http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51464天皇杯 2回戦 ソニー仙台FC戦
鹿島、ソニー仙台にPK戦の末、敗れる。20年ぶりの屈辱、天皇杯初戦敗退。
約1か月半の中断期間を経て、鹿島が公式戦再開を告げる一戦に臨んだ。天皇杯の幕開けとなる2回戦、カシマスタジアムに宮城県代表のソニー仙台FCを迎え撃った一戦は、2-2のまま延長戦を終えても決着がつかず、PK戦に突入。1-2でソニー仙台に屈し、天皇杯初戦敗退が決まった。
鹿島は右サイドバックに西、センターバックには青木が入り、1トップはダヴィが務めた。立ち上がりからリズムに乗れない鹿島は、なかなかチャンスを作れない。だが、最初の決定機は17分だった。相手GKがバックパスを手で触れたことで、ペナルティーエリア内で間接FKを得る。ゴールエリアのすぐ左、至近距離から小笠原がシュートを放ったが、クロスバーを直撃して得点はならなかった。
そして、均衡を破ったのはソニー仙台だった。23分、ペナルティーエリア手前でのFKを細見に直接決められ、鹿島は先制を許してしまった。さらに28分、自陣でのボールロストから攻め込まれ、左サイドからクロスを上げられると、最後は田中に押し込まれて失点。2点を先行される厳しい展開となった。
2点ビハインドの鹿島は、ここから反撃。32分、敵陣右サイドでボールを持った遠藤がスルーパスを供給すると、ダヴィが最終ラインの背後を取り、ペナルティーエリア内へ。ダヴィは落ち着いて右足シュートを流し込み、まずは1点を返した。そして36分には、左サイドのカイオがクロス性のボールを蹴り込むと、中央の選手に触れられることなくファーサイドへ流れ、そのままゴールへ吸い込まれた。鹿島は2点差を追いつき、2-2の同点で前半を終えた。
逆転弾を目指す鹿島は後半立ち上がりの47分、植田の縦パスを受けた遠藤が落としたボールに土居が反応。ペナルティーエリア内へドリブルで持ち込み、鋭い切り返しで相手DFの動きを止めてから左足でループ気味のシュートを放ったが、相手GKにキャッチされた。攻勢をかける鹿島は55分に中村、63分に赤崎を投入し、攻撃陣を入れ替えて3点目を狙う。フィールドプレーヤー全員が敵陣に入って押し込む時間も見られる中、70分には遠藤の右CKを山本が頭で合わせてゴールネットを揺らしたが、ゴール前でのファウルを取られ、得点は認められなかった。時折、ソニー仙台にシュートを打たれる場面もあったが、曽ヶ端が落ち着いた対応でゴールを守る。勝ち越したい鹿島は81分に野沢をピッチに送り込み、交代枠を攻撃陣で使いきって3点目を目指した。しかし、90分を終えて2-2のまま、試合は延長戦に突入した。
延長前半は思うようにボールをキープできない場面が目立ち、98分にはペナルティーエリア内でソニー仙台にシュートを打たれるピンチもあったが、曽ヶ端がゴールを許さない。100分には小笠原のスルーパスに土居が反応し、右サイド深くからクロスを上げたが、シュートには結びつかなかった。
延長後半、鹿島は決定機を何度も得る。107分には、小笠原のスルーパスを受けた土居が右サイドからクロスを上げると、中央の赤崎が身体を寝かせながら飛び込んでボレーで合わせたが、枠の外へ外れた。113分には、左サイドの土居が最終ラインの背後へ浮き球のパス。赤崎が裏を取り、相手と競り合いながらペナルティーエリア内へ入ると、滑り込みながらシュートを放ったが、枠の上へ。直後にもペナルティーエリア内で赤崎秀平のパスを受けた野沢が右足ダイレクトで狙ったが、相手GKにセーブされた。終了間際には、赤崎が負傷でプレー続行が不可能となるアクシデントも。鹿島は120分間で32本ものシュートを放ったが、3点目を奪えずに2-2のまま延長後半が終了。PK戦で勝敗を決することとなった。
先攻の鹿島は、1人目の小笠原が成功。2人目の野沢はシュートを止められたが、ソニー仙台は最初の2人が失敗し、鹿島がリードしていた。しかし鹿島は、野沢以降も柴崎、中村、山本が連続して失敗。そして、ソニー仙台に逆転を許し、最終的に1-2でPK戦を落として天皇杯初戦敗退が決まってしまった。
9年ぶりの予選敗退となったヤマザキナビスコカップに続き、天皇杯は19年ぶりの初戦敗退が決まってしまった。残るタイトルはリーグ戦のみ。残り20試合で意地を見せなければならない。次戦は1週間後の7月19日、アウェイで行われるJ1第15節のFC東京戦となる。中断明けのスタートダッシュを果たすために、是が非でも勝点3を獲得したい。
【この試合のトピックス】
・天皇杯での初戦敗退は、1回戦で東京ガスに0-2で敗れた1994年以来、20年ぶり2回目。
・天皇杯でのソニー仙台戦は2年連続。
・西が5月6日のJ1第12節名古屋戦以来、公式戦6試合ぶりの先発出場を果たした。
・青木が5月21日のヤマザキナビスコカップ第6節G大阪戦以来、公式戦3試合ぶりの先発となった。
・カイオが先発し、天皇杯初出場。初得点も記録した。
・ダヴィが今季の公式戦8得点目を決めた。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
ソニー仙台FC:石川 雅人
[試合後]
鹿島アントラーズ:トニーニョ セレーゾ
・まず、セットプレーから失点をしたので、相手のメリットというものを称えなければいけない。2失点目については、斜めの進入というものを17番や19番の選手がかなりの頻度でやってくるのは、事前に知っていたこと。試合前のミーティングでも注意をしたところでやられてしまった。
・ただ、チャンスを多く作っていたわけで、それを決めきれなかったということもある。2点ビハインドという状況は、通常の0-0よりも体力の消耗度が高まってしまう。その中で前半のうちに2-2まで持ってくることはできた。後半になって、悪いところは前半で終わりにしてくれと言った。天皇杯は一発勝負であって、次の試合で挽回しようとしてもできない大会。集中力と気持ちが最も重要だということを付け加えていたところで、その度合いに関しては相手の方が、J1チームに勝ちたいというところで、我々を上回っていたと思う。高い気持ちを持っていたと思う。
・後半になって、途中から新しい血を入れて流れを変える、変えてくれというメッセージをそれぞれの選手に与えて投入した。相手はもう自陣に守っていたわけであって、サイドからの崩しとサイドチェンジを徹底してほしいと。それから何度か得点のチャンスも作れた。残念ながらそれをモノにできなかった。延長戦では、前半での2点ビハインドの消耗度が高かったし、暑さや気候は相手も同じ条件ではあるが、先制とビハインドでは感じる疲労度、精神的な疲労度も加わるわけで、そういう状況もあって残念ながらPK戦になってしまった。PK戦はくじ引きみたいなもので、そういう疲労の中で軸足の部分がずれてしまったこともあって(シュートを)外してしまった。運も味方していなかった。
・(ソニー仙台について)去年のリベンジというよりは、組織的な面で徹底されたチームという印象。3バックとダブルボランチ、そしてウイングバックを置いていて、ダブルボランチの1人がトップ下のような形で上がっている。どのようにボールを運んで相手ゴールにたどり着くのかが徹底されている。個の力が目立った選手は存在しないが、サッカーは団体であって、組織が徹底されているというのが感想。守備の部分については、非常にハードワークをやって、戦術的な規律を頑張って守っていた。我々の守備や個人のミスからチャンスを作っていた。組織力が非常に高かった。
・天皇杯はアマチュアからプロまで参加する大会。下部リーグに所属する選手たちにとっては、力試しだったり、勝ちたいという思いを出せる大会。彼らには失うものがないし、それを達成したことは称えないといけない。
・120分以上戦って、次をどうしようと言われても急には難しい。まずは疲労の回復を優先しなければいけない。何か特別なことができるかと言ったら、特別なものなどない。何か新しいことをやれるかと言えばそうではない。人生はシンプルで、やるべきことをやり続けることが大切。同じようにやるべきことをしっかりとやり続けたい。選手たちに変わりはないし、来週にFC東京と戦うことにも変わりはない。練習にしっかりと取り組む。それしかないと思う。
ソニー仙台FC:石川 雅人
昨年、ここでやらせていただいて0-3という結果、それへの悔しさと言うもの、そして選手たちの向上心。そういったところを最後まで出してくれた選手の頑張りに尽きると思う。PK戦については、選手には声をかけていない。私が声をかける前に、選手自らが声を出すチームなので、私が何か言う前に自分たちで雰囲気を作ってPK戦に臨んでくれた。前半で2点目を取られてから前半終了までの時間がポイントだったと思う。流れは間違いなく鹿島さんにあったし、そこをしのいだこと。2点を取った後、2点を失ったというところで、ハーフタイムでは、今が0-0なんだと気持ちを立て直すことができたのが非常に大きかった。(後半以降は守備の時間が長かったが)得点を取る、90分で勝つという気持ちはもちろんあったが、勝利を得るための選手たちのピッチ上での判断があって、勝利から逆算した時にはしっかりゴールを守ることがまずあって、そこからゴールを奪いに行くということになったと思う。
選手コメント
[試合後]
【遠藤 康】
チームとして、入りがあまり良くなかった。負けてはいけない相手だったし、プロとしてお金をもらってプレーしているので、負けてはいけない試合だった。みんなに申し訳ない。
【土居 聖真】
何から話せばいいか…。PK戦も戦いだから、勝ちきらなければいけない。2点差を追いつけたけど、最後の部分を崩しきれている時があってもフィニッシュの精度を欠いた。自分たちで自分たちを苦しめたと思う。
【山本 脩斗】
90分間で決着をつけないといけなかった。入りが良くなくて、追いつけたのは良かったけどチャンスを決めきれなかった。どこかで決めなければいけなかった。前半の入りが良くなくて、後半は2-2からで落ち着いてやれたが、最後の部分を決めきれなかった。
青木選手のコメントはアントラーズモバイルをご覧ください。