【カット済みプリントシール】【V6/カミセン/井ノ原快彦】『イノッチ』★うちクラ...
前節の湘南戦に4-2で勝利し、ようやくリーグ戦の連敗を5で止めた横浜FC。キックオフから20分で4点を奪って楽勝ムードも漂ったが、後半は湘南に押し込まれて2点を返されると、その後も決定機を何度も作られヒヤヒヤする試合になってしまった。その一因となったのが、55分の伊野波雅彦の交代だった。「彼が代わってからボール保持、ビルドアップのところでうまくいかなくなってしまった」と下平隆宏監督。前半に足首を捻ってしまい、様子を見ながらプレーを続け、大事をとっての交代だったが、「できればフルで行ってほしかった」のが指揮官の本音であり、それだけ彼に対する信頼は厚い。
第8節の広島戦に敗れて4連敗となった横浜FCは、JリーグYBCルヴァンカップ・グループリーグ第2節の鳥栖戦から4バックを採用している。「キャラ(カルフィン ヨン ア ピン)と伊野波が怪我から復帰したので。彼らなら中央を二人で十分に守れる」と、下平監督はその理由をシンプルに説明した。その鳥栖戦を勝利で飾って公式戦の連敗を止めると、続くリーグ戦第9節のG大阪戦にも伊野波とヨン ア ピンは出場。この試合での伊野波の、特に攻撃面での活躍は目覚ましかった。相手FWの右脇に大胆に進出し、そこから前線への縦パス、サイドチェンジを通しまくってチャンスを演出。前節の湘南戦の先制ゴールも彼の一美和成へのフィードから始まっている。「守備力はもちろん、攻撃でゲームを作っていく力もある」と、彼の存在の大きさは指揮官も認めるところだ。
彼が負傷離脱したのは、新型コロナウィルスの影響によるチーム練習自粛が明けて1週間ほどたってからのことだという。「そこから2週間くらいかかって、少しずつやってたけどまた再発して、少し長くなってしまった」と伊野波は振り返る。チームはリーグ再開後の3試合を1勝1分1敗で終えたが、第5節の川崎F戦から連敗を続ける中で、彼は「チームが今までやってきたことを出せなくなっている」と感じていた。復帰戦の前に、「プロである以上は結果がすべて。ゲームの中でパフォーマンスを見せないと(スタメンに)戻れないことはずっとプロサッカー選手をやってきて分かっている」と決意を語った伊野波は、それを有言実行してみせた。
今節ホームに迎えるのは鹿島。彼が2008年から在籍し、リーグ優勝2回、天皇杯優勝1回、代表にも選ばれアジアカップを制覇するなど、彼のキャリアにおいて数々の栄光をつかんだ古巣である。下平監督は試合の2日前、「次は行けるかどうか見ているところ」と語ったが、本音としてはどうしても使いたいのは間違いなく、また本人も古巣戦に出たいのは当然だろう。「大事なのは、当たり前ですけど、情熱を失わずに、必死になって100%でやること。見てる人たちにそう思ってもらえるようにやりたい。それにプラスして結果が一番必要」。結果にこだわる熱き仕事人が、横浜FCの最終ラインを攻守に牽引する。
文:芥川和久(横浜FC担当)
明治安田生命J1リーグ 第11節
8月19日(水)19:00KO ニッパツ
横浜FC vs 鹿島アントラーズ
◆【横浜FC vs 鹿島】結果にこだわる熱き仕事人、伊野波雅彦。最終ラインの要として、輝かしい思い出の古巣に対峙する(J's GOAL)