日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年5月6日月曜日

◆フェイエノールト上田綺世が先制弾、2戦連続ゴール 5-0快勝貢献(ニッカン)






オランダ1部リーグで5日、フェイエノールトの上田綺世はホームのズウォレ戦で前半33分に先制点を決めた。2試合連続の今季4ゴール目。後半4分にPKを失敗し、同20分に交代。チームは5-0で快勝した。

斉藤光毅と三戸舜介のスパルタはアウェーでPSVアイントホーフェンに2-4で敗れた。斉藤はフル出場し、三戸は後半12分からプレーした。首位PSVは2試合を残し、6季ぶり25度目の優勝を決めた。(共同)




◆【鹿島】ポポビッチ監督、柏MFサヴィオの名を挙げ「技術と強度を兼ね備える」と絶賛 6日柏戦(ニッカン)






鹿島アントラーズのポポビッチ監督(56)が5日、柏レイソル戦(6日、三協F柏)を前に取材に応じ、柏のMFマテウス・サヴィオを警戒した。

失点数がリーグで3番目に少ない柏の印象に「オーガナイズがしっかりされててタフに戦ってくるチーム」とし「マテウス・サヴィオは非常にいい選手」と自ら名前を切り出した。「彼のように技術があり、同時に運動量も強度も兼ね備えている選手はそう多くはない。久しぶりに見た」と絶賛。「技術ある選手は足下になりがちだが、彼は違う。スペースを見つけてあらゆるところに走り込み、守備でも強度があり非常にいい選手」と警戒した。

4日深夜に帰国したばかりのU-23日本代表FW細谷真大については「日本の未来を背負って立つ1人」と述べ、J2町田を指揮していた時代に、対戦相手として見ていたMF白井永地についても「彼が岡山在籍の時から見ているが私の好きなタイプ」と本音をポロリ。柏戦に「我々の新たなチャレンジになる試合」と見据えた。





◆【鹿島】ポポビッチ監督、柏MFサヴィオの名を挙げ「技術と強度を兼ね備える」と絶賛 6日柏戦(ニッカン)





◆鹿島・新助っ人FWチャヴリッチが語るゴールの秘訣「欲張りすぎると、大事なことを見落としてしまう」(Sportiva)






鹿島アントラーズ初のヨーロッパ出身選手
アレクサンダル・チャヴリッチ(後編)


 来日からまだ数カ月に満たないが、アレクサンダル・チャヴリッチが鹿島アントラーズに馴染んでいるのは、彼のパーソナリティーが大きい。クラブのスタッフに話を聞くと、3月8日の国際女性デーには自ら花束を購入し、クラブで働く女性スタッフ全員に手渡し、日ごろの感謝を示したという。

「ここ数カ月の間に二度、自分の人生を左右するような大きな決断をした」

 その背景には、鹿島アントラーズで成功を掴もうとするチャヴリッチの姿勢が表われている。鹿島アントラーズへの思いとともに、SKスロヴァン・ブラチスラヴァで多くのタイトルを手にしてきたストライカーの言葉には、チームがしばらく遠ざかっているタイトル獲得への気づきが詰まっている。

   ※   ※   ※   ※   ※

── ヨーロッパでのキャリアを振り返ったとき、ターニングポイントになったと感じている試合はありますか?

「キャリアを振り返って、厳密に分岐点を探していけば、いくつもの試合が思い浮かぶと思いますが、直近では2022年のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグの予選です。(ズリニスキ・モスタルと対戦して)試合はPK戦までもつれたのですが、7人目までもつれたPK戦で、最後のキッカーを務めたのが自分でした。

 SKスロヴァン・ブラチスラヴァはUEFAヨーロッパリーグやUEFAヨーロッパカンファレンスリーグへの出場に重きを置いているクラブだけに、その1本を決めるか決めないかで、クラブの命運が決まる状況でした。その責任のあるPKを蹴らせてもらうことができ、それを決めたことで、状況を大きく変えることができました。

 今、自分が鹿島アントラーズでプレーしているように、人生は何が起こるかわからないから、おもしろいですよね。そうしたターニングポイントで大事になってくるのは、チャンスを掴む準備ができているか、できていないかだと思っています」


【ここ数年で向上したのがヘディングの技術】


── 自身のプレーについても聞かせてください。第4節の川崎フロンターレ戦ではドリブルで抜け出してゴールを決めたように、ドリブルやシュートの技術も高く、DFを背負ったポストプレーもできるなど、さまざまなプレーができる印象です。

「Jリーグはヨーロッパ以上に運動量を求められるリーグなので、個人的には走力に課題を感じています。昔の自分と比較すると、ドリブルやシュートといった技術は、以前よりも向上しているかもしれません。ただ、その技術も大きく変わったのではなく、経験を経て、ひとつひとつのプレーにおける状況判断が変わったことが大きいと感じています。

 スペースに走り込むタイミングや、パスを受けるタイミングなど、その時々で最善の選択ができるようになったことで、プレーが改善されたと思っています。走る質や緩急、スペースを見つける能力など、細かく挙げればキリがないですけど、それもこれも状況判断における賜物だと思っています」

── 技術が向上したというよりも、判断スピードが向上したと?

「事前に状況を把握する能力が高くなった、と言えばいいでしょうか。周りが見えることで、素早く正しい判断ができるようになりました。

 あと、ここ数年でもうひとつ向上したのが、ヘディングです。数年前まではまったくヘディングでゴールを決めることができなかったのですが、リーグ開幕戦でもヘディングから得点したように、徐々にヘディングでも得点を決められるようになってきました」

── その理由は?

「かなり練習したので、その成果だと思っています。クロスに合わせて入り込む動きも含めて、以前とは格段に向上したと思っています」

── インタビュー前に練習を見ていたのですが、ランコ・ポポヴィッチ監督と長い時間をかけて話している姿が印象的でした。

「自分が日本に来て、まだ間もないことを理解してくれたうえで、『もう少しリラックスしてプレーしてもいいのではないか』と、アドバイスをもらいました。そうした言葉をかけてくれるように、監督が自分の置かれている状況やプレースタイルを理解してくれていることが、Jリーグやチームにいち早く馴染むきっかけになっています。

 監督が外国籍選手である自分たちに求める要求は高いですし、自分もそうあるべきだとは思っていますが、監督はそれらを踏まえたうえで、『肩の力を抜いてプレーすることも、時には大事なのではないか』と、アドバイスをしてくれました。

 チームが勝利から見放されていた状況もあり、すべての試合でゴールを決めなければいけないと、身体に力が入りすぎていたのではないかと気づかされました。実際、ここ最近の試合では、ゴールを決めたい、得点したい、という思いが強すぎて、逆にゴールから遠ざかっていたので」


【スロバキア代表からの招集を辞退したワケ】


── 力が入りすぎると、持っている力を存分に発揮できない、と。

「それはサッカー選手だけでなく、ありとあらゆる職業に当てはまることかもしれないですね。欲張りすぎると、足もとがおろそかになり、大事なことを見落としてしまう。実際に自分も、ゴールを決めたいと思っている試合のときほど、パスが来なかったり、チャンスからも遠ざかってしまった経験もあります。

 逆に、プレー自体は決してよくはなくても、余計な力みがないからか、自分の身体に当たってゴールが生まれる経験もありました。気負いすぎない。それが今の自分に必要なことのように思います」

── 3月のインターナショナルウィークでは、スロバキア代表からの招集を辞退して、鹿島アントラーズでのプレーに集中する決断をしたとのニュースを目にしました。

「ここ数カ月の間に二度、自分の人生を左右するような大きな決断をする機会がありました。そのひとつは日本に来るということと、もうひとつは日本に残るということでした。このふたつは短い期間で、自分の人生における大きな決断だったと思っています。

 自分はアントラーズの一員ですし、今の状況を冷静に考え、判断し、日本に残ることが最善であると考えました。アントラーズの選手として、その選択をしたことに今も後悔は微塵もないですし、自分が下した決断がこのチームに対するリスペクトになるとも信じています。

 日数が経った今も、その決断が間違っていなかったと思っていますし、それは自分の決断に対してサポーターたちが理解を示してくれたことで、なおさら実感しました。(3月30日の)ジュビロ磐田戦のあとには、サポーターたちがカシマスタジアムに掲出してくれた横断幕のメッセージについても聞きましたから。

 自分の決断については、当然、賛否両論があることもわかっています。同じ状況に置かれたとき、僕とは異なる判断をする人もいるかもしれない。でも、自分はアントラーズに残ることがチームにより早く馴染むためには必要だと思ったし、自分のため、そしてチームのためになるとも思いました」


【勝者のメンタリティーは徐々に培われる】


── その決断が容易ではなかったことは想像に難くありません。

「もちろん、代表チームの試合に出たくないとは微塵も思っていないし、言ってもいません。日本でプレーしていなければ、迷わず、代表の活動に参加したと思いますし、今後は異なる判断をするかもしれない。でも、今はそのタイミングではなかったというか......アントラーズでのプレーに集中することが、自分にとって最善だと思ったんです」

── ほかでもない自分の人生ですからね。

「おっしゃるとおりで、これは自分の人生であり、自分の選択であり、自分で決めることだと思っていました。

 まだ、僕はアントラーズに何も残せていないし、アントラーズで何も成し得ていない。繰り返しになりますけど、僕はアントラーズにただプレーしに来たわけではなく、何かを勝ち獲るために、ここに来たと思っているので」

── SKスロヴァン・ブラチスラヴァでは6度のリーグ優勝を含め、数多くのタイトルを獲得しています。印象に残っているタイトルはありますか?

「すべてのタイトルが特別なものでしたが、そのなかでもやはり最初に獲ったタイトルは印象に残っています。連続してタイトルを獲り続けるのは、モチベーションも含め、決して容易ではないですが、ひとつ獲ることでチームも、自分自身も、メンタリティーが大きく変わったことを実感しました。

 そのメンタリティーは、もしかしたら優勝した瞬間に得られるものではなく、タイトルを獲ったことを徐々に噛み締めていくことで培われていったものではないかと思っています。そうやって噛み締めていくからこそ、自分たちはできる、自分たちはやれるという自信に変わり、それを繰り返していくことで、ふたつ目、三つ目に手が届く。

 だからこそ、ひとつ目のタイトルは自分にとっても印象深く、きっとアントラーズにとっても、ひとつ獲ることで変わるきっかけになっていくのではないかと思っています」


【強いアントラーズの姿を取り戻せるように】


── 優勝を経験したことのあるアントラーズの選手たちが言っていた言葉のように聞こえます。

「個人的な見解ですが、優勝することによって、その自信が自分の血のなかに流れるのではないかと思っています。自分たちが勝者である自信は、自分のなかにも流れ、外に湧き出てくるし、周りからも勝者という目で見られることで、どんどん変わっていく。それが、僕が思う、勝者のメンタリティーだと感じています。

 その姿をアントラーズが取り戻せるように、自分は全力でプレーし、チームのために力を発揮できればと思っています」

<了>




◆鹿島・新助っ人FWチャヴリッチが語るゴールの秘訣「欲張りすぎると、大事なことを見落としてしまう」(Sportiva)





◆鹿島初の欧州出身選手・チャヴリッチはなぜ日本へ「確信があった。それはもはや愛」(Sportiva)






鹿島アントラーズ初のヨーロッパ出身選手
アレクサンダル・チャヴリッチ(前編)


 ジーコを筆頭に、鹿島アントラーズは多くのブラジル人選手がチームを牽引し、数々のタイトルを獲得してきた伝統がある。そうした歴史のあるクラブに今季、初のヨーロッパ出身選手として加わり、新風を吹かせているのがFWアレクサンダル・チャヴリッチ(セルビア/29歳)だ。

「キャリアの通過点にするつもりで来たわけではなく、自分はアントラーズで何かを勝ち獲るために来た」

 そう力強く語るストライカーは、J1リーグ開幕戦でさっそく初ゴールを決めるなど、大きな期待を抱かせている。そのチャヴリッチが鹿島への移籍を決めた理由、自身の歩み、そして期待とプレッシャーに応える決意を聞かせてくれた。

   ※   ※   ※   ※   ※

── 来日から2カ月が経ち、茨城・鹿嶋での生活には慣れましたか?

「だいぶ慣れました。もともと自分は静かな場所で暮らすのが好きな性格なので、鹿嶋での生活はとても気に入っています。

 鹿嶋は自然が豊かで、近くには海もある。それこそ、鹿島神宮は早くもお気に入りのスポットです。チームのスタッフとも一緒に行きましたが、ひとりで行くこともあるくらい。まだ日本で生活して3カ月ほどですが、すでに5回以上は足を運んでいると思います」

── 鹿島アントラーズというクラブの印象はいかがですか?

「アントラーズはファン・サポーターの人数も多く、クラブとしてしっかりとオーガナイズされています。僕が今までプレーしてきたなかでも、一番のビッグクラブ。これほど多くのスタッフが働いているクラブを、僕は見たことがありませんでしたから。

 そのうえでアントラーズは、クラブに関わっているひとりひとりが、タイトルを獲得することに貪欲な姿勢を持っています。日々の練習においても、そうした空気感はひしひしと伝わってくるので、シーズンが終わったときに、クラブの人たちが目指している形で締めくくることができればと思っています」


【鹿島への移籍はキャリアの通過点ではない】


── 8年間を過ごしたSKスロヴァン・ブラチスラヴァ(スロバキア)から鹿島に加入しました。なぜ、鹿島だったのでしょうか?

「なぜ、何でしょうね(笑)。なかなか言葉では説明できない感情や感覚があります。ひとつ言えることがあるとすれば、自分のなかに目に見えない"確信"がありました。

 もともと日本の文化や食事に関心があったことは事実ですが、それが移籍の決め手になったかというと、決してそうじゃない。8年という年月を過ごしたクラブを離れるのは、決して簡単なことではありませんでしたが、アントラーズからのオファーが届いたときに『自分はここに来る』という確信めいたものがありました。

 本当に言葉では言い表わせない感情なので、自分にとって、それはもはや『愛』なのではないかと思っています。それくらいアントラーズの一員になることに、自分のなかの"何か"を見出したと思っています」

── SKスロヴァン・ブラチスラヴァもかなり引き留めていたと聞きました。

「そうですね。クラブ史上、類を見ないほどの契約内容を提示してくれました。アントラーズとの話が進み、日本に向かうときも、『飛行機のなかで気持ちが変わるかもしれないから』と再提示してくれるくらい、引き留めてくれました。

 ただ、個人的には長く在籍していたため、クラブ全体と良好な関係を築いていた一方で、どこかで自分が守りに入ってしまっているような感覚も抱いていました。安定を選んでしまうと、人の成長はそこで止まってしまいます。自分がさらに成長するために、あえて居心地のいい場所から離れ、もう一度、勝負する時期なのではないかとも思っていました」

── 環境を変えることが自身の成長につながると考えたことも、決め手のひとつだったんですね。これまでにも国をまたぐ移籍を経験していますが、新天地に日本を選ぶというのは大きな変化だったのではないでしょうか?

「過去にはベルギーからデンマーク、デンマークからスロバキアと、ヨーロッパ内での移籍を経験したことはありますが、ヨーロッパとアジアでは、自分にとって別世界。変化という意味では、今回の移籍は過去とは比べられないくらいの違いがあると思っています。

 また、なぜ自分がアントラーズへの移籍を決めたかに触れると、自分はここをキャリアの通過点にするつもりで来たわけではありません。自分はアントラーズで何かを勝ち獲るために、ここに来ました。それはみなさんに伝えられたらと思っています」


【選ばれた存在だから違いを見せなければ】


── Jリーグについては、どのくらいの知識があったのでしょうか?

「Jリーグのクラブについては、アントラーズをはじめ、浦和レッズ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸など、名前は知っていましたが、アントラーズからオファーをもらってから、初めて詳しく調べました。そのタイミングで、アントラーズが日本で最もタイトルを獲っているクラブであること、また近年はタイトルから遠ざかっていることも知りました。

 自分自身もここまで、ただ試合に勝ってきただけではなく、勝ち続けることによってタイトルという大きな功績を手にしてきたので、クラブのフィロソフィーと自分のフィロソフィーは合致しているとも思いました。

 タイトルを獲ったことのあるクラブは、一度でも優勝すると、またひとつ、もうひとつと、タイトルへの欲が出てくるもの。そうした貪欲さは、新たな挑戦をする自分にとっても、大きなモチベーションであり、選手として成長するために必要な要素だと思いました」

── 鹿島がここ数年、タイトルから遠ざかっている状況で、自分がチームに加わる意味についても考えたのではないでしょうか?

「外国籍の選手は、Jリーグで言えば日本人選手よりも多くのこと、多くのものを求められる存在だと思っています。人数が限られている『選ばれた存在』だからこそ、プレーで違いを見せなければいけない。限られた1枠に自分を選んでもらえたことに対して、誇りに感じていますし、なおさら結果で示さなければいけないと思っています」

── J1リーグ開幕の名古屋グランパス戦でゴールを決めたことは、自身にとって大きかったのでは?

「新天地で迎えた最初の試合でゴールという結果を残せたことは、自分にとって大きかったと思っています。新しい環境でプレーするときには、周りに対して強いインパクトを残す必要があります。

 自分がどんな選手なのか、何ができるのかを、チームメートや対戦相手、さらにはファン・サポーターに植えつけるには、最初の印象というのは重要ですからね。だから、リーグ開幕戦で、自分がアントラーズに"何か"をもたらすことができる選手なのではないか、という期待を与えられたと思っています」


【サッカーは数字だけに表われないスポーツ】


── 開幕戦でゴールを決めたことで、多少はプレッシャーからも解放されたのではないですか?

「シーズンが開幕する前は、自分の力を示したい、自分の能力を発揮したいと、自分で自分にもプレッシャーをかけていましたからね。そのプレッシャーがまた、開幕戦での結果にもつながったように思います」

── キャリアについても聞かせてください。選手として自信を掴んだのは、どの時期だったのでしょうか?

「ベルギーのKRCゲンクでプレーしたときですかね」

── プロとしてのキャリアをスタートさせたFKバナト・ズレニャニンやOFKベオグラードでプレーしたセルビア時代ではなく?

「もちろん、セルビアでも自信は得ました。たとえばゴールを決めたり、アシストをしたりすれば、選手として自信がつき、監督やサポーターからも信頼を得られたと思っています。

 自信を持ってピッチに入るのと、不安なままピッチに立つのとでは、少なくとも半分以上はプレーに違いが出ると思っています。それくらい自信とは大きくパフォーマンスに影響を及ぼすものだと思っています」

── 記録だけを見ると、KRCゲンクには1シーズンのみの在籍で、16試合に出場して無得点だっただけに、そこで自信を得たという発言に驚きました。

「KRCゲンクに移籍したときは、自分もまだ年齢的に若く、当時もっとも多くチームで得点を決めていた選手と入れ替わるようにして加入した状況でした。そういう意味で、自分にかかる期待やプレッシャーも大きかった。ストライカーとしてゴールを決められなければ交代させられる機会も多く、苦しんだ時期もありました。

 たしかに数字だけを見れば、大きな結果や満足のいく成績は残せていませんが、サッカーは数字だけに表われないスポーツ。ベルギーでは日々の練習で自信を深めることができ、試合でゴールを決められなくても、アシストができなくても、自信を持ってプレーすることができるようになりました。

 だから、その時期に得られた経験は、今の自分を形成するのに大きな財産になっています」


【プレッシャーを感じることがなくなったら引退】


── プレッシャーに打ち勝つ術(すべ)を身につけた、ということでしょうか?

「年齢が若いときには、プレッシャーとの向き合い方や扱い方がわからず、戸惑った時期もありました。試合が終わったあと、何度も、何度も、繰り返し映像を見て、自分のプレーを振り返り、この場面ではこうすべきだったのではないか、あの場面ではああすればよかったのではないかと、後悔し、考えたこともありました。

 でも、映像を見ても、過ぎたことは変えられないし、取り返すことはできない。ここ数年で、そうした気持ち的な切り替えがうまくできるようになり、徐々にプレッシャーとの向き合い方がうまくできるようになってきたと思います。今も、試合の映像は見返しますが、終わったことは終わったこととして受け入れたうえで、次に生かすために見ています。

 自分の年齢が若い時に、経験のある選手から『過去を振り返るのではなく、顔を上げて前を見ろ』と言われていたのですが、その意味や大切さがようやく理解できるようになってきたと思います。経験は決してお金で買えるものではないので、自分がここまで経験してきたすべてが実となり、プレッシャーに向き合える自分になれたように思います」

── Jリーグ開幕戦では自分で自分にプレッシャーをかけていたと話していましたが、過去の話を聞くと、なおさらメンタル面の成長を知ることができます。

「たしかにそのとおりですね。今季の開幕戦は、今まで自分が経験してきた試合とは大きく状況が異なっていました。

 アントラーズにとって自分が初のヨーロッパ出身選手であるということ、自分にとって8年間プレーしたクラブを離れて迎える初めての公式戦だったということ。特別な心境で迎えただけに、自分で自分にかけたプレッシャーに打ち勝ち、結果を残せたことはうれしく、安堵しました。

 ただし、開幕戦で結果を残したことに満足することなく、その後も結果を残し続けていかなければならいというプレッシャーに、シーズンを通して向き合っていかなければならないと考えています。でも、そうしたプレッシャーを感じることがなくなってしまったら、自分の成長はなく、その時はきっと、サッカー選手を引退する時なのではないかと思います」

(後編につづく)




◆鹿島初の欧州出身選手・チャヴリッチはなぜ日本へ「確信があった。それはもはや愛」(Sportiva)





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