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「こういう相手に先制点を与えたくなかったし、与えた後も一瞬の気の緩みから2失点目につながった。そういう部分はチーム全体に(改善を)促していかないといけないと思います」
西大伍は試合後、厳しい表情で語った。
1万8831人という超満員の観衆で膨れ上がった5日夜の松本・サンプロアルウィン。松本山雅と対戦したヴィッセル神戸はルーカス・ポドルスキが欠場したものの、アンドレス・イニエスタとダビド・ビジャが先発出場。J1昇格組の松本を圧倒すると予想されていた。
ところが、13分に直接FKを決められると、43分にはリスタートからのクロスに飛び込まれて早々と2失点目を奪われた。後半は一方的に押し込み、途中出場のウェリントンが1点を返したものの、レフリーの不安定な判定もマイナスに作用し、1-2で黒星を喫してしまった。
昨シーズンまで8年間を過ごした鹿島アントラーズでは5度の国内タイトルを獲得し、アジアチャンピオンズリーグ制覇も経験した。鹿島が常勝軍団であり続けているのも、1人ひとりがディテールを大事にする伝統が根付いているからだ。「細部にこだわる重要性」を熟知する西は、神戸がタイトルを取れるチームになるには足りない部分を補わなければいけないと考えたはず。だからこそ、あえて苦言を呈したのだろう。
低迷から巻き返しタイトルを手にした経験
直近のリーグ戦4試合を無敗で乗り切ってきた神戸にとって、松本戦の黒星は痛かった。上位進出が見えてきた最中、7位に後退した。敗戦のショックを振り払い、巻き返しを図ることは容易ではないが、西は同じような状況を経験している。
「あの時も確かセットプレーでやられた気がしますね。試合の後、(トニーニョ・)セレーゾ監督が辞任して、石井(正忠)さんに監督が代わってチームが良くなった。そういうきっかけになった試合だったんで、よく覚えてます。今回は監督が代わるとかそういう話にはならないけど、僕らの意識が変わるきっかけになればいいかなと思います」
西が話した“あの時”とは、鹿島に所属していた2015年7月のことだ。今回と同じJリーグの舞台、同じ会場、同じ相手に0-2で敗れた。すると、同月に監督交代が発表された。そこからチームは巻き返し、ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)優勝を手にした。
躍進への第一歩として着手すべきは、守備の改善だ。豪華な攻撃陣ばかりが目立つが、ここまで今季の神戸が記録したクリーンシートは1試合(3月2日サガン鳥栖戦)のみ。最近2試合はガンバ大阪に3失点、松本に2失点とディフェンス陣の綻びが目立っている。
山口蛍も「2失点ともリスタートでやられていて、相手にしっかりつけていなかったところもあった。ファウルをしていい位置、悪い位置というのがあるから、それをもう少し頭に入れてやらないといけない」と問題点を指摘していた。
松本戦で先発した守備陣で最年長となる31歳の西には、チームの問題点を修正する役割も求められる。連携面を見直し、微妙なズレを改善できれば、失点の連鎖に歯止めをかけることも可能なはずだ。
さらに、サイドバックには周囲とのコンビネーションでバランスをとることも求められる。ポドルスキが欠場した松本戦では、前半に三田啓貴、後半は古橋亨梧とタテ関係を形成。西はそれぞれのタイプを考慮しながら動きに変化を加え、サポートしていた。
3月の代表戦で昌子源は、「大伍くんは試合の流れを読みながらプレーできる賢い選手」と鹿島時代の同僚について話していた。ビジャ、イニエスタ、ポドルスキの“VIPトリオ”が攻撃に専念できるのも、駆け引き上手で全体の流れを読み解く能力を持つ西の存在があってこそ。そうした強みをさらに色濃くチームに浸透させられれば、自身の飛躍にもつながるのではないだろうか。その活躍次第では、8年ぶりに復帰した日本代表への定着が見えてくる可能性もありそうだ。
最後に西は、「今の神戸はやってることも悪くないし、それぞれのレベルも高い。まあこれからですね」と爽やかな笑顔をのぞかせた。“アジア制覇”を目標に掲げるチームにどんな効果をもたらすのか。31歳の右サイドバックが、ここからどうギアを上げていくのかが楽しみだ。
文=元川悦子
◆敗戦後の西大伍が語った鹿島時代の経験…「“あの時”もセットプレーでやられた」(サッカーキング)