたら勝てるのかが一番自分が力になれるところ。勝利にこだわるのがこのチーム。全員でファイトする。それができればいいサッカーができる」

 物静かな男は試合後、報道陣を前に言葉を選ぶように丁寧に語ったが、その1つひとつに勝利への飽くなき執着心を感じさせる。

 石井正忠監督は試合前の秘話を明かす。「ミーティングで(小笠原)満男が『ここで勝つと負けるのとでは本当に違う』と言った」。勝負の酸いも甘いも知る小笠原の言葉にチーム全員が奮い立ったに違いない。

 この日の試合には19歳の鈴木優磨や23歳の柴崎岳など一回り以上若い選手も出場していた。言葉で表し、行動で示した小笠原の姿は彼らの中で蓄積されていく。常勝軍団のDNAはこうして受け継がれていく。

【了】

◆鹿島MVP小笠原「タイトル獲ってこそ」/独占手記(ニッカン)


http://www.nikkansports.com/soccer/news/1560244.html

鹿島MVP小笠原「タイトル獲ってこそ」/独占手記

<ナビスコ杯:鹿島3-0G大阪>◇決勝◇10月31日◇埼玉

 鹿島が前年王者のG大阪を下し、3年ぶり最多6度目の優勝を果たした。主将のMF小笠原満男(36)が全3得点に絡む活躍でMVPを獲得。後半15分にCKで先制点をアシストし、2点目と3点目は起点になった。中盤のセカンドボール争いでも完勝。02年以来2度目のMVPは最多タイ、36歳6カ月26日での受賞は史上最年長となった。同学年のG大阪MF遠藤保仁との対決を制し、歴代最多を更新する17冠目に貢献した小笠原が、日刊スポーツに独占手記を寄せた。

 優勝もMVPも全員のもの。でも点を取ってないのにMVPなんて、うれしくないかな(笑い)。優勝は17回のうち14回目。やっぱり勝たないと。負けて得るものなんかない。石井さんを男泣きさせたかったけど、さすが優勝慣れしてて冷静だった。アントラーズはタイトルを取ってこそだし、取った者にしか分からない勝ち方、見え方がある。常勝に戻るためには今日が最低ラインだと思う。

 36歳は若くないけど、この年齢になって、相手の嫌がる部分とか見えてきた部分もある。ヤット(遠藤)が試合後に「素晴らしい」と言ってくれたけど、自分がキャリアで勝てるところは1つもない。でも、チームとしては負けたくなかった。10代から一緒だったけど、代表に呼ばれても試合に出られなかった。僕らは決して良い思いばかりしてきた選手じゃない。ずっと悔しい思いをしてきた。でも、欧州組に対し「出られなくても仕方ない」とは思わなかった。(柴崎)岳もヤット級になれるポテンシャルはある。負けん気を出して頑張ってほしい。ここ数年、鹿島も世代交代を進めているけど、若手はまだ自分で定位置をつかんだわけじゃなく、与えられただけ。本当の強さは、こうやってタイトルの味を知って覚えていくことなんだ。

 7月5日にヤナギさん(柳沢敦)や(中田)浩二の引退試合があった。その前日にOBと食事して「大丈夫か」と言われた。2年連続無冠で顔向けできなかった。その2週間後にセレーゾ前監督が解任され、翌日の決起集会で「監督が代わっても、俺らが変わらなかったら意味がない」と言った。セレーゾには(昨年10月22日神戸戦で)選手起用をめぐり怒鳴ったこともある。試合中なんで熱くなっちゃったけど、勝ちにこだわった戦術的な話。彼も多くのものを残してくれた。

 9月には同じ茨城の常総市で水害(関東・東北豪雨)があり、鹿島のスクール生が被災した。できることはないか。過密日程とか関係なく、ボランティアに行こうと思った。ご家族から丁重に断られて力になれなかったけど、決勝の1週間前にカシマスタジアムに招待した。今日の埼玉にも何人か呼んでいた。優勝を見せてあげられて良かった。東日本大震災の後、子供たちを招待した試合で負け、両手両膝をついて謝ったこともある。タイトルを取らないと「大丈夫?」と言われるので勝てて安心した。

 まだ引退はない。若手には「やれるもんなら、やってみろ」って思ってるし、ジーコはJ開幕時に40歳でハットトリックした。セレーゾも37歳でクラブW杯を制してMVPになった。いつか超えられるよう頑張っていきたい。(鹿島MF)

 ◆小笠原満男(おがさわら・みつお)1979年(昭54)4月5日、岩手県盛岡市生まれ。大船渡高から98年に鹿島入り。99年ワールドユース準優勝。02年3月21日ウクライナ戦でA代表デビュー。W杯は02年日韓大会と06年ドイツ大会で計3試合に出場。06年夏にセリエAメッシーナへ期限付き移籍。07年夏に鹿島復帰。J1通算462試合69得点。09年リーグMVP。国際Aマッチ通算55試合7得点。173センチ、72キロ。

 ▼最年長MVP 36歳の小笠原が02年以来13年ぶり2度目のMVP。ナビスコ杯で2度のMVPは93、94年のV川崎MFビスマルクに次いで史上2人目。36歳での受賞は96年の清水MFサントスの35歳を更新する史上最年長記録。

 ◆ナビスコ杯の賞金 優勝は1億円、準優勝は5000万円、3位は1クラブにつき2000万円。優勝クラブにはスポンサー杯(デザインはティファニー社製)とJリーグ(チェアマン)杯も贈られる。

◆3年ぶりにナビスコ杯を制した鹿島アントラーズに蘇った勝者のメンタル(THE PAGE)


http://thepage.jp/detail/20151031-00000001-wordleafs


優勝を喜ぶカイオ(左)と小笠原(写真:アフロスポーツ)


 至福の喜びに支配されていたのだろう。準優勝チームから先にメダルを授与される表彰式。本来ならガンバ大阪を見送るはずの鹿島アントラーズの視線は、ゴール裏を真っ赤に染めたサポーターへと向けられていた。
 埼玉スタジアムで10月31日に行われたナビスコ杯決勝。連覇を狙ったG大阪を3対0で一蹴し、大会最多となる6度目の優勝を手にした鹿島の選手やスタッフがスタンド前で一列となり、肩を組みながら勝利のダンスを踊りはじめる。
 2012年のナビスコ杯を制して以来、実に3年のブランクを超えての戴冠。マナーに欠けているとはわかっていても、一刻も早く手にしたタイトルの価値を分かち合いたかった。

 常勝軍団と呼ばれる鹿島にとって、2年連続の無冠がいかに重い十字架と化していたか。昨年からDFリーダーを拝命し、今年からは黄金時代を支えたレジェンド、秋田豊の象徴だった「3」番を託された22歳の昌子源が偽らざる本音を打ち明ける。

「正直、プレッシャーがあった。タイトルを取れないと周りからいろいろな目で見られるというか、タイトルに関われないと『弱い』と言われるチーム。強い鹿島というのは僕たちの大先輩が築いた時代。僕たちは何も成し得ていないし、言うたら強い鹿島を壊してしまったのは僕たちとなる」

 鹿島の強化部長に就任して20年になる鈴木満氏は、「同じチームで勝てるのは3年間が限度」とよく口にしていた。
 キャプテンのMF小笠原満男、GK曽ヶ端準、DF中田浩二、MF本山雅志の「黄金世代」が軸となり、J1で前人未踏の3連覇を達成したのが2009年。本来ならば、この時点で30歳を迎えた黄金世代から次代へバトンが託されるはずだった。
 鈴木強化部長のもと、鹿島は他のJクラブと一線を画すチーム作りを進めてきた。高卒を中心とする新人を入団から最低でも3年間は大切に育て、主軸がピークに達した3年間と重複させることで伝統や哲学を継承させる。

 小笠原たちが鹿島に入団したのが1998年。当時の中盤には司令塔のビスマルクが、ボランチには激しいマークを得意とする本田泰人が君臨していた。公式戦のピッチに立つ目標を描きながら、レジェンドの一挙手一投足を脳裏に焼き付けた。

1998年の鹿島は宿敵ジュビロ磐田との死闘を制し、年間王者に輝いた。ビスマルクの技術と本田の闘志の両方を受け継いだ小笠原は言う。
「先輩たちが喜びあう姿を見て、いつかは自分もと思った。タイトルを取らなければ見えてこないものがあるので」

 黄金世代が主軸を担ったのは2000年。史上初の三冠を達成し、翌年もJ1を連覇。完全にバトンを受け継いだが、いざ彼らが30歳を迎えたときに託すべき相手がいない。

 日本代表でも活躍したDF内田篤人が、シャルケへ移籍したのが2010年7月。内田と入れ替わるように鹿島に入団したFW大迫勇也も、2014年が明けるとともにドイツへ新天地を求めた。

 かつては考慮する必要のなかった日本人選手の海外移籍が、鹿島独自の世代交代の青写真を狂わせる。3連覇を達成した時期の遺産もあり、2010年は天皇杯、2011年からはナビスコ杯を連覇したが、チームは伸びしろを完全に失っていた。

 危機感を抱いたフロントは、2013年からトニーニョ・セレーゾ監督を8年ぶりに復帰させる。2000年からの5年間で5冠を獲得した実績以上に、居残りを含めた猛練習で若手を中心に選手個々を鍛え、世代交代を成就させた厳しさに再建を託した。

 実際、若手や中堅は伸びた。2014年に初の2桁ゴールをマークした、入団8年目のMF遠藤康の急成長はセレーゾ前監督の存在を抜きには語れない。

 昌子がDFリーダーを拝命したのは、2013年のオフに当時31歳の元日本代表・岩政大樹(現ファジアーノ岡山)との契約更新をフロントが見送ったからだ。
若手が実力で勝ち取るべき世代交代が、フロント主導で進められる。鹿島が置かれた状況を理解した岩政は、昌子に熱いエールを送って去っていった。

「お前の潜在能力は高い。必ず鹿島を背負うセンターバックになれる」

 その一方で、紅白戦などで真剣勝負が高じて殴り合いに発展することも珍しくなかった、鹿島伝統の激しさが薄まっていた。理由は日々の練習にあった。不慮のけがを恐れていたのか。セレーゾ前監督は紅白戦などでスライデンングタックルを厳禁としていた。

 迎えた2015年。第1ステージで8位に甘んじ、第2ステージでも3試合で勝ち点4と出遅れた直後の7月21日に、セレーゾ前監督は解任される。
 コーチから昇格した石井正忠新監督は、Jリーグが産声をあげた1993年に鹿島の攻撃的MFとしてプレー。神様ジーコの薫陶を強く受け、現役引退後もコーチやフィジカルコーチとして鹿島に携わってきた。
黎明期のスピリットを熟知する48歳の指揮官は、まず練習におけるスライディングタックルを解禁。最初のミーティングでこう訴えた。

「戦う姿勢を見せてほしい」

 前監督のもとで植えつけられた「個の強さ」と、たとえレクリエーション的なミニゲームでも負けることを拒絶する「勝者のメンタリティー」。これらが融合とした結果として第2ステージは一転して優勝争いに絡み、決勝トーナメントから登場したナビスコ杯では頂点に立った。

 試合後の取材エリア。G大阪のキャプテン、MF遠藤保仁は90分間を通して鹿島に見せつけられた球際の強さと激しい闘志に白旗をあげている。
「負けるべくして負けた」

 鹿島が獲得した17個のタイトルのうち、実に14個を自身の脳裏に焼きつけてきた小笠原は、勝ち取ったナビスコ杯の価値をこう位置づける。
「自分が若い頃も上の人に支えられながらタイトルを取って、成長できた部分がある。タイトルをひとつ取って、またああいう経験をしたいという気持ちが芽生えてくる。そういうことの積み重ねで、チームは強くなっていく」

 黄金世代からバトンを託されるべき世代の中心として、MF柴崎岳とともにフロントから指名された1992年生まれの昌子も決意を新たにする。
「間違いなくチームを前進させるタイトルだし、僕自身のキャリアのなかでも大きなものなるけど、正直、僕たちはもう若手じゃない。僕たちの下にもう十何人といるわけで、そういう状況で僕や柴崎といった中堅がしっかりとチームを引っ張っていかないと」

 2年ぶりのタイトルとともに、ようやく刻まれた世代交代への第一歩。もっとも、バトンはまだ完全には受け渡していないと最年長でのMVPに輝いた36歳の小笠原が力を込める。
「やれるものならやってみろ、というのはあります。まだまだ僕らも負けていられない」

 ここから先は実力だけの勝負。濃密な経験を武器としながらいぶし銀の輝きを放つベテランと、自信を糧に潜在能力をさらに解き放とうとする中堅や若手。ナビスコ杯制覇が下剋上の最終章への呼び水となり、鹿島の勝者の歴史を加速させる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

◆ナビスコ杯制覇から一夜、鹿島・石井監督「実は終了直前…」(サンスポ)


http://www.sanspo.com/soccer/news/20151102/jle15110205000002-n1.html

 鹿島は1日、ナビスコ杯制覇から一夜明け、約1時間の調整。石井監督は「実は終了直前にトイレのため退席していた」と明かした。3人の交代枠を使い切り、後半41分に3-0とした後だったという。「緊張からかおしっこが我慢できなくて。セレーゾ前監督もトイレが近かった」と苦労をのぞかせた。ミーティングでは「切り替えよう」と話し、首位・広島と勝ち点3差の2位につけるJ1第2ステージの逆転Vを狙う。 (鹿嶋市)

◆ナビスコ決勝、ワンサイドゲームの要因 小笠原が鹿島に行き渡らせた勝者の精神(SPORTS NAVI)


http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201511010001-spnavi

両者に見えたメンタルコンディションの差


ナビスコカップ決勝は鹿島がG大阪に3−0で快勝し、17冠目のタイトルを獲得した【写真:アフロスポーツ】


 勝者は「強者」だった。ガンバ大阪を圧倒し、ナビスコカップを制した鹿島アントラーズのことだ。この日、鹿島が放ったシュートの数は、5本だったG大阪のおよそ5倍に相当する24本。CKの数を比べても、鹿島の12本に対し、G大阪はわずか2本にとどまった。3−0というスコア以上の快勝。G大阪の若きエースである宇佐美貴史は「何もさせてもらえなかった」と脱帽の体だった。

 ワンサイドゲームになった要因は何だったのか。9月、10月とほぼ休みなく戦ってきたG大阪の過密日程による影響(疲労)を指摘する声もある。しかし、G大阪のGK東口順昭の見方は違った。「前半、鹿島の圧力に押されて、疲れがあるように見えただけ。直近の試合から1週間も空いていた。過密日程は関係ない」と。守護神によれば、フィジカル(身)よりもむしろ、メンタル(心)のコンディションに差があった、という。

「ざっくり言えば『勝ちたい』という気持ちの面で相手が上だった」

 そう語ったのはG大阪の長谷川健太監督だ。また、指揮官はこうも話している。「選手たちに『勝てるだろう』という慢心があったかもしれない」と。決戦を迎えるまでの鹿島との公式戦は4連勝中だった。心のどこかに隙が生じたのか。真偽のほどはともかく、鹿島の気迫がG大阪を上回っていたのは確かだろう。その象徴が、圧巻とも言うべき「球際の強さ」だった。

 敵陣からガンガン圧力をかける鹿島のハイプレス(戦術)が十全に機能したのも、そのためだ。これに攻守の切り替えの速さと、相手に寄せる出足の鋭さが重なって、時に転がり、時に宙を舞うボールが、ことごとく臙脂(えんじ)のユニフォームに吸い込まれていった。事実、宇佐美は「想像していた以上にプレッシャーがすごかった」と、振り返っている。

G大阪・遠藤の珍しいエラーの連続


鹿島の苛烈なプレスに、遠藤は珍しくエラーを連発した【写真:アフロスポーツ】


 G大阪が一方的に押し込まれた要因の一つに、最前線で逆襲のターゲットになるパトリックの空転があった。昌子源とファン・ソッコの激しいチェックに遭い、高い位置でボールが収まらず、敵陣へ押し返せない。パトリックに当てた後のセカンドボールも、ことごとく鹿島に拾われた。パトリックに仕事をさせない2センターバックの働きも見事だが、鹿島の石井正忠監督は「前線からの守備が効いていた」と、グループによる優れた連動性を強調している。

 パトリックを狙ったパスそのものが、すでに「死んでいた」わけだ。送り手が苛烈なプレスに浴びて、苦し紛れのパスが頻発している。事実、反撃の始点となる遠藤保仁のパスワークに何度もバグが生じていた。41分の場面が象徴的だろうか。こぼれ球を拾い、前線で待つ宇佐美へ送ったパスがファン・ソッコに拾われると、その数十秒後には遠藤にボールを預けて前へ出た今野泰幸へのリターンパスを、プレスバックした鹿島の遠藤康に回収されてしまう。

 名手にしては極めて珍しいエラーの連続。遠藤がパスを送る寸前に圧力をかけていた柴崎岳の、小笠原満男のファーストディフェンスが「最速奪取」の伏線になっていた。イレブンが鎖にようにつながり、狙った獲物を仕留めるプレッシング戦術の教本だろう。そして、この“ハンティング・ワールド”の先導者と言うべき存在が、小笠原である。

 開始5分のワンプレーが暗示的だった。G大阪の米倉恒貴がタッチライン際で遠藤に視線を配った瞬間、企図を察知した小笠原は倉田秋のマークを捨てて遠藤に襲い掛かり、ボールを絡め取った。この日の鹿島が何をすべきか――。「苛烈なプレス」と「遠藤狩り」という二重のメッセージを込めたキャプテンのボールハントは、鹿島の攻勢を加速させるスイッチだった。

鹿島の攻撃に幅と奥行きをもたらした「横」と「縦」の動き

金崎(写真)と赤崎、2トップの働きも光った【写真:アフロスポーツ】


 ボールを奪った後のプロセスで光ったのは、2トップの働きだろう。金崎夢生と今大会のニューヒーロー賞に選ばれた赤崎秀平のペアだ。前半、G大阪のディフェンス陣は、縦横に動く2人のアクションに翻弄(ほんろう)されている。高い位置を取るG大阪のサイドバックの背後に流れ、反撃のポイントをつくった金崎の「横」の動きと、何度も最終ラインの裏へ抜けた赤崎の「縦」の動きが、鹿島の攻撃に幅と奥行きをもたらしていた。

 赤崎は無得点に終わったものの、鋭いラインブレイクから遠藤のスルーパスを引き出し、二度にわたって決定機を作り出している。同時にG大阪の最終ラインを押し下げ、先発出場した西野貴治をベンチに追いやり、敵の指揮官に早々と交代のカードを使わせた意味でも価値があった。1トップのパトリックが沈黙し、フォロワー(トップ下)の倉田が消えたG大阪のフロントラインとは、実に対照的だった。

 ベンチの用兵術でも上を行ったのは鹿島の方だ。先制した後にピッチへ送ったカイオと鈴木優磨の両翼が、鹿島の勝利を決定づける上で貴重な役割を果たしている。攻撃参加を企むG大阪のサイドバックをけん制し、1点を追って前のめりになるG大阪の背後を鋭く突いた。左翼の鈴木から右翼のカイオへ一直線に伸びる対角パスから、何度もチャンスを演出している。

 鈴木がヘッドで2点目につながるアシストを記録すれば、カイオは自ら持ち込んでダメ押しの3点目をマーク。目に見える結果(数字)を残したという点でも見事な働きだった。またG大阪がリンスを投入し、2トップに切り替えると、3枚目のカード(山村和也=ボランチ)を切り、守備の綻びを未然に防ぐ念の入れ方。高さも備える山村の存在は、2トップへロングボールを放り込むG大阪の最後の手段(パワープレー)への抑止力ともなった。

常勝・鹿島の新時代へ


誰よりもタイトルの重みを知る小笠原(中央)が、“勝者の精神”をチームの隅々まで行き渡らせた【写真:アフロスポーツ】


 キックオフ直後からG大阪を圧倒したゲームの入り方から、強化(攻撃)と補強(守備)のバランスを取るゲームの終わらせ方まで、実に抜かりがなかった。石井監督は「失点をゼロに抑える理想の形。うちらしいゲームができた」と、会心の勝利に喜びを隠さなかった。だが、最終的に「内容と結果」のつじつまが合ったポイントは、セットプレーにある。

 均衡を破った鹿島の先制点と、勝利を確信させる追加点は、いずれもCKから生まれたもの。1点目はゴール正面でフリーだったファン・ソッコがヘッドで押し込み、2点目もファーサイドでフリーとなった鈴木の折り返しを、金崎がヘッドで押し込んだ。マークを外しやすい相手の隙を逃さず、エアポケットに入った味方へしたたかにボールを送り届けるキッカーの技術と判断が大きくモノを言った。その立役者もまた、小笠原である。

「何が大事か、何をすべきか、よく分かっているつもり。こういう舞台は何回も経験している。そこが、鹿島の強み」

 小笠原は胸を張った。もっとも、世代交代の途上にある現在の鹿島に何度も決勝の舞台を味わっている歴戦のツワモノは数えるほど。従って「そこ(豊かな経験値)が強み」という鹿島とは、まさに小笠原自身を指していると言ってもいい。鹿島が手中に収めてきた、国内の3大タイトル(Jリーグ、ナビスコカップ、天皇杯)16冠のうち、実に13冠に貢献。誰よりもタイトルの重みを知る存在だ。この日、MVPに輝いたのは小笠原だった。

 試合を終え、36歳の大ベテランはクラブ史上17冠目、自身14冠目となる「聖杯」を天高く掲げた。小笠原の感染力が“勝者の精神”をチームの隅々まで行き渡らせた末の歓喜の輪。そこから、常勝・鹿島の新時代を告げる足音が聞こえてくるかのようだった。

◆2015Jリーグヤマザキナビスコカップ 決勝トーナメント 決勝(オフィシャル)


http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51711


ナビスコ決勝トーナメント 決勝 vsガンバ大阪

3年ぶり6回目のヤマザキナビスコカップ制覇!鹿島がG大阪に完勝、17冠目を獲得!

鹿島が3年ぶり6回目となるヤマザキナビスコカップ制覇を決めた。埼玉スタジアム2○○2での決勝、ガンバ大阪と対戦するとファン ソッコと金崎、カイオがゴールを決め、3-0で完勝。サポーターとともに歓喜の時を迎えた。



鹿島は1週間前、J1 2nd 第15節で湘南ベルマーレと対戦し、アウェイで1-2と黒星を喫した。2ndステージ制覇に向けて痛恨の敗戦となったが、選手たちが下を向く時間はない。翌日に開催されたオープンスタジアム2015で、サポーターとともにヤマザキナビスコカップ制覇への思いを新たにしたチームは、27日から練習を再開。日々、密度の濃いトレーニングを積んだ。

28日と29日には、練習前にミーティングを敢行した。普段より数多く詰めかける報道陣、試合前日の公開練習など、いつもとは異なる雰囲気と日程が待ち受ける中で、それでも指揮官は「今までと同じ流れで」と強調。「このような舞台に立てる機会はなかなかないので、僕自身は楽しみたいと思う」と、平常心を口にしていた。

試合前日、埼玉スタジアムで実施された公開練習でも、選手たちはリラックスした表情だった。気負うことなく、目の前の試合に集中する――。一戦必勝のスタンスは、タイトルマッチを前にしても変わらなかった。

指揮官は湘南戦から、先発メンバー2名を変更。GKに曽ヶ端、最終ラインは西とファン ソッコ、昌子、山本が並ぶ。ボランチは柴崎と小笠原のコンビで、2列目には中村と遠藤、そして前線には赤崎と金崎が入った。そしてベンチには、GK佐藤のほか、山村、青木、カイオ、本山、豊川、鈴木優磨が座る。

決戦の舞台、埼玉スタジアムには、朝早くからサポーターが待機列を成していた。17冠への思いをたぎらせた背番号12は、ホーム側スタンドをアントラーズレッドで埋め尽くした。小雨にも見舞われたが、熱い思いが冷めることはない。ウォーミングアップに現れた選手たちに、大きなチームコールが降り注がれた。

13時5分、キックオフのホイッスルが鳴った。「前半からギアを上げていかないと」との赤崎の言葉を実践するかのように、鹿島は立ち上がりから立て続けに決定機を迎える。まずは1分、金崎がペナルティーエリア右手前でパスを受け、振り向きざまにシュート。枠の右に外れたが、開始まもないシュートで口火を切った。さらに2分には、ペナルティーエリア内でのパス交換から遠藤がシュートを打ったが、ペナルティーエリア内から放たれたボールは枠を越えた。そして5分にもセカンドボールを拾って二次攻撃を仕掛け、中央突破。最後は遠藤が狙ったが、これも枠を捉えられなかった。



鹿島の攻勢は続く。11分には、中村が左サイドでボールを受け、ドリブルでのカットインから右足シュートを放ったが、わずかに枠の右へ。直後にも、赤崎がゴールライン際まで持ち込み、左サイドから中央へ折り返す。中村のシュートは枠を捉えたが、カバーに戻ったDFにクリアされてしまった。



出足の速いプレスとセカンドボールへの反応で、鹿島は主導権を握り続けた。15分過ぎからは決定機の数こそ減ったが、ボールキープ率を高めてG大阪を押し込んでいく。時折、カウンターを狙われたものの、中盤でいち早くプレスをかけ、最終ラインでは昌子とソッコが立ちはだかった。ハイボールへの競り合いをことごとく制し、相手にリズムを与えなかった。



前半の半分を過ぎても、鹿島ペースは変わらない。31分には、遠藤のスルーパスを受けた赤崎がペナルティーエリア右側から狙ったものの、GKに弾き出されてしまう。40分にも似たような形から、遠藤のパスに赤崎が抜け出し、GKをかわしてシュート。しかし、カバーに戻ったDFにゴールライン上で阻まれてしまった。結局、前半に均衡を破ることはできなかったが、終始、鹿島が攻勢をかけ続けた。



スコアレスで迎えた後半も、鹿島が優勢に試合を進めていった。53分、右サイド深くで得たFKを遠藤が蹴り込み、金崎がヘディングシュート。惜しくも枠を逸れたが、セットプレーからチャンスを作ってゴールの予感を漂わせた。





そして、待望の先制点は60分に生まれた。小笠原が蹴った左CKに反応したソッコが、フリーでヘディングシュート。これがゴール右隅に決まり、鹿島が均衡を破った。



1点リードを得た鹿島は、主導権を相手に譲らない。石井監督は66分にカイオ、69分に鈴木優磨をピッチへ送り出し、さらに攻撃の勢いを増していく。そしてこの交代策が、のちに歓喜を2回、生むこととなった。





鹿島は73分、優磨のパスを受けたカイオが右サイドから中央へ折り返し、金崎が至近距離からシュートを放つ。決定機だったが、これはGKに阻まれた。さらに74分には赤崎、76分にはカイオがペナルティーエリア内からシュートを放つなど、追加点を貪欲に狙っていった。



熱い声援を送り続けたホーム側のサポーターに向かって攻め続ける鹿島は、84分に追加点を挙げる。小笠原が左CKをファーサイドへ送ると、優磨が頭で折り返し、最後は金崎が押し込んだ。ファーストシュートから鹿島の推進力となり続けた背番号33が、決勝の舞台でも大仕事。これで鹿島が2-0と、リードを広げた。



そして、2点目の興奮が冷めやらぬ86分、ゴールラッシュの締めくくりはカイオが主役だった。カウンターで最終ラインの背後に抜け出すと、GKと1対1となる。背番号7は狙いすましたシュートをゴール右隅へと送り届けた。歓喜を爆発させるカイオ、そしてサポーター。鹿島が勝利を決定付ける3点目を決めた。







あとは、その瞬間を待つのみだった。鹿島は最後まで決定機を作らせず、G大阪を寄せ付けない。アディショナルタイム4分が経ち、待望のホイッスルが鳴った。3-0。鹿島がG大阪に完勝し、3年ぶり6回目のヤマザキナビスコカップ制覇を決めた。



試合後の埼玉スタジアムには、歓喜の歌声が鳴り響き続けた。最優秀選手賞には、中盤で献身的なプレスをかけ続け、チームの羅針盤となった小笠原が輝いた。負傷離脱中の土居やジネイもピッチに現れ、チームメート、スタッフと喜びを分かち合った。チーム全員で掴んだ、17冠目だ。

そして次戦は1週間後、11月7日に行われるJ1 2nd 第16節の横浜F・マリノス戦だ。2ndステージ制覇へ、残り2試合に連勝することで道が開けると信じて。今日知った優勝の喜びを、再び味わうために。そして、チャンピオンシップへと歩みを進めるために。カシマスタジアムに帰還し、チーム一丸で勝ちに行く。



【この試合のトピックス】
・3年ぶり9回目の決勝で、通算6回目のヤマザキナビスコカップ制覇を決めた。最多優勝記録更新となった。
・国内三大タイトル通算17冠目を獲得した。
・G大阪との今季の対戦は3回目で、1勝目(2敗)を挙げた。
・G大阪とのヤマザキナビスコカップでの対戦は通算10回目で、5勝目(2分3敗)を挙げた。
・小笠原が最優秀選手賞を受賞した。2002年に続く受賞で、同大会での複数回受賞者は、1993年と1994年のビスマルク(V川崎/現東京V)に続いて、歴代2人目。
・ファン ソッコが加入後初ゴールを決め、決勝点を記録した。
・金崎が今大会5試合出場で5得点目を挙げた。
・カイオが今大会2得点目を記録した。
・曽ヶ端と西、山本、小笠原が、今大会5試合フルタイム出場を果たした。
・鈴木優磨が途中出場。ルーキーがヤマザキナビスコカップ決勝のピッチに立ったのは、2000年の羽田憲司、2003年の深井正樹と中島裕希、2011年の柴崎岳に次いで、5人目。
・柴崎が今大会初出場を果たした。
・西とファン ソッコが、2試合ぶりに先発メンバーに復帰した。

監督コメント[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・最後のホイッスルまで自分たちのサッカーと気持ちを表現し続けよう。
・相手ペナルティーエリア内へと積極的に仕掛けよう。
・前半は全員がやるべきことをしっかりやった。
・後半はそれをやり切って結果につなげよう。

ガンバ大阪:長谷川 健太
・去年に比べればまだまし。十分チャンスはある。
・頭の中をクリアにして、自分達のやるべきことを後半初めからする。
・戦わないと勝てない!

[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
G大阪を相手するにあたって、前半からタフな戦い、拮抗した戦いになるのではないかと思っていた。比較的うちが主導権を握れる展開になってはいたが、非常にカウンターの部分で脅威があって、そこをうまく失点なしでいけたことは、非常によかったと思う。後半に入ってからも当然、前がかりになってくると感じていたし、攻撃の怖さというものはあったが、そこはうちのディフェンス陣が、これはディフェンスだけの問題ではなくて、前線からの指示が非常に効いていて、うちらしい展開で試合を終えることができたと思っている。JリーグのホームゲームでG大阪に果敢に立ち向かっていって、そこでやられてしまったが、今日はそれが理想の形で終えることができた。やはり失点なしで終えることができたことは、非常によかったと思っている。

Q 今日のG大阪は過密スケジュールで疲れているなと感じた部分はあったか?

A 当然、そういう部分もあったと思う。私たちのプレスの仕方も当然よかったし、G大阪が普段とは違う形で来ているなと感じる部分もあった。

Q 就任して約3カ月で優勝だったが、終了の笛が鳴った瞬間は率直?

A本当にうれしかったというのが、正直な気持ち。試合が進むにつれて、1点取って、また追加点、さらにという形になり、どんどん攻撃的なものを出せたので、途中からは本当に今日は勝てるなっていう気持ちになっていた。監督に就任して数カ月ですが、この優勝は監督ではなく、やはり選手の戦う気持ちというものが最初から出ていたと思う。これをリーグ戦でも、天皇杯でも出したかったのですが、それができなかったのは、私の采配だったり、指導法だったり、そういうところに結びつくと思う。今日は本当に選手が90分間足を止めずに、積極的に、自分たちの戦う姿勢というものを見せてくれたと思っている。

Q 先週湘南に1-2で敗れたところから、どうやって立て直したのか?

A 練習から、守備にしても、攻撃にしても、自分たちのやり方というものをもう一度しっかりやっていこうというトレーニングをしてきた。一番は意識の問題ではないかと思う。湘南戦は前半の入りがよくなくて、相手に圧倒されてしまったところがあるが、逆に今日の試合はG大阪を圧倒できるような戦い方ができた。そこがいい結果に結びついたと思う。

Q 1点取ったあと、一瞬引くようなところがあったが、すぐに前で取ろうという意識が出てきた。1点リードしてガンバ相手に引くことなく戦えた要因は?

A そこは、流れの中で一瞬で相手にシュートまでいかれてしまうと、少し崩されたなという印象が出てしまうと、後ろに下がってしまうところもあると思うので、その辺の部分で、もう一度前からプレスに行って、相手にプレッシャーをかけて、切り替えてできれば、前からの守備ってものが継続してできると思うので、そのへんの切り替えの部分を選手がやってくれたんだと思う。常にいろんな環境のことは考えず、プレーのことだけを考えて、思考を切り替えてくれという話はしているので、そういう部分がいい方向に向いてくれたのではと思う。

Q 内容の流れ、勝負の流れがあり、最終的には内容と結果が一致したが、一致させることができた要因とは?

やはり、後半の何本か相手のチャンスになった部分で、防げたというところが一番だったと思う。Jリーグで負けてしまうときは、そこで相手に得点されてしまったりしていた。そこの部分で言えば、本当に1、2歩の寄せだったり、切り替えの速さだったりとか、そういう部分が重要になってくると思う。そこがやっぱり1歩前に出て、シュートコースを切れるのか、相手にプレッシャーを与えられるのか、そのへんの部分が1つの得点、1つの失点につながっていくと思う。そこが今日は本当に90分間、選手たちが高い意識を持ってやってくれたのではないかと思う。

Q 選手交代がうまくいったが、意図は? 小笠原選手が後半目立った理由は?

A 最初にサイドハーフを交代させた部分は疲労のところ、運動量が落ちてきたというところと、あとアツは少し筋肉を傷めたので、そこはすぐに代えようかと。やっぱり運動量が落ちてしまうと、相手に押し込まれてしまうケースが非常に多くなるし、サイドの攻撃っていのはやっぱりまずはうちの陣内に入ってきたところのサイドからの攻撃が起点になっていると思うので、そこの部分で意識がおろそかになってしまうと相手に押しかまれてしまうと思っていたので、そのへんはすぐに交代を考えていた。満男は前半もこぼれ球への反応だったり、挟み込みにいくタイミングだったり、僕のなかでも非常にやってくれていると感じていた。後半はうちが点をとったことでオープンな展開になったので、よりそれが目だったのではないかと思う。

Q 現役時代からジーコスピリットを知り、タイトルを獲ってきた監督にとって、この優勝はどんな意味があるか?

A ミーティングで満男が言ったことですが、ここで勝つと負けるでは本当に違う、と。そういう気持ちというものを常に持っているということで、重要だと思う。僕が現役時代では、試合数も100試合に満たないぐらいで、活躍もしていないので、タイトルといっても自分が勝ち獲ったタイトルというのはほとんどなかったと思うのですが、今いる、満男とか、ソガ、モトといった年代がチームにいるということが、すごく重要だと思っている。彼らが今までJリーグが始まってタイトルを獲ってきた、その積み重なった部分を継承してくれていると思う。

Q 監督として初のタイトルですが、現役時代と喜びに違いがあれば教えてください。

いや、優勝というのはどの優勝でも本当にうれしいんだなと、率直に思います。立場が変わりましたが、正直、僕にとっては関係なく、選手のみんながああやって喜んでいる笑顔とか、サポーターの人たちが喜んでくれる姿を見れば、どのタイトルも素晴らしい優勝だと実感しました。


ガンバ大阪:長谷川 健太
今日は完敗だ。ガンバのサポーターもたくさん応援に来てくれ、選手も最後の最後まで戦ってくれたが、鹿島の力に圧倒された。ガンバのサポーターに優勝をプレゼントできなかったのは悔しい。鹿島のサポーター、選手、スタッフ、クラブ、本当におめでとうございます。本当に今日は優勝にふさわしいゲームをしたと思う。なかなか90分を通して活路を見出すことができなかった。負けようと思ってプレーしている選手は誰もいない。勝てなかった責任は私にある。コンディショニングを含めて、雰囲気づくりなどいい形で戦わせてあげられなかったことは反省だ。リーグ戦2試合残っているので、ここでしっかり切り替えて、CSに出るために、なんとか今シーズンをいい形で終われるように、しっかりと切り替えて臨みたい。

Q 攻撃陣をいろいろ組み替えてゴールを目指したがうまく機能していなかったようだ。うまくいかなかった要因は?

A 今日は前線に起点を作れなかった。昌子、ファン ソッコがパトリックを抑えていた。逆に倉田が落ちたところで何度かチャンスになりかけていたが、攻撃の起点を前戦に作れなかった。非常に鹿島のプレッシャーが速かった。特にボランチに関してはFWがプレースバックして、今ちゃんのところで自由を与えてもらえなかったので、相手陣で時間を作るということができなかったことが、大きな要因かと思う。リンス入れたり大森を入れたりと、個人の力で打開しようと狙ったが、最後までうまくいかなかった。ただ、選手は鹿島相手に必死で戦ってくれた。私の見極めが甘かったと思う。

Q 次に広島との大一番が待っているが。

A 先ほども言ったが、ここで切り替えないと今シーズン、あと3試合で終わってしまう。天皇杯も川崎Fで非常に厳しい試合が待っている。今日負けて、やっぱり決勝戦、まけちゃいけないなと感じた。準優勝して下から見る光景は見飽きた。やっぱり勝たないといけないと改めて感じた。選手も悔しかったと思う。ここで切り替えられないチームではないと思う。選手を信じて、しっかり1週間、広島戦に向けて戦っていきたいと思う。

Q 前半チャンスを作るが鹿島が点を取れなかった。後半、5分過ぎにチャンスが続いたが、ゲームの流れ、勝負の流れがあり、勝負を引き寄せるのかと思ったが、どう思っていたか?

A そう思ってみていた。前半外してくれていたので、一発チャンスがあればと思っていた。実際に決めていればというシーンをいくつか作ってくれていたので、入るか、入らないか。しかし、今日は鹿島の久々にタイトルを獲りたいという気持ちが強く出ていた。こちらも、昨年勝って満足しているわけではないが、勝てるだろうと少し慢心があったと思う。前半押され気味でもやられない、やっぱり勝てるんだという思いで戦っていたと思う。ざっくりいえば、気持ちの面で鹿島の勝ちたいって気持ちが、我々を陵駕したのではないかと思う。

Q ハーフタイムのコメントで、戦う気持ちを見せないといけないとあったが、監督として戦っていないと感じていたのか?

A そうではなくて、球際で負けていたので、そういう意味での戦いに負けるなという話。れレフェリーが家本さんだったので、そのへんのファールは取らないとわかっていた。他のレフェリーなら取るかなというファールでも流すことが多かったので、その辺が鹿島の気持ちと相乗効果で鹿島に転がっていってしまったのかもしれない。そのへんで受ける気持ちがあったからこそ、球際で勝てなかった。前半1点取られたら難しいゲームになると感じたので、30分ぐらいを目途に落ち着かなければ岩下を入れようと考えていた。西野が悪かったわけではない。なんとかゼロで折り返して、後半を迎えたのだが。

Q フィジカルの疲れ、メンタルの疲れ、どちらを強く感じているか。どう切り替えるか?

A 本当に難しいと思う。休みは2日間与えようと思っている。9月、10月は2日間しか休みがなかった。疲弊感もある。少し休みを与えてリフレッシュさせようと思っている。コンディションを見極めながら、メンバーを決めていこうと思っている。広島も優勝がかかった試合だが、ホームで胴上げさせるわけにはいかない。選手と一緒になって、なんとかいい形で広島戦を迎えられるように準備したい。

Q 昨年タイトルを3つ獲って、勝利への飢え、メンタルコンディションの難しさを感じたか?

A はい、感じました。勝てない悔しさを味わうことで、優勝チームのサポーターが喜んでいる姿を見ることで、これほどエネルギーになるものはないのではと思う。勝たないと喜べないことは選手もわかっていたと思うが、どこかに心の隙があったのではないかと思う。そのへんも含めて私の準備不足だったと思う。

選手コメント[試合後]

【金崎 夢生】
みんなで勝ちたいと思っていて、その思いが勝利につながったと思う。今のチームメートで、このメンバーでタイトルを獲りたかった。結果につながって良かった。

【ファン ソッコ】
自分にとってのアントラーズでの初ゴールだった。本当に嬉しく思う。このタイトルを獲ることができて、そのピッチに立つことができた。最高の気分です。

【小笠原 満男】
いろいろな選手が試合に出て勝ち抜いて、タイトルを獲れた。全員が一丸となって獲れたタイトルだと思う。嬉しい。MVPを自分がもらったが、全員がMVPだと思う。試合に出られなかった選手を含め、スタッフとサポーター、みんながMVPにふさわしい。

柴崎選手、曽ヶ端選手、鈴木優磨選手、昌子選手、中村選手のコメントは、アントラーズモバイルをご覧ください。

Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事