「相手が嫌なことをどんどん続けられれば」
ルヴァンカップのグループステージ第6節の北海道コンサドーレ札幌戦を2日後に控えた5月17日、鹿島アントラーズの小泉慶がオンラインでの取材に応じた。
ザーゴ前体制下では主に右SBやボランチで起用されていた小泉は、相馬直樹監督が指揮を執る現体制下ではトップ下で計算されているようだ。5試合ぶりに先発した5月12日のJ1リーグ第21節の名古屋グランパス戦ではトップ下でフル出場。2-0の勝利に貢献した。
そのパフォーマンスは出色だった。際立っていたのは、献身的かつ精力的な守備。果敢にボール奪取を狙い、相手のパスコースを限定し、ルーズボールを回収する。アグレッシブな守備を肝とする相馬アントラーズで、“トップ下・小泉”の存在感は絶大だった。
求められるタスクを、小泉本人も理解している。
「前の位置で相手にプレスをかけるところだったり、セカンドボールの拾い合いを助ける役割だったり、プレスバックだったり。攻撃で、間で受けて何かやるというよりは、守備でチームを助ける役割だと。そこは言われましたし、求められていると思います」
不慣れなポジションだったが、「チームメイトのみんなも、やりやすい環境を作ってくれた」という。「難しく考えないでやっていいよっていう声もかけてくれました」。持ち前の守備力をいかんなく発揮できた。一方で「僕からしてみれば、守備しかしていないという感じなので。攻撃はほぼほぼ任せてしまって申し訳なかった」と振り返る。
「だからその分、きついことだったり、守備のところは頑張ろうって切り替えられた」
やるべきことは明確。だからといって攻撃面での仕事を放棄しているわけではない。むしろ、守備面で見せる強度の高いプレーを、攻撃面で生かさない手はない。右SBよりも、ボランチよりも、相手ゴールに近い位置にいるならば決定的な仕事に絡む機会は多くなるはずで、その適正もあるのではないだろうか。
攻撃面でイメージする“らしさ”について訊けば、次のように応じる。
「もちろんトップ下なので、間で足もとで受けてターンして、ゴールに直結するようなプレーはもちろんやらないといけない。ただそういうのよりかは、相手の背後にどんどん走って行くっていうところや、3人目の動き出しとか、相手が嫌なことをどんどん続けられればと思っているし、あとはもうひとりのFWやサイドハーフの選手の動きを見て、自分がどんどん積極的にアクションを起こせればいいなと思っています」
敵からボールを素早く刈り取る馬力あるプレーをもって、相手ゴールにも襲いかかる。ネガティブトランジション(攻から守への移行)に加え、ポジティブトランジション(守から攻への移行)でも猛威をふるう。そんな姿を期待したい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
◆“守備的トップ下”で輝き放つ鹿島の小泉慶。だからこそ攻撃面での「積極的なアクション」にも期待(サッカーダイジェスト)