日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年11月24日土曜日

◆【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】選手ファーストで理想の日程を(報知)






 21日の天皇杯・準々決勝で鹿島が勝ち、準決勝に駒を進めました。アジアチャンピオンとして12月にクラブW杯を戦うことになっているので、12月下旬に予定されていた天皇杯は急きょ前倒しされることが決まり、準決勝は12月5日、決勝は9日に行われます。

 この変更により、たくさんの人に多大な影響を及ぼしてしまっていますが、今年はW杯があり、来年1月にはアジア杯が控えているイレギュラーな年です。加えて近年の異常な暑さから夏の連戦を減らす必要性が出てきているため、日程のやり繰りは難しかったと想像できます。

 そのために二重三重に構えていたはずで、少し引いた目線で見ると、今のカレンダーでは致し方ない日程の組み方だったと思います。はからずも選手たちは国内の全日程を12月9日に終えることになりました。クラブW杯に臨む鹿島にしろ、最長でも22日にはシーズンを終え、来季に備えることができます。毎年繰り返されるいびつな日程は、ひとまず回避することになりました。

 例年のケースでは、チームによって休みに入るタイミングが1か月違うことは珍しくなく、J2のクラブとは2か月近く違う時もありました。これでは翌シーズンに影響が出ない方がおかしいですし、移籍する選手たちは大変です。十分にオフをもらえなかったり、逆にオフが長すぎたりしました。

 私は常々、プロの世界では全てを選手ファーストでつくるべきだという考えを持っています。選手が言い訳できない環境を用意することでレベルが上がり、レベルが上がることで環境がさらに良くなるからです。選手ファーストであれば当然、今年のような日程が望まれるわけで、時間の問題とみられながらいつまでも変わっていかない例年のやり方が、来年以降どうなっていくのか注目しています。(元日本代表DF)


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◆【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】選手ファーストで理想の日程を(報知)


◆内田篤人はなぜ「クラブW杯より天皇杯がほしい」のか? 鹿島をファンを愛するその素顔(フットボールチャンネル)



内田篤人 Atsuto.Uchida


鹿島アントラーズは、クラブ初となるACL優勝を成し遂げた。今季から復帰した内田篤人は、アジア王者として出場するクラブワールドカップ以上に天皇杯優勝を望んでいる本音を明かした。その言葉にある真意とは?(取材・文:藤江直人)


チームへの信頼が遠ざけたテレビ観戦





 ちょっとというか、かなり意外な言葉が返ってきた。鹿島アントラーズが長く悲願にすえてきた、アジアの頂点を初めて極めた今月11日未明。敵地テヘランのアザディスタジアムで、強敵ペルセポリス(イラン)と戦う盟友たちをどのような形で応援していたのかと、DF内田篤人に聞いた直後だった。

「いや、オレ、見ていないんですよ。試合を」

 ホームのカシマサッカースタジアムで3日に行われた、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝のファーストレグで、アントラーズは2-0の快勝を収めた。迎えたセカンドレグのキックオフは、日本時間で日付が変わる11日午前零時。放映権を持つ日本テレビのBSやCSで生中継されていた。

 環境が整っていながら、なぜテレビ越しにエールを送らなかったのか。おりしも当時の内田は、左ハムストリングス筋損傷で戦線離脱を強いられていた。だからといって、翌日のリハビリメニューを優先させて体を休めていたわけではない。アントラーズというチームへ寄せる、全幅の信頼がテレビ観戦を遠ざけた。

「まあ、(ファーストレグを)2-0で勝っていたら負けないでしょう。プレーする方はそういう気持ちじゃないと思うけど、見ている方はそんな感じだからね」

 終盤戦になって強さを身にまとったチームは、必ずアジア王者になって凱旋してくる。ならばこちらもプロフェッショナルとして、いまやるべきことに全力で取り組む。内田の信頼に応えるように、アントラーズはセカンドレグをしっかりとスコアレスドローで締めて、敵地で歓喜の雄叫びをあげた。


異例ともいえる過密日程を乗り越えた鹿島


 そして、獲得したタイトルを「20」の大台に到達させてから初めて臨む公式戦で、頼れるベテランは戦列に帰ってきた。21日に山梨中銀スタジアムで行われた、J2のヴァンフォーレ甲府との天皇杯全日本サッカー選手権準々決勝。18人のエントリーメンバーのなかに、背番号2も名前を連ねていた。

 ベンチ入りを果たすのは左太ももを痛めて後半途中に退場し、その後の精密検査で全治6週間と診断された、10月10日の横浜F・マリノスとのYBCルヴァンカップ準決勝ファーストレグ以来となる。その間に行われた公式戦7試合を、アントラーズは文字通り総力戦で乗り越えてきた。

 ルヴァンカップこそ準決勝で敗退したものの、水原三星ブルーウィングス(韓国)とのACL準決勝セカンドレグを3-3で引き分け、2戦合計6-5で決勝進出を決めた。離脱直前の内田がファーストレグの後半アディショナルタイムに決めた、アントラーズ復帰後で初めてとなるゴールが結果的に雌雄を決した。

 クラブ史上初の決勝進出は、終盤戦のJ1のスケジュールをも変更させた。ACL決勝と完全に重複したセレッソ大阪との明治安田生命J1リーグ第31節が3日、柏レイソルとの同第32節が4日、当初のスケジュールからそれぞれ前倒しされる形で開催された。

 結果として10月31日のセレッソ戦からACL決勝ファーストレグ、レイソル戦をすべて異例とも言える中2日で戦い、長時間の移動を要するACL決勝セカンドレグへもレイソル戦から中3日で臨まざるを得なくなった。アントラーズはメンバーをターンオーバーさせて、すべての試合で勝ちにいった。


高卒2年目・小田にかけた内田の言葉





 リーグ戦では経験の浅い若手が数多く先発した。そのなかの一人、高卒2年目の小田逸稀(東福岡卒)はセレッソ戦がわずか6試合目の出場だった。緊張感とプレッシャーを胸中に交錯させていたキックオフの直前。右サイドバックに入る20歳の小田へ、内田がさりげなく声をかけた。「緊張している?」と。

 うなずきながら「ちょっとしています」と返した可愛い後輩へ、内田は「緊張がパフォーマンスの質をあげることもあるんだよ」とアドバイスを送っている。短い言葉だったが、不思議と力がみなぎってくるのを感じた小田は52分に、プロ初ゴールとなる値千金の決勝ゴールを得意のヘディングで決めている。

「試合前の練習だとそんなに出来なくても、いざ試合に入ると出来る人っているじゃないですか。僕もどちらかと言うとそっちのタイプなので、じゃあ緊張を受け入れようかな、と思いました。盗むところはいっぱいあるし、貴重なアドバイスもくれる。本当に尊敬できる先輩だと思っています」

 内田の存在感の大きさをこんな言葉で表現しながら感謝した小田は、レイソル戦でも右サイドバックとして先発。2-2の同点で迎えた後半開始直後には、日本代表MF伊東純也が放ったあわや勝ち越しのゴールをジャンプ一番、これも得意のヘディングでゴールライン上にて弾き返している。

 控え組を中心としたメンバーで連勝したアントラーズは、順位を来シーズンのACL出場権獲得圏内となる3位にまで浮上させた。リーグ戦の結果が、ACLに臨む主力組にも好影響を与える。終盤戦を迎えてたくましさを脈打たせるチームへ、内田はリハビリを続けながら頼もしげな視線を送っていた。

「選手が入れ替わってJリーグを戦っていたなかで、何人か若い選手も頑張っていた。これからは試合数が減ってくるのでそういう(若い選手の出場機会)のは少なくなってくるかもしれないし、オレもレアンドロも戻ってきたので、ベンチに入る、入らないというケースも出てくると思う。

 それでも、チームとして最後まで戦わないといけない。天皇杯は準決勝と決勝しかないし、リーグ戦は来シーズンのACL出場権がかかってくる。無駄な試合はひとつもないので、みんなで頑張らないと」


「まだまだ働かなきゃ、と思っています」


 アントラーズから2010年夏にブンデスリーガ1部のシャルケ04へ移籍。右ひざのけがに長く苦しみ、昨夏には出場機会を求めて同2部のウニオン・ベルリンへ移籍した内田を、実に7年半ぶりに復帰させた理由を、強化の最高責任者に就いて23年目になる鈴木満常務取締役強化部長はこう明かしたことがある。

「(小笠原)満男が試合に出られる機会がだんだん減ってきているなかで、アントラーズの伝統という役割を演じられることも含めて、満男の次の世代でそういう存在がまだ必要だというのも、(内田)篤人を呼び戻した理由のひとつでもある」

 アントラーズの伝統のひとつに、選手たちはライバルであり、同時に深い絆で結ばれた家族だという精神がある。黎明期に常勝軍団の礎を築いた神様ジーコの考え方は、21世紀になって久しいいまもチーム内に色濃く受け継がれる。セレッソ戦前に交わされた、内田と小田の会話はアントラーズの伝統そのものだった。

 内田がベンチで、あるいはウォーミングアップエリアで戦況を見つめた一戦は、ヴァンフォーレが繰り出すカウンターに何度も冷や汗をかかされながらも1-0で逃げ切った。負傷者が出た相手が10人になった時間帯にカウンターを発動させ、FW土居聖真が豪快なミドル弾を突き刺した。

 チャンスの匂いを全員が共有する、試合巧者らしい戦い方で手繰り寄せたベスト4進出は、さらなる過密日程をも誕生させた。来月16日に予定されていた浦和レッズとの準決勝(カシマサッカースタジアム)がJ1最終節から中3日の同5日に、24日の決勝(埼玉スタジアム)が同9日にそれぞれ繰り上げられた。

 アントラーズがアジア王者として臨むFIFAクラブワールドカップが、来月12日からUAE(アラブ首長国連邦)で開幕する。準決勝に勝ち残った時点で、当該チームは同22日まで試合が組まれる。天皇杯決勝と重複する事態を避けるための措置が、ヴァンフォーレ戦の勝利で正式に決まった。

「自分はACL(の決勝)とか、大事な試合でピッチに立っていなければいけない立場だと思っているけど。チームも勝ってくれて、こうやってまだ先に伸びているなかで戻って来られたのは嬉しいし、まだまだ働かなきゃ、と思っています」


短い言葉に込められた内田の思い


 帰りのバスに乗り込む直前のひとコマ。内田は独特の口調で残るシーズンへの抱負を語りながら、こんな言葉も紡いでいる。

「どちらかと言うと、クラブワールドカップよりも天皇杯優勝の方がほしいかな」

 アントラーズは15日の準々決勝から登場し、北中米カリブ海代表のグアダラハラ(メキシコ)を下せば、準決勝でヨーロッパ王者レアル・マドリー(スペイン)と激突する。日本で開催された2016年大会決勝の再現であり、延長戦の末に2-4で敗れた悔しさのリベンジを果たす舞台だと誰もが夢を描く。

 もっとも、シャルケの一員として2年前のアントラーズの快進撃を応援していた内田は、ヨーロッパの舞台で長く戦ってきた経験から「みんなそう(レアル・マドリーとの再戦だと)言いますけどね」と、思わず苦笑いを浮かべた。

「ヨーロッパのクラブにすれば大変だし、シーズン中に(UAEで)試合をするのは可哀想だと思うよ。もちろん名誉なことだけど、モチベーションという意味では正直、各チームと(レアル・マドリーとでは)差があると思う。そのなかでもアジアを制し、日本を代表して臨む以上は勝ちたい。相手のモチベーションがどうこうというより、自分たちとしてはやっぱり勝ちたいよね」

 ならば、内田がクラブワールドカップよりも天皇杯制覇を上に位置づけた理由はどこにあるのか。来シーズンのACLにはJ1を連覇した川崎フロンターレと天皇杯覇者が本戦から、J1の2位および3位のチームはプレーオフからそれぞれ参戦する。

 アントラーズが描き直した青写真は2位もしくは3位に食い込んでJ1を終えたうえで、天皇杯を制して通算21個目のタイトルを手にすること。ただ、必然的に新チームの始動も早めなければいけないプレーオフを回避できることだけが、内田が天皇杯優勝を強く望む理由ではない。

「あと2つだし、日本でやるからね」

 短い言葉に込められた内田の思いを確認した。「ファンやサポーターの目の前で、喜びを分かち合えるからですか」と。内田は笑顔で「そうそう」とうなずきながらバスに乗り込んだ。常勝軍団アントラーズを、そしてファンやサポーターを、心の底から愛し続ける内田の素顔が垣間見えた瞬間だった。

(取材・文:藤江直人)

【了】




◆内田篤人はなぜ「クラブW杯より天皇杯がほしい」のか? 鹿島をファンを愛するその素顔(フットボールチャンネル)


◆昌子が今季初ゴール! アジア王者鹿島、連覇狙うACL出場権へ大きく前進(ゲキサカ)






[11.24 J1第33節 仙台0-3鹿島 ユアスタ]

 J1リーグは24日、第33節を各地で行い、ACL圏内を争う3位の鹿島アントラーズは敵地でベガルタ仙台と対戦した。DF昌子源の今季初ゴールが決勝点となり、3-0で勝利。他会場で2位の広島が敗れたため、勝ち点1差で最終節を迎える形となった。

 ホームの仙台は国際Aマッチデーの前に行われた前節の広島戦(◯1-0)から先発2人を変更。FW阿部拓馬、FW野津田岳人が2試合ぶりに名を連ねた。鹿島は3日前の天皇杯準々決勝・甲府戦(◯1-0)から4人を入れ替え、負傷明けのFW鈴木優磨、DF山本脩斗、MFレオ・シルバ、FWセルジーニョが入った。

 立ち上がりは一進一退の攻防を迎えたが、鹿島が先手を取った。前半31分、右サイド深くでFKを獲得すると、MF遠藤康が小さく後ろにパス。DF西大伍が中央にクロスを送り込むと、DF犬飼智也のフリックからPA内にボールがこぼれる。これを拾ったのはDF昌子源。相手DFとの駆け引きから右足シュートを放つと、コントロールされたボールがゴール右隅に刺さった。

 足首の負傷で長期離脱を強いられていたキャプテンのゴールで先制した鹿島に対し、仙台は思わぬアクシデントに見舞われる。前半36分、MF安部裕葵と競り合ったMF蜂須賀孝治がピッチに倒れ込み、プレーを続けることができず。MF中野嘉大との交代を強いられた。そのままスコアは動かず、前半は鹿島の1点リードで終えた。

 仙台の渡邉晋監督は積極的に動き、後半12分に阿部に代わってFWジャーメイン良、同22分にはDF椎橋慧也に代えてMF関口訓充を入れ、交代カードを使い切る。しかし、鹿島は直後の25分、左サイドを鈴木が突破すると、左足クロスをファーサイドへ。投入されたばかりのDF安西幸輝がヘッドで押し込み、リードは2点に広がった。

 さらに鹿島は後半30分、安部の浮き玉パスは相手にクリアされたが、セカンドボールに詰めたセルジーニョがボレーで決めて3点目。同32分には安部を下げ、FWレアンドロを投入。レアンドロは4月11日の第7節FC東京戦以来、7か月ぶりのリーグ戦出場となった。そのまま最後までスコアは動かず、鹿島が連覇を狙う来季のACL出場に向けて大きな勝ち点3を収めた。


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◆昌子が今季初ゴール! アジア王者鹿島、連覇狙うACL出場権へ大きく前進(ゲキサカ)





◆ACL王者が圧巻の3発快勝。鹿島が仙台を下し3位を堅持/J1第33節(GOAL)



昌子源 Gen.Shoji


明治安田生命J1リーグ第33節・ベガルタ仙台対鹿島アントラーズが行われた。

明治安田生命J1リーグ第33節・ベガルタ仙台対鹿島アントラーズが24日、ユアテックスタジアム仙台で開催された。

10位・仙台のホームに乗り込んだACL圏内の3位・鹿島。選手全員を入れ替えて3-2で勝利した前節・柏レイソル戦から先発を8名変更して臨む。

鹿島は序盤こそ仙台にボールをキープされる展開となったが、34分に右サイドの敵陣深くで得たFKがチャンスとなる。キッカーの遠藤康からバックパスを受けた西大伍がダイレクトでクロスを上げる。混戦の中でボールを拾った昌子源がタメを作り、冷静にゴール右に蹴り込み先制点を獲得。

一方、反撃に出たい仙台だったが、アクシデントが発生。36分に安部裕葵と接触した蜂須賀孝治がピッチに倒れ、負傷交代。中野嘉大が交代でピッチに入る。

後半に入っても再び鹿島。70分、レオ・シルバが左サイドから切り込み、鈴木優磨にスルーパス。左サイドに流れた鈴木のクロスから安西幸輝が合わせて追加点を奪う。

2-0になってからも鹿島の猛攻が続く。75分、中央でボールを受けた安部がゴール前に浮き玉のパス。ボールはDFにクリアされるが、セルジーニョがこぼれ球に素早く反応。冷静に流しこみダメ押しの3点目を決める。

終盤に仙台に攻め込まれるシーンがあるも鹿島が粘り強い守備でシャットアウト。アジア王者が強さを見せ3-0で勝利を収めた。

ACL出場を争うコンサドーレ札幌も勝利したため、鹿島の3位以上の確定は最終節まで持ち越された。鹿島は12月1日、サガン鳥栖とホームで最終節を戦う。

■試合結果
ベガルタ仙台 0-3 鹿島アントラーズ

■得点者
鹿島:昌子源(34分)
鹿島:安西幸輝(70分)
鹿島:セルジーニョ(75分)




◆ACL王者が圧巻の3発快勝。鹿島が仙台を下し3位を堅持/J1第33節(GOAL)


◆2018明治安田生命J1リーグ 第33節(オフィシャル)





2018年11月24日(土) 14:01キックオフ ユアテックスタジアム仙台

【入場者数】19,152人 【天候】曇のち晴、弱風、 気温11.8度、 湿度43.0% 【ピッチ】全面良芝、水含み

【主審】中村 太 【副審】林 可人 【副審】金井 清一 【第4の審判員】清水 勇人

マッチレビュー

明治安田J1 第33節

鹿島、敵地で仙台を圧倒!昌子、安西、セルジーニョが決めて完勝!

リーグ戦は残り2試合。極めて重要なアウェイゲームで、鹿島が力強く勝ち点3を掴み取った。チケット完売のユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と激突すると、前半にセットプレーから昌子が先制点。後半には安西とセルジーニョがゴールネットを揺らし、最後まで反撃を許さなかった。3-0と完勝し、今季2度目となるリーグ戦3連勝を果たした。

国際Aマッチウィークによる中断を終え、シーズンはついに終盤へと突入した。3日前の公式戦再開初戦、鹿島は苦しみながらも甲府に勝利。敵地での天皇杯準々決勝、その内容は決して納得できるものではなかった。昌子が「自分たちで苦しくした」と振り返ったように、守備を固める相手に効果的な攻撃を仕掛けることができず、カウンターからゴールを脅かされる場面が続く。それでも無失点を保って時計の針を進めると、76分に待望の先制点。機を見た攻撃参加で敵陣を切り裂いた永木からのパスを受け、土居が右足を振り抜く。強烈な一撃はクロスバーを叩いてゴールネットを揺らした。1-0。苦しみ抜いた先で、ベスト4への切符を掴んでみせた。

殊勲の土居は「0-1にされていたら、本当に苦しい試合だった」と不本意な90分を振り返りつつ、それでも「みんなでよく勝ち切ったと思う」と頷いた。ACL制覇の後、インターバルを挟んで迎えた一戦は、幾多もの要素が絡み合う戦いでもあった。「難しい試合になる」という予想通りの展開となったからこそ、勝ち切った意味は計り知れない。昌子は「『この試合がこの先を左右する』と、剛さん、満男さん、ヤスさんが話していた」ことを明かし、「次も中2日。余韻には浸れないし、アジア王者は過去のこと」と次なる戦いを見据えていた。

極寒の小瀬で勝利を掴んだチームは、バスで鹿嶋へと移動した。到着は日付が変わった木曜日の深夜。息つく間もなくやってくる次のアウェイゲームへ、15時からの練習で準備を進めていった。リカバリー中心のメニューに取り組み、集中力を研ぎ澄ましていく。そして翌日、三連休初日の金曜日は試合前日だ。多くのファミリーが駆け付けたクラブハウス、青空の下で最終調整に臨む。経験豊富な面々がチームを盛り立て、最高の雰囲気でトレーニングが進んでいった。そして全てのメニューを終えると、大岩監督が円陣を作る。「戦術ではなく、チーム一丸で戦おうという話をした」。実力者たちが続々と戦線復帰を遂げ、外国籍選手枠との兼ね合いも浮上した今だからこそ「総力戦」の意味を改めて刻み込む。仲間への思いと勝利への決意を胸に、チームは鹿嶋を発った。









木曜日の深夜に鹿嶋へ帰還し、金曜日には仙台へと出発――。わずかな準備期間で臨む90分、指揮官の決断は4名の先発変更だった。左サイドバックに山本、ボランチの一角にレオ シルバが復帰。そして前線にはセルジーニョ、そして負傷の癒えた鈴木が帰ってきた。その他、GKはクォン スンテ、最終ラインは山本とともに西、犬飼、昌子が並ぶ。ミドルゾーンにはレオとともに永木が君臨し、2列目には遠藤と安部。ベンチにはGKの曽ケ端、内田、町田、安西、土居、レアンドロ、小笠原が座る。



穏やかな青空に恵まれた仙台は、冬の本格化を思わせる厳しい冷え込みに見舞われた。チケット完売と発表されたユアテックスタジアム仙台に、アントラーズレッドが朝早くから足を運ぶ。紅葉に彩られた待機列は時間を追うごとに長く伸びていった。寒さを吹き飛ばす情熱と勝利への決意がボルテージを高め、ビジタースタンドを埋め尽くしていく。選手たちがウォーミングアップに姿を見せると、ホームチームを凌駕する熱量が降り注がれた。

14時1分、戦いの火蓋が切って落とされた。立ち上がりは拮抗した展開で、主導権を奪うべく、中盤での攻防が続く。最初のチャンスは6分、敵陣右サイドで得たFKを遠藤が蹴り込むと、ペナルティーエリア内での混戦から鈴木が狙ったものの、ブロックされた。無念の代表負傷辞退から復活を遂げた背番号9は前線で幾度となく起点となり、力強い突破と献身的なポストプレーでチームの推進力となっていた。





10分経過後から、鹿島は仙台にボールポゼッションを許す時間が長くなっていった。それでも、決定機を作らせることはない。両サイドからクロスを上げられても、抜群の安定感で君臨する昌子がことごとくパスをカットし、ピンチの芽を摘んでいった。もはや格の違いを見せ付ける境地に達した背番号3はのちに、敵陣ゴール前でも輝きを放つこととなる。

鹿島はなかなかリズムをつかめずにいたが、サイドハーフの遠藤と安部も献身的なプレスバックを繰り返して仙台のパスワークを寸断。機を見たカウンターに活路を見出しつつ、チャンスを窺っていった。続いての好機は18分、中盤右サイドでのボール奪取から鈴木がスピードを上げてドリブル。ペナルティーエリアに進出し、左前方へラストパスを送る。走り込んでいたレオが切り返しから右足で狙ったが、惜しくもブロックされてしまった。







20分、そして25分が経過しても、鹿島は均衡を破れずにいた。だが、「焦れずに試合運びができるのが自分たちのよさ」と先発最年少の安部が言うように、スコアレスの時間が続くことが動揺を生むことはない。虎視眈々とゴールを狙いつつ、しかし前傾してバランスを崩すことなく、着実にプレーを進めていった。



そして、34分。待望の瞬間はセットプレーから生まれた。敵陣右サイド深くでボールをキープしたセルジーニョが粘り、コーナーフラッグ際で獲得したFK。遠藤は左足を振り抜くことなく、短いパスを永木へ通す。意表を突いた展開からゴール前へクロスが飛ぶと、混戦からボールを収めたのは昌子だった。背番号3はトラップからタイミングを計り、フェイントの直後に右足で狙う。正確にコントロールされた一撃は右ポストに当たり、そしてゴールネットを揺らした。1-0。鉄壁の守備で絶大な存在感を誇示したチームリーダーが、鹿島を前進させるスコアを刻んだ。前半は1点リードで終了。我慢の時間を耐え抜いて、セットプレーで仕留めるという理想的な展開でハーフタイムを迎えることとなった。











ビジタースタンドへと攻める後半、鹿島は開始早々から攻撃の圧力を高めた。46分、レオのパスから左サイドのスペースへ抜け出したセルジーニョがミドルシュート。さらに50分には右サイド深くから遠藤がクロスを上げ、相手のハンドかと思われるプレーを誘発した。笛は鳴らず、ビジタースタンドは騒然となったが、鹿島は仙台を押し込み続けた。



後半最初の決定機は54分、西が上げたピンポイントクロスに鈴木が反応。フリーで放ったヘディングシュートはしかし、枠の右へと逸れてしまった。以後も鹿島は積極的にゴールを狙い続け、57分に安部、60分に遠藤がミドルシュートを放つ。なかなか決め切れずにもどかしい展開となったが、仙台に決定機を作らせることはなく、安定した試合運びを続けた。











そして70分、次のスコアは途中出場の背番号32によって刻まれた。左サイドでレオからのパスを受けた鈴木がクロスを送ると、ゴール前の密集を越えてファーサイドへ。そこへ走り込んだ安西が、ダイビングヘッドを豪快に突き刺す。ピッチインからわずか3分で決めた一撃で、鹿島がリードを広げた。







2-0とした鹿島は得点直後、右サイド深くからのクロスでゴール前への進出を許した。しかし、長い距離を走って懸命にプレスバックした安部がブロック。献身を続けた若武者を昌子は「何度、パスをカットしてくれたかわからない」と称賛していた。

そして75分、勝利を決定付ける3点目をもたらしたのは、背番号30の煌めきだった。ペナルティーエリア手前からループパスを繰り出すと、鈴木の前でカットされたものの、浮き上がったセカンドボールにセルジーニョが反応。体を倒しながら放った左足ボレーでゴールネットを揺らし、アントラーズレッドの歓喜が爆発した。











リードを3点に広げ、大岩監督は77分にレアンドロ、そして82分には内田を送り出す。負傷からの復活を遂げた2人がリーグ戦のピッチへと帰還し、チーム一丸で時計の針を進めていった。4点目を奪うことはできなかったが、アグレッシブな姿勢を最後まで貫き通す。揺るぎない勝利への確信は、試合終了のホイッスルとともにアントラーズレッドの歓喜と化した。







3-0。リーグ戦3連勝で2位広島との差は1ポイントに縮まり、ついに最終節を残すのみとなった。12月1日、鳥栖をカシマスタジアムに迎え撃つ。リーグ戦最後の90分、久しぶりに帰還する聖地で、全身全霊で戦い抜くのみだ。




【この試合のトピックス】
・仙台との今季J1での対戦は1勝1敗だった。
・J1でのアウェイ仙台戦は昨季に続いて2連勝となった。
・J1で今季2度目となる3連勝を果たした。
・昌子が今季の公式戦初得点を挙げた。
・安西とセルジーニョが今季のJ1で3得点目を挙げた。
・レアンドロが2試合連続の公式戦出場を果たした。リーグ戦は4月11日の第7節FC東京戦以来だった。
・内田が10月10日のルヴァンカップ準決勝第1戦横浜FM戦以来となる公式戦出場を果たした。リーグ戦は10月7日の第29節川崎F戦以来だった。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・守備のポジションは非常に良いので、後半も続けること。
・攻撃の時、セットプレーの入り方をもっと工夫しよう。
・1-0で満足することなく、しっかりした守備から、もう1点とろう!

ベガルタ仙台:渡邉 晋
・全体を押し上げていこう。
・恐れずにボールを受けよう。
・焦ることなく、ゲームを進めよう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
先制点を取ることができて、落ち着いて試合を運ぶことができた。我々がやりたいことを、ほぼできたような試合。選手たちが非常によくやってくれたと思う。天皇杯から時間がない中、なかなかコンディションを整わない中で、試合の中で自分たちで軌道修正をしながら、非常によくやってくれた90分だったと評価している。

Q.天皇杯から中2日だったことの影響は、特にどのような部分で感じたか?次の最終節までは時間があくが、どのような形で臨みたいか?

A.「中2日」や「中3日」というような言い方でメディアの皆さんは括っていると思うが、実際は「中2日」ではなく、非常に短い時間の中で選手たちはリカバリーをすることになっていた。それでも、シーズン中に何度も言ってきたが、それを言い訳にはしてこなかった。選手たちの高い意識があって、次の試合に向けた準備が非常によくできていた。今日は前半に関しては、連戦の選手は体が重いだろうと予想していて、なかなかキレのある動きを出すことはできなかった。それでも軌道修正をして、自分たちで抑揚をつけながらプレーをして、後半にしっかりとスイッチを入れるということを選手の判断でやれていた。非常に評価している。最終節に向けてはしっかりとリカバリーをする。ホームでの最終節なのでしっかりと勝って、一つでも順位を上げるという気持ちで臨んでいきたい。


ベガルタ仙台:渡邉 晋
ホーム最終戦ということで、今季最多のサポーターが集まってくれました。本当にありがとうございます。ホームでは簡単に負ける試合が続いていて、鳥栖に負ける前は5試合負けなしという時期もあったが、そういう時間を長くしたかった。リーグ戦のホーム最終戦もしっかりと勝って締めくくりたかった。悔しく思う。選手たちは立ち上がりから非常にアグレッシブに入ってくれたが、蜂須賀の負傷や不用意に与えたセットプレーからの失点もあって、我々の流れが相手に行ってしまったという印象。それでも、踏ん張るところで踏ん張って最低でも1ポイントを取る試合にはできたと思う。それができなかった悔しさを感じている。悔しさを最終節の神戸戦にぶつけて、いい締めくくりをしたい。


選手コメント

[試合後]

【昌子 源】
ワンフェイントを入れたのは、何人かが飛び込んでくると思っていたから。大伍くんが落とした時点で、キックフェイントを入れることは決めていた。(シュートを打った後は)体勢が悪くて見えなかったけど、喜びに来てくれたので入ったことが分かった。前半を1-0で終えたことが大きかったと思う。それから攻守の切り替えも速くなった。

【安西 幸輝】
優磨からのボールが全てだったと思う。サイドハーフで出る時は、まずは守備から入ることを心掛けている。その中で1点を取れたことはよかった。

【セルジーニョ】
ゴールの場面では、相手DFがクリアミスをしたので、瞬時に反応して決めることができた。攻めたいという気持ちはチームとして持っているけど、前半はみんなでゲームマネージメントをしようと言っていた。守備する時間帯もあったけど、相手はホーム最終戦で気持ちも入っていたので、前半はしっかり耐えることを考えていた。後半はギアを上げて、カウンターの場面から追加点を取ることができた。

【鈴木 優磨】
相手のプレッシャーが自分が思っていたよりも一歩早かった。剛さんもそれをわかっていたし、試合勘がなくてワンテンポ遅れていたから「もう一歩早くして」と言われていた。途中からは慣れてきた。相手はイケイケだったので、裏が空くことはわかっていた。2点目はうまく使えたと思う。

【内田 篤人】
1点を取ってからは、負ける感じはそこまでなかった。2点目をなかなか取れなかったから、相手の一発はあるかなと思っていたけど、2つ目、3つ目を取れた。レアンドロもそうだろうけど、離脱が長いといきなり先発で出るよりも途中出場が入った方が準備しやすい。そういう意味でも、使ってもらえたことはありがたい。

【遠藤 康】
自分たちは連戦で、相手はフレッシュな状態で臨んできた。仙台にとってはホーム最終戦でもあったけど、相手の勢いをうまくかいくぐることができた。1点目がいい時間に入って、守備も危ない場面を作らせなかった。みんなで勝った試合だと思う。

【犬飼 智也】
ボールを持たれることはわかっていた。持たれていても、どっしりと構えることができていたと思う。サイドハーフがスイッチを入れてくれたので、後ろとしてもやりやすかったと思う。チーム全員がいい連動性を持ってプレーできたと思う。


◆2018明治安田生命J1リーグ 第33節(オフィシャル)

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