【中古】 子どもに言ってはいけない55の言葉 ママが必ず知っておきたい! マミー...「鹿島アントラーズは“勝たなければいけないチーム”」
前節の神戸戦は2-2のドロー決着。1-2の1点ビハインドで迎えた90+4分、荒木遼太郎がチームを敗戦から救う値千金の同点弾をゲット。劇的なゴールシーンと同じくらい印象的だったのが、荒木の得点をアシストした染野唯月のある行動だ。
ゴールが決まると、スコアラーの荒木に一瞬だけ近寄ったが、同じ高卒ルーキーがやってのけた大仕事を祝福するより、すぐさまボールを拾いに行った。
「まだ同点で、逆転できる可能性もあったし、自分も点を決めたかった。引き分けっていうのは、あまりよくない結果。逆転を狙って、ああいう行動になりました」
アディショナルタイムに入り、残された時間はほぼなかった。土壇場で追いついたことを考えれば“勝点1”でも上々の結果だったが、染野は自らのゴールを、チームの勝利を諦めていなかった。
「自分は攻撃の選手として、まだ1点しか取れていない。たくさんゴールを決めて、チームとしても個人としても、もっと良い方向に進んでいきたい」
その1点は、3-2で勝利したルヴァンカップ3節の清水戦で決めたもの。リーグ戦ではここまで6試合に出場して、いまだノーゴールだ。
リーグ再開後は3節の札幌戦、続く浦和戦で先発を飾るも、思うような結果を残せなかった。その後は途中出場、ベンチ外、サブに入っても出場なしという状況が続いている。
「スタメンで出させてもらった時は、監督も“スタメンでいける”と考えたからこそ使われたと思いますし、自分もそれに応えなければいけなかったけど、結果が出なかったのでスタメンを外れる形になったと思います」
自分になにが足りなかったのか。なにがダメだったのか。先発の座を失って、気づいたことがある。
「サッカーに対する想いというか、自信を持ってプレーすることが欠けていたのかなと思います。そういったところを意識して、常に練習とか試合に臨んでいます」
ピッチに立てば、積極的にボールを呼び込む姿がある。“俺に預けてくれ、なんとかするから”と言わんばかりに、プロ1年目の18歳は臆することなく、与えられたチャンスのなかで全力を尽くそうとする。
「まずは自信を持ってボールを受けるということも踏まえて、攻撃の選手なのでシュートをたくさん打つことも意識していますし、自分は若手という立場なので、ハードワークも大事にしてプレーしています」
エネルギッシュな振る舞いに加えて、冷静かつアイデア溢れるプレーも特長だ。先述の神戸戦のアシストも、エリア内の密集地帯でマイボールにしても慌てることなく、いくつかの選択肢の中からパスを選び、ゴールを演出した。2-0で勝利した9節・鳥栖戦のチーム2点目を演出したヒールパスも、高いセンスを感じさせるものだった。
何よりも、このクラブに脈々と継承されているDNAを理解し、体現しようとしているところが頼もしい。次節の横浜FC戦に向けて、こう意気込みを語る。
「走り負けないことが一番で、そのなかで、鹿島アントラーズは“勝たなければいけないチーム”なので、内容どうこうではなく、まずは勝つっていうことを見せたい」
決定機に絡むシーンは着実に増えてきているが、「天狗にならず、調子に乗らず、ひたむきに頑張っていきたい」と殊勝に語る。世代交代が進む現在のチームにおいて、勝利に貪欲な若きストライカーのさらなる飛躍が楽しみだ。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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