[1.28 アジア杯準決勝 日本3-0イラン アルアイン]
自ら輝き、周りを輝かせる。右臀部痛から5試合ぶりに先発復帰した日本代表FW大迫勇也(ブレーメン)が、“半端ない”ハイパフォーマンスで日本を勝利に導いた。
まずは0-0で折り返した後半11分だった。大迫のスルーパスに反応したMF南野拓実は相手DFに倒されたが、セルフジャッジで動きを止めたイランDFを尻目にルーズボールに追いつき、ゴール前にクロス。これを大迫がヘッドで叩き込み、先制に成功した。後半22分には南野が獲得したPKを冷静に沈めてリードを広げた。
これで大迫はグループリーグ初戦のトルクメニスタン戦(○3-2)に続く1試合2得点で、今大会通算4ゴールの大活躍だ。大迫自身は「ケガもあって出られない時間が続いていたので、自分の中では不甲斐ない気持ちが強かった。ピッチの中で、プレーで示そうと思っていた」と控えめだが、当然ながらチームメイトは賛辞を惜しまずにいられなかった。
MF原口元気は、イランのアンカーの脇が空くというスカウティングどおりに相手の穴を突いたプレーを称賛。「(イラン対)中国戦を見ていても分かったように、イランのアンカー脇がすごく空いていて、そこをだれが使うかをハッキリさせることでスムーズにボールが回った。サコくん(大迫)があそこで受けることでみんなが前向きでプレーできた」と、大迫の効果的なポストプレーにより攻撃のリズムが生まれたことを指摘する。
MF堂安律は「渡せば何とかしてくれるし、1対1をやらせてくれる。後半は生き生きプレーさせてもらった」と感謝。DF長友佑都は「このゲームを見たら分かるでしょう。一人の選手としても抜けた存在だけど、周りのプレイヤーを輝かせられる。(原口)元気、(南野)拓実、(堂安)律が生き生きしていたし、そこが大迫というプレイヤーの強み。自分だけのプレーじゃなく、意識でつながっている。普通は収めることに集中しちゃうけど、彼は全部意識がつながっている」と、別格のプレーの“秘密”を解説した。
MF柴崎岳は「ボールがしっかりと前線で収まるので、(南野)拓実も(堂安)律も(原口)元気くんも動きやすそうだったし、僕も何度か前線に飛び出していくタイミングを取りやすかった。彼が入った影響力はみなさんも感じているでしょうが、非常に大きいものだったと思う」と礼賛。最後尾から攻撃陣を俯瞰するDF吉田麻也も「フィフティーフィフティーのボールが収まるのは大きい。後ろから見ていても面白いように収まる」と言葉を弾ませるように言った。
2得点以上の働きを見せた大迫の存在感は、イランのエースであるFWアズムンが仕事をさせてもらえずに苛立ちをあらわにしていたのとは対象的だった。それでも大迫自身は満足していない。「この大一番でアジアカップで一番の出来の試合ができたが、まだ終わったわけじゃない。切り替えて次の試合に臨みたい」と表情を引き締めた。
(取材・文 矢内由美子)
◆チームメイトがこぞって大迫を礼賛「面白いように収まる」「周りが輝く」(ゲキサカ)