今夏に移籍したベルギーリーグでの好調ぶりをドーハの地でどのように表現するか——。日本代表のFW最年長の上田綺世(セルクル・ブルージュ)が、カタールW杯に向けた日本代表合宿に合流した。
この日はクールダウンのジョギングやストレッチで全メニューが終了。「まだ特別な緊張感はない。(カナダとの親善試合に向けて)チームメートとすりあわせて、試合までに相手の対策などチームとして準備しながら自分なりにどうしていこうか、イメージと準備をしていきたい」と静かに意気込んだ。
FWは全員がW杯初出場という顔ぶれの中で、直近で最も好調なのが上田だ。12日にアウェーで行われたシントトロイデン戦。0-0で迎えた69分、味方のフリックに合わせて相手DF2人に挟まれながら裏へ抜けると、相手の寄せにもたじろがず、公式戦3試合連続となる今季リーグ7点目を豪快に決めた。シントトロイデンGKシュミット・ダニエルの反応の上をいくスピードで、2戦連続の今季7点目。直近4試合で4得点と爆発している。
ベルギーでの経験で日本代表に還元できると考えている最大のものは、高い強度の中でのプレーだと考えている。今夏にベルギーリーグに移籍して感じたのは「サッカーの文化自体が想像していた以上に違った」ということ。
「Jリーグではボールを保持してゆっくりゴールに迫り、マイボールの時間を長くして勝つのが良いとされている文化だと思うが、僕のチームではより速くゴールに迫る。その回数を増やす。攻守一体で、両方できないと戦術としてフィットできない」と分析した。
そのうえで自身としては「何ができて何ができないのかを知る段階があり、その中で自分の武器をどう表現していくか、チームメートとマッチしたときにどうゴールを取っていくか」という段階を経てきたと説明。その成果として表現したのが、12日のシントトロイデン戦でのゴールだった。
Jリーグの鹿島アントラーズで何本も決めていた豪快なシュートを、今はより強度の高い欧州で表現できつつあるという自信がうかがえる。とはいえ、これをそのまま日本代表に持ち込めるかどうかは別。「相手のレベルも違う。気候もチームメートも違う。(ベルギーで)調子がいいけど、こっちでも同じようにできるとは思っていない」と冷静な上田。高まる期待を受け止めつつもクールに前を見つめた。
(取材・文 矢内由美子)
◆ベルギーで絶好調もFW上田綺世「こっちでも同じようにできるとは思っていない」取り組む“イメージと準備”(ゲキサカ)