熱戦が予想される“日韓対決”
今年のACLでは、アントラーズが悲願のアジア制覇に向けて邁進しているね。日本勢で唯一、グループステージを突破し、ベスト4に進出した。
リーグ戦では取りこぼしが目立つけど、7月にジーコがテクニカルディレクターに就任してから、徐々に復調している印象だ。ACLでは自慢の勝負強さを発揮し、準々決勝では新戦力のセルジーニョが計2ゴールを決めたりと、良い風が吹き始めているんじゃないかな。
期待したいのは昨年のレッズに続くアジア制覇で、アントラーズにとっては長年、逃し続けてきたタイトルなだけに、モチベーションは高いはずだ。
残る壁はあとふたつ(準決勝、決勝もホーム&アウェー方式で行なわれる)。まずは準決勝で韓国の水原と対戦する。“日韓対決”となっただけに熱戦が予想されるけど、水原にはスーパーな助っ人はいないし、勝てるチャンスは十分にあるよ。
ホームでの第1戦を確実にモノにし、アウェーの第2戦をしぶとく戦う。したたかな試合運びはアントラーズの専売特許だから期待したい。
もし優勝すれば、年末にUAEで開催されるクラブワールドカップに出場できる。再びレアル・マドリーと対戦できるチャンスも得られるだけに、楽しみだ。柴崎の2ゴールなどで善戦した2016年の決勝のリベンジを果たしてほしいね。
一方、今年のACLを振り返ると、中国勢の優位性が薄れてきたと感じる。ここ数年は広州恒大、上海上港、上海申花らがヨーロッパの一流選手を“爆買い”し、ACLでも好成績を残してきた。
でも、今大会はアントラーズがグループリーグで上海申花を抑えて2位通過を果たし、決勝トーナメント1回戦では上海上港を撃破。そして前述の準々決勝で天津権健を下すなど、中国勢を次々に破ってみせた。
アントラーズと天津権健の試合後の公式会見では、中国メディアが大岩監督に「我々の弱点はどこか。あとアドバイスがあれば教えてください」と低姿勢の質問をしたという。それほど中国のサッカー関係者は危機感を覚えているということなんだろうね。
ブラジル代表歴のあるフッキ(上海上港)、パト(天津権健)、パウリーニョ(広州恒大)らは現在も中国でプレーしているけど、彼らの能力をフルに活かせているとは言い難い。中国での生活にストレスを感じている選手も多いようだ。
こうした中国勢のパワーダウンは日本にとってはチャンスだよ。代表ではアジアトップクラスの日本も、クラブシーンでは存在感が薄くなっている。だからこそ、Jクラブには奮起してもらいたい。ACLとリーグ戦では、どちらかというとリーグ戦に力を傾けるチームが多いなかで、アジアの舞台でも結果を残してほしいね。
◆【セルジオ越後】勢力図が変わりつつあるACL。アントラーズはリベンジを果たせるか(サッカーダイジェスト)