日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年11月4日日曜日

◆鹿島の選手のJデビュー時。椎本 邦一は「親みたいな気持ちになる」(Sportiva)





遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(35)
椎本邦一 後編

◆土居聖真「ボールを持つのが 怖くなるほど、鹿島はミスに厳しかった」(Sportiva)
◆中田浩二「アントラーズの紅白戦は きつかった。試合がラクに感じた」(Sportiva)
◆中田浩二は考えた。「元選手が 経営サイドに身を置くことは重要だ」(Sportiva)
◆スタジアム近所の子供が守護神に。 曽ヶ端準とアントラーズの幸せな歩み(Sportiva)
◆曽ヶ端準「ヘタでも、チームを 勝たせられる選手なら使うでしょ?」(Sportiva)
◆移籍組の名良橋晃は「相手PKに ガックリしただけで雷を落とされた」(Sportiva)
◆名良橋晃がジョルジーニョから継ぎ、 内田篤人に渡した「2」への思い(Sportiva)
◆レオシルバは知っていた。「鹿島? ジーコがプレーしたクラブだろ」(Sportiva)
◆「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」 と言い切るレオシルバの真意(Sportiva)
◆「ジーコの負けず嫌いはハンパなかった」。 本田泰人はその魂を継いだ(Sportiva)
◆「アントラーズの嫌われ役になる」 本田泰人はキャプテン就任で決めた(Sportiva)
◆ユースで裸の王様だった鈴木優磨が 「鼻をへし折られた宮崎キャンプ」(Sportiva)
◆鹿島・鈴木優磨のプロ意識。 いいプレーのため、私生活で幸運を集める(Sportiva)
◆岩政大樹の移籍先は「アントラーズと 対戦しないこと」を条件に考えた(Sportiva)
◆三竿健斗は感じている。勝たせるプレーとは 「臨機応変に対応すること」(Sportiva)
◆三竿健斗は足りないものを求めて 「ギラギラした姿勢で練習した」(Sportiva)
◆森岡隆三が鹿島で過ごした日々は 「ジレンマとの闘いだった」(Sportiva)
◆清水への移籍を迷った森岡隆三。 鹿島と対等での戦いに違和感があった(Sportiva)
◆安部裕葵は中学でプロになると決意。 その挑戦期限は18歳までだった(Sportiva)
◆安部裕葵は断言。「環境や先輩が 僕をサッカーに夢中にさせてくれる」(Sportiva)
◆ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、 やり続けたことが成果になっている」(Sportiva)
◆ジーコは意気込む。鹿島のために 「現場に立ち、構築、修正していく」(Sportiva)
◆山本脩斗の鹿島加入時の逸話。 「強化部も僕をよく知らなかったと思う」(Sportiva)
◆鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。 「満男さんがそれを示してくれた」(Sportiva)
◆鹿島のスカウト担当部長は、 「安部裕葵に柴崎岳と似たものを感じた」(Sportiva)


「楽しかったですね。サッカーを楽しめました」

 プロ4年目にして、Jリーグ初先発出場となった久保田和音が充実感に満ちた表情を浮かべ語る。

 公式戦では10月3日のACL水原三星戦以来の勝利を1-0というスコアで飾った10月31日Jリーグの対セレッソ大阪戦。先発メンバーに並んだのは、リーグ戦初出場となる久保田、初先発の山口一真や田中稔也たちだった。若い選手たちを支えるのは、GKクォン・スンテ、CB昌子源、犬飼智也、ボランチの永木亮太と小笠原満男。それでも1週間前のACL対水原三星戦の先発メンバーから9人も選手を入れ替えた。

 ルヴァンカップを準決勝で敗退してしまったが、それにより得たのが1週間のインターバルだ。「今年に関して言えば、(試合間が)1週間空くのは、『本当に時間がある』という感覚です(笑)」と犬飼。この時間が重要だった。

 10月24日の韓国でのACL準決勝を終えたチームは2日間のオフを経て、27日に練習を再開。今季はなかなか実施できなかった紅白戦も行い、試合を迎えられた。

 ACL決勝を前に、Bチームとも言えるようなメンバーでリーグ戦に挑むのは、ある種、当然のことなのかもしれない。しかし、来季のACL出場権獲得のための争いも佳境を迎え、勝ち点を落とすことはできない。「総力戦」と常々語っている大岩剛監督にとっても大きな決断だっただろう。指揮官の勇気、そして、厚い信頼に応えるかのように「選ばれた」者たちは、使命感に燃え、結果を手繰り寄せた。昌子が振り返る。

「いい試合だった。若い選手が特に頑張ってくれた。選手全員の名前を言いたいくらい、全員が良かった。プレーの精度という部分での課題もあるけれど。たとえば(山口)一真が最後までシュートにこだわって、強引に打ったシーンというのは、点を決めたい、勝ちたいという気持ちが表れていた。僕らも若い選手をサポートしながらなんだけど、若い選手も僕らをサポートしてくれる。非常にいい関係だったんじゃないかと思います」

 勝ってACL決勝戦へ繋げる。

 試合出場機会に飢えた選手たちは、それを満たすためだけにプレーしたわけではなかった。個人の感情以上にチームの一員としてやるべきタスクに忠実だった。だからこそ、小田逸稀が値千金とも言える初ゴールを奪い獲ると再三のピンチも粘り強く耐え、逃げ切った。ボールを奪われたら奪い返す。切れない集中力が身体を動かしているように見えた。

「(経験のある選手たちが)僕たち若手に対して、試合前に『思い切りやれよ』と言ってくれました。そんな気づかいや試合中にもたくさん声かけをしてくれたので、やりやすい部分があった。もちろん開始直後は緊張感もありましたけど、ボールを触るにつれ、なくなっていった。強気で戦うことができました」と久保田は、過去、カップ戦に出場したときとは「自分のメンタルが違う」と話した。

 練習を重ねて磨いた力を試合で発揮させる。

 若い選手が躍動できる空気を経験ある選手たちが作った。先発陣、ベンチ入りした選手だけでなく、あらゆる立場の人間がチームメイトをサポートした。

 この日の勝ち点3は、鹿島の選手層の厚さを示すにとどまらない。チームが文字通り一丸となって発揮した総合力の高さがつかんだ結果だった。

「全員が割り切った考えをして戦ってくれた。ここで滅茶苦茶活躍して、ACLに出てやるという考えじゃなくて、俺らがここで、滅茶苦茶いいプレーをして勝って、ACLへ勢いをつけるという考えを持ってやってくれていたのが、今日の結果を生んだんじゃないかなと。これは本当にデカいと思いますよ。気持ちを全面に出したプレーをすれば、相手よりも先に(ボールに)触れる。今日戦った選手たちの姿勢というのは、(主力組に)刺激を与えまくった」と昌子は力をこめた。

 繋がれた「信頼の絆」を強く感じる夜は、大一番への架け橋となるのか。



 鹿島アントラーズの前身である住友金属でプレーしていた椎本邦一氏は、30歳で現役を引退後、ユースチームでの指導を経て、1994年にスカウト担当となった。今もなお高校、大学の大会に足を運び続ける。そして時間が許せば、ピッチに置かれたベンチに座りトップチームの練習を見ている。自身がその扉を開いたプロという環境で、選手たちがどう戦っているのかを見守る椎本スカウト担当部長の姿こそが、「選手を育てるクラブ」という鹿島を象徴し、信頼を築いてきたことが伝わってくる。





――選手をスカウトするうえで、鹿島アントラーズのブランド力というのはどのようなものなのでしょうか?

「たとえば強豪だとか、いろいろな情報はインターネットなどを通じて親御さんや学校も得てくれているようで、わざわざクラブについて説明することはほとんどないですね。そのうえで、『鹿島は選手を育てるクラブ』というふうに考えてもらえているなと感じます」

――選手を育てるのは、指導者や先輩選手の存在ということなのでしょうか?

「それらすべてを含めた環境ですね。鹿嶋は大都会ではないけれど、だからこそサッカーに集中できる場所なんだと思う。チームがひとつの大きなグループになっていて、選手同士が近い関係を作っていると感じますね。同時に、クラブが大事にしている『スピリット・オブ・ジーコ』という芯があるから。チームのために戦うこと。そのうえで結果も残している。そういう想いというか、姿勢を選手同士で共有し、若い選手にも伝えている。受け継がれる文化みたいなものが鹿島にはあります。当然それを僕自身も大切にしてきました。だから、高校や大学関係者からも『鹿島はブレない、真面目なチーム』というふうに言ってもらえる。監督が代わったり、多少調子の悪い時期があったりしても、『鹿島には戻る場所、ベースがある』とも。また、ありがたいことに、『この選手は鹿島に合わないと思うから、推薦できないな』と先生に言ってもらえることもあるんです」

――チーム作りという面でのベースもはっきりしていますよね。

「だから、ある意味スカウトの仕事もやりやすいのかもしれません。このポジションにはこういう選手が必要だという基本的なものがあるから。イメージしやすいですね」




――プレースタイルだけでなく、鹿島という環境に適した選手が集まるのは、椎本さんの眼に加えて、ブレない鹿島アントラーズの姿を周りの眼が理解しているからなのかもしれませんね。

「本当にありがたいことですね」

――柴崎岳選手が高校2年時に鹿島と仮契約を結んだり、契約時期が早まっています。

「岳のときは、周囲からも驚きの声が出ましたが、選手自身の意向を優先させているだけなんですよ」

――早く進路を決めれば、落ち着いた状態でサッカーに取り組めるという利点が選手にあるわけですね。鹿島では新卒選手との契約について、年齢とポジションのバランスを考えていると聞いたことがありますが、どれくらい先を見据えているのでしょうか?

「現有戦力のバランスも含めて、2年後、3年後のことはイメージしています。加入後、想像以上のペースで成長する選手もいれば、その逆もいます。鹿島で結果が残せず、移籍せざるを得ない選手もいれば、海外移籍など、想定外のことも起こりうる。だからといって、高卒即戦力というわけにもいかない。もちろんそういう選手もいますが、そこを期待するのは選手には酷だなとも」

――やっぱり、高卒なら2、3年の時間は必要だと。

「身体も出来てないですしね。本人の気持ちが大前提ですが、最低3年は様子を見ようと考えています。僕の仕事は、契約を結んで終わりじゃない。だから、試合や練習が見られるときは、それを見て、必要な声をかけるようにしています。ときどき嫌味を言うことさえあります(笑)。いきなりプロという環境に立ち、舞い上がる選手もいます。僕らは親御さんから、息子さんを預かったわけですから、プロサッカー選手としてだけでなく、社会人としても育てる義務があると思っているので」

――スカウトをしていて、一番うれしいことはなんですか?

「鹿島を選んで、来てくれた選手が、試合に出ることですね。代表に選ばれる以上にJでデビューしたときがうれしいですね。本当にドキドキしますよ。『つまらないプレーをしたらどうしよう』とか、『大したことないなと思われたら……』とか(笑)。まるで『はじめてのおつかい』の親みたいな気持ちになりますね。なかには数年かかる選手もいるから。もちろんワールドカップ出場もうれしいけれど、デビュー戦は格別ですね」

――24年間のスカウト人生ですが、「嘘をつかない」という以外に、大切にされていることはなんでしょうか?

「『足を運ぶ』ということですね。顔を覚えてもらうことがまず一番。今は少なくなったけれど、昔の高校の先生たちは本当に個性派ばかり。2、3度名刺を渡しても、なかなか覚えてもらえない。しばらくして出向くと、やっぱり忘れられている(笑)。そういう先生や監督さんには、厳しいことを言われることもありましたが、本当に鍛えてもらえたなと感じています。そして、『鹿島に声をかけてもらった選手は確かだ』と言ってもらえたときもうれしかったですね」

――還暦を迎えられたわけですが、今後のことについては。

「実際、夏のインターハイを1日3試合も見るというのは結構大変です(笑)。でも、この仕事をやめるというのは想像できない。今更違うクラブの名刺を持って、出向くなんておかしいでしょう?(笑)。僕は鹿島しか知らないし。練習に参加したり、移籍加入した選手が『やっぱり鹿島はほかとは違う』と言ってくれたりしても、ピンとこない。これが当たり前の光景で空気なんだけどなぁって」

――鹿島アントラーズを選んでもらうための秘訣とは?

「偉そうなことは言えないけれど、僕が大切にしているのは、やっぱり嘘をつかないということ。正直に話すことが、選手や親御さん、学校の先生にとっては、耳障りのいいことばかりじゃないかもしれない。けど、耳に痛いことであっても話すだけです」

――その言葉の厳しさをも受け入れられるかどうかが、鹿島で、プロでやっていけるかどうかの鍵になるのかもしれませんね。

「すぐに試合に出られるチームへ行くという考えもありだとは思う。でも、そのままでも試合に出られるということは、現在の自分と同レベルか、それよりも低いレベルという見方もあるから。8割ぐらいの力しか発揮しなくてもやれる環境にいれば、絶対に伸びなくなる。現状の自分より高いレベルへ行けば、最初は苦労するかもしれないけど、そこでもがくことで、成長できるんだから。今試合に出て満足するか、それよりも先、代表やヨーロッパを目指すなら、レベルの高い場所へ挑戦してほしいなと僕は思います」

――そういう意味では、鹿島を選ぶ選手というのは、貪欲で向上心の高い選手ということなのかもしれませんね。

「そうであってほしいと思います。とにかく、いつも、どんな状況でも、満足しない、満足できない選手であってほしいですね」




◆鹿島の選手のJデビュー時。椎本 邦一は「親みたいな気持ちになる」(Sportiva)


◆【英国人の視点】鹿島が歩んできたACL決勝までの軌跡。悲願のアジア王者へ、最大の武器と最大の弱点(フットボールチャンネル)






鹿島アントラーズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に進出し、イランのペルセポリスに勝てば日本勢の連覇が決まる。鹿島としては初のACLのタイトルとなるが、決勝までの道のりは決して楽ではなかった。鹿島が見せたACLでの戦いとは…(文:ショーン・キャロル)


鹿島が獲得していないタイトル

 鹿島アントラーズには、日本で最も成功を収めたクラブであることを誇る正当な理由がある。

 Jリーグ加盟は99.999%不可能だと言われながらもジーコと契約を交わして加盟を果たし、日本のプロチームとして初の3冠を達成し、あらゆる国内タイトルをどのクラブよりも多く獲得し、アジアのチームとして初めてクラブワールドカップ決勝へ進んだ(さらにレアル・マドリー撃破まであと一歩に迫った)チームとなった。誰もが羨むようなその歴史は何度も語られてきた。

 だが、その鹿島が今まで逃し続けてきたタイトルが一つある。国内で圧倒的な成功を収めながらも、鹿島が手に入れることができていないトロフィーがある。まだ一度もアジア王者の座に登り詰めることはできていない。

 今季開始前の時点で鹿島はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に7回参加していたが、2008年に準々決勝まで進んだのが最高成績だった。昨季も含めて4回はベスト16で敗退。宿敵の浦和レッズが2回目の大会制覇を果たしたことで、アジアのトロフィーがコレクションから欠けていることの悔しさはより一層強まった。

 だが2週間後には、その全てが変わるかもしれない。初めて戦う決勝の舞台でイランのペルセポリスを下せば、鹿島に足りなかったピースがついに手に入る。

 鹿島の決勝進出までの道のりはやや奇妙とも言うべきものだった。準決勝で水原三星と激突するまではある程度楽な戦いが続き、大岩剛監督のチームが本格的にトップギアを入れることもなかったが、敗退の危機に追い込まれることもほとんどなかった。

 グループステージではわずか2勝を挙げたのみで、いずれもアウェイでの白星だった。だが敗戦も1回のみ。すでに決勝トーナメント進出を決めたあとで水原に0-1の敗戦を喫した。

グループステージで負けた韓国勢との再戦

 その敗戦で水原にグループH首位の座を明け渡したことで、鹿島はベスト16で難敵上海上港との対戦を強いられることに。だがそのラウンドもホームで3-1の勝利、アウェイで1-2の敗戦という結果で突破。最後にフッキがPKを決めたことで実際より接戦に見えるスコアだが、鹿島は比較的楽に勝ち進んだ。

 準々決勝でも中国勢をあっさりと退けた。アクセル・ヴィツェルがチームを去り、退団を望むアントニー・モデストを欠いていた天津権健はグループステージと比べて抜け殻のようなチームとなっており、2試合合計5-0で一蹴された。

 続いて準決勝では水原との再戦が決定。一見したところ戦いやすいカードかと思われたが、鹿島での1stレグ開始からわずか6分で水原が2-0のリードを奪うというカオスな展開が待っていた。

 それでも鹿島は前半半ばにチャン・ホイクのオウンゴールで息を吹き返すと、終盤に入ったところでセルジーニョ、そして93分に内田篤人がゴールを挙げて衝撃的な逆転勝利を飾った。

 しかし、準決勝のドラマはまだ終幕には程遠かった。

準決勝2ndレグで起きたドラマとは…

 2ndレグでは1stレグより良い形で試合に入ることに重点を置いた鹿島は、水原ワールドカップスタジアムでの試合の序盤戦の主導権を握り、25分にはセルジーニョのフリーキックに山本脩斗が頭で合わせてアウェイゴールを奪う。これで合計スコア4-2とリードし、決勝進出を手中に収めたかに見えたが、水原も後半に反撃を繰り出した。

 まずは52分にイム・サンヒョプがリバウンドを押し込んで最初のジャブを食らわせる。突然のように揺らいだ鹿島に対し、わずか1分後にはチョ・ソンジンがCKに合わせた弾丸ヘッドを決めて2-1とした。ロープ際にまで追い込まれた鹿島は、水原に攻め込まれるたびにゴールを許すかのようだった。実際に60分には裏へ抜け出したデヤン・ダムヤノビッチが決めて水原が合計5-4のリードを奪った。

 もはやパンチドランカーとなった鹿島に対し、62分にはエルビス・サリッチが決定打を打ち込むチャンスを迎える。穴だらけとなった鹿島守備陣をまたも切り裂いたが、シュートはわずかに枠外へ外れた。

 ボスニア人MFは2分後にはこのミスを悔いることになる。西大伍のゴールで鹿島が1点を返し、合計スコア5-5、アウェイゴールも2点ずつという全くの互角に持ち込んだ。この状況により鹿島は前半45分間に見せていたような落ち着きを取り戻すことができた。82分にセルジーニョがエリア内のルーズボールに反応し、最終的に勝負を物にしたのもさほど驚くべきことではなかった。

 準決勝は盛り上がる展開ではあったが、現在の鹿島の守備の脆弱ぶりも浮き彫りにした。ペルセポリス打倒のチャンスを掴むためには間違いなく修正しなければならない部分だ。

鹿島が抱える守備問題と攻撃陣の調子





 決して一度きりのことではなく、10月を通して守備が脆い状態は続いていた。アントラーズは10月の公式戦6試合中5試合で2失点以上を喫している。10月31日から11月10日までにホーム&アウェイの決勝も含めた4試合を戦うというこれまで以上の過密日程の中で、クラブ史上最大の2試合に向けて疲労が蓄積し、その結果として個人のミスがさらに増えていく恐れもある。

 選手の負傷が影響していることも間違いない。決勝に向けて鹿島は、昌子源をセンターバックに起用し続けるかどうかという大きな決断を下さなければならない。25歳の昌子はトップクラスのDFではあるが、長引いた負傷離脱から復帰後の2試合ではやはり動きが鈍っていた。本来のスピードを取り戻し、万全の状態が整ったことを示す時間はまだ1週間残っているが、100%の状態ではないようなら大岩監督は代役として犬飼智也の起用も検討しなければならないかもしれない。

 それに比べて攻撃陣ははるかに期待を感じさせる。鈴木優磨とセルジーニョは非常に良いコンビネーションを見せており、セルジーニョは8月にクラブに加入して以来ACLで出場した4試合全てでゴールを挙げている。鈴木も、相手がいかに優れたDFであっても手を焼かせる存在だ。土居聖真も常に相手を脅かし、両サイドバックも自由にファイナルサードまで攻め上がることを許されている。鹿島はいつでもゴールを奪えるチームであり、今大会でゴールを奪えなかった試合は水原に敗れた前述の1試合のみだ。

 決勝に向けて、その攻撃的姿勢は持ち続けなければならない。守備に不安は抱えているとしても、あるいはその不安があるからこそ、何も恐れないポジティブなアプローチこそが、鹿島が約束の地にたどり着いて浦和から大陸王者の座を引き継ぐ可能性を最大限に高めることになるだろう。

(文:ショーン・キャロル)

【了】




◆【英国人の視点】鹿島が歩んできたACL決勝までの軌跡。悲願のアジア王者へ、最大の武器と最大の弱点(フットボールチャンネル)




◆【ACL決勝】ペルセポリスのサポーターがピッチ乱入!一時中断(サカノワ)






スタッフと警備員に羽交い締めにされて連れ出される。

[ACL 決勝 1st-leg] 鹿島 – ペルセポリス/2018年11月3日/県立カシマサッカースタジアム

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第1戦・鹿島アントラーズ(Jリーグ)対ペルセポリス(イラン)、息詰まる攻防を繰り広げた前半はスコアレスで折り返している。

 その前半途中、カシマスタジアムでまさかのアクシデントが起きた。

 両チームともに緊張感漲る一進一退の攻防を繰り返していた前半途中だった。22分、スタンドにいたペルセポリスの男性サポーターが突然、国旗を掲げてピッチに乱入したのだ。

 試合はこのため一時中断に。ピッチを悠々と走っていた男性はすぐさま警備員とスタッフに取り押さえられ、羽交い締めにされて外へ引きずり出された。

 両チームの選手に加え、ベンチもこれには唖然。ただ大岩剛監督もペルセポリスのベンチに問題ないと合図。試合はペルセポリスのボールで再開されて、鹿島に返された。

 試合は序盤にペルセポリスがカウンターから何度もチャンスを作り出したが鹿島が踏み止まって応戦。その後、徐々にホームチームが主導権を握り出して、セルジーニョ、安部裕葵のシュートなど惜しい場面を作ったものの、ゴールは決め切れず。スコアレスのまま後半を迎えている。




鹿島のメンバーは次の通り。

▽KASHIMA ANTLERS
GK 
クォン・スンテ 
DF 
西 大伍 
チョン・スンヒョン 
昌子 源 
山本脩斗 
MF 
三竿健斗 
レオ・シルバ 
土居聖真 
安部裕葵 
FW 
セルジーニョ 
鈴木優磨

SUB
GK 
曽ケ端準 
DF 
安西幸輝 
犬飼智也 
MF 
永木亮太 
遠藤 康 
小笠原満男 
FW 
金森健志

◆鹿島先勝2発快勝「もっともっと応援して」昌子主将(ニッカン)



セルジーニョ Serginho


<アジアチャンピオンズリーグ:鹿島2-0ペルセポリス>◇決勝第1戦◇3日◇カシマ

鹿島アントラーズが、初進出した決勝の第1戦でペルセポリスをホームに迎え撃ち、2-0で先勝した。

後半13分にレオシルバが先制ゴールを奪うと同25分にはセルジーニョは貴重な追加点を奪った。DF陣も体を張った守りでゴールを割らせなかった。

試合後、無失点に封じた昌子主将はスタンドのサポーターへ向けて感謝の言葉をつづった。「2-0という結果は皆さんがつくってくれた結果。僕は後ろ(DF)にいるので(声援が)背中を押してくれた結果が無失点になった。ありがとうございます」。

次戦は悲願のアジア初制覇を懸けてアウェーでの決勝第2戦。「アウェーで次もいっぱいサポーターが入ると思う。今日の応援じゃまだまだ足りない。優勝できない。もっともっと応援してほしい」と強力援護を呼び掛けた。




◆鹿島先勝2発快勝「もっともっと応援して」昌子主将(ニッカン)





◆鹿島が先勝!アジアの頂くっきり見えた レオシルバ先制 セルジーニョ5戦連発(デイリー)






 「アジアCL・決勝第1戦、鹿島2-0ペルセポリス」(3日、カシマスタジアム)

 ホームアンドアウェー方式の決勝第1戦が行われ、初優勝を狙うJ1鹿島がペルセポリス(イラン)に2-0で先勝した。昨年のJ1浦和に続く日本勢2連覇を目指す鹿島は0-0で迎えた後半、MFレオシルバ(32)が先制ゴール。さらにFWセルジーニョ(23)の5試合連続得点で突き放し、最後までアウェーゴールを許さなかった。第2戦は10日(日本時間11日)にテヘランで行われる。

 アジアの頂が、くっきりと見えてきた。今季最多3万5022人が駆けつけた満員のカシマスタジアムで、常勝軍団が確かな強さを見せつけた。

 立ち上がりこそ、ともに慎重な姿勢を見せていたが、後半に入って鹿島が攻め込む。DF昌子が「思い切って僕と(鄭)スンヒョンの2人でラインを上げた」と振り返るように押し込む時間が増えた。

 後半13分、流れるパスワークからMFレオシルバが左足で先制弾。「練習でやっていた形。強さよりも、コースを狙って打った」と白い歯を見せた。勢いは止まらず、25分にはMF三竿健の浮き球に反応したセルジーニョが追加点。イランの難敵を突き放した。

 鹿島にとって、アジア王者は悲願のタイトル。国内主要大会の優勝19度を誇る名門だが、ACLは今季が8度目の挑戦。前半途中には、イラン国旗を手にした外国人サポーターがピッチに“乱入”するなどアクシデントにも見舞われたが「動揺はなかった」と昌子が語るように、冷静に試合を運んだ。

 第2戦はテヘランへと乗り込む。会場のアザディスタジアムには10万人超のサポーターが駆けつけるという情報もあるが、殊勲のセルジーニョが「それでもピッチ内は11対11」と語れば、昌子も「10万人のサポーターが静まり返る、しらけた優勝にしたい」。20冠目のタイトルを、常勝の歴史に刻む。


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◆鹿島が先勝!アジアの頂くっきり見えた レオシルバ先制 セルジーニョ5戦連発(デイリー)





◆顔面ブロックに5戦連発…鹿島助っ人が示した一体感(ニッカン)






<ACL:鹿島アントラーズ2-0ペルセポリス>◇決勝◇第1戦◇カシマ

歓喜の輪が生まれた。主役のMFレオ・シルバがみんなを呼び寄せたことで、その輪はさらに大きく広がった。まるで今の鹿島の一体感を表すかのようだった。

後半13分。MF土居聖真とのワンツーを受け、左足で狙い澄ましたゴールを決めた。待ちに待った先制点。「強さよりも、コースを狙おうと決めていた」。そして「確かに自分個人の得点でうれしいけど、その過程では全員がボールに関わっている。みんなで、喜びを分かち合おうと」。それが、大きな輪の理由だった。

前半は不慣れな中東勢のプレースタイルもあって、リズムをつかめなかった。枠内シュートはゼロ。前半4分にはゴール前で決定的なシュートも許した。だが、DFチョン・スンヒョンが気迫の顔面ブロックで防いだ。「ヘディングの競り合いでクリアしようと思ったが、後ろに流れてしまったので、体を投げ出しても止めようという気持ちだった。止められて良かった」。

こうしたピンチをしのぎ、徐々にリズムをつかんで迎えた後半だから、なおさら先制点は大きかった。そして、同25分にはMFセルジーニョが貴重な追加点。「点を取れることはうれしい。でも、誰が点を取るかが重要ではない。目標はタイトルで、僕が点を取っても、タイトルを手にしなければ何の意味もない。本当にみんなで点を取っている気持ちです」。

謙虚さを失わない助っ人のACL5戦連発ゴールで、鹿島は敵地での第2戦を、より有利なものとすることができた。だが、レオ・シルバは「いいアドバンテージを持てたけど、終わったわけではない。しっかりと食事、睡眠、休養を取って、自分たちの準備を怠らずにやっていきたい」と、気を緩めなかった。










◆顔面ブロックに5戦連発…鹿島助っ人が示した一体感(ニッカン)


◆【鹿島】アジア制覇王手!カルタで覚えた日本語で「優勝したい」決勝点はレオシルバ!(報知)





 ◆アジア・チャンピオンズリーグ2018 ▽決勝第1戦 鹿島2―0ペルセポリス(3日・カシマスタジアム)

 クラブ悲願のアジア初Vで通算20冠目を狙う鹿島は、MFレオシルバ、FWセルジーニョのブラジル人コンビのゴールでペルセポリス(イラン)を2―0で下した。

 ■満員サポーター歓喜

 レオシルバは両手を上下に振り上げ、歓喜に沸く3万5022人のサポーターをあおった。0―0で迎えた後半13分。左サイドのパス交換からペナルティーエリアへ侵入。狙い澄ました左足でネットを揺らした。「みんなで喜びを分かち合うのは大切なことだよ」。イレブンからの祝福に酔いしれた頼れる助っ人は、サポーターへの感謝も忘れず、全身で喜びを爆発させた。

 ■外国人4人、大奮闘

 開始4分に強烈なシュートを浴びたが、DF鄭が至近距離で気迫の顔面ブロック。GK権もFKの決定機を防ぎ、レオシルバの先制弾で試合の流れを掌握した。同25分にはFWセルジーニョが日本勢では2009年のG大阪FWレアンドロ以来となる5戦連続ゴールで貴重な追加点を決めた。

 ■ACL見据え方針転換

 開催国枠としてクラブW杯に出場し、Rマドリードと善戦した2016年オフ。クラブは次年度から2年ぶり参戦のACLを見据え、外国籍選手の大型補強に乗り出した。鹿島が唯一手にしていないACLのタイトルは、当時8強が最高成績。日本人選手の成長を信じ外国人枠を余らせた時期もあったが、アジアを制するためには外国籍選手の強力な個の力が必要だと判断した。

 ■カルタで覚えた日本語で

 新潟で獅子奮迅の活躍を見せていたレオシルバもその一人。今年9月1日のJ1広島戦での敗戦後。明るさと勤勉さを併せ持ち、キャプテンマークを巻くこともあるブラジル人は、ロッカールームで口を開いた。「俺は優勝したい。負けるのは悔しい」。新潟時代、生まれたばかりの長男とのカルタで覚えた日本語で肩を落とす仲間に語りかけた。圧倒的な実力を持ちながらも、優勝とは無縁。「レオが言うから説得力がある」とDF昌子。レオシルバ、2度のACL制覇の実績を持つ権、5戦5発のセルジーニョら助っ人陣は今季の躍進に大きく貢献している。

 ■「本当の決勝はここから」

 第2戦が行われるアザディースタジアムには8万人以上の相手サポーターの来場が予想される。レオシルバは「本当の決勝はここから始まると思っています」と力を込めた。J最多19冠を誇る日本の常勝軍団が、ついにアジアの頂に王手をかけた。(岡島 智哉)




◆【鹿島】アジア制覇王手!カルタで覚えた日本語で「優勝したい」決勝点はレオシルバ!(報知)

◆鹿島シルバ&セルジーニョ弾ジーコの教え胸にV王手(ニッカン)






<アジアチャンピオンズリーグ:鹿島2-0ペルセポリス>◇決勝第1戦◇3日◇カシマ

クラブ初のアジア制覇に挑む鹿島アントラーズがホーム第1戦で先勝した。後半13分にMFレオ・シルバが先制し、同25分にはMFセルジーニョがJリーグ選手としては史上2人目のACL5戦連発。ジーコ・テクニカルディレクター(TD)の影響を受ける2人の活躍で、ペルセポリス(イラン)に2-0で快勝した。優勝確率100%のデータをひっさげて、10日(日本時間11日)にイランで優勝を決める。

歓喜の輪に加わる人数が増えていった。2人、3人…いや、もっと来る。主役のレオ・シルバが腕を振っていた。「来い、来い」。力強く仲間を呼び、あっという間にふくれ上がった。「確かに自分が得点できてうれしいけど、その過程では全員がボールに関わっている。みんなで喜びを分かち合おうと」。その行動。今の鹿島を象徴していた。

不慣れな中東勢との試合、決勝の大舞台、許したくないアウェーゴール。前半は気持ちが引いていた。開始早々のピンチは何とか、DFチョン・スンヒョンの顔面ブロックでしのいだ。

変えたのが後半13分のシルバだった。MF土居とのワンツーから「強さよりコースを」と狙い澄ました先制弾。そして「ああやって『来い、来い』と言ってくれてチームに一体感を生んでくれた」とDF昌子。チームが再び1つになった。

すると“ACLの申し子”も続いた。後半25分、MF三竿健の浮き球を左足アウトサイドで合わせた。こちらも技あり弾。「健斗に叫んだら言葉が通じたみたいでパスしてくれた」。JリーガーのACL5試合連続弾は09年ガンバ大阪FWレアンドロに並ぶ2人目の快挙。第2戦を有利とする複数得点に、笑みがこぼれた。

8月のジーコTDの来日とともに調子を上げたチーム。原動力は、その威光にひれ伏すこの2人だった。

ほぼ同時に来日したセルジーニョは当初、中東からオファーを受けていた。だが「いい選手だ」と「鹿島のジーコ」に興味を持たれたと知り、即決した。昌子は言う。「ぶっちゃけ、ずばぬけたモノはないし、足が速いわけでもない。でも、ボールが収まるし、いいところにいる」。これで公式戦18試合で9得点3アシスト。まじめな性格がすぐ仲間に愛され、なじんだ。

シルバも「働かないブラジル人に厳しい」というTDの目を恐れて? 調子を上げた。公式戦の4得点は8月以降。土居は「前半戦は正直言うと『穴』でしたけど、今では1人多く12人対11人で戦っているよう。ブラジル人にとって、ジーコはすごいんだと思いました」と笑う。シルバも「ずっと居てもらいたい。お守りのように」と笑った。

ACLの過去11度のホーム&アウェーの決勝は、ホームで先勝した5チームが全て優勝。ジーコの教えは「最後、頂点に立っていないと意味がない」。全員が肝に銘じ、いざ8万人の敵地へ向かう。【今村健人】







◆鹿島シルバ&セルジーニョ弾ジーコの教え胸にV王手(ニッカン)





◆セルジーニョが止まらない!!驚異のACL5戦連発に「叫んだら言葉が通じた」(ゲキサカ)






[11.3 ACL決勝第1戦 鹿島2-0ペルセポリス カシマ]

 背番号18が止まらない。鹿島アントラーズのFWセルジーニョがACL5試合連続ゴール。1-0で迎えた後半25分、右サイドからセルジーニョがFKを蹴り込むと、そのセカンドボールから相手クリアのこぼれ球をMF三竿健斗が拾い、ゴール前に浮き球のパス。これに反応したセルジーニョが左足ボレーで合わせ、ゴール左に流し込んだ。

「FKを蹴って、クリアするかしないかという状況の中、三竿選手に叫んだら何とか言葉が通じたみたいで、パスをくれた。あとは決めるだけだった」。今夏、テクニカルディレクターに就任したジーコ氏の誘いで、ブラジルの名門サントスFCから完全移籍で加入。8月28日のACL準々決勝第1戦の天津権健戦で来日初ゴールを記録すると、そこから準々決勝第2戦、準決勝第1戦、準決勝第2戦、決勝第1戦と5戦連発中だ。

「一番の要因はチームメイト、スタッフ、フロント、サポーター、いろんな人が信頼してくれて、スムーズに溶け込むことができている」。そう周囲に感謝する23歳は「だれが点を取るかは重要ではない。自分が点を取っても、タイトルを手にできなければ意味がない。全員で点を取っているつもりでいる」と、フォオザチームを強調した。

 3万5022人の観衆が詰めかけたホームでの第1戦に先勝し、「この雰囲気をつくってくれたサポーターに感謝したい。ピッチの上で恩返しを果たすことができて良かった」と笑顔を見せたセルジーニョ。アザディスタジアムでの第2戦は約10万人の相手サポーターで埋め尽くされることが予想されるが、「そういう素晴らしい雰囲気でやれるのは願ってもない環境。10万人、12万人いようが、ピッチの中は11人対11人。その11対11の戦いに全員で競り勝ってタイトルを取ることができれば」と力強く言い切った。

(取材・文 西山紘平)


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◆セルジーニョが止まらない!!驚異のACL5戦連発に「叫んだら言葉が通じた」(ゲキサカ)





◆鹿島セルジーニョ、三竿に「叫んだ」好パス呼び込む 5戦連発でACL優勝王手(デイリー)






 「アジアCL・決勝第1戦、鹿島2-0ペルセポリス」(3日、カシマサッカースタジアム)

 クラブのアジア王者を決める決勝戦の第1戦が行われ、鹿島(日本)がホームでペルセポリス(イラン)を2-0で下した。後半13分にMFレオシルバが先制点を決めると、同25分にはMFセルジーニョが追加点を決めるなど、2人のブラジル人が大仕事をやってのけた。

 守備面でも、日本代表DF昌子源を中心にイランの難敵を完封。悲願のアジア王者に向けて大きく前進した。第2戦は、ペルセポリスのホームであるテヘランで10日(日本時間11日午前0時)に行われる。鹿島は引き分け以上か、1点差以内の敗戦ならば大会初優勝となる。

 勝利を決定づける、貴重な追加点だった。1-0で迎えた後半25分、MF三竿のふわりとしたパスを、セルジーニョが左足でキッチリと流し込んだ。技ありのシーンについては「あの瞬間、(三竿)健斗に叫んだんだ。言葉が通じたのか、パスが来たので後は決めるだけだった」と、爽やかに振り返った。

 これでACLでは5戦連発。ペルセポリスのゴールを守っていたのは、イラン代表としてW杯にも出場し、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)のPKも止めた名手・ベイランバンドの牙城も破って見せた。まさに助っ人としてふさわしい活躍を見せているセルジーニョだが「誰が点を取るかは問題ではない。目標はタイトル獲得だから」とキッパリ。第2戦を見据えて「謙虚さを保って、タイトルを獲りにいきたい」と語っていた。





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◆鹿島セルジーニョ、三竿に「叫んだ」好パス呼び込む 5戦連発でACL優勝王手(デイリー)








◆鹿島、20冠王手!アジア初制覇へ2-0先勝/ACL(サンスポ)






 アジア・チャンピオンズリーグ決勝第1戦(3日、鹿島2-0ペルセポリス、カシマ)ホームアンドアウェー方式で、ホームのJ1鹿島がペルセポリス(イラン)に2-0で勝利した。昨年のJ1浦和に続く日本勢2連覇を目指す鹿島は、後半13分にMFレオシルバ(32)が先制ゴール。同25分にはFWセルジーニョ(23)の5試合連続得点で突き放し、最後までアウェーゴールを許さなかった。第2戦は10日(日本時間11日)にテヘランで行われる。

 “神様”から授かった助っ人が、また決めた。1-0の後半25分。鹿島FWセルジーニョがアジア制覇を引き寄せる駄目押し弾だ。MF三竿健の浮き球のパスを左足アウトサイドで流し込むと、真っ赤に染まったスタンドに歓喜が渦巻いた。

 「(三竿)ケント! と叫んだら言葉が通じたみたいで、パスをくれた。あとは決めるだけだった」

 セルジーニョはACLで5試合連続ゴール。Jクラブ所属選手では2009年にFWレアンドロ(G大阪)が記録した連続得点に並んだ。前半は拮抗した時間が続き、相手サポーターがピッチに乱入する騒ぎも。後半13分に試合が動く。MF土居とのパス交換からMFレオシルバが左足で左隅に突き刺した。

 スタンドでは元ブラジル代表の10番で、鹿島の草創期に活躍したジーコ氏(65)が笑みを浮かべた。7月17日に古巣・鹿島のテクニカルディレクターに就任し、サントス(ブラジル)からセルジーニョを獲得。複数クラブからのオファーを受けていたFWは、“神様”の誘いに鹿島移籍を即決した。大一番を前にジーコ氏から「勝利のためにプレーしろ。常にゴールを狙い続けろ」と訓示を受け、ピッチに飛び出した。

 10日(日本時間11日)の第2戦は引き分け以上で悲願のアジア制覇。負けても条件次第で優勝が決まる。今回、相手にアウェーゴールを許さなかったため、優位に戦える。大観衆が見込まれる敵地に乗り込むが、DF昌子は「勝利して10万人の(相手)サポーターを黙らさせる」。常勝軍団が20個目のタイトルをかけ、決戦に挑む。 (一色伸裕)

★ACL優勝の行方

 鹿島は第1戦(ホーム)で2-0で勝利したため、第2戦(アウェー)は勝つか引き分けなら優勝。負けても1点差(0-1、2-3など)なら2戦合計スコアで上回り優勝。得点を挙げての2点差(1-3、3-5など)なら2戦合計スコアは同点だが、アウェーゴール数で上回って優勝となる。0-2なら延長戦に突入。それ以外ならペルセポリスの優勝となる。

★第2戦はPV開催

 第1戦は今季最多となる3万5022人の大観衆がスタジアムを埋めた。敵地での第2戦は日本時間11日午前0時に行われるが、現地に行けないサポーターのために、カシマスタジアム隣接のスポーツセンターでパブリックビューイングを開催する予定。鹿島関係者は「一緒に応援し、優勝の喜びを分かち合いましょう」と呼びかけた。




◆鹿島、20冠王手!アジア初制覇へ2-0先勝/ACL(サンスポ)






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