プレミア参入から日本一へ――。第101回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会が21日に行われ、埼玉代表で今夏総体3位の昌平は2回戦からの登場で、初戦(12月31日)の相手は近江(滋賀)に決まった。抽選会後、藤島崇之監督、津久井佳祐(3年)主将が取材に応えた。
近江は2年ぶり2回目の出場。今季はプリンス関西で現在5位につける。対戦はないが、藤島監督は「しっかりと結果を出していますし、充実した力を持っているチーム」と気を引き締める。
昌平が入ったDゾーンは、総体覇者の前橋育英(群馬)や同大会で激戦を繰り広げた日章学園(宮崎)、大津(熊本)が入るなど、激戦区に。津久井は「強豪と言われるところが何個かいて、その中で試合するのが楽しみ」と強豪校との対戦を歓迎。1回勝てば夏の王者・前橋育英と戦う可能性もあり、「夏の優勝校とやれるとすればすごく嬉しいこと。しっかりと勝ちたい」とした。
前日には主戦場とするプリンス関東1部で、残り2節を残して2位以上が確定し、プレミアリーグ参入戦への進出を決めた。津久井は「選手権のことは考えず、まずはプリンスリーグの残り2試合と参入戦を全部しっかりと勝って、それが選手権に繋がっていけたら」と話す。藤島監督も「真剣勝負ができるということがすごくプラスになる。選手権は選手権、参入戦は参入戦という位置付けの中で、それをちゃんと良い方向性を共有できるように、この期間を持ってまたさらに成長した姿で選手権に臨むことができれば、本当に良い意味で見えてくるものもあるんじゃないかなと思います」と選手権前の真剣勝負を経て、最後の一伸びが出てくることを期待した。
夏は3位が2度ある昌平だが、冬はベスト8が壁に。MF須藤直輝(金沢)、FW小見洋太(新潟)、MF小川優介(鹿島)、MF柴圭汰(福島)のカルテットに加え、昨年プロ入りしたGK西村遥己(新潟)、MF平原隆暉(北九州)、そして今年FC東京入りを決めた当時1年生のMF荒井悠汰を擁した2020年大会は2度目の8強進出を果たした中で、準々決勝の山梨学院戦は「マッチング的にはうちもそんな悪くはないと思ったんですけど、なかなかシュートまで行けなかったというシチュエーションが多かった」。「逆に言えば、今年のチームなんかはその部分も打開できるだけの力もついてきているとは思っていますし、そういった意味ではまたそういったステージにチャレンジできる状況を作れれば、良い意味で楽しみな状況かなと思います」と語る。
1年時だった前回はスタンドで見守った津久井にとっては初の選手権だ。「やっぱり高校選手権っていうのは子供の頃から憧れであったので、そこに立てるっていうだけで嬉しいですし、そこで勝っていけたら、なお嬉しいのかなと思います」と話す。もちろん、狙うのは「日本一」だ。
津久井を始めとする今年の高3は3年前、FC LAVIDA時代に日本クラブユース選手権で初めて関東大会を突破、全国でも8強入りし「LAVIDAの○番といったら」の代名詞になった代。その時の借りを返す場でもある。「ラビから6年間一緒にやってきて、その時の悔しい想いは未だに残っている。それをしっかり晴らしたい」と語る。今年9月には鹿島アントラーズ内定が発表され、FC東京内定のMF荒井悠汰(3年)とともに大会の注目選手として臨むが、「注目されるっていうのは悠汰を見ていたらわかる。その中でもしっかり自分のプレーをしたい」と話した。
藤島監督は「ベスト8の壁、まずはそこをしっかりと破れるように頑張りたいと思いますし、その中で今年のチームは本当に日々成長しているというのを実感できるチームなので、そういった意味でこの1ヶ月間の中でまたさらに成長できるという確信はしています。日本一の景色をちゃんと見られるように、これからも頑張っていきたい」。津久井主将は「今年のチームは笑顔でやるチーム。最後は国立で笑顔で終われたらなと思います」と意気込み。そして最後に「日本一のキャプテンっていうところになってから、アントラーズに行きたいとは思っています」。悲願の選手権制覇で「日本一のキャプテン」の称号とともにプロの世界に飛び込むことを誓った。
石黒登(取材・文)
◆夏全国3位の昌平、プレミア参入→悲願の日本一へ! 津久井佳祐主将「最後は国立で笑顔で」「日本一のキャプテンとしてアントラーズへ」V誓う(埼玉サッカー通信)