日刊鹿島アントラーズニュース
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2016年11月29日火曜日
◆【コラム】古巣・鹿島の勝利で得たヒントと覚悟を胸に…岡山を悲願のJ1へ、岩政大樹がつなぐ“魂のバトン”(サッカーキング)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20161128/521052.html?cx_cat=page1
奇跡を手繰り寄せるゴールを決めたヒーロー、FW赤嶺真吾とは全く逆の方向へ、ファジアーノ岡山のキャプテン、DF岩政大樹は突っ走っていった。両手を広げ、雄叫びを上げながら向かった先では、はるばる松本まで駆けつけた約1200人のサポーターたちが狂喜乱舞している。
冷たい雨が降りしきる中、最前列には上半身裸になって湯気を発散させている男性も大勢いる。クラブの歴史を書き換えようとしている至福の喜びを、一刻も早く分かち合いたい。熱い思いが、常勝軍団・鹿島アントラーズの最終ラインを10年間も支え、タイのBECテロ・サーサナFCを経て、岡山で自身初体験の明治安田生命J2リーグを戦って2年目になる34歳を駆り立てていた。
「とにかく次を勝たなければ、今日の勝利は何の意味もなさない。せっかく岡山の皆さんが盛り上げてくれて、勢いに乗っている状況なので。ファジ(アーノ)の歴史のひとつの区切りですよね。そういう試合になるので、良い準備をして。うーん、何とかしたいね」
サポーターに対する決意表明も込めていたのだろう。必ずJ1昇格を成し遂げてみせる、と。松本山雅FCのホーム・アルウィンに乗り込んだ、27日のJ1昇格プレーオフ準決勝。レギュラーシーズンでは勝ち点で19もの大差をつけられた3位の松本を、クラブ史上で最高位となる6位で初めてプレーオフの舞台へ臨んだ岡山が、痛快無比な下克上でうっちゃってみせた。
4分間と表示された後半のアディショナルタイムも、半分が経過しようとしていた。スコアは1‐1。このまま終われば、規定により成績上位の松本が決勝へ進む。勝利だけが求められる絶体絶命の状況で、岩政は最前線に上がっていた。自らの判断で選択したパワープレー。そこには緻密な計算が働いていた。
松本の反町康治監督は86分に、身長183センチメートルの長身FW三島康平を投入している。指示は攻守両面で187センチメートルの岩政と対峙すること。ならばと、岩政は最終ラインから離れることを決めた。
「僕が下がっていれば、三島くんに前に残られる。逆に僕が前へ出ていけば下がってくれるし、そうなれば相手はそのまま守るしかなくなる。僕が何かしようとするよりは相手を下げさせて、ゴール前をごちゃごちゃさせることで何が起こることが大事だと思ったので」
果たして、何かが起こった。それも最高の形で。敵陣の中央付近でボールを受けたMF矢島慎也が、一瞬のタメを作って松本守備陣を揺さぶってから、右サイドの裏へ走り込んでいた途中出場のFW豊川雄太へ浮き球の縦パスを送る。
マークについたMF岩間雄大と空中で競り合いながら、とっさの判断で豊川はヘディングでゴール中央へボールを折り返す。その先には「ああいう状況になっても、常に味方の動きを見てくれる」と全幅の信頼を寄せる赤嶺が、フリーの状態で走り込んでいた。
「ベンチの選手やスタッフ、サポーターの一体感を背負ったゴールでした」
仲間やサポーターへの感謝の思いを、はちきれんばかりの笑顔に凝縮させながら赤嶺が自軍のベンチ前へと疾走していく。リーグ戦は41試合で4得点と不本意な数字に終わっていた32歳のエースと交差するように、赤嶺の左側にポジションを取っていた岩政はピッチを横切る形でゴール裏へと駆け抜けていった。
「(赤嶺)真吾はなかなか点を取れなかったけど、そのなかでもケガをすることなく、1年間、体を張り続けた。こういう試合では頑張ってきたけど、なかなか結果を出せなかった選手が輝くもの。真吾が抜け出した時点で、ゴールを決めると思った」
松本との決戦を前にして、岩政は鹿島時代に可愛がった後輩、DF昌子源に電話を入れている。鹿島が川崎フロンターレを下した4日前の明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ準決勝。試合後の取材エリアで、昌子は鹿島が前人未到のリーグ3連覇を達成した、2009年12月5日の浦和レッズ戦の映像が刺激になったと告白。その中でも魂のシュートブロックでゴールを死守した、岩政の名前を挙げていた。
「今日はJ1の試合もないし、鹿島のみんなも見ているだろう、というのもあったしね。あんな記事を出されて、僕が変なプレーをして今日負けたらどうするんだと。いつも以上に緊張感がありましたよ」
鹿島黎明期のレジェンド、秋田豊から受け継いだDFリーダーの象徴、背番号「3」を託されて2シーズン目になる昌子が中心となり、川崎の強力攻撃陣をシャットアウトした一戦は、もちろんテレビで観戦していた。昌子の言葉には照れくささを感じたが、一方で古巣の戦いぶりには魂を揺さぶられた。
「鹿島のあの一戦を見て、自分の中でも思い出したことがあって。それがヒントになって今日は戦いましたので、僕からしたら、逆に彼らに感謝したいというのがありますね」
思い出したこととは何か。岩政はまるで悪戯小僧のように無邪気な笑顔を浮かべる。
「言いませんよ。来週(の決勝)がありますから。もし勝って(J1に)昇格したら、僕のコラムで書きますので楽しみにしていてください」
20日のJ2最終節でザスパクサツ群馬と3-3で引き分け、6位の座を死守した直後から「一発勝負では抑えるべきポイントがある」と言い続けてきた。鹿島時代に何度も経験した修羅場。それをくぐり抜ける術を岡山の仲間たちに伝えたいと考えていた矢先に、川崎戦を通じて鹿島が最高の手本を見せてくれたのだろう。ヒントの一端を、岩政はこう明かす。
「一発勝負で起こりうること、を想定すると分かるかもしれないですね。今日のウチには起こらず、松本には起こってしまったこと。鹿島にも起こらなかったけど、川崎には起こってしまった。そこは一発勝負の面白さなのかな、と思いますよね。戦い方を大きく変えるわけではないですけど、それでもリーグ戦とは変わってくるので、そこを少し意識させながら。多くのことを言ってもみんな頭でっかちになるだけなので、本当に抑えるべきポイントだけを、という感じです」
開幕から上位戦線につけてきた岡山は、最後の8試合を4分け4敗と未勝利で終えた。果たして鹿島もファーストステージを制しながら、セカンドステージでは最後を4連敗で終えるなど、11位に甘んじている。それでもしっかりとメンタルを切り替え、規定により引き分けでは浦和レッズの待つ決勝へ進めない準決勝で、往年の憎たらしいほどの勝負強さを取り戻した。
一発勝負で求められるのは集中力を持続させ、一瞬たりとも隙を見せないこと。その意味では決勝点の直前に、スローインの役目をフィールドプレーヤーではなく、GKの中林洋次が担った瞬間に松本は虚を突かれたのかもしれない。実際、中林はこんな言葉を試合後に残している。
「本当にたまたまでしたけど、僕が投げるわけがないと山雅さんが(足を)止めてくれたのであれば、それは奇跡(のゴール)のひとつ前に生じた油断だったと思います」
メンタルを一発勝負用のそれにしっかり切り替えたうえで、1勝1分けと優位に立ったリーグ戦での松本との対戦結果を改めて踏まえながら、岩政は準決勝で勝利するためのゲームプランを描いた。
「松本との試合は、今日のような大変な試合になる。それを覚悟しながら、ただ大きく崩される展開にはならないので、最終的にゴール前で体を張れるかどうか、というところに持っていけばいい。後半の半ばまではイーブンで行くことが、自分たちのプランでしたので」
赤嶺のアシストからFW押谷祐樹が決めた23分の先制点も、そして絶対の自信を持っていた相手CKの守備でMFパウリーニョに決められた74分の直後でも。岩政を中心に大きな幹となるプランが描かれていたからこそ、岡山は浮き足立たなかった。むしろ松本を「掌の上」で転がしていた感もある。
「(先制点は早いかな)と思ったんですけど、ちょっと松本に焦りが出たので、それはそれでよかった。後半になってまた勢いに乗って来た時に、押し返すことができなかった。それがちょっと収まったかな、と思った矢先に失点するのだから、サッカーは難しいなと思いました。がっかりはしましたけど、まあ(ゲームプランに)戻っただけなので、最後は刺すか刺されるか…というか、ウチが刺すかどうかというところで、残り5分になれば相手が下がってチャンスになると思ったので、そこを我慢しながらやろう、ということはみんなで話していました。そういうディテールを散りばめながら戦って、最後は少し上回ることができたのかなと思います」
テロ・サーサナを1年で退団した直後に、岡山からオファーを受けた。J2に初めて昇格したのが2009シーズン。2012シーズンと2014シーズンには8位に入ったが、後は二桁順位が定位置となっていた岡山から届いたラブコールの意味を、岩政自身が誰よりも深く理解していた。
「ファジは良いクラブですけど、勝たなければいけない、というところに対しての執着や覚悟がどこまであるのかと言うと、まだ足りなかったと思う。それを植えつけるために僕は呼ばれたと思っているし、それを選手たちに言い続けるためにはまず自分が良い状態で、良いプレーをしなければいけない。人間である以上は、ワイワイがやがやとうるさく言っていれば伝わるわけではないので。すぐみんなに分かってほしいことと、だんだんと分かってほしいことを分けながら、どのようなタイミングで、どのような表現で伝えるか、ということですよね」
言葉通りに2シーズン、出場停止となった2試合を除く82試合で先発のピッチに立ち続けた。特に昨シーズンは全42試合、3780分間フルタイム出場を達成。大きく、頼れる背中を介して、鹿島で培ってきた勝者のメンタリティーを伝えてきた。
岩政自身、背番号「3」を引き継いだ秋田からは、言葉では何も伝えられていない。秋田が残した実績や伝統を自分なりに解釈し、背番号とパフォーマンスに独自の彩りを添えていった。鹿島を退団する際に、岩政は公式サイトに「サッカーという世界はリレーだと思う」という言葉を残している。
秋田をはじめとする黎明期のレジェンドから託された常勝軍団という名のバトンを、昌子たちの次世代にしっかりと紡いだと自信をもって言えるからこそ、胸を張って新しい時代へ進む鹿島を去った。同じ構図が今、岡山でも描かれようとしている。
「岡山が本当に変わるのは僕がいた2年だけでなくて、僕が去ってからだと思いますよ。僕に言われたから『はい、分かりました』となるのではなく、僕がいた時にやったことを彼らが思い出すこともあるでしょうし、勝負へのこだわりというものは、そうやって少しずつチームに植えつけられていくものだと思うので。それがチームのDNAになりさえすれば、いずれはJ1に上がりますから」
もちろん、自分たちの力で勝ち取った、目の前にあるチャンスを逃す気もさらさらない。敵地で成就させた下克上とともに、12月4日に待つ決勝へと駒を進める。相手はセレッソ大坂に決まった。リーグ戦では4位につけた相手のホーム、キンチョウスタジアムが舞台となる。
今シーズンの対戦成績は1分け1敗と分が悪い。しかし、あくまでもリーグ戦におけるもので、一発勝負となればもちろんわからない。クラブ史上で最も熱くなる90分間をイメージしながら、岩政が不敵に笑う。
「鹿島でJ1を獲ることができて、タイでもタイトルを取れて、あとは岡山をJ1に上げられたら、僕はもうサッカー人生でやるべきことはないから。これでやり遂げたら、潔くこの世界を去ろうというくらいの思いでやっているので。そういう覚悟を見せたい、と思います」
舞台は整った。魂のバトンとともに、岡山を悲願のJ1へ導くために。劇的勝利から一夜明けた28日のクールダウン、そして29日のオフを経て、本格的な調整が再開される30日から岩政は大一番へ向けた心技体を練り上げいく。
取材・文=藤江直人
◆【浦和】CSは通過点…目標はクラブW杯レアル戦(報知)
http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20161128-OHT1T50238.html
◆明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ ▽決勝第1戦 鹿島―浦和(29日・カシマサッカースタジアム)
浦和が“世界基準”で10年ぶりの優勝を狙う。チームにはCS制覇の先にも大きな目標がある。これまで多くの選手が口にしてきたのが「クラブW杯決勝でRマドリードとやりたい」。この日もGK西川が「必ず優勝してその先にあるクラブW杯に出たい」と語り、MF宇賀神は「どうしても出たい大会。今の浦和のメンバーで世界と戦いたい思いはみんなが持っている」と熱い思いを明かした。
就任5年目でJ最多タイ勝ち点74を稼ぐなど成熟しつつあるペトロヴィッチ監督のサッカーが、世界でどこまで通用するのか。高みを見据えるからこそ、決勝への気負いもない。2012年まで鹿島に在籍したFW興梠も「勝負強さはどこのクラブと比べてもずば抜けている」と警戒しつつ、「(古巣に)空回りすることが多かったので平常心で臨みたい」と冷静だ。今季示した強さを180分間であらためて証明し、夢舞台への挑戦権を手にする。(林 直史)
◆浦和西川「体張ってくる」元チームメート金崎を警戒(ニッカン)
http://www.nikkansports.com/soccer/news/1744552.html
チャンピオンシップ(CS)優勝を目指して鹿島と対戦する浦和は28日、さいたま市内の練習場で午前中に調整した。
ボール回しなどで体を動かした後、ハーフコートで実戦形式で練習した。はじめはFWズラタンの1トップにFW興梠慎三(30)、FW武藤雄樹(28)が2列目に入り、途中からはズラタンに代わって興梠が中央、右にFW李忠成(30)が入る陣形を取った。
第1戦は29日にアウェーで行われる。GK西川周作(30)は「いつも1点差になったり、カシマスタジアムでは攻められている印象」と警戒した。相手のFW金崎夢生とは元チームメート。07年から09年まで大分でともにプレーした。第1ステージではゴールを決められていることもあり、「クロスへの飛び込みは自信をつけていると思う。準決勝でも決めているし、体を張ってくるところは警戒しないと」と引き締まった表情だった。
一方で、カシマスタジアムは広島時代の13年に優勝を決めた縁のある会場でもある。「(11月の)代表でもカシマでやってピッチ状態も分かっている。無失点で第2戦を有利にできるように。どれだけいつもどおりやれるか」。今季リーグ最少失点の守備力を敵地で見せたいところだ。
チームは28日のうちに移動し、試合に備える。
◆浦和・興梠、古巣の鹿島警戒「勝負強さはどこと比べてもズバ抜けている」(デイリー)
http://www.daily.co.jp/soccer/2016/11/28/0009706723.shtml
「明治安田生命J1チャンピオンシップ・決勝第1戦、鹿島-浦和」(29日、カシマサッカースタジアム)
J1の年間王者を決める明治安田生命チャンピオンシップ(CS)決勝第1戦が29日に行われる。年間勝ち点1位の浦和は28日、さいたま市内で最終調整した。1トップとして先発出場が濃厚なFW興梠慎三(30)は「アウェーゴールは大きいので点を取れるようにしたい。最初の得点が重要」とゲームプランを描いた。
プロ入りした05年から12年まで8年間鹿島に在籍しており、「勝負強さは、どこと比べてもズバ抜けている。1点の争いになる」。今季自己最多14得点を挙げ、J1通算100得点も達成した円熟のストライカーが古巣のゴールをこじ開ける。
◆2代目Jマネジャー・サトミキのイチオシは…草食系?なのに「ガツガツ」(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20161129/jle16112905010002-n1.html
Jリーグの2代目女子マネジャーでタレントの佐藤美希(23)が28日、チャンピオンシップ告知のため、東京・大手町のサンケイスポーツ編集局に来社。「29日のカシマは当日券もありますよ」と観戦を呼びかけた。イチオシ選手は鹿島FW土居で「おとなしそうに見えてボールにガツガツいくから」。浦和ではMF関根の運動量とFW興梠のシュートを見どころに上げた。
◆鹿島・永木「いいプレー見せる」 元同僚・遠藤との対決楽しみ(デイリー)
http://www.daily.co.jp/soccer/2016/11/29/0009707108.shtml
「明治安田生命J1チャンピオンシップ・決勝第1戦、鹿島-浦和」(29日、カシマサッカースタジアム)
J1の年間王者を決める明治安田生命チャンピオンシップ決勝第1戦に向けて、年間勝ち点3位の鹿島は28日、茨城県鹿嶋市内で最終調整した。
鹿島の日本代表MF永木亮太(28)は“元同僚”との対決に、「ワタル(浦和MF遠藤航)とは今も連絡を取り合っている。移籍1年目に、こういう大舞台で対戦できることをうれしく思う。(古巣の)湘南のファンも見ていると思うので、いいプレーを見せたい」と意気込んだ。
試合にはいつも通り守備から入る。アウェーゴールだけは奪われたくないだけに、FW土居は「先制されると厳しくなる。失点しないことが最優先」とにらむ。第2戦をも見据えた戦略は明確だ。
◆昌子 興梠先輩の胸借りる!CS決勝へ浦和のエース封じ誓う(スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/11/29/kiji/K20161129013811520.html
明治安田生命 JリーグCS決勝第1戦 鹿島―浦和 (11月29日 カシマ)
先輩の胸を借り、18個目の国内主要タイトルをつかみ取る。鹿島のセンターバック昌子は「(想いが)一方通行でもいいから、思いっきりぶつかっていけたら」と浦和のFW興梠封じを誓った。
12年まで鹿島に在籍した興梠からは、公私ともに刺激を受けてきた。米子北高を卒業して11年にクラブに加入した時、「一番最初に度肝を抜かれたのが慎三さんだった」という。自身も走力には相当な自信を持っていたが、興梠はスプリント力も持久力も「両方バケモン」と感じるほど圧倒的だった。「この人に勝てないと試合には出られない」と肌で感じた。
「慎三さんのおかげで成長できた」から、今がある。「全力でぶつからないと止められない。“お願いします”という気持ちでやりたい」。愛車まで興梠と同じドイツ車にするなど、公私で影響を受けた先輩に感謝と成長を示すため、ゴールは必ず守りきる。
◆鹿島が1-0で勝つ!(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20161129/jle16112905000004-n1.html
序盤は戦力の整った浦和のペースで進むだろう。ただ、これは鹿島にとって悪いことではない。
第1ステージの対戦(6月11日◯2-0)で浦和に勝った際は、主導権を握られながらも速攻からFW金崎が先制点を奪った。堅守速攻で得点につなげるのが鹿島のよさ。当時在籍していたスピードが武器のMFカイオ(現アルアイン=UAE)は移籍し、攻撃力低下は否めないものの、川崎戦(23日◯1-0)でもそうだったように、鹿島は試合巧者ぶりを発揮できる力と経験がある。
浦和のFW興梠にとって古巣との対戦。鹿島側の特徴を知られている一方、鹿島は彼のプレースタイルを知っている。鹿島のディフェンスと興梠の駆け引きは面白いものとなるだろう。
FW李も気になる存在。大舞台で結果を出すだけに、鹿島にとっては注意が必要。彼らの攻撃を抑え、1-0で鹿島が勝つと予想する。 (サンケイスポーツ専属評論家)
◆鹿島、堅守速攻でこじ開ける!石井監督、ポイントは「先制点」(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20161129/jle16112905020003-n1.html
J1年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)はホームアンドアウェー方式の第1戦が29日、茨城・カシマスタジアムで行われる。年間勝ち点1位でシードされた第2ステージ覇者の浦和と、23日の準決勝で川崎を1-0で破った鹿島(同3位、第1ステージ優勝)が対戦する。28日は両チームが地元で最終調整した。
鹿島が電光石火の速攻で、浦和に一撃を与える。
石井監督は「安定した守備から(試合に)入りたい」と口にした一方で、「(ポイントとなるのは)先制点」と力強く語った。
鹿島が狙うのは堅守速攻からの得点だ。前線から相手にプレッシャーを掛け、高い位置でボールを奪取。そこからゴールを強襲するプランを立てる。準決勝、川崎戦(23日◯1-0)ではハイプレスから2トップにつなぎ好機が生まれた。
決戦前日(28日)の練習では、川崎戦で先発したMFファブリシオに代え、中盤の左に守備力のあるMF中村を配置。浦和が得意とするサイド攻撃を封じ、攻撃へとつなげる狙い。
守備の要で、日本代表DF昌子も「(元鹿島のFW興梠)慎三さんのおかげで成長した。全力をぶつけたい」と浦和のエース封じに闘志。鹿島が堅守速攻から活路を見いだす。 (一色伸裕)
鹿島・石井正忠監督
「(準決勝の)川崎戦に勝ってチームに勢いもついている。失点しないで勝てればいい。自分たちの戦いをすれば勝てる」
◆帰ってきた鹿島・柴崎、1カ月ぶり負傷から復帰!(サンスポ)
http://www.sanspo.com/soccer/news/20161129/jle16112905010005-n1.html
右足中足骨を痛め、23日の準決勝、川崎戦(◯1-0)でベンチ外だった鹿島MF柴崎は28日、紅白戦などの練習メニューをすべて消化。26日に全体メニューをこなしており、仕上がりは順調。復帰後間もないこともあり、29日の第1戦はベンチスタートが濃厚だが、「チームのために貢献できるよう頑張ります」と、10月22日のFC東京戦(●1-2)以来のプレーに意欲的だった。
◆鹿島柴崎「頑張ります」浦和戦でベンチ入りが確実(ニッカン)
http://www.nikkansports.com/soccer/news/1744647.html
鹿島は28日、茨城・鹿嶋市内でJリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝第1戦(午後7時25分開始、カシマ)に備えた前日練習を行った。約1時間半、守備を中心とした連係確認やミニゲームなどで調整。準決勝の川崎F戦勝利もあって、終始明るい雰囲気だった。
浦和戦を前に石井正忠監督(49)は「まずは川崎F戦と同じように安定した守備から入りたい」と堅守から試合をつくる構えだ。リーグ戦を7年ぶりの4連敗を喫して終えたが、天皇杯4回戦神戸戦、CS準決勝川崎F戦と連勝。「リーグ戦の最後の2試合くらいからチームの状況は良くなっていた。CSの決勝は、どう臨めばいいかを分かっている選手がいる。特別なことはやらなくていい」。国内タイトル17冠を積み重ねてきた選手たちに、全幅の信頼をおいた。左MFには中村充孝(26)を先発起用する見込みで「彼は個で打開でき、まわりも生かせる」と期待した。
また、10月22日のリーグ第15節東京戦を最後に、右足第5中足骨を痛めて戦線離脱していたMF柴崎岳(24)のベンチ入りが確実だ。柴崎は「チームに貢献できるように頑張ります」と力強く意気込んだ。【鎌田直秀】
◆チャンピオンシップ決勝直前!鹿島 監督・選手コメント(J'sGOAL)
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/n-00021782/
■石井正忠監督
Q:決勝前のチーム状態は?
「非常に良い状態じゃないかと思います。この前の川崎F戦もそうでしたけど、怪我人も戻ってきて全員がゲームをできる状態になっている。そういう点も含め、雰囲気も含め、あとはやっぱり川崎F戦に勝ったことによってチームの勢いも付いてきているので、非常に良い状態じゃないかと思います。
まずは第1戦はこの前の川崎F戦と同じように、安定した守備から入りたいと思います。まず失点しないことを頭に入れながらゲームを進めていかなければいけないと思います。2戦目は、1戦目の状況を考えた上で戦わなければいけないと思うので、まずはこのホームゲームの第1戦にしっかり勝って終わりたいな、と思います。」
Q:選手としてもチャンピオンシップのご経験があると思います。こう戦えば、という必勝法はありますか?
「僕は最初の年にチャンピオンシップを戦いましたけど、国立競技場での開催だったのであまりホーム&アウェイという雰囲気ではありませんでした。そのときは自分たちの戦いをすれば相手に勝てるんじゃないか、ということでやっていたので、今回も自分たちらしいサッカーができれば。まずはそこをベースにやっていきたいと思いますし、シーズンと変わったことではなくて、いままで積み重ねてきたことを選手が出しててくれればいいんじゃないかと思います。」
Q:勝敗を分けるポイントは?
「やはり先制点になるんじゃないでしょうかね。」
Q:理想的な展開は?
「理想的には、この前の川崎F戦のようにどんな形であれ勝てること。失点しないで勝てることがベストだと思います。」
Q:セットプレーの確認を行っていたが?
「まあ、セットプレーの確認はいつもやることなので、それを今日もやったというだけです。」
Q:浦和の特長と気を付けなければならないところは?
「この前の川崎Fさんと同じように、浦和さんも同じ監督でずっとそのスタイルが成熟されているチームだと思う。プレーの精度は高まってきているので、相手を自由にさせないようなプレーができればいいんじゃないかと思います。うちとやることで、なにかいつもと違った方だな、と相手チームが思ってくれるような形に持っていければいいんじゃないかと思います。」
■MF6 永木亮太選手
Q:相手は変わりますがやることは変わらない?
「相手に合わせたやり方ももちろんやらなければいけないというのは、前提としてありますけど、戦う姿勢だったり試合に向けたテンションは今のまま継続して入っていけばいいと思います。」
Q:浦和に対して警戒すべきところは?
「ポジションが変則的なので、浦和戦に関しては、鹿島に来てからスタートから出たことはないですし、自分が試合に出たらそこのコミュニケーションは近くの選手としっかり話し合って、試合状況に応じて臨機応変に対応していかないといけないと思います。」
Q:時間帯によっては相手に合わせて後ろに人数を割かなければいけないときもある?
「後ろでブロックをつくる時間帯もあると思うし、ほんとうに流れを見ながら、ゲームをしっかりコントロールして、行くところは行ったり、構えるところは構えたり、相手の選手の受け渡しをしっかりやりながら戦えれば失点することはないと思う。」
Q:今日の練習ではセットプレーの確認を重点的にやった。ホームで失点したくない気持ちは強い?
「ホーム&アウェイでやりますけど、あまりそういうのは関係なく、失点してしまうと不利になる。どの試合もそうですけど失点しなければ負けないので、失点というのはセットプレーとかで少しでも気が緩んでるとやられてしまう部分があるので、いつもそうですけど今日は集中してやりました。」
Q:川崎F戦後のチームの雰囲気は?
「試合が終わったあとの雰囲気は久しぶりによかったな、と感じました。そのあとのここ3日間の練習はいつも通りの雰囲気。勝ってるときも負けてるときもそんなに雰囲気をかえることなくいつも練習しているので、選手たち自身も決勝の前日だからと言って変に力が入っているわけでもない。こういう大舞台に慣れている選手がたくさんいるからだと思いますけど、それに自分も合わせていますし、勝手にそういう風な流れになっていくような感覚です。いま、自分も全然緊張してないですし、ほんとうにリラックスしていつも通りに前日練習をしていました。」
Q:遠藤航選手が、対戦を楽しみにしているようですが?
「楽しみですよ。一緒にずっとやってきた仲間でしたし、航とはほんとうに仲が良いので。いまも連絡取り合ったりしていますけど、この決勝という舞台でお互い移籍して初めての年でできるというのは、嬉しいことですし、自分たちが湘南でやってきたことがいまに繋がっていると思うので、良いプレーをして、そういう姿を湘南の人にも見てもらいたい。やっぱり勝負なので最後は勝ちにこだわる姿勢を見せられたらいいと思います。」
Q:遠藤選手が今季初ゴールを狙いたいと言っていました
「僕もそうですけど、航は今年点が取れていない。得点能力がすごく高いので、セットプレーは気を付けないといけないですけど、自分も点を狙っていきたいです。」
Q:リーグ戦では苦しい時期もあった。なぜ変われたのか?
「最後の方の2試合は負けてましたけど内容的にはそんなに変わってなかった試合だったので、そこで得点を取れなかったことがみんなには悪い印象を与えているのかな、と個人的には感じています。そこで得点が取れていれば、すごく状態がいいね、と言われたくらいの試合だったと思います。この間の試合に関しては、その状態に入って、後半に夢生が得点を決めてくれて勝てたということはチームにとって大きかった。得点がなかなか入らなかったので、そこでああやって夢生が決めてくれて勝ったことがチームにとってはよかったと思います。
次の試合とか、12月3日の試合に勝ってから言いたい。守備だったり攻撃の仕方だったり、内容もしっかり求めてサッカーをしていきたい。」
Q:戦い方は変わる?
「ずっと対策をしている。それは変わると思います。」
Q:1戦目がホームということは?
「あんまり気にしてないです。2試合とも勝ちに行くサッカーをするだけだと思うんで。その結果で優勝できればいいと思っているので、ホームもアウェイもあまり気にせず、どちらも勝つつもりでやりたいです。」
Q:監督の采配については?
「あの形については初めてだったので最初戸惑った部分はありました。でも右からやられていたので、守備を求められているんだな、というのは言われなかったけどメッセージとして伝わった。守備に割かれる時間は長かったですけど、あそこで(西)大伍くんと話しながらしっかりできたと思いますし、(三竿)健斗が入って来てくれて中盤での高さや球際に行けるところも行けていたので、すごく良い交代だったんじゃないかと思います。」
Q:大勝負を前に落ちつけている自分のことはどう思う?
「なんでかわからないですけど、あんまり緊張してないのが不思議なくらい緊張してない。試合前の、直前のミーティングで緊張感が出てくるので、その辺から出てくると思いますけど、やっぱり代表とかを経験できているのが大きいと思います。」
Q:柏木(陽介)をマークすることになる?
「たぶん柏木選手が、ダブルボランチの前に入る方にポジションを取ると思うので、そことあとはシャドーのどっちか1枚を注意しながら。阿部選手はたぶん下がるので、そこはFWに任せながら、という意識でやっていきたいと思います。」
Q:勝負所で結果を出す、鹿島の強さを改めて感じた部分はありましたか?
「この間の試合に関してはそうだな、という感覚がありました。でも、決勝を戦って、その試合でで勝って初めてそういう気持ちを味わいたいと思っているので、明日の試合も3日の試合もすごく楽しみにしているし、自分も含めて試合に絡む選手がどれくらい勝負強さを発揮できるのか、というのも楽しみです。」
Q:どういうところで感じた?
「具体的にはないですけど、勝てたので。フロンターレには今年勝ってなかったですし、年間の勝点でも相手の方が上だった。そういう相手にああいう舞台で勝てた、というが現実としてあるので、そういうことでただ単純に強いチームだな、と思いました。」
Q:試合に
「準備はしていたし、特に前から行く守備と後ろに引いた守備を、2日間に分けてやったくらいだったので、そこの守備の整理がそれぞれのポジションの選手の理解を深めてやっていた。その練習が試合に生きたと思います。」
■FW8 土居聖真選手
Q:準備の方は?
「僕個人としては最善を尽くしたつもりです。」
Q:今季は2回浦和とやって1勝1敗。改めて浦和の印象は?
「長年ああいうスタイルでやってきて、それが完成されつつあるチームだと思う。前線のコンビネーションの部分など、自分たちのスタイルを貫いているチームだと思います。」
Q:鹿島がやらなければいけないところは?
「やっぱり前線のコンビネーションをやらせてはいけないと思いますし、そこが消せれば自分たちのサッカーはできるのかなと思っています。」
Q:どうすれば点が取れると思いますか?
「それをいま言っちゃうとダメかな、と思います(笑)。レッズに限らず、どの試合でもイメージはしているので。」
Q:ホーム&アウェイになり、アウェイゴールも入ってくる。その意味で初戦はどういう戦い方をする?
「フロンターレのときとそんなに変わらないと思います。先に失点すると状況的にも厳しくなるし、不利になる。得点することも大事ですけど、失点しないことが最優先になってくると思います。」
Q:後ろから繋ぐ相手に対して役割は重いと思いますが?
「少しでも守備の選手たちがボールを奪いやすかったり、相手が攻めにくいと少しでも感じられるように、少しでも後ろの選手の手助けができればいいかなと思います。」
Q:この間の川崎F戦も引き分けじゃダメな試合でも守備から入った。鹿島にはそういう伝統があるんですか?
「ずっと言われ続けているというのは、少なからずそういうところがあるのかなと思います。
やっぱり好き勝手なことをやっても勝てないと思いますし、やっぱり統一感を持って、みんな同じ意志で戦わないと行けないと思うので、そういう意味では失点をしないというところで共通意識ができていると思います。」
Q:川崎F戦の守り方で、前から行くときと引くときの使い分けがうまくできていたと思いますが、ピッチの中では意識だったのか?
「いろんな状況がありますけど、それは中でやってる人たちで共有できてますし、ある程度パターンが決まっているときもありますけど、グランドに入っている選手で話し合ってできている。フロンターレ戦は結構いい形もありましたし、それをレッズ戦も前から取りにいくところと引くところを状況によって使い分けないといけない。それがうまくできれば、良い形で守備も攻撃もできると思います。」
Q:去年の途中から石井さんになっていろんな状況があった。いまの状況はいつに近いですか?
「セレーゾから石井さんに変わったときですかね。直後とあまり変わらないかな、と思います。責任感を持ってやっているというか、セレーゾが変わったことというのは僕らの責任、選手自身の責任でもあった。それを選手全員が感じて、行動に移せていたのが、その頃と似てるかな、と思います。」
Q:去年、ナビスコ決勝は怪我をして出られなかった。今回は優勝に手が届く位置にいるのは喜ばしいこと?
「僕がプロに入ってからいくつかタイトルは取ってきますけど、そのグランドに立ってというのはなかった。1stステージの優勝はありましたけど、タイトルがかかった試合では怪我だったりベンチ外だったり、試合に絡んでなかったりというのがあって、今回初めてそういう場に立てるということで、本当に目の前に転がっているチャンスだと思っているので、しっかり受け止めて噛みしめて、しっかり戦えればいいと思います。」
Q:選手から監督にかけられた言葉は?
「いつもと変わらない感じだったので、よかったと思います。」
◆鹿島に気負いなし JリーグCS決勝、浦和との第1戦へ(茨城新聞)
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14803433560971
J1の年間王座を争う明治安田チャンピオンシップ(CS)決勝第1戦は29日、カシマスタジアムで行われる。第1ステージ覇者の鹿島(年間勝ち点3位)は、第2ステージを制した浦和(同1位)をホームで迎え撃つ。キックオフは午後7時25分。CS初顔合わせの両チームは28日、今季のJ1を締めくくる頂上決戦へ最終調整をした。
鹿島はクラブハウスグラウンドで約1時間半の練習を行った。通常の公式戦の前日同様、セットプレーの守備を確認後、全選手が参加して遊びの要素が強いミニゲームを実施した。決勝を前にしても自然体を貫いた。
今季、湘南から加入した永木は「ここ3日間の練習はいつも通りの雰囲気だった。鹿島には大舞台に慣れている選手がたくさんいて、自分もそれに合わせられたので全然緊張していない」と、気負いなく話した。
今季、浦和とは1勝1敗。7月の第2ステージはホームで逆転負けを喫した。先制した2分後に同点に追い付かれるまずい試合運びで、相手を勢いに乗せてしまった。その試合でゴールを決めた土居は「得点することは大事だが、失点しないことが最優先」と守備意識を高めた。
鹿島はこれまで5度CSに出場。1998年から3度のCSは負けなしで優勝しており、短期決戦の戦い方を熟知している。浦和とのCSは今回が初めて。01年に出場した曽ケ端は「難しい状況やファイナルは何度も経験した積み重ねがある」と、頼もしく語った。 (藤崎徹)
◆【鹿島 vs 浦和】 鹿島側ウォーミングアップコラム:決勝を前に落ち着いた様子を見せる永木。遠藤との対戦を楽しみに待つ。(J'sGOAL)
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/n-00021779/
2011年、高卒と大卒の違いはあるが永木亮太と遠藤航は湘南ベルマーレに加入した。前年から永木は特別指定選手として、遠藤は2種登録選手としてピッチに立っていたため、そこから7年の月日が流れようとしている。今季から永木は鹿島の選手として、遠藤は浦和の選手として戦っているが、移籍1年目にして、チャンピオンシップ決勝という大舞台で相見えることとなった。
「楽しみですね。航は、ずっと一緒にやってきた仲間ですし、本当に仲が良いので」
試合前日の記者会見で、遠藤の存在について問われた永木はワクワクしているようだった。
「いまも連絡取り合ったりしていますけど、この決勝という舞台でお互い移籍して初めての年でできるというのは、嬉しいことですし、自分たちが湘南でやってきたことがいまに繋がっていると思うので、良いプレーをして、そういう姿を湘南の人にも見てもらいたい」
じつは、鹿島に来てから浦和戦に限っては、試合開始のホイッスルをピッチの上で聞いていない。初先発のチャンスが、チャンピオンシップ決勝で巡ってくる。しかし、永木は落ち着いていた。
「自分でも不思議なくらい落ち着いています」
チームメイトには小笠原満男や曽ヶ端準を始めとして、百戦錬磨の選手が揃う。クラブ自体が醸し出す雰囲気もあってか、永木は自身をあふれさせていた。
文:田中滋(鹿島担当)
明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ 決勝 第1戦
11月29日(火)19:25KO カシマ
鹿島アントラーズ vs 浦和レッズ
◆サッカーJ1 チャンピオンシップ決勝を前に鹿島が調整(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161128/k10010787061000.html
サッカーJ1の年間王者を決めるチャンピオンシップの決勝の第1戦が29日に行われるのを前に、J1最多の8回目の優勝を目指す鹿島アントラーズの選手が最終調整を行いました。
J1最多、7回の優勝を誇るリーグ戦年間3位のアントラーズは、準決勝で年間2位の川崎フロンターレを破り、決勝では10年ぶりの優勝を目指す年間1位の浦和レッズとホームアンドアウェー方式で対戦します。
29日にホームで行われる決勝の第1戦を前に、アントラーズの選手たちは茨城県鹿嶋市のグラウンドで最終調整を行いました。練習では準決勝でゴールを決めた金崎夢生選手や右足のけがから練習に復帰したミッドフィルダーの柴崎岳選手などが、セットプレーやミニゲームなどで、およそ90分間汗を流しました。
石井正忠監督は「ホームでの第1戦ということで、90分間しっかりと戦って、勝利をサポーターに見せたいです」と話していました。また、日本代表のミッドフィルダー、永木亮太選手は「リーグ戦では浦和レッズと1勝1敗なので、しっかり決着をつけます。2勝すれば優勝なので、どちらも勝つ気持ちで臨みます」と決意を語りました。
決勝の第1戦は29日にカシマスタジアムで行われ、午後7時25分にキックオフです。
◆「何も手にしていない。はしゃぐな」 小笠原、永木コンビこそ鹿島の魂。(Number)
http://number.bunshun.jp/articles/-/826966
チャンピオンシップ準決勝は、鹿島アントラーズが1-0で川崎フロンターレに勝った。
前半は点が取れず、勝たないと次がない鹿島としてみればバタバタしそうなものだが、逆に攻め急いでいたのが川崎で、鹿島には余裕があった。どちらが年間順位が上か分からない試合運びだったが、安定した試合運びに寄与していたのがダブルボランチの小笠原満男と永木亮太だ。このふたりの守備は、まさに「デュエル」そのものだった。
小笠原は前への強さ、相手へのアプローチが非常に早く、ボール奪取の技はもはや達人の域だ。永木も湘南時代に培ったフィジカルの強さを武器に球際に強さを見せ、ボールを奪う能力が非常に高い。
川崎戦は、その2人を中心に序盤からガツガツと前にプレッシャーをかけていった。永木は意図をこう語った。
「勝たないといけないので、立ち上がり15分は前からいこうと話をしていました。失点のリスクはありますが、そこは恐れずに自分たちの今までやってきたことを出そうと。満男さん中心にプレッシャーをかけていってうまくハマった時もあったし、ちょっと崩されて危ないシーンもあったけど、よく後ろが耐えてくれた」
「憲剛さんを潰さないと」というプラン通りに。
鹿島はよく落ち着いていた。
前半21分、川崎の長谷川竜也が怪我で途中交代し、いきなり中村憲剛が入ってきた。相手キーマンの登場でバタつくなかと思いきや、まったく動じることなく、永木も冷静だった。
「いつかは入ってくると思っていたんで。ただ、憲剛さんのところでボールが落ち着きますからね。そこを潰さないと勝てないと思っていましたけど、憲剛さんが(2列目のポジションから中盤の底に)落ちてきたり、大久保選手が落ちたりと本当によく入れ替わる。そこで捕まえるのに苦労しましたが抑えて前半をゼロに終えたのがよかったです」
後半5分、セオリー通りに立ち上がりを攻め、狙い通りに金崎夢生が先制ゴールを決めた。出来すぎの感もあるが、チャンスを逃さずに決めるのが鹿島らしい。
「最後は体を張って失点しないぞって気持ち」
その後は川崎が出力を上げて攻撃に転じたが、鹿島はそれを中央で受け止めて、しっかり守るという構図ができていた。
「相手ひとりひとりの意識が前にいったことで、セカンドボールを取られたり、自分たちが簡単にボールを失ったり、ほとんど相手にボールを持たれていた。でもしっかり中を締めて守備ができていたし、キツい時間はブロックをつくって守備をすることができていた。大伍(西)くんの捨て身のシュートブロックしたシーンの象徴されるように、最後は体を張って失点しないぞって気持ちでやれたのもよかったと思います」
これこそが、鹿島の強さなのだろう。
押されている時は、ムリにボールを奪おうとしない。中をしっかりと締めて、我慢する時間が続くのなら、守備のブロックを敷いて耐える。試合前から選手間で話をしており、試合中も戦況を判断して意志統一されていたという。
ここ一番の鹿島は、自分たちの土俵に引きずり込む。
鹿島は、タイトルがかかった試合は滅法強い。
昨年のナビスコカップ決勝・ガンバ大阪戦も相手の良さを消し、遠藤保仁に「完敗。何もできんかった」と言わしめるほど、圧倒的な強さを見せ付けた。ここ一番の時は集中して試合に挑み、自分たちの土俵に引きずり込んで勝利する。
そういう逞しさが鹿島にはある。
そんなチームの中盤で、小笠原と永木はともに存在感を見せつけていた。岩手と神奈川で出身地は違うが粘り強さといい、負けず嫌いといい、スタイルもちょっと似ており、息の合ったプレーはもう何年もコンビを組んでいるようにさえ思える。
「満男さんとは2人で前に行かないこと、1人はバイタルエリアの真ん中で構えていること。これはセンターバックの選手から言われています。ボールを取りにいく時は、バランスを気にしなければならないけど、2人でいける時は取りにいくし、それはできていたと思います。でも、満男さんは、ほとんどボールを奪ってさすがだなと思いました。前で取るのがうまいので、自分も見習わなくてはと思いました」
本田泰人、小笠原と継承された魂が永木にも注入。
かつて本田泰人がボランチの教育係だったが小笠原がレギュラーになってからは背中で語りながら今まで相棒を育ててきた。青木剛、柴崎岳を始め、永木も今まさに鉄人の薫陶を受けているところだ。さらに本人も鹿島の伝統の強さみたいのも感じているようだ。
「チャンスを点につなげると、鹿島は強いなと自分でもプレーしながら思っていました。あとは決め切るところを決めたり、最後もチャンスがあったけど追加点を取れればもっと強いチームになる。今日は本当に魂の入った、気持ちのこもったゲームだった。自分たちのマイボールにするとか、ファールをもらうとか、細かいところの積み重ねで今日の勝ちが転がってきたのかなと思います」
「失うものは何もないですから喰ってやろう、と」
決勝は、年間王者の浦和レッズと戦うことになった。今シーズンは1stステージアウェイで2-0で勝ち、2ndステージはホームで1-2で敗れている。1勝1敗の五分だが、川崎戦に勝った分だけ、鹿島は勢いを持って決勝に臨める。
とはいえ、小笠原は「まだ何も手にしていない。はしゃぐな」と選手に喝を入れた。そのせいか試合後、選手たちの表情には浮ついた感がなく、恐いぐらいに冷静だった。
強い鹿島がここにきて覚醒した感がする。
「浦和は本当に力のあるチームでセカンドステージはほとんど負けていないですし、誰が出ても同じサッカーをしてくる。次はホームなので絶対に負けられないですし、今日みたいに気持ちのこもったゲームをしたい。僕たちは年間3位なので失うものは何もないですから喰ってやろうと思います」
浦和戦も小笠原とふたりでどっしりと中央に構え、相手の攻撃の芽を摘むだろう。
攻撃では川崎戦はカウンターによく絡んでいたが、永木のもうひとつの良さはミドル。ガチガチの固い試合になりそうな初戦では、かなり効きそうだ。デュエルぶりに満ちあふれた守備だけではなく、攻撃でも存在感を示すことができれば十分、大物喰いを果たせるだろう。
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