2019年まで鹿島アントラーズに所属した安西幸輝と鈴木優磨は、次世代における日本代表の中核を担うべくヨーロッパに活躍の場を求めた。彼らが鹿島を離れ、それでもなお古巣に抱く思い入れについて語った。
*本インタビューは7月上旬に実施したものになります。
サッカー人生において、キャリアがどれだけ輝かしいものであるかは、引退時のタイトルの数で決まる by ジーコ
Q:過去を振り返ることになるのかもしれないですけど、改めてアントラーズで一番かけがえのない経験になったのはなんですか?
鈴木:「サッカー人生において、その人のキャリアがどれだけ輝かしいものであるかは、引退した時のタイトルの数で決まる」って、ジーコが言ってたんですよ。僕も安西も優勝できるチームには来ていないので、優勝できる環境にいることは幸せだなって改めて思うし、貴重な経験だと思ってます。
Q:取ったタイトルの中で印象に残ってるものを1つ挙げるとしたら何ですか?
鈴木:やっぱACLですかね。ちゃんと自分がスタメンで出始めて取れたタイトルだったので、すごく思い入れがありますし、優勝っていいなって改めて思いました。それ以外にも3つタイトルは取ったんですけど、全部(試合に)出て勝つって意味では、それらとはまた違ったような感覚でしたね。
Q:安西選手は、アントラーズ在籍期間で得たものや感じたものについて、どうですか?
安西:僕は一年半しかいなかったんですけど、鹿島は、チーム内の競争がすごく激しいし、どの選手をとっても良い選手だなって思いますね。僕は入団した年にACLを取れたんですけど、あのACLも、一回戦二回戦準決勝と大変な試合が続く中で、選手自身がうまく軌道修正しながら戦ってたんですよね。そこが鹿島のすごいところだと思っていて、僕はついていくので精一杯だったので、タイトルに貢献できたとはちょっと言い難いですけど、すごく印象に残ってます。
Q:アントラーズの動向ってお二人は今も気にしてますか?
鈴木:僕は非常にみてますね。(三竿)健斗とかと連絡取って「今どういう感じ?」とか、「どういうメンバーなの?」とかは聞いてますね。
Q:鹿島にどんなことを期待していますか?
鈴木:今年からサッカーが変わって、今まではどちらかというとリアクションサッカーだったんですけど、ザーゴ監督になってから、「自分たちのサッカーで勝ちたい」っていう方向になってますね。まだ走り出すには時間がかかるとは思いますけど、常に優勝争いしてるチームなので、毎年少なくとも一個はタイトルを取ってほしい、って気持ちで見てますね。
安西:僕もこの間の(アントラーズと)町田との練習試合をYouTubeで見たんですけど、僕らがいた時にメンバーにも絡んでない(関川)郁万だったりが試合に出てて、「こいつ成長してんなー」とか思いましたね。監督が代わったのもあって、今年は開幕戦でも「自分たちのサッカーをする」というように見えましたし、このメンバーならタイトル取れると思うので、取れるように頑張ってほしいなって思います。
鈴木:(町田との練習試合をYouTubeで見て)僕個人の意見ですけど、良くも悪くも「日本人らしさ」が出てるなって感じましたね。日本人は、選手全員が監督のやりたいサッカーをちゃんとやろうとするんですけど、外国人は監督のやりたいことをしつつも、「これは違う」と思ったところは曲げないんですよね。だから良いようにハマっていくと思うんですよ。鹿島のこの前の試合はうまくハマったとは言い難いと思うんですけど、その理由は「1から10言われたことをやろうとする」ところにあるんじゃないかと思いますね。監督のやりたいこともやらなきゃいけないし、その上で自分の色も出さなきゃいけないし、そのバランスが難しいですね。
コロナ禍で苦しむ子どもたちにサッカーボールを贈りたい
安西幸輝と鈴木優磨が参加する「PasYou」では、ファンやサポーターから届いたリクエストに応じて参加アスリートがひとりひとりに向けたビデオメッセージを個別に送るサービスを展開しています。
「ファンやサポーターにプレーを見せる以外で何かできることはないだろうか」という共通の課題を感じていた2人は、新型コロナウイルス感染拡大によって苦しんでいる状況のなかで「元気にしたい、笑顔を届けたい」と思い、「PasYou」のサービスを通したプロジェクトを立ち上げました。以前のようにサッカーをできなくなってしまった地元の子どもたちに、「PasYou」のサービスで得た利益を還元してサッカーボールをプレゼントするという。
千葉県銚子市で生まれた鈴木優磨は、「地元はもともと静かな街でしたが、年々と人が減っているように感じています。さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で店を閉めなくてはいけなかったりと、厳しい状態にあると聞きました。全国でも厳しい状況にあることは理解していますが、まずは地元を少しでも活気づけたいと考えています」と、地元への愛を語っている。
また安西幸輝は、「小学生の頃の経験はすごく大切で、初めてサッカーを好きになる期間だと思います。その期間に外で友だちと遊んだり、練習したりできないのはつらい。それが影響して、サッカーから離れて欲しくないなと思っています」と、コロナ禍による子どもたちへの影響を懸念している。
そんな2人が「今できること」を考えて実行するのが、今回の「PasYou」を使ったサッカーボールのプレゼント企画。2人の思いに賛同する人は、「PasYou」を使って個別のメッセージをリクエストしてみてください。
◆【安西幸輝×鈴木優磨特別対談】Vol1.古巣・鹿島への思いについて(VICTORY)