日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年6月8日水曜日

◆ポスト・大迫勇也ではなく日本の新エースへ 上田綺世が持つストライカーとしての3つの才能(ABEMA TIMES)






 FIFAワールドカップ・カタール2022に向けて強化を進める日本代表。6月6日のキリンチャレンジカップではブラジル代表と対戦する。海外組が多くを占める日本代表のなかで、国内組として大きな期待と注目を集めているのが、鹿島アントラーズのエースストライカー・上田綺世だ。

「上田の凄さとは何か?」と問われたら、鋭い洞察力としなやかな身体操作と答える。これらはストライカーにとって必要不可欠な要素であり、この2つを併せ持つ上田は稀有な存在だ。


■上田綺世の原点は洞察力にあり


 ここでは上田の凄さをさらに掘り下げていこう。1つ目の洞察力に関しては、ボールを持っていない状況でこそ発揮される。どのタイミングで自分にボールが回ってくるのかを予測し、ポジション修正を繰り返しながらいざというポイントで鋭く動き出す。

 上田のゴールシーンやチャンスシーンを見ると、一瞬の動きでいとも簡単に相手のマークを外す場面をよく目にする。スペースでボールを受けて前を向き、シャープなスウィングでシュートを放つ。シンプルなプレーに見えて、そこに至るまでに無数の駆け引きをしているクレバーなストライカーだ。

 上田の洞察力は駆け引き以外でも真価を発揮する。それはプレー分析の面だ。法政大学サッカー部に所属していた時、上田はこう語っていた。

「このテンポ、このタイミングで動き出さないとダメだなとか、細かい部分の違い、勝負際での違いを感じたい。そうすることで『まだまだ足りないな』と思えるし、自分の力にするためにトライできる。結果、次に呼ばれた時にできるようになっていることが本物の成長だと思っています」

 大学生だった上田にとって東京五輪を目指す代表活動は貴重な学びの機会だった。しかし、アピールできたかできなかったかで物事を判断してしまうと、本質的な部分を見失ってしまいかねない。この経験をどう自分の成長に繋げるかが重要であると上田は理解していた。

「僕の武器は点を獲ること。人間的な部分では吸収力というものを武器にしていて、『1回の経験』でどれだけ学び、生かせるかを重要視しています。だからライバルからはプレーの特徴を分析して、自分に足りない部分を補うようにしています」

「代表に呼ばれて活躍できました、ゴールを決めましただけで終わってしまうのは『自分の力を見せて帰って来ただけ』です。何ができて、何ができなかったのか。他の選手はどうだったのか。常に自分にベクトルを向けて考えるようにしています」

 この洞察力があるからこそ、彼はどの環境でもスポンジのような吸収力で自己成長を実現させることができている。




■J1リーグトップの得点力


 2つ目の身体操作とは、鋭い洞察力に基づいた予測と判断を素早く全身に伝え、スムーズにアクションを起こすこと。182cmのサイズでしなやかさを持っており、動き出しの姿勢や股関節の可動域の広さ、そして足のグリップの強さを駆使して、ピッチの上をスムーズに平行移動していく。

 視線はボールと相手を常に捉えており、多少パスがずれたり、相手が予想と違う動きをしたりしても即座に対応することが可能だ。シュートも秀逸で力みなく正確にボールをインパクトし、狙ったコースへ打ち分けることができる。

 見事な身体操作が如実に出たのが、開幕戦となったアウェイのガンバ大阪戦だ。自陣のセンターサークルでMFピトゥカがボールを受けたところから上田の動き出しが始まる。ピトゥカの動きを最後まで視野に入れた状態でスペースに侵入。パスの角度とコース、さらにオフサイドラインも把握をして、そのコースをなぞるようにボールを引き出す。

 しかし実際にはパスが思ったよりも強く、右のスペースに流れてしまった。本来であれば追いつかないような状況のなか、上田は直線的にボールに向かい、前のめりの姿勢でバランスを崩しながらも、右足を豪快に振り抜いたのだ。シュートの後に勢い余って転倒をしたが、コースを狙ったボールは、弾丸ライナーでゴール左サイドネットに突き刺さった。

 豪快なミドルシュート、GKとの1対1を制してのシュート、クロスからのダイレクトシュートやワントラップシュートなど、多彩なゴールアプローチでゴールを重ね、現在はJ1リーグで得点ランキングトップを走る10ゴールを挙げている。日本代表でもその驚異的な身体操作を駆使したフィニッシュに注目だ。





■ストライカーとして重要なリバウンドメンタリティ


 鋭い洞察力としなやかな身体操作で結果を残してきた上田。最後にもう1つ、ストライカーとして大事な『リバウンドメンタリティ』についても紹介したい。どんなスポーツでもチャンスを毎回ものにすることは非常に難しい。サッカーのストライカーならばシーズンを通して点を重ねられる時期もあれば、パタリと止まってしまう時期もある。そこでいかにその事実を受け入れて、次なるプレーに集中ができるか。いつまでも1つの失敗に頭を悩ませていたら、いいパフォーマンスには繋がらない。

 上田はシュートを外しても、「次は決める」というメンタリティを持っているからこそ、90分間の中で果敢にゴールにチャレンジし続けられるし、平常心を保てている。

 洞察力から来る吸収力と駆け引きする力。身体操作から来るゴールアプローチの多彩さと正確性。そして試合中に折れないリバウンドメンタリティ。ストライカーに必要な要素を兼ね揃えているからこそ、筆者は上田を『ポスト大迫勇也』ではなく、『日本の新エース・上田綺世』として期待を寄せたい。

文/安藤隆人
写真/高橋学





◆ポスト・大迫勇也ではなく日本の新エースへ 上田綺世が持つストライカーとしての3つの才能(ABEMA TIMES)





◆今季16試合で10ゴールを挙げている上田綺世が未だ起用されず 国内最強ストライカーはなぜ使われない?(the WORLD)






ブラジル戦で見たかった選手の一人だ


6月のテストゲームを2戦終え、現状1勝1敗の日本代表。パラグアイ戦では攻撃力、ブラジル戦では守備力が試されており、収穫のある親善試合だったといえる。残りは10日にガーナ戦、14日にはチリ、もしくはチュニジアとの対戦を控えており、勝利で6月の代表戦を終えたい。

そんな日本代表だが、まだ上田綺世が起用されていない。コンディションに問題がある可能性はあるが、今季鹿島アントラーズでリーグ戦16試合10ゴールを決めているストライカーで、国内では最も勢いのある選手だ。ここまでの代表戦でのセンターフォワードは浅野拓磨、古橋亨梧、前田大然の3人が起用されており、まだ上田は1秒もピッチに立っていない。上田のボックス内での強さは代表でもトップクラスであり、枠内シュート数ゼロに終わったブラジル戦では見たい戦力であったが、このゲームでもパラグアイ戦同様に終盤には前田が起用されている。

上田ではなく前田が起用されたのは前田のスピードに期待したのだろう。前田、浅野、古橋の共通点はそのスピードであり、特に前田のスプリント力は素晴らしい。プレスで相手のビルドアップにプレッシャーをかけられる選手で、ブラジル戦でもアリソン・ベッカーに積極的なプレスを見せていた。残念ながらそこでボールを奪うことはできなかったが、守備でのスプリントで得点の匂いをさせられるのは上田ではなく前田だ。またカウンターでもスピードは重要であり、森保監督が重視するのも分かる。

だが上田の得点力は貴重であり、残りの2試合では起用を期待したい。ブラジル戦では確かに古橋と前田のスピードは相手の脅威になっていたが、枠内にシュートを打てていない。日本全体での攻撃力不足もあったが、上田はシュートレンジが広く遠くからでも積極的に枠内にシュートを打つことができる選手だ。しかも際どいコースに制御することも可能であり、前線で収められる鎌田が近くにいれば攻撃での期待感は生まれる。

パラグアイ戦、ブラジル戦でベンチ入りするも、未だ出場機会を与えられていない上田。テストゲームは2試合残っており、彼にチャンスは回ってくるのだろうか。





◆今季16試合で10ゴールを挙げている上田綺世が未だ起用されず 国内最強ストライカーはなぜ使われない?(the WORLD)




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