日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年8月25日土曜日

◆【U21】上田綺世、後半45分PK弾で8強!Jスカウト絶賛の大学NO1ストライカー(報知)






 ◆ジャカルタ・アジア大会第7日▽サッカー男子決勝トーナメント1回戦 日本1―0マレーシア(24日)

 サッカー男子のU―21日本代表は、決勝トーナメント(T)1回戦でU―23マレーシアを1―0で破り、3大会連続の8強入りを決めた。試合終盤の後半45分に途中出場のFW上田綺世(あやせ、19)=法大=が自ら獲得したPKで決勝点をマーク。前日(23日)に50歳の誕生日を迎えた森保一監督にバースデー勝利を贈った。4強入りを懸け、27日に準々決勝でサウジアラビアと対戦する。

 苦しみ抜いた男がチームを救った。0―0で迎えた後半44分、MF松本のスルーパスに抜け出したFW上田がペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。「上田綺世の株が上がるか、下がるかがかかっていた。自分の存在を大きくするチャンスだと思っていました」という大胆不敵なストライカーは、見事にPKを沈めて決勝点をマーク。前日に50歳を迎えた森保監督のバースデーを自らの得点で祝った。

 出番は後半30分からやってきた。今大会初戦となったU―23ネパール戦では先発しながらも再三の決定機を逃し、この日も3試合連続で先発から外れた。それでも「あの時間に起用されるのは(森保監督から)多少は信頼されているということ。何としても結果を出したかった」。その狙い通り、裏への抜け出しから決勝点をマーク。この代表の発足となった昨年12月のタイ遠征から継続的に招集している森保監督も「よく仕事をしてくれた」とたたえた。

 大学NO1ストライカーだ。まだ法大2年生ながら、Jクラブのスカウトが「大学でも抜けている存在。高校時代から突破力はあったけど、今はゴール前での落ち着きもある。海外でも通用する」と絶賛するほどのポテンシャルを秘める。周りはプロ選手ばかりだが「プロには絶対に負けたくない気持ちがある。得点能力では誰にも負けたくない」と闘志をむき出しにして貪欲に成長を続けている。

 これで3大会連続の8強入り。前回14年の仁川大会では開催国の韓国相手に準々決勝で敗れた。「ベスト8に行けたことで、またひとつ自分の成長する場が増えた」という19歳が、チームの目標である4強に導く。(井上 信太郎)

 ◆上田 綺世(うえだ・あやせ)1998年8月28日、茨城県生まれ。19歳。鹿島の下部組織から鹿島学園高に進学。3年時には高校選手権に出場した。17年から法大に進学。U―21日本代表には、昨年12月のタイ遠征、今年3月のパラグアイ遠征、5月のトゥーロン国際大会に続き4度目の招集。180センチ、72キロ。


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◆【U21】上田綺世、後半45分PK弾で8強!Jスカウト絶賛の大学NO1ストライカー(報知)




◆柴崎岳に出番は訪れず…ヘタフェ、乾流出のエイバル下して今季初白星(ゲキサカ)



柴崎岳 Gaku.Shibasaki


[8.24 リーガ・エスパニョーラ第2節 ヘタフェ2-0エイバル]

 リーガ・エスパニョーラは24日、第2節1日目を各地で行い、MF柴崎岳所属のヘタフェがエイバルと対戦した。開幕節でフル出場した柴崎はベンチ入りするも出番なし。試合はMF乾貴士(ベティス)が去ったエイバルを2-0で破り、今季初白星を飾った。

 先に試合を動かしたのは開幕節のレアル・マドリー戦に0-2で敗れたヘタフェ。前半18分、味方のクロスボールに抜け出したFWハイメ・マタが相手と競り合いながらおさめると、ターンしながら真横にパス。走り込んだFWアンヘル・ロドリゲスがPA外から叩き込み、先制点を奪った。

 開幕節では昇格組ウエスカに1-2で敗れていたエイバルは乾の流出によって破壊力を失い、ポゼッション率は高水準をキープしながらも、有効打を繰り出すことができない。1点ビハインドで迎えた後半22分、バジャドリーから新たに加わったMFパブロ・エルビアスを最初の交代カードで入れ、攻撃の活性化に期待をかける。

 だが、次に試合を動かしたのもヘタフェ。後半45分、右サイドを突破したFWアマト・エンディアエのクロスにFWホルヘ・モリーナが反応。いったんはGKマルコ・ドミトロビッチに止められたものの、こぼれ球をモリーナが押し込み、リードを2点に広げた。そのまま守備固めを行ったヘタフェは柴崎をピッチに送り出すことはなく、2-0のまま試合を終えた。


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◆柴崎岳に出番は訪れず…ヘタフェ、乾流出のエイバル下して今季初白星(ゲキサカ)




◆鹿島帰還のジーコが求める自覚。 見守り刺激を与える「七味唐辛子」。(Number)



ジーコ Zico


 8月4日、合流初日。練習前に監督、コーチ、選手の前で言葉をかけた。

「1位以外は意味がない」

「常に勝つための生活をしなければならない」

「常に勝つための準備を怠らず、真剣に練習に取り組むこと」

「一度優勝すれば、またもう一度と欲が出る」

「サッカーに不可能はない。まずは自分たちが可能だと信じることから始まる」

 伝えられたメッセージはシンプルだった。「勝利のために、全身全霊で取り組め」。その一言に集約されるものが並んだ。

 ジーコが鹿島アントラーズにテクニカルディレクター(TD)として帰って来た。

'02年以来のTD復帰と深いチーム愛。

「16年ぶりに戻れて非常にうれしく思っています。クラブから協力してほしいということに対して、全身全霊をかけて結果として示せればと思います」

 2002年以来の鹿島TD復帰に、「まさか戻って来るとは思っていなかった」とジーコ本人も驚きを見せるとともに、「このクラブを作り上げた1人として、離れていても常に気にかけて情報を把握していた。僕の人生の一部であるアントラーズの手助けになれれば」と深いチーム愛を表した。

 テクニカルディレクターといっても、クラブによって役割は変わるもの。ジーコ自身、今回の就任は、監督を支えながらチームをより良い方向へ導いていくため、と説明する。

TDは監督の代わりではありません。

「監督の示した練習メニューに対して、選手がどう応えているか、正確に練習が行われているか。チームの弱点に対してどう補強していくか。監督やスタッフと密にコミュニケーションをとって調整をする役割。与えられた期間の中で、早急に改善しないといけないところと中長期的なものを見極めていきたいと思っています。

 TDは監督の代わりではありません。これまでもアントラーズで同役職として仕事をしましたが、一番大切なのは、監督とTDの信頼関係。そこに信頼があれば、いいコミュニケーションが取れるし、お互いにいい仕事ができる。あくまで監督のサポートをする役割なので、そこに対して全力を注ぎたい」

 シーズン途中の加入となり、難しいミッションであることは間違いない。それでも「アントラーズでなければ断っていた」というオファーを快諾した。

「問題がなければ呼ばれていないはず。早急に見つけたいと思っています」

「チーム全体が締まった」(山本)

 覚悟を持った決断だった。

 TD就任後、アントラーズの練習グラウンドにはいつもジーコの姿がある。試合日でも、ホームであれば午前中にクラブハウスで行われるメンバー外の練習にも顔を出す。

「いつも見ているよ」

 暗に込められたメッセージが、選手だけでなくクラブ全体に良い影響を与えている。

 山本脩斗は、「合流してすぐに『このチームは勝たなければいけないチーム』と言ってもらって、チーム全体が締まった。改めてアントラーズはタイトルを獲らなければいけないチームだと感じた。でも、普段は前に出て話をするわけでもなく、静かに後ろから見守っている感じ」と言う。

 加入12年目を数える遠藤康は、チームの変化を「七味唐辛子」と表現した。

「選手たちも意識する部分があるけど、一番はスタッフ。監督、コーチだけでなく、フロントも含めてクラブ全体がピリッとしている。チームは選手だけでなく、フロントはもちろんサポーターも含めて成り立っているものだから。その意味ではいい形になった。普段の雰囲気に、七味唐辛子のようにピリッとスパイスがある感じ。大人にはそれが必要でしょ」

ユニフォームを着られる誇りを。

 静かに、そっと、選手たちを見つめている。ただそれだけで、チームに刺激が加わった。

「近年、サッカーを取り巻く環境が劇的に変化しています。放映権などのピッチ外を含めた時代の変化に限らず、僕自身、人生そのものが変化していると感じている。まさか7人の孫に恵まれるなんて思ってもいなかったですから(笑)」

 ジーコは、そんなサッカー界の変化に、どう対応していくのか。

「サッカーにおいて根本的なところは変わりません。ただ、今の若い人たちにどう伝えるか。これは、簡単なようで難しい。昔のことでしょうと言われないように伝えながら、いかに彼らの才能を開花させるか。このクラブの歴史を伝えた上で、アントラーズのユニフォームを着ることに誇りと自覚を持たせないといけません。それを何カ月かかったとしても必ず伝えていきたい」

歴史を築いたのは僕だけでない。

 今年65歳となるジーコだが、情報発信に対して柔軟な姿勢で今の時代に即応している。自身のSNSがいい例だろう。自らの言葉で、多くの情報を発信している[Instagram:zico_oficial、Facebook:ZicoOficial、Twitter:@Galinho1953、YouTube:Canal Zico 10]。TD就任後、選手に対してメッセージを送るだけでなく、フロントスタッフにも、これからのアントラーズについて話をする機会を設けた。

 ではジーコは、アントラーズの未来像をどう描いているのだろうか。





「このクラブが勝者たる歴史を築き上げたのは、僕だけではなくて、監督、スタッフ、フロントが全身全霊でこのクラブを強くしようと思った結果が数々のタイトルにつながってきたわけです。まずは勝って常にタイトルを獲ること。そして、アントラーズは個の台頭を目指しているクラブではなく、チームとしての台頭を目指すクラブです。誰か1人が試合を決めるのではなく、組織としていかに強くなるかが最大の課題となります」

ロナウド、メッシ、レアルが手本。

 タイトルを獲り続けるために必要な姿勢とは。今のサッカー界に例えて、いいお手本となる存在を挙げた。

「'16年のクラブW杯では結果として準優勝でしたが、本来、そこからもう一度同じ舞台に出て優勝したいという気持ちになるはずです。ただ、それがどういう理由か、あの世界2位の時点からチームは衰退している。今のサッカー界には一番の見本がいます。C・ロナウドとメッシです。過去10年のバロンドールはほぼ2人がとっている。クラブで考えれば、レアル・マドリー。直近5年で4度のチャンピオンズリーグを制覇しました。どちらも満足することなく、また次へという意識を持ち続けた結果です。

 常に満足することなくタイトルへ向けて勝つための準備を怠らず、しっかりと真剣に取り組んでいく。それが結果に表れるということを、もう一度クラブの伝統として、再確認しなければいけないと思っています」

 シンプルに柔軟に。ジーコは時代に合わせた形で、これまでの経験を伝えていく。タイトルという目標に向かって。


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◆鹿島帰還のジーコが求める自覚。 見守り刺激を与える「七味唐辛子」。(Number)


◆「若きファントム」鹿島安部、影響を与えられるプレーヤーに「もちろんなりたい」 #ファントムを探せ(ゲキサカ)



安部裕葵 Hiroki.Abe


#ファントムを探せ インタビューVOL.3 安部裕葵(鹿島アントラーズ)
 ナイキフットボールから、新たなスパイク「PHANTOM VSN(ファントム ビジョン)」が登場した。「ファントム」とは決められた役割で動くのではなく、ゲームを掌握し、決定的な仕事までするプレーヤーのことだ。相対 した選手には、まるでファントム(ゴースト)に襲われたかのような脱帽せざるをえないプレーを見せつける。そんな得体の知れない「ファントム」なプレーヤーは日本に存在するのか。はたまた現れるのか。近い将来日本を背負うことを期待された逸材たちにインタビューし、「ファントムとは何か」に迫っていく。第3回は、安部裕葵(鹿島)の中高生時代から今後について独占インタビュー。

―着用するスパイク「ファントム ビジョン」の印象を教えてほしい。
「(ゴーストレースシステムによって外側に)紐がないのがところが良いと思います。僕、あんまり紐を強く結びたくないんですよ。これは紐を結ばなくてもフィット感がありますし、紐を中に入れられるのは凄く良いと思います」

―トラクションも違う?
「めっちゃ、ポイントの位置が良いと思います。切り返しの際に結構、親指で踏ん張るので、その時に助かりますね。切り返しはポイントが刺されば刺さるほどスピードが出ると思うので、そういうところで良いと思います」

―手にしただけで明らかに分かるほど軽い。
「スパイクは絶対に軽い方が良いです。(重い方が良いという人もいるけれど)僕は軽い方が良いですね。履き心地が違います。形が一緒でも重さが軽いだけでフィットしている気がするんです。ボールを蹴る感覚も、重いものと軽いものとでは全然違います。足の裏なども細めに作ってありますし、この人工皮の感じも良い。はじめ最初、この形状なので履くのは大変かなと思ったんですけれども、しっかり伸びてくれるので履きにくさはないです」

―「ファントム」が自分のプレーをサポートしてくれそう?
「僕はボールを触った時に一番特長が出る選手なので、このスパイクを履いてたくさんドリブルして、たくさんゴールしてということができたらいいと思います」

―同じファントムプレーヤーであるデ・ブルイネ選手とコウチーニョ選手の、ワールドカップのプレーはどのように映った?
「デ・ブルイネ選手は点の入るスペースが良く分かっているなと思います。空間認識能力と言いますか、相手がいないスペースや、どこにボールを通せば良いか、そういうところが普通の選手よりはずば抜けていると思います」

―安部選手と似ている部分が多いように感じるが?
「僕もスペースは見ますね。相手がどこにいるかというよりは、どこにスペースが空いているかというのは常に見ようとはしています。でも、デ・ブルイネ選手はレベルが違います。あの人は本当に上手いですよ」

―コウチーニョ選手については?
「彼はカットインからの右足がある。その形を持っているのでDFディフェンスする人は頭によぎると思います。それがDFの頭によぎった時点でコウチーニョ選手の勝ちだと思うんですよ。それが相手の頭にあるだけで自分のペースになると思うし、自分の間合いになると思う。あのシュートがあると思ったらディフェンスしにくいと思います」

―自分も左サイドからカットインしてシュートを。
「そうですね。もちろん、たくさん練習していますし、僕はシュート数がちょっと少ないので増やさないといけない。シュートが苦手な訳ではないですし、キック力が無い訳でもない。たった1点、良い感覚で決めるだけでイメージというのは全然変わるので、その感覚を掴めればと思います」

―ファントムプレーヤーになるにはメンタル面も
「大事になってくると思います」





―瀬戸内高の後輩たちが安部選手のドリブルしている姿が格好良かったと話していました。中高時代、安部選手にヒーローはいた?
「僕は小学校、中学校にかけて、高校サッカーに憧れていて、僕の中では(ヒーローは)宮市選手でした。プレー集を動画で見て、めちゃくちゃ速かった。アーセナルなどに所属していて、僕もこうなりたいなと思っていました」

―宮市選手から衝撃を受けた(ファントム的な)プレーはある?
「チェルシー相手に一人でぶっちぎった試合があったと思うんですけれども、あのプレーなどは“ヤバい”なと思いましたよ。僕とタイプは違いますけれども、上手さとか問題じゃない、衝撃的なプレーだったと思います」

―チームメートや対戦相手からインパクトを受けることはあった?
「僕は身近な人のプレーからも刺激を受けやすいタイプでした。チームメートや、後輩でも上手いと思う瞬間があるとすぐに真似しますし、吸収力があると思っています」

―ドリブル、パス、シュート全て特長があるが、今のプレースタイルの原点は真似にある。
「そうですね。人の真似から積み上げてきたものだと思います。もちろん、自分の感覚的なもので磨いてきたものもあります」

―中学時代までは無名。技術なのか、負けん気なのか、自分がこれを持っていたからプロになれたと感じている部分はある?
「覚悟は結構していた部分がありましたね。大学ではもうサッカーをしないと決めていて、僕の兄もサッカーをしていたんですけれども大学で辞めていたし、自分も高校卒業でプロになれなかったら、しっかり勉強して良い大学に行こうかなと思っていた。広島(瀬戸内高)に行くことも親は反対だったんですけれども、プロになるからと行って、なれたんで良かったです」

―何がそのような覚悟をさせた?
「小さい頃は親の言うことを聞いて育って、中学校のチームも学校も、親が引いてくれたレール、人生を送ってきていたんですけれども、高校からは自分で道を作ろうとしてきました。大変さもありましたけれども、やりやすさもありましたし、全部自分がやっていることなのでやる気もありました」

―中学生でそう考えたのは、何か変えなきゃと追い込まれていたのか、それともポジティブな気持ちだったのか?
「中3の時に親の背中を見てじゃないですけれども、働いている姿や大変なところを見て、『やらなきゃいけない』とは思いました。それが多分、きっかけですね。それから本気になりました。もちろん、それまでも一生懸命やっていましたけれども、中3の頭くらいにサッカーに対してスイッチが入ったと思います」

―スイッチが入ったらどうなる?
「変わりましたね。それまでは練習時間だけ一生懸命やって集中していたけれど、それ以外でも24時間常にサッカーのことを考えていましたし、『サッカー選手にならなきゃ』って強く思っていました。それがプレッシャーになって大変だった時もありましたけれども、そのプレッシャーを感じながら追い込んでやっていたと思います」

―悔しさをエネルギーにする選手もいると思うけれども、安部選手のエネルギーは自発的に生まれてきた。
「元々力がなかったからこそ、挫折などしないタイプだったと思います。高校の時は淡々と、一日一日考えながらやっていました」

―高校時代、自分の人生が変わったなと思うような瞬間はあった?
「自分の中でぐっと変わったポイントはあまりないかもしれないですけれども、強いて言うならば、このアントラーズというチームに入ると決まったタイミングで変わったような気はします」

―決まったのは高校3年のインターハイ後だったと思うが、そこで良いプレーができていた?
「いえ、全然そんなことはないです。めちゃくちゃ調子が良かったわけでもないですが、見てもらえていた。日々と同じようにプレーしていて、それを評価してくれたということは自分の中で自信になりました」

―アントラーズに決まった時は特別な心境だった。
「実感はなかったです。(スカウトの)椎本さんが僕らの高校(瀬戸内)のスタッフとご飯を食べている時に、その場で電話がかかってきて、『OKでいいな』と。元々僕はプロに行きたいと言っていたけれど、スタッフは鹿島以外だったら実力もないし、あまりプロには行かせたくない。それだったら良い大学へ行ってほしいという願いでした。でも、鹿島から声をかけてもらえたというのは僕にとっても、スタッフにとってもベストの選択肢だったと思います」

―初めて鹿島の練習に参加した時、何をしなければいけないと?
「最初にの練習参加をさせてもらって、それが終わった時にもう戦う気持ちはできました。チーム内競争で争うという闘争心は、その練習参加の時に自分の中には生まれていました」

―日本一覚悟を決めないと生き残れない場所。
「甘い気持ちではやれないので、ここで生き残るしかないという気持ちでしたね」

―鹿島での日常が今の自分を形成している。
「偉大な先輩が多い中で凄くかわいがってくれますし、盗むものがたくさんあるので、サッカーをやっていて不自由がないというか、自分が上手くなるために必要なものがこのチームにいたら全て揃っていると思う。(小笠原)満男さん、ソガ(曽ヶ端準)さんもそうですけれども、先輩たちの常に上手くなろうとしている姿を見ると、僕も自然とそういう考えになりました」

―活躍し始めているが、まだまだやらなければならないと?
「(鹿島のスタッフ、チームメートから)たくさんのものを与えてもらっているので、僕も与えなければいけないと思っていますし、それが優勝という形なのか、個人として大きな選手になることなのか。もちろん、それは両方目指していますし、成長すること、成長して結果を残していくことが恩返しだと思っているので、それは今の目標ですね」

―今はまだ若きファントムプレーヤーかもしれないけれども、鹿島のファントムプレーヤーだと言われるように。
「なりたいですね」





―ファントムプレーヤーとはどうあるべきか?
「僕みたいな選手は試合で流れを変えられると思いますし、試合の流れだったり、スタジアムの雰囲気だったり、そういうものを変えられる力をもっとつけたいと思っています」

―今、足りない部分は?
「逆の言い方をすれば、足りているものはないと思いますし、全て足りないと言えば足りないですし、何もかもがもっとレベルアップしなければいけないですし、サッカーを続けている以上は足りていると思ってはいけない」

―今回着用する「ファントム」のコンセプトの一つが精密さ。自分の中で精度へのこだわりは?
「僕はボールを持った時のタッチ数が多い。僕みたいに細かいタッチをする選手にとって繊細さは必要になってくると思います」

―安部選手はドリブル突破でも人を感動させることができる。
「サポーターやサッカーを楽しんで見てくれている人はそこを期待してくれていると思っているので、やっぱりそれは続けていきたいと思っています」

―ゴールという結果もついてきている。
「点を決めるということがどんなプレーよりもチームの助けになりますし、チームが楽になったり、助かったりするようなプレーヤーになりたいです」

―自分が「ファントム」と言われるのは?
「嬉しいことですし、こうやって取材をして頂けることもありがたいです。僕はナイキを使わせてもらっていて、もちろん感謝もありますし、責任というか……、変に気負う必要はないですけれども、僕が一生懸命やることによってチームだけじゃなくて僕の後輩や履いているスパイク、いろいろなものにいい影響が与えられる、サッカー選手というものは人に影響を与えやすいものだと思うので、それはやりがいを感じますね」





―代表チームについて、ロシアでの10日間はどうだった?
「代表戦を見たのはこれが初めてで、ワールドカップももちろん初めて。スタジアムに入ってくる大勢のサポーターが一緒に泣いて、叫んでという姿を見ました、自分が思っているよりも、サッカーは熱いスポーツだということを凄く感じました。思っていたよりもサッカーというものは人に影響を与えるスポーツで、偉大だなと思いました」

―6万、7万人が感動している外側にテレビを見ている人はもっといる。
「凄いですね。そういう影響を与えられるプレーヤーになれる可能性があるので、もちろんそうなりたいと思います」

―A代表の選手たちを近くで見て感じたことは?
「近くで接する機会はあまりなかったんですけれども、表情など世界と戦っている人たちを見たら、やっぱり自分との違いを感じました。僕が普段Jリーグで試合しているよりも、もうひとつ上のメンタリティーや人間性があって自分の未熟さ、もっとやらなければいけない、とA代表の選手たちを見て感じましたし、ロシアでの全てが僕にとって刺激でした」

―中学3年生の時に受けた刺激とは、また違う刺激に。
「凄く刺激になりましたね。ワールドカップというものを肌で感じられたのでイメージしやすいですし、そういう経験ができたのは大きかった」

―あまり先のことは考えないようだが、2年後、4年後については?
「考えないですよ。考えないですけれども、カタール(のワールドカップ)に出たいという欲は凄く出ましたね。でも先のことを考えすぎずに、という気持ちもあります」

―同年代の選手みんなが目指していると思うが、東京で行われる真剣勝負、オリンピックは意識する?
「ワールドカップと同じくらい大きなものだと思っていますし、誰もが目指す舞台だと思います。僕はサッカーをやっていて、チームメートからも、サッカーやっていない人からも『オリンピック目指せよ』『オリンピック出ろよ』という声が凄くある。それだけ周りの人も意識しているものですし、僕も出たいと思います」

―プロサッカー選手を目指す中高生へのメッセージもお願いします。安部選手は自分よりも上手いという選手が大勢いる中、負けずに、諦めないでここまでやってきた。
「僕の哲学では人と比べても、挫折だったり、慢心だったり、メンタル状況のブレが出てくるだけだと思っているので、僕は人との比較は常にして来なかったです。『僕よりも上手い人がいる、だから何?』って感じで。もちろん、負けず嫌いという気持ちは大事だと思います。でも、僕は常に練習の中でも一番を目指していて、毎日の練習で一番走って、一番目立って、一番良いプレーをする。そして、練習試合でも、公式戦でも一番目立ちたいと思ってきました。その目立ち方は一生懸命走ることもそう。毎試合MVPを取りたいという思いで練習をしていたので、それ(全てにおいて一番を目指してきたこと)でゲームをコントロールする感覚も磨かれたと思います」

―今、安部選手のように、というプレーヤーが増え始めている。
「それは本当に嬉しいです。とにかく、常にサッカーをしていた方が良いです。どんな時間もサッカーのことを思って、それが一番大事だと思います。そういう人がサッカー選手になれると思いますし、サッカー選手になって欲しいと思います。プロになれる近道はない。だから、毎日100パーセントですること。走ること、筋トレ、食事、睡眠も何でもサッカーのためにやった方が良い。僕は高校3年間が一番忙しかったと思います。勉強もして、サッカーもして、『人生の中で一番忙しい3年間にしよう』と入学する時に考えて入ったので。だから、どんなにシンドくても、そういうモチベーションで高校に入学したので、逆に楽な時に違和感があったくらいでした。何もすることがなかったりすると違和感があるという感じだった。そういうイメージで生活していたら、いい学生生活が送れると思いますね」

―サッカーでなくても充実した学生生活が送ることができそう。
「親からはずっと、『生まれてから高校を卒業するまでの18年、もしくは大学を卒業するまでの22年、それまでに何をやってきたかで人生決まるぞ』と言われていて、それは僕も頭の中で理解していて、そうだろうなと思っていました。僕はとりあえず18という区切りをつけてサッカー選手を目指してきたので、18までにできるだけ何でもしようと思ってきた。僕はまだ19で、人生まだまだどうにでもなる。でも、高校までの18年間というものは人生の中で一番重要だと思います」

 現在、ナイキジャパンフットボールTwitter公式アカウントにて「ファントム」プレーヤーの目撃情報を集めている。「こいつはファントムだ!」と思う近くのプレーヤーがいれば、ぜひ推薦してほしい。ゲキサカでは今後も様々なプレーヤーにインタビューし、「ファントムとは何か」に迫っていく。




◆「若きファントム」鹿島安部、影響を与えられるプレーヤーに「もちろんなりたい」 #ファントムを探せ(ゲキサカ)




◆大岩監督「悔しい」名波監督「切磋琢磨」盟友対決△(ニッカン)



大岩剛 Go.Oiwa


<明治安田生命J1:鹿島1-1磐田>◇第24節◇24日◇カシマ

静岡・清水商高時代の同級生でもある鹿島アントラーズの大岩剛監督と、ジュビロ磐田の名波浩監督。

過去2戦はいずれも引き分けている盟友2人の監督対決に、今回も“決着”は訪れなかった。シュート数は鹿島が11本に対して、磐田が13本。白熱した試合は鹿島が勝利目前に、劇的な形で磐田に追いつかれて、1-1で引き分けた。

大岩監督は「悔しいです。新しいメンバーが入った中で90分を通してしっかりやってくれたが、最後勝ちきりたかった」と唇をかんだ。

先制したのは鹿島だった。後半26分、左CKからDF西大伍が飛び込み、最後はDF犬飼智也の胸に当たってゴールに吸い込まれた。得点後、どちらも「オレのゴール」と主張し合った中で、犬飼は「ほぼ(西)大伍くんのゴールだった」と苦笑いした。

だが、28日にホームで行われる天津権健(中国)とのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦を見据え、主力を数人、温存した鹿島に、このまま試合を締めて逃げ切る従来の姿がなかった。いや、磐田の底力をほめるべきだろうか。

DF大井健太郎を前線に上げるなど磐田がパワープレーに入っていた後半ロスタイム、ロビングボールを鹿島DF犬飼が後ろにそらすと、後方にいたDF安西幸輝は思わず、手のひらを返してボールをつかむ形で触ってしまった。「とっさに出てしまった。(後ろに磐田の)選手が見えていて、選手をつかもうと思ったら手が出てしまった。映像を見返したら、手のひらを返していた。あれは言い訳できない」。PKを献上。これを磐田FW大久保嘉人が落ち着いて、ど真ん中に蹴り込んだ。

「妥当な1-1」と振り返った名波監督は、盟友との対決について「見計らったように3試合連続ドロー。しかも、攻守に面白いゲームが続いた3試合だったと思う」とした上で「鹿島相手に決して悪い結果ではない。今後とも切磋琢磨(せっさたくま)できるクラブだと思うし、いつも話していますが、あこがれのクラブでもあるので、アントラーズに離されないように努力していきたい」と現役時代からのライバルチームに敬意を表しながら、追い上げての引き分けに留飲を下げた。その上で、鹿島には「ACLには日本代表として必ず優勝してほしい」とエールを送っていた。




◆大岩監督「悔しい」名波監督「切磋琢磨」盟友対決△(ニッカン)


◆鹿島3連勝スルリ ファンからブーイングも(サンスポ)



鈴木優磨 Yuma.Suzuki


 明治安田J1第24節第1日(24日、鹿島1-1磐田、カシマ)試合後、ホームのファンからブーイングが起きた。鹿島は28日のACL準々決勝第1戦に備えて横浜Mとの前節から先発5人を入れ替え、1点リードで迎えた後半ロスタイム。DF安西がペナルティーエリア内でハンドの反則を犯し「相手をつかもうとして手が出てしまった」と反省しきり。このPKをFW大久保に決められ、今季初の3連勝はならなかった。




◆鹿島3連勝スルリ ファンからブーイングも(サンスポ)




◆鹿島 白星スルリ…後半AT失点で△“フレッシュな力”振るわず(スポニチ)



犬飼智也 Tomoya.Inukai


明治安田生命J1第24節   鹿島1―1磐田 ( 2018年8月24日    カシマ )

 Jリーグは24日、1試合を行い、鹿島がホームで磐田に1―1で引き分け、3連勝を逃した。後半26分に犬飼のJ1初ゴールで先制したが、終了間際に安西がペナルティーエリア内で痛恨のハンド。PKで追いつかれ、安西は「後ろにいた選手をつかもうとした時に手に当たった」と振り返った。 

 大岩監督は28日のACL準々決勝第1戦、天津権健戦を見据えて19日の横浜戦から先発5人を変更。三竿雄、田中をリーグ初先発させるなどフレッシュな力に期待したが、ACLに弾みをつけられなかった。


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◆鹿島 白星スルリ…後半AT失点で△“フレッシュな力”振るわず(スポニチ)


◆鹿島、がっくりドローで3連勝ならず 犬飼J初ゴールも…後半ロスタイムに失点(デイリー)



三竿雄斗 Yuto.Misao


 「明治安田生命J1、鹿島1-1磐田」(24日、カシマサッカースタジアム)

 鹿島が磐田と1-1で引き分けた。連勝が2で止まり、勝ち点は36。磐田は同32。後半、鹿島がCKから均衡を破ったが、磐田はロスタイムにFW大久保嘉人(36)のPKで追い付いた。

 先制点は後半26分に生まれた。MF永木の蹴った右CKはゴール前の密集に向かう。DF西ら複数の選手に触れながら、最後はDF犬飼の胸に当たってゴールに転がった。会場は大喜びした西のゴールと発表。後半途中、犬飼のJ1初ゴールに訂正された。

 28日にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦の天津権健戦を控える。過密日程を考慮して、この日は前節19日の横浜M戦(カシマ)から5人の先発メンバーを入れ替えて臨んだ。

 大岩監督はプロ初先発のFW田中、今季初先発のDF三竿雄らを抜てき。「総力戦で戦うと言ってきた」と話していた。今季初の3連勝を目前としながら、後半ロスタイムにDF安西がペナルティーエリア内で痛恨のハンド。FW大久保に決められて、勝ち星を落とした。


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◆鹿島、がっくりドローで3連勝ならず 犬飼J初ゴールも…後半ロスタイムに失点(デイリー)


◆ACL控える鹿島は土壇場のPK被弾で磐田とドロー、大久保が2戦連発(ゲキサカ)






[8.24 J1第24節 鹿島1-1磐田 カシマ]

 J1第24節は24日、1試合を行い、28日のACL準々決勝第1戦で天津権健(中国)と対戦する鹿島アントラーズはホームでジュビロ磐田と対戦し、1-1で引き分けた。

 鹿島は19日の横浜FM戦(1-0)から先発5人を入れ替えた。中盤の左サイドではプロ3年目のMF田中稔也がJ1初先発。左サイドバックには今季初出場初先発のDF三竿雄斗が入った。

 鹿島は前半13分、田中の縦パスを受けたFWセルジーニョがフィニッシュまで持ち込むが、右足のシュートはDFがブロック。磐田も同19分、縦パスをFW川又堅碁がフリックし、FW大久保嘉人がPA内右に抜け出すもフリーの状況から放ったシュートはゴール左へ。同28分には縦パスをおさめた川又が強引に振り向いて左足でミドルシュートを打ったが、大きくクロスバーを越えた。

 スコアレスで折り返した後半も一進一退の攻防が続く。磐田は後半6分、左45度からMF松浦拓弥が右足で放り込んだFKにMF田口泰士が飛び込み、ヘディングで合わせたが、ゴール上へ。膠着した展開の中、鹿島は後半11分、田中に代えてDF安西幸輝を投入。同14分にはMF永木亮太のスルーパスに反応した安西がPA内左に切れ込み、左足でシュートを打ったが、GKカミンスキーの好守に阻まれた。

 それでも後半26分、鹿島がセットプレーを生かして先制に成功する。永木の左CKからDF西大伍がニアサイドでそらすと、中央に抜けてきたボールにDF犬飼智也とDF大井健太郎が競り合い、犬飼の胸付近に当たってゴールマウスに吸い込まれた。

 反撃を狙う磐田に対し、カウンターから追加点のチャンスをうかがう鹿島。後半35分には高い位置からプレスをかけたMFレオ・シルバがボールを奪い、そのままドリブルで持ち上がる。DFを引き付けてPA内左のFW鈴木優磨にラストパスを送ると、鈴木はGKと1対1の絶好機を迎えたが、左足のシュートは惜しくも枠を外れた。

 すると後半アディショナルタイム、鹿島は自陣PA内で安西がハンドの反則を犯し、PKを献上。土壇場で同点のチャンスを迎えた磐田はキッカーを務めた大久保がゴール中央に決め、1-1の同点に追いついた。大久保は移籍後初ゴールを決めた前節・柏戦(2-0)に続く2試合連続弾。鹿島は勝利目前で“勝ち点2”を失う形となり、今季初の3連勝を逃した。


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◆ACL控える鹿島は土壇場のPK被弾で磐田とドロー、大久保が2戦連発(ゲキサカ)


◆煮え切らない勝ち点1=J1鹿島、ACL見据え逃げ切れず(時事ドットコム)



犬飼智也 Tomoya.Inukai


 最後に追い付かれた鹿島。手にしたのは煮え切らない勝ち点1だった。「最後は勝ち切りたかったから、残念な結果」。大岩監督がほぞをかんだ。
 日本勢で唯一アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に勝ち残っている。28日の準々決勝を前に、夏の連戦を考慮して前節から先発メンバーを5人入れ替えた。連係面に乱れはなく、前半は順調。後半に犬飼が決めたJ1初ゴールはセットプレーから。理想の展開だった。
 ところが今季は、盤石に試合を終えられないことがままある。試合終了間際のロスタイムに安西がハンドでPKを与えて同点。負傷したDF昌子を欠く守備陣を取り仕切った犬飼は「ゼロで終わらせる試合を増やさないといけない」と自省した。
 今季はまだ3連勝がない。ACLに向けて指揮官は「きょう出た課題を、次に出る選手に伝えていく。しっかり準備したい」。ホームでの第1戦で勝ち点3を得ることが最大の目標となる。(2018/08/24-22:43)




◆煮え切らない勝ち点1=J1鹿島、ACL見据え逃げ切れず(時事ドットコム)


◆2018明治安田生命J1リーグ 第24節(オフィシャル)



鈴木優磨 Yuma.Suzuki




明治安田J1 第24節

後半アディショナルタイムの同点被弾。鹿島、ホームで磐田と引き分け。

宿敵を迎え撃ったホームゲームは、失意の引き分けに終わった。J1第24節、ジュビロ磐田戦。カシマスタジアムで今季初の3連勝を目指した鹿島は、スコアレスで迎えた71分に永木の左CKから犬飼が押し込んで先制に成功する。1-0のまま、迎えた後半アディショナルタイム。痛恨のハンドでPKを与え、土壇場で同点に追い付かれた。ホームで勝ち切れず、引き分けに終わった。

5日前、鹿島は聖地で完封勝利を遂げた。決して会心の内容とは言えなかったが、横浜FMを1-0で撃破。49分、ゲームキャプテンが相手のクリアミスを逃さずに得意の左足を振り抜く。「練習の延長上」と事も無げに突き刺した強烈ボレーでリードを奪うと、チーム一丸でトリコロールの反撃を無力化。相手GKが攻撃参加したセットプレーも跳ね返し、ついに歓喜の瞬間へとたどり着いた。

15日の長崎戦で4名もの先発変更を施して勝利を掴み、セルジーニョが初めてピッチに立った横浜FM戦でも3ポイントを手中に収めた。最後尾から指示を飛ばし続けた曽ケ端は「勝ち点3を取れたことが何より。これからもみんなで積み重ねていきたい」と、総力戦で歩み続ける決意を語っている。殊勲の遠藤もまた「自分たちは勝ち続けないといけない立場」と、さらなる奮起を誓っていた。

選手たちはつかの間のリフレッシュを経て、21日にトレーニングを再開した。リカバリー中心のメニューでコンディションを高め、臨戦態勢を整えていく。22日からは連日の紅白戦を敢行。攻守両面で連係を入念に確認した。セルジーニョも時間を追うごとにチームへ溶け込み、鋭いパスで存在感を示す。背番号18の輝きが大いなる刺激をもたらし、グラウンドは熱を帯びていった。「連戦の中、フレッシュな選手たちを起用したい」。前日練習を終えた指揮官は、大幅なメンバー変更を示唆した。

中4日で再び迎えるホームゲーム。前日の言葉通り、大岩監督は大胆な策に打って出た。施された先発変更は、実に5選手。GKにクォン スンテ、右サイドバックの西、さらに2列目では土居が復帰した。そして左サイドには、今季のJ1初先発となった三竿雄斗、さらに自身初のJ1先発メンバー入りとなる田中を抜擢。「初出場は誰もが通る道。自信を持って送り出したい」と、指揮官は3年目の若武者へ期待と信頼を託している。その他、センターバックはチョン スンヒョンと犬飼のコンビ、ボランチはレオ シルバと永木、そして前線にはセルジーニョと鈴木が並んだ。ベンチにはGKの曽ケ端、山本、伊東、町田、安西、三竿健斗、金森が座る。

金曜日の鹿嶋は蒸し暑く、強風が吹き荒れる一日となった。それでも、勝利への決意が揺らぐことはない。カシマスタジアムには続々と背番号12が足を運んでいった。幾度となく死闘を繰り広げてきた宿敵との対峙が、アントラーズレッドの闘志を掻き立てる。ウォーミングアップへと姿を現した選手たち、そこへ注がれたのは大音量のチームコールだった。初先発のピッチへ向かう雄斗、田中を呼ぶ声が鳴り響き、ボルテージが高まっていく。そして19時3分、伝統の一戦が幕を開けた。



立ち上がりは磐田がボールポゼッション率を高めたが、鹿島はしっかりと集中力を保って時計の針を進めていった。3分に打たれたミドルシュートは、スンヒョンがペナルティーエリア内でブロック。気迫に満ちたヘディングでのブロックで、堅守を築く決意を示してみせた。開始10分、鹿島はチャンスを作ることができなかったものの、少しずつ落ち着きを取り戻しながら盛り返していった。





最初の決定機は13分。相手のミドルシュートをブロックし、セカンドボールを拾った田中が前を向く。「自分の特長」というドリブル突破で中盤のスペースを切り裂くと、右前方のスペースへラストパス。セルジーニョはトラップからペナルティーエリア右側に入り、右足でシュートを放ったが、惜しくも相手DFにブロックされてしまった。だが、背番号36が果敢なチャレンジからチャンスを演出してみせたプレーは、大いなる可能性を感じさせるものだった。





攻勢をかける鹿島は16分、永木がペナルティーエリア右手前からのワンツーで敵陣深くまで進出。セルジーニョを狙ったラストパスを出したが、相手DFにカットされてしまった。逆に3分後、中盤からのスルーパスをレオがカットすると、コースが変わったボールがペナルティーエリア左側へと通ってしまう。フリーでシュートを許したが、枠を逸れていった。結果的に前半最大のピンチとなったプレー。事なきを得て、0-0のまま20分を経過した。



拮抗した展開が続く中、鹿島は先発に抜擢された雄斗が積極的な攻撃参加を見せる。25分にはセルジーニョからの浮き球に反応し、背番号15がフリーで抜け出した。だが、判定はオフサイド。それでも雄斗は最終ラインから正確なロングパスを鈴木に通すなど、持ち味の左足を活かしたプレーで己の価値をしっかりと示していた。



30分経過後から、激しいボディコンタクトの応酬となって意地と意地がぶつかり合うプレーが増えていく。39分には鈴木が激しいタックルを受けて痛みながらもパスをつなぎ、攻撃の起点に。一時はパスをカットされたものの、プレーが切れることなく守備に転じてボールを奪い返すと、右サイドのクロスに背番号9が飛び込む。競り合いから狙ったヘディングは結実しなかったが、勝利への渇望を体現してみせた。0-0。前半はスコアレスで終了した。



アントラーズレッドへと攻める後半、推進力となったのは背番号36だった。50分、雄斗が繰り出した高速クロスを田中がトラップ。正確無比のボールコントロールでペナルティーエリアに入った若武者は、セカンドタッチから右足アウトサイドでゴールを狙った。惜しくも相手GKに阻まれたものの、J1初先発の20歳がその才能を解き放ってみせた。田中は55分にも、エリア左手前から鋭いドリブルで守備網を突破。3人の間を割って入り、体をぶつけられて倒されたものの、笛は鳴らなかった。









大岩監督は56分、その田中に代えて安西を投入。左サイドの活性化を図り、ゴールを目指した。出場からわずか3分後、安西は永木のスルーパスで最終ラインの背後へ。ペナルティーエリア左奥へ抜け出して中央へ折り返したが、相手GKに阻まれてしまった。敵陣でのプレータイムを増やし、磐田を押し込みながら65分を経過した。





そして71分、待望のスコアはセットプレーから生まれた。永木が蹴った左CK、鋭いボールがニアサイドへ。西が競り合い、背後へ逸らしたところに犬飼が飛び込むと、混戦からゴールネットが揺れた。1-0。7月11日の公式戦再開からフル稼働を続けるセンターバックの加入後初得点で、鹿島がついに先制した。





リードを奪い、大岩監督は73分に金森を投入。前線に活力を注入し、ラスト15分へと向かう。広大なスペースを互いに狙い合う展開へと推移する中、鹿島は鋭いカウンターで何度もゴールへ迫った。80分にはレオのボール奪取から鈴木が決定機を迎えたが、左足シュートは枠の右へ。88分にも永木のインターセプトからセルジーニョへラストパスが通ったが、追加点は生まれなかった。











1-0のまま、アディショナルタイムは5分と表示された。磐田のパワープレーに総力戦で立ち向かい、時計の針を進めていた。しかし、失意の結末が待っていた。ハイボールを犬飼が競り合い、背後へ流れたボールが安西の手に当たる。ハンド、PK。大久保のゴールがネットを揺らし、聖地は暗転した。



1-1。心の底から悔しい引き分けに終わった。だが、下を向く時間はない。次戦は4日後、ACL準々決勝第1戦だ。天津権健をカシマスタジアムに迎え撃ち、極めて重要な前半90分を戦う。ラウンド16という壁を打ち砕いてから、早3ヶ月。アジア制覇への道のりが、再び始まる。


【この試合のトピックス】
・犬飼がJ1初得点を挙げた。鹿島加入後初の得点でもあった。
・トップチーム昇格3年目の田中がJ1初先発を果たした。
・三竿雄斗が今季のJ1で初先発初出場を果たした。公式戦での先発は4月17日のACLグループステージ第6節水原三星戦以来、J1での先発は昨年5月11日の第11節神戸戦以来だった。
・クォン スンテが8月1日のJ1第19節FC東京戦以来、5試合ぶりの先発復帰を果たした。
・スンテとチョン スンヒョンが先発出場。韓国籍選手2名が同時にピッチに立ったのは、クラブ史上初。
・西が8月11日のJ1第21節名古屋戦以来、3試合ぶりの先発復帰を果たした。

【動画】DAZNハイライト




監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・ビルドアップの時、サイドを広く使って攻撃を組み立てていこう。
・集中した守備ができているので後半も続けること。
・一人一人が自分の役割を忠実にこなし、後半必ず点を奪おう!


ジュビロ磐田:名波 浩
・ミドルレンジでのプレーはシンプルにすること。
・ミドルシュート&ノールックの横パスに気を付けること。
・BOX脇、個の突破をケアすること。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
今日出場した選手は、非常によくプレーしてくれた。粘り強く、我慢強くプレーしてくれて、勝ち切りたかったが、少し残念な結果になってしまった。選手たちにも、次のACLに向けて気持ちを切り替えようと話した。しっかり切り替えて、次のゲームに臨みたい。

Q. ゴールを奪うための狙いは? 後半、レオ選手のところでボール奪取ができていたが。

A. システム上、ウイークポイントがあり、そこを突いていこうと話していた。前半はなかなか自分たちでボールを持ちながら、相手のウイークポイントを突くことができなかったが、狙いどころを伝えたところ、後半はいい守備からいい攻撃ができていたと思う。レオは疲労があるなかで、前半は体が重そうに感じていた。後半になりエンジンがかかり、彼のところでボールを奪える回数が増えた。ゲームをコントロールすることができたと評価している。

Q. 最後の最後に追いつかれてしまった要因、ACLに向けての収穫と課題は?

A. 最後、相手のパワープレーもプランのなかに入っていた。しっかりと跳ね返す力はあったと思う。映像を見ていないのでわからないが、意外な形で失点してしまった。試合を締めるところはしっかりやらなくてはいけない。反省しなくてはいけないところ。今後の試合においても、しっかり勝ち切るということが課題として残った。当然、次のACLの戦いも、しっかりとホームで最後の最後まで戦いたいと思う。

Q. 先発5人を入れ替えて、ACLに備えたところもあったと思うが、勝ち点1だった。この結果をどうACLにつなげっていくか?

A. すぐに次のゲームがあるので、トレーニングなどで士気を上げたり、改善することはできない。今日試合に出た選手の振り返りのなかで、次に試合に出る選手に伝えていく。チームとしての戦い方を、しっかり全員が共通認識として持つことがカギになる。しっかりリカバリーして、次の試合に臨みたいと思う。



ジュビロ磐田:名波 浩
1-1という結果は妥当だと思う。前半は我々が主導権を握った。ギャップの顔出しから同サイドの崩しが非常にスムーズで、何度かいいシーンが見られた。中盤で相手がミスしたところにうまくのって、攻撃につなげたり、セカンドボールの反応もよかったと思う。後半、アントラーズが出てくることはわかっていた。締めの部分では非常によかったが、中盤のレオ シルバのところで何回かくわれて、危ないシーンを生んでしまった。失点はスローインからのロストだったが、自陣でのロストが危ないシーンにつながってしまった。1-0となったあと、カミンスキーを中心によく踏ん張ってくれた。帰陣のスピードをテーマとしているなかで、アントラーズは伝統的に25年以上やっていることだが、我々としてもアントラーズにそういうプレーを見せられたと思う。1-0で踏ん張れたことで生まれたPKだったと思う。前節勝ったなかで、今節アウェイで勝ち点1を拾った。これを残り10節につなげていきたい。


選手コメント

[試合後]

【犬飼 智也】
(得点は)ほぼ大伍さんのゴール。得点云々よりも、勝ち切らなければいけない試合だった。自分がもっと相手のボールを弾き返せればよかった。

【田中 稔也】
試合の入り方は良かった。課題は最後の精度を上げることと、守備での迫力だと思う。サポーターの皆さんからのコールがすごくて、力になった。これがスタートだと思う。練習からもっとアグレッシブにやって、チームを勝たせる選手になりたい。

【レオ シルバ】
どの試合でも勝ち点3を目指して戦っている中で、残り数分で勝ち点2を失う結果になってしまった。立ち上がりはマークを合わせるのに時間がかかったけど、ハーフタイムに話し合ってうまく修正できた。勝ちを逃して悔しい。ACLに向けて切り替えていきたい。

【土居 聖真】
個人的にパフォーマンスが良くなかった。申し訳ない。悪いなりに守備をしっかりしようと思っていた。起点を作られると厳しくなるけど、抑えるべきところは抑えられていたと思う。追加点が欲しかった。悔しいです。

【安西 幸輝】
もっとしっかりと予測できていれば、手に当たることはなかったと思う。後ろに選手がいることはわかっていて、その選手のマークに付こうとして手を出したところに当たってしまった。試合への入り方はよかったけど、最後のプレーしか今は残っていない。

【三竿 雄斗】
もっとボールに触りたかったけど、まだまだここからコンディションを上げていけると思う。継続していきたい。トシとは練習から話し合っていたし、しっかりやれていたと思う。ケガでずっと休んでいたし、まだまだここからだと思う。




◆2018明治安田生命J1リーグ 第24節(オフィシャル)



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